23 / 29
☆22話
しおりを挟む
『清水何かあった?』
「え?いや、何も…?」
『………そう?なら良いんだけど』
何か言いたげな東雲の声がスマホ越しに聞こえてくる。西村に相談した日からずっと泊まりでも誘わないように、強請らないように気を付けてきた。もちろんセックスだけが全てじゃない、同じ布団で東雲の香りを嗅ぎながら寝るのも幸せだった。しかし体に覚えさせられた快楽が東雲を求めようとする度に背を向けて寝るのは大変で、抱きしめてくれる東雲の手が素肌に触れるだけで負けてしまいそうだった。
清水が言わなければ触れられない唇も、誘わなければ繋がれない体も、釣った魚に餌はあげないタイプか?と考えるほどあっさり無くなってしまった事実に少し悲しくなった。それと同時にやはり自分が求めすぎていたんだなと痛感して、付き合わせてしまった罪悪感に押しつぶされそうになる。触れられる手も絡み合う視線も繋がれる幸せも、東雲の全てが清水を変えたというのに。
「そろそろ寝ようかな、明日早いし」
『ん、そうだね。じゃあ俺も寝ようかな』
__もう少し、声が聞きたいとかは言ってくれないのか、
「おやすみしののめ」
『うん、おやすみ…好きだよ清水』
耳元で聞こえるとびきり甘くて優しい声の好きという言葉に体が熱くなる。「ぼくもだよ、おやすみ」と告げて電話を切れば、単純な清水の体は笑ってしまうほど反応していた。さっきまで求められないと泣きそうだったのに少し愛おしいと囁かれただけでまるで麻薬のように脳内に響いて熱をもつ。
「きっと東雲はぼくのことを考えて自慰行為なんてしないんだろうな」
熱をおさめようと体を熱くする元凶に手を触れる。つい最近までは東雲のおかげでずっとスッキリしていたのに、触れられなくなってからはご無沙汰なそれは熱く膨張し触られたいと主張している。
…東雲は強く握らずに、先走りを先端に塗り込みながら大きな手で包んでくれる。ゆっくり先から根元まで擦って、いつも反応を見るように顔を覗いてくるから恥ずかしくなるんだ。
「ぅっ……っん」
薄い壁から声が漏れないように押し殺して東雲にしてほしいことを考える。
もう一度獣のような目で組み敷かれたい、口の中に入れられた指で舌を捕まえられたまま激しくキスされたい、がりっと鋭い犬歯で歯型をつけられてそのまま弱くなった乳首を噛まれたい、ぼくの全ては東雲のものだと主張するようにマーキングされて、麗しい唇で名前を呼ばれながら東雲が気持ちよくなるためのセックスでめちゃくちゃにしてほしい。
「やぁ……っぁあ!」
変態的なことを考えていると射精欲が強くなる。きゅっと体が硬くなって白濁とした液が清水の手を汚していく。この手は自分のしてほしいことばかりに塗れていて綺麗な東雲とは釣り合わないな、
「会いたいな……だん、ぎゅってしてって言わなくても抱きしめて、暖」
汚れた手を拭いて、いつかの時のように虚無感に苛まれながら眠りについた。
「え?いや、何も…?」
『………そう?なら良いんだけど』
何か言いたげな東雲の声がスマホ越しに聞こえてくる。西村に相談した日からずっと泊まりでも誘わないように、強請らないように気を付けてきた。もちろんセックスだけが全てじゃない、同じ布団で東雲の香りを嗅ぎながら寝るのも幸せだった。しかし体に覚えさせられた快楽が東雲を求めようとする度に背を向けて寝るのは大変で、抱きしめてくれる東雲の手が素肌に触れるだけで負けてしまいそうだった。
清水が言わなければ触れられない唇も、誘わなければ繋がれない体も、釣った魚に餌はあげないタイプか?と考えるほどあっさり無くなってしまった事実に少し悲しくなった。それと同時にやはり自分が求めすぎていたんだなと痛感して、付き合わせてしまった罪悪感に押しつぶされそうになる。触れられる手も絡み合う視線も繋がれる幸せも、東雲の全てが清水を変えたというのに。
「そろそろ寝ようかな、明日早いし」
『ん、そうだね。じゃあ俺も寝ようかな』
__もう少し、声が聞きたいとかは言ってくれないのか、
「おやすみしののめ」
『うん、おやすみ…好きだよ清水』
耳元で聞こえるとびきり甘くて優しい声の好きという言葉に体が熱くなる。「ぼくもだよ、おやすみ」と告げて電話を切れば、単純な清水の体は笑ってしまうほど反応していた。さっきまで求められないと泣きそうだったのに少し愛おしいと囁かれただけでまるで麻薬のように脳内に響いて熱をもつ。
「きっと東雲はぼくのことを考えて自慰行為なんてしないんだろうな」
熱をおさめようと体を熱くする元凶に手を触れる。つい最近までは東雲のおかげでずっとスッキリしていたのに、触れられなくなってからはご無沙汰なそれは熱く膨張し触られたいと主張している。
…東雲は強く握らずに、先走りを先端に塗り込みながら大きな手で包んでくれる。ゆっくり先から根元まで擦って、いつも反応を見るように顔を覗いてくるから恥ずかしくなるんだ。
「ぅっ……っん」
薄い壁から声が漏れないように押し殺して東雲にしてほしいことを考える。
もう一度獣のような目で組み敷かれたい、口の中に入れられた指で舌を捕まえられたまま激しくキスされたい、がりっと鋭い犬歯で歯型をつけられてそのまま弱くなった乳首を噛まれたい、ぼくの全ては東雲のものだと主張するようにマーキングされて、麗しい唇で名前を呼ばれながら東雲が気持ちよくなるためのセックスでめちゃくちゃにしてほしい。
「やぁ……っぁあ!」
変態的なことを考えていると射精欲が強くなる。きゅっと体が硬くなって白濁とした液が清水の手を汚していく。この手は自分のしてほしいことばかりに塗れていて綺麗な東雲とは釣り合わないな、
「会いたいな……だん、ぎゅってしてって言わなくても抱きしめて、暖」
汚れた手を拭いて、いつかの時のように虚無感に苛まれながら眠りについた。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
平凡顔のΩですが、何かご用でしょうか。
無糸
BL
Ωなのに顔は平凡、しかも表情の変化が乏しい俺。
そんな俺に番などできるわけ無いとそうそう諦めていたのだが、なんと超絶美系でお優しい旦那様と結婚できる事になった。
でも愛しては貰えて無いようなので、俺はこの気持ちを心に閉じ込めて置こうと思います。
___________________
異世界オメガバース、受け視点では異世界感ほとんど出ません(多分)
わりかし感想お待ちしてます。誰が好きとか
現在体調不良により休止中 2021/9月20日
最新話更新 2022/12月27日
少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。
ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。
だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる