8 / 16
二章 夢のはじまり
2
しおりを挟む
校舎に着くと一組のホシナとは途中で別れ、ユメナは三組の教室へと向かう。
「おはよーユメナ」
「おはよー」
教室に入ると目の前の景色が一瞬ぐらりとゆがんだ。
「ん?」
不思議に思いながら自分の席に向かうが、足元がやけにふわふわする。まるで空中を歩いているような感覚。次第に頭の中までぼんやりし始め、目がかすむ。立っていられないほどの急激な眠気が突然ユメナを支配した。
「なに、これ……」
「あっ、ユメナ~! おはよ!」
「あ……おは、よ」
視界がぼやけ、クラスメイトの顔すらも判別できない。
「どうしたの? 顔色悪いよ?」
「ちょっと、朝礼始まるまで……寝るわ」
ユメナはおぼつかない足取りでなんとか自分の机まで向かうと、カバンを枕にして勢いよく机に突っ伏した。登校早々寝るという突飛な行動にクラスメイトの心配する声が頭上で飛び交う。
(やばい……眠すぎて意識飛ぶ……)
あらがえない眠気を、ユメナはただ受け入れることしかできなかった。
▽
「ん……」
目が覚めると、そこは保健室のベットだった。
ユメナはむくりと起き上がると、ぼーっと周りを見渡す。教室でうたた寝をしていた自分が、今どうして保健室にいるのか理解できなかった。
「宮成さん、起きた?」
カーテンがわずかに開き、隙間から養護教諭の林先生がひょこりと顔を出す。
「大丈夫? どっか痛いとこない?」
「大丈夫です。それより私なんで保健室に……?」
「倒れたんですって。最初は寝ぼけた拍子にイスから落ちたかと思ったら顔が真っ青だったらしくて、クラスの何人かがあわてて職員室に来たわよ」
倒れた記憶もなければ運ばれた記憶もない。しかし周囲に迷惑を掛けたことはどうやら事実のようだ。
「すみません」
「眠ってたみたいだったから救急車は呼ばなかったけど……宮成さん寝不足?」
「あ……はい。まあ、そんなとこです」
「まだ少し顔色悪いし今日は早退したら?」
「そうします」
「じゃあ先生に言って荷物持ってくるわね」
「すみません、お願いします」
林先生は返事の代わりに微笑むと、背中を向けて保健室から出て行った。
眠ってはいたものの悪夢は見ていない。
意識が突然消えていく感じはほぼ気絶に近かった。
ユメナはため息をつき、まだぼんやりとする頭を抱える。頭の中はイヤな予感でいっぱいだった。
「おはよーユメナ」
「おはよー」
教室に入ると目の前の景色が一瞬ぐらりとゆがんだ。
「ん?」
不思議に思いながら自分の席に向かうが、足元がやけにふわふわする。まるで空中を歩いているような感覚。次第に頭の中までぼんやりし始め、目がかすむ。立っていられないほどの急激な眠気が突然ユメナを支配した。
「なに、これ……」
「あっ、ユメナ~! おはよ!」
「あ……おは、よ」
視界がぼやけ、クラスメイトの顔すらも判別できない。
「どうしたの? 顔色悪いよ?」
「ちょっと、朝礼始まるまで……寝るわ」
ユメナはおぼつかない足取りでなんとか自分の机まで向かうと、カバンを枕にして勢いよく机に突っ伏した。登校早々寝るという突飛な行動にクラスメイトの心配する声が頭上で飛び交う。
(やばい……眠すぎて意識飛ぶ……)
あらがえない眠気を、ユメナはただ受け入れることしかできなかった。
▽
「ん……」
目が覚めると、そこは保健室のベットだった。
ユメナはむくりと起き上がると、ぼーっと周りを見渡す。教室でうたた寝をしていた自分が、今どうして保健室にいるのか理解できなかった。
「宮成さん、起きた?」
カーテンがわずかに開き、隙間から養護教諭の林先生がひょこりと顔を出す。
「大丈夫? どっか痛いとこない?」
「大丈夫です。それより私なんで保健室に……?」
「倒れたんですって。最初は寝ぼけた拍子にイスから落ちたかと思ったら顔が真っ青だったらしくて、クラスの何人かがあわてて職員室に来たわよ」
倒れた記憶もなければ運ばれた記憶もない。しかし周囲に迷惑を掛けたことはどうやら事実のようだ。
「すみません」
「眠ってたみたいだったから救急車は呼ばなかったけど……宮成さん寝不足?」
「あ……はい。まあ、そんなとこです」
「まだ少し顔色悪いし今日は早退したら?」
「そうします」
「じゃあ先生に言って荷物持ってくるわね」
「すみません、お願いします」
林先生は返事の代わりに微笑むと、背中を向けて保健室から出て行った。
眠ってはいたものの悪夢は見ていない。
意識が突然消えていく感じはほぼ気絶に近かった。
ユメナはため息をつき、まだぼんやりとする頭を抱える。頭の中はイヤな予感でいっぱいだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
五年目の浮気、七年目の破局。その後のわたし。
あとさん♪
恋愛
大恋愛での結婚後、まるまる七年経った某日。
夫は愛人を連れて帰宅した。(その愛人は妊娠中)
笑顔で愛人をわたしに紹介する夫。
え。この人、こんな人だったの(愕然)
やだやだ、気持ち悪い。離婚一択!
※全15話。完結保証。
※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第四弾。
今回の夫婦は子無し。騎士爵(ほぼ平民)。
第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』
第二弾『そういうとこだぞ』
第三弾『妻の死で思い知らされました。』
それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。
※この話は小説家になろうにも投稿しています。
※2024.03.28 15話冒頭部分を加筆修正しました。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
私が死ねば楽になれるのでしょう?~愛妻家の後悔~
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢オリヴィアは伯爵令息ダーフィトと婚約中。
しかし結婚準備中オリヴィアは熱病に罹り冷酷にも婚約破棄されてしまう。
それを知った幼馴染の伯爵令息リカードがオリヴィアへの愛を伝えるが…
【 ⚠ 】
・前半は夫婦の闘病記です。合わない方は自衛のほどお願いいたします。
・架空の猛毒です。作中の症状は抗生物質の発明以前に猛威を奮った複数の症例を参考にしています。尚、R15はこの為です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる