BLゲームの脇役に転生した筈なのに

ゲームの世界

『星にネガイを込めて。』、略して星ネガは腐った男女、所謂腐女子・腐男子という方々の間で大ブーム中の今を瞬く学園物BLゲームである。　


キャラデザが綺麗でストーリー性もしっかりしており、攻略者も比較的多い為簡単には飽きない事からすこぼる評判が良かったこのゲームは腐男子だった俺をいとも簡単に虜にした。　


そんなゲームの世界に俺は何故か転生してしまったらしい。まぁ、一旦そこは置いといて。

このゲームには様々なルートが存在する。



一つ目はノーマルエンド。
攻略者の一人と結ばれて幸せに暮らしたとさ、めでたしめでたし。


二つ目はバッドエンド、通称友情エンド。
誰ともくっつかずに終わる友情優先ルート。一応ボーイズ「ラブ」なので誰ともくっつかなかった場合はバッドエンド化されるらしい。


そして最後の三つ目、ハーレムエンド。
複数の攻略者と結ばれて愛されまくるハッピーエンド。個人的にはこのルートが俺は一番好きだった。



それぞれのルートは主人公が相手の好感度をどれくらい上げるかによって攻略先が決まる。


だが、好感度や攻略対象の攻略をするにはもちろん事前に攻略対象と主人公がお互いの接点を作らないと行けない訳で。


その主人公と攻略対象の接点をつくる役割を担うのがまさしくも今の俺、アリエス・シェスタークというキャラクターである。通称アリー。ゲーム上の俺の立場は主人公の最初に出来た友達、というレッテルの攻略対象でも無く悪役でもないまぁゆるーい脇役だ。



因みに腐男子だった前世?の俺の名前は牧野ひろ、当時18歳、自室でまさにこのゲームをフルコンプ後、2週目に突入しようとした所で小腹が空き、近くのコンビニでお菓子でも買おうとして家から出た途端、車のクラクションの音が聞こえた所で記憶が途切れている。



推測するに俺は多分車に轢かれてそのままぽっくり逝った、と考えられる。


えぇ、、転生ってこんなに急なもんなのか。普通は神様が直接関与してチート能力だの無限ボックスだのくれる異世界転生モノじゃないの??


前世の家族や友人に別れを告げれぬまま、想像してもいない死に方、に加え転生の仕方に少々気分が下がったが突如思い出す。




(、、まてよ、つまり此処は前世の俺が好きだったゲームに転生したって事だよな！ しかも俺が好きなBLが溢れる世界、、!)



つまり俺がずっと好きだった趣味を間近で見れるという事だ。それは嬉しい。死んだものは今更何言ってもしょうがないし此処はもういっそポジティブに行ってしまおう。



(しかも転生先の人物がアリーだなんて案外ツイてたかも。だって、、




脇役だからな～)



腐男子、つまり男同士がわちゃわちゃしている所を見るのが好きだと言うと自分はゲイ、と勘違いする方が多いが恋愛対象は流石に女性だ。


だからこそ全くのノーマル、ストレートであった俺からしたら主人公の様な当事者なんてごめんだし、転生物で流行りの悪役転生、てのも見る側からしたらおいしいが自身がなるとなると相手に気を使い過ぎて死ぬ。過労死する。


脇役だったら当事者ではない分、面倒事に巻き込まれる事はないし、何よりアリーは主人公の最初に出来た友達、というだけのうっっすーい影キャラなのにも関わらず主人公と攻略対象の接点を担う立場なので怪しまれる事無くきっと間近で攻略者達とキャッキャウフフしている所が見れるのだ！



BLウォッチングがこんなにも捗る立ち位置なんて無い、、! 思わず心を躍らせている、、、

「ちょっと！アリー！？」