460 / 465
狂月明ける空編
ep460 夢にまで見た晴れ舞台だ!
しおりを挟む
「もしもーし。あっ、ごめんね。こっちも忙しくてさ。仕事の方はみんなに押し付けちゃうけど、今日だけはどうしても――」
ウォリアールで新婚旅行並び王位関係内紛から早一ヶ月。時間も経って、あの激動の戦いも懐かしい話だ。
まあ、日本に戻ってからも色々と忙しくてね。ウォリアールに空鳥工場野菜の技術提供とか、洗居さんの清掃業務の引継ぎとか。
工場野菜の技術に関しては、以前からお世話になってた資産家さんとかが協力してくれた。フロスト博士にレポートも送ったし、順調に計画は進んでいる。
ショーちゃんにも話をしたらノリノリで、いつかウォリアールへ視察に行きたいとのこと。
今はまだ孤児院で小規模な自給自足だけど、いずれはウォリアールの農業問題を完全解決できそうだとか。向こうにも人工太陽の技術はあるし、やっぱこういう平和利用が一番だよね。
母さんも少しは喜んでくれてるかな? 少しは祖国のためにもなったよね。
「うんうん。清掃の件に関しても調整お願いね。ごめんね、色々と頼っちゃって。――いやー、どもども。また今からの予定が落ち着いたら、アタシも動かせてもらうよ」
清掃業務の方も抜かりはない。資産家さんにもその話をしてみたら、街の業者さんとの協力体制を築いてくれた。
アタシ一人だと洗居さんの穴を埋めるのは厳しすぎる。そうなってくると、人海戦術が一番だ。
アタシ自身も相変わらず現場に出ており、もうエンジニアってよりは清掃用務員だ。まあ、結局はこういう仕事の方が肌に合ってるのかもね。
最近じゃタケゾーの保育園にもお邪魔して、子供達とも違った形で触れ合いながら仕事に励めている。
――曲がりなりにも部下として、弟子として、清掃魂継承者(一応)として、洗居さんが安心できるようにしないとね。
「そいじゃ、こっちもそろそろ時間なもんで。アディオース」
そんなアタシが電話していた相手こそ、現在方々でお世話になってる資産家さんだ。街専用SNSから始まり、ショーちゃんの野菜事業を経由して、アタシの苦手な経営面で面倒を見てもらってる。
向こうも『堅実なリターンと将来性のある事業』として、好意的かつこちらの要望通りに対応してくれている。
持つべきものは人間関係だね。世の中捨てたもんじゃないし、どうなるかも分からない。
空色の魔女になる前の借金地獄からは嘘のような毎日だ。
「隼ちゃ~ん。お電話は終わったのかしら~?」
「今日は隼さんの晴れ舞台。ドレスも凄く綺麗」
「うん。お義母さんもショーちゃんもありがとね。……ようやく、やりたかったことができるのか」
で、わざわざ資産家さんに予定を空けてもらってまで何をするのかって? そいつは簡単な話だ。
現在、アタシは個室で純白のドレスに身を包んで待機中。これがどういうことかは、まさしく言うまでもないってところかな?
――今日はアタシとタケゾーの結婚式だ。ずっと流れに流れてたけど、これから正式に式を挙げる。
「いやー、やっぱウェディングドレスって特別感が半端ないね。これぞ『馬子にも衣装』ってやつ? アタシみたいにガサツな女でも、随分と絵になってるんじゃない?」
「隼ちゃんは元々美人さんよ~。似合って当然よね~。……ウチの旦那や隼ちゃんのご両親だって、今の姿を見たら同じことを言うはずよ~」
「さっき、武蔵さんの部屋も覗いてきた。凄く緊張してた。隼さんのウェディングドレス姿を想像して、ドキドキしてた」
「ニシシシ~。そう言われると、アタシも照れちゃうや」
ウェディングドレスに身を包んで鏡の前でクルリと一回転すれば、そこにはまごうことなき花嫁の姿がある。
なんだか、自分で自分に見惚れちゃう。これまでいろんなことがあった分、余計に感慨深いよね。
前までは『彼氏なんてロボットでいい』とか言ってたのに、人って変わるもんだ。
「タケゾーとも新婚旅行中、帰ったらやろうって決めてたからね。色々とタイミングも合わさったし、いよいよかって感じ。随分と遠回りしちゃったけどね」
「その分だけ、みんなでお祝いしましょうね~。もうじき、隼ちゃんのご親族の方も来られるからね~」
「ボクからすると大叔母さん。どんな人か気になる」
振り返って思い起こす出来事は多々ある。嬉しいこともあれば、悲しいこともたくさんあった。
だけど、それが全部今この時に集約している。今日だけは後悔を超える祝福を受けて、花嫁というステージに立とう。
「おお! 直接会うのは久しいな、隼! それにその姿! ツバメと将鷹殿が見れば、涙を流して祝ったであろう!」
「あっ! クジャクのおばちゃん! よっす!」
そのために是非とも出席してほしい人たちには声をかけておいた。その筆頭とも言えるのが、母方の叔母であるクジャクのおばちゃんだ。
相変わらずの高貴な貴婦人ルックで、アタシを見るや否や両手を広げて駆け寄ってくる。
今となっては、アタシにとってただ一人の肉親だ。この晴れ姿は是非とも見てもらいたい。
クジャクのおばちゃんもアタシの体を抱きかかえ、そのまま持ち上げて高い高ーい――
「ちょっと待って!? 高い高いは恥ずかしいって!? アタシ、そんなので喜ぶ年齢じゃないよ!?」
「ハハハ! よいではないか! 私も姪っ子には一度ぐらい、こういうことをしてみたかったのだ!」
「自分がやりたいだけじゃん!? ほら! ドレスも乱れちゃうから、もう下ろしてって!」
――などと、まさか流れで子供をあやすような真似をしてくるとは思わなかった。
本当にクジャクのおばちゃんって自由人だ。これで一国の重鎮なのだから、スケールやら何やらが入り乱れて凄い。
――でも、こうやって祝福してくれるのは嬉しいよね。
「あなたが隼ちゃんの叔母さんですね~。私は夫である武蔵の母です~」
「ボク、ショーちゃん。隼さんと武蔵さんの息子」
「これはこれは、ご丁寧にどうも。私も隼から話は聞いているが、大変よくしていただいていたり、複雑な事情も――」
「あー、三人とも? 身内で話したくなる気持ちは分かるけど、それは式の後でいいかな? もうすぐ時間だし」
アタシはテレビ電話で何度もやりとりしてるけど、お義母さんとショーちゃんは話すのも初めてだ。
積もることを語りたい気持ちは分かるものの、時間も圧してるから後にしてもらおう。
――こうやって身内同士で語る時間は、アタシも大事にしたいからね。
「では、行くとしようか。隼」
「うん、行こっか。クジャクのおばちゃん」
準備も役者も全部揃った。いよいよ、式場で夢の晴れ舞台だ。
クジャクのおばちゃんと腕組しながら、アタシは純白のドレスで部屋を出る。
ウォリアールで新婚旅行並び王位関係内紛から早一ヶ月。時間も経って、あの激動の戦いも懐かしい話だ。
まあ、日本に戻ってからも色々と忙しくてね。ウォリアールに空鳥工場野菜の技術提供とか、洗居さんの清掃業務の引継ぎとか。
工場野菜の技術に関しては、以前からお世話になってた資産家さんとかが協力してくれた。フロスト博士にレポートも送ったし、順調に計画は進んでいる。
ショーちゃんにも話をしたらノリノリで、いつかウォリアールへ視察に行きたいとのこと。
今はまだ孤児院で小規模な自給自足だけど、いずれはウォリアールの農業問題を完全解決できそうだとか。向こうにも人工太陽の技術はあるし、やっぱこういう平和利用が一番だよね。
母さんも少しは喜んでくれてるかな? 少しは祖国のためにもなったよね。
「うんうん。清掃の件に関しても調整お願いね。ごめんね、色々と頼っちゃって。――いやー、どもども。また今からの予定が落ち着いたら、アタシも動かせてもらうよ」
清掃業務の方も抜かりはない。資産家さんにもその話をしてみたら、街の業者さんとの協力体制を築いてくれた。
アタシ一人だと洗居さんの穴を埋めるのは厳しすぎる。そうなってくると、人海戦術が一番だ。
アタシ自身も相変わらず現場に出ており、もうエンジニアってよりは清掃用務員だ。まあ、結局はこういう仕事の方が肌に合ってるのかもね。
最近じゃタケゾーの保育園にもお邪魔して、子供達とも違った形で触れ合いながら仕事に励めている。
――曲がりなりにも部下として、弟子として、清掃魂継承者(一応)として、洗居さんが安心できるようにしないとね。
「そいじゃ、こっちもそろそろ時間なもんで。アディオース」
そんなアタシが電話していた相手こそ、現在方々でお世話になってる資産家さんだ。街専用SNSから始まり、ショーちゃんの野菜事業を経由して、アタシの苦手な経営面で面倒を見てもらってる。
向こうも『堅実なリターンと将来性のある事業』として、好意的かつこちらの要望通りに対応してくれている。
持つべきものは人間関係だね。世の中捨てたもんじゃないし、どうなるかも分からない。
空色の魔女になる前の借金地獄からは嘘のような毎日だ。
「隼ちゃ~ん。お電話は終わったのかしら~?」
「今日は隼さんの晴れ舞台。ドレスも凄く綺麗」
「うん。お義母さんもショーちゃんもありがとね。……ようやく、やりたかったことができるのか」
で、わざわざ資産家さんに予定を空けてもらってまで何をするのかって? そいつは簡単な話だ。
現在、アタシは個室で純白のドレスに身を包んで待機中。これがどういうことかは、まさしく言うまでもないってところかな?
――今日はアタシとタケゾーの結婚式だ。ずっと流れに流れてたけど、これから正式に式を挙げる。
「いやー、やっぱウェディングドレスって特別感が半端ないね。これぞ『馬子にも衣装』ってやつ? アタシみたいにガサツな女でも、随分と絵になってるんじゃない?」
「隼ちゃんは元々美人さんよ~。似合って当然よね~。……ウチの旦那や隼ちゃんのご両親だって、今の姿を見たら同じことを言うはずよ~」
「さっき、武蔵さんの部屋も覗いてきた。凄く緊張してた。隼さんのウェディングドレス姿を想像して、ドキドキしてた」
「ニシシシ~。そう言われると、アタシも照れちゃうや」
ウェディングドレスに身を包んで鏡の前でクルリと一回転すれば、そこにはまごうことなき花嫁の姿がある。
なんだか、自分で自分に見惚れちゃう。これまでいろんなことがあった分、余計に感慨深いよね。
前までは『彼氏なんてロボットでいい』とか言ってたのに、人って変わるもんだ。
「タケゾーとも新婚旅行中、帰ったらやろうって決めてたからね。色々とタイミングも合わさったし、いよいよかって感じ。随分と遠回りしちゃったけどね」
「その分だけ、みんなでお祝いしましょうね~。もうじき、隼ちゃんのご親族の方も来られるからね~」
「ボクからすると大叔母さん。どんな人か気になる」
振り返って思い起こす出来事は多々ある。嬉しいこともあれば、悲しいこともたくさんあった。
だけど、それが全部今この時に集約している。今日だけは後悔を超える祝福を受けて、花嫁というステージに立とう。
「おお! 直接会うのは久しいな、隼! それにその姿! ツバメと将鷹殿が見れば、涙を流して祝ったであろう!」
「あっ! クジャクのおばちゃん! よっす!」
そのために是非とも出席してほしい人たちには声をかけておいた。その筆頭とも言えるのが、母方の叔母であるクジャクのおばちゃんだ。
相変わらずの高貴な貴婦人ルックで、アタシを見るや否や両手を広げて駆け寄ってくる。
今となっては、アタシにとってただ一人の肉親だ。この晴れ姿は是非とも見てもらいたい。
クジャクのおばちゃんもアタシの体を抱きかかえ、そのまま持ち上げて高い高ーい――
「ちょっと待って!? 高い高いは恥ずかしいって!? アタシ、そんなので喜ぶ年齢じゃないよ!?」
「ハハハ! よいではないか! 私も姪っ子には一度ぐらい、こういうことをしてみたかったのだ!」
「自分がやりたいだけじゃん!? ほら! ドレスも乱れちゃうから、もう下ろしてって!」
――などと、まさか流れで子供をあやすような真似をしてくるとは思わなかった。
本当にクジャクのおばちゃんって自由人だ。これで一国の重鎮なのだから、スケールやら何やらが入り乱れて凄い。
――でも、こうやって祝福してくれるのは嬉しいよね。
「あなたが隼ちゃんの叔母さんですね~。私は夫である武蔵の母です~」
「ボク、ショーちゃん。隼さんと武蔵さんの息子」
「これはこれは、ご丁寧にどうも。私も隼から話は聞いているが、大変よくしていただいていたり、複雑な事情も――」
「あー、三人とも? 身内で話したくなる気持ちは分かるけど、それは式の後でいいかな? もうすぐ時間だし」
アタシはテレビ電話で何度もやりとりしてるけど、お義母さんとショーちゃんは話すのも初めてだ。
積もることを語りたい気持ちは分かるものの、時間も圧してるから後にしてもらおう。
――こうやって身内同士で語る時間は、アタシも大事にしたいからね。
「では、行くとしようか。隼」
「うん、行こっか。クジャクのおばちゃん」
準備も役者も全部揃った。いよいよ、式場で夢の晴れ舞台だ。
クジャクのおばちゃんと腕組しながら、アタシは純白のドレスで部屋を出る。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる