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武神女帝編
ep424 永遠なる黙示の怪鳥:デザイアガルダ・フォーエバーⅡ
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「タケゾー! そっちは大丈夫!?」
「ああ、大丈夫だ。そっちもうまくいったみたいだな。……さて、これで問題はあの怪鳥だけか」
それぞれ周囲の安全確保に回っていたアタシとタケゾーも合流し、空中でデザイアガルダの前方へと構える。
もう余計なことを考えるのはやめだ。悲惨な目に遭った肉親だろうと、ここで止めなきゃいけない事実は変わりない。
今回はアタシもモデル・パンドラを装備してるし、ジェットアーマーを装着したタケゾーだっている。どれだけデザイアガルダ・フォーエバーと名乗ろうがGT細胞アポカリプスだかで強化されてようが、負ける気なんてない。
「グゲエェアァァア!!」
「なんとも言えない姿になったもんだ……。だけど、目の前に悪行を働くヴィランがいるのに見逃してたら、ヒーローの名が廃るってもんよ!」
もう肉親どころか人間でもなくなったデザイアガルダも、ようやくアタシ達へと意識を向けてくれる。
さっきまでの暴れようといい、完全に理性を失った怪物にしか見えない。
――これは下手に戸惑わず、全力勝負で叩きのめすのが最善か。
「タケゾー! デザイアガルダの気を引いておいて! 電撃魔術玉で速攻勝負に出るよ!」
「ああ! お前の準備ができるぐらいには持ちこたえてみるさ!」
時間をかけるのさえももったいない。また矛先が街のみんなに向いたら大変だ。
タケゾーもそれを理解し、アタシの言葉を素直に飲み込んでくれる。
いつの間にかタケゾーもヒーロースタンスに慣れたもんだ。あくまでアタシのためってことけど、それがアタシにとって何よりも心強いのもまた事実。
アタシにとっての旦那様はその期待通り、デザイアガルダ目がけて突っ込んでいく。
「グゲエェェエ!」
「俺もだいぶ慣れたもんだ! 最初は怖気づくしかなかった怪鳥相手に、ここまで戦えるとはな!」
「いい調子だよ! こっちも慣れてきたのか、チャージタイムも短くなってるねぇ!」
タケゾーにとってもアタシにとっても、デザイアガルダは親の仇だ。まさかここまで因縁が長引くとは思わなかったけど、もうそれもここまでとしよう。
加減はしない。全力でやらないと、デザイアガルダは止まらない。
――この一撃で、因縁もろとも吹き飛ばす。
「食らえ! 電撃魔術玉ぁぁああ!!」
ギュゴォォォオオン!!
「ゲガァァアア!?」
タケゾーが引きつけ、アタシが放った電撃魔術玉の一撃。デザイアガルダにクリーンヒットし、空中で盛大に火花を散らせる。
普通に使ったら死亡確定の一撃だけど、アポカリプスで強化された相手ならこれぐらいは必要だ。アタシも一度は被害に遭ってるから、おおよその見当はつけられる。
デザイアガルダも体中から煙を吹きながら、力なく墜落して――
「……グゲアァァアア!!」
ボコボコココッ!
「えっ!? 嘘!? もう立て直してる!?」
――行くと思ったのに、体から立ち込める煙を振り払いながら、デザイアガルダは再びこちらへと浮上してきた。
まさか、あの電撃魔術玉が効いてなかったとでも? いや、確かに手ごたえはあった。
耐久力が格段に上がってるとも考えられるけど、それならば一時的な墜落さえもおかしい。
そうなってくると、考えられる要因は別になってくる。
「超回復……!? 牙島のトカゲの尻尾みたいな再生能力が、デザイアガルダにも備わったってことか……!」
「だとしても、尋常な回復力じゃないぞ!? あの一撃も即座に回復させるなんて、どうやって倒せばいいんだ!?」
タケゾーとも言葉を交わすけど、これは『異常なまでの回復力』と見るのが適切か。RPGで毎ターン完全回復するボスキャラみたいだ。
実際、デザイアガルダが立ち直る時、奇妙なボコボコという音が聞こえていた。
信じがたい話だけど、あれは細胞が急速に再生する音だったと思われる。音が聞こえる程のスピードで再生する細胞って、言葉で理解できても頭で理解を拒みそうになるけどね。
――まさに怪物。完全に禁忌の存在。最早生物かも怪しい。
「グゲアァァアア!!」
「くっそ!? これは想像以上でしょ!? トドメが刺せないってことで――あぐうぅ!?」
「じゅ、隼!?」
こっちの考察もそこから湧き上がる畏怖も、デザイアガルダには関係ない。再生したかと思うと、すぐさまアタシを両足で鷲掴みにしてくる。
パワーもこれまでと桁が違い、強引にアタシの体を壁に叩きつけて摩り下ろすように宙を舞ってくる。
「いってて……!? 本当に暴れてるだけってかい!? でも、こっちもこのまま大根おろし体験なんてする気はないよ! タケゾー! ちょいと接続させて!」
「トラクタービーム!? ……よし! こっちは任せろ!」
モデル・パンドラによる防御力がなければマズかった。こうなったら、無理矢理にでもデザイアガルダを引き剥がすのが先だ。
なんとか摩り下ろしに耐えながら、左手のトラクタービームをタケゾーのジェットアーマーの右腕に接続。タケゾーもそれで何かを察してくれて、大きく宙を旋回しながら飛行してくれる。
相手が完全に人間を辞めたバケモノだろうと、アタシ達夫婦の絆を舐めないでほしい。完全に沈黙は無理でも、この戦況をひっくり返すぐらいのことはできる。
「生体コイル……フル稼働! そんでもって……飛んでけぇぇええ!!」
「ギギャァァア!?」
自らの身に電撃を纏わせ、デザイアガルダを怯ませながら、残った右手で掴みかかる。さらには壁を蹴った反動を利用し、トラクタービームで繋がったタケゾーを軸に旋回。
タケゾーもこちらの動きに合わせてくれるので、そのまま振り回すようにデザイアガルダを投げ飛ばす。
ズゴォォォオオン!!
アタシから引き剥がすこともでき、デザイアガルダ自身も別の建物の壁へと叩きつけられた。
結構な轟音を響かせているし、普通ならこれでノックアウト確定なんだけどね。
「グギャァァアア!!」
「やっぱ、決定打にはならないか……!?」
「こんなの、どうやって倒せばいいんだ……!? 持久戦になったら不利だぞ……!?」
予想通り、デザイアガルダはすぐに砂煙の中から姿を見せてくる。タケゾーとも空中で並んで様子を伺うも、これは本当に困ったことになった。
デザイアガルダ・フォーエバーとなったあいつには、これまでの攻撃なんて意味を成さない。電撃魔術玉が効かなかった時から予想してたとはいえ、中々ショックだ。
「……なあ。あの青い太陽なら、デザイアガルダを止められないか?」
「可能性があるとすればそれだけなんだけど、流石にあれをこんな街中で使うのはためらっちゃうね。……それに『やりすぎちゃう』恐れもある」
一応、アタシにはまだ使ってない攻撃手段はある。核融合のエネルギーを直接ぶつける青陽ならば、デザイアガルダにも十分な一撃は与えられるはずだ。
でもそれをやると、いくらデザイアガルダだって『肉体そのものが消滅する』恐れが出てくる。
完全に人間を辞めたとはいえ、やっぱり殺すことはしたくない。そこはどうしてもブレーキをかけたい。
――曲がりなりにもアタシの肉親ならばなおさらだ。
「ゲギアァァアア!!」
「チィ!? とにかく、今はもちこたえること優先で!」
「わ、分かった!」
どれだけ狂ったように暴れようと、どれだけ人間離れした姿を見せられようと、アタシの脳裏には鷹広のおっちゃんの姿が蘇る。
もうそんな過去は戻ってこないことは分かってる。なのに、過去の思い出がアタシの心にブレーキをかけてくる。
――この戦い、肉体的にも精神的にも苦しい。アタシにはどうすればいいかの決断ができない。
ドガァァァアアン!!
「グゲェエ!?」
「え!? 今度は何!? 砲撃!?」
そんな苦悩の最中、突如向かってきたデザイアガルダの肉体が爆炎に包まれる。
それで動きを止めてるし、デザイアガルダ自身の能力じゃなさそうだ。どちらかと言えば、大砲でも直撃した感じか。
でも、そんなことを誰が――
「フオオオオォ!」
「フ、フレイム!?」
「ああ、大丈夫だ。そっちもうまくいったみたいだな。……さて、これで問題はあの怪鳥だけか」
それぞれ周囲の安全確保に回っていたアタシとタケゾーも合流し、空中でデザイアガルダの前方へと構える。
もう余計なことを考えるのはやめだ。悲惨な目に遭った肉親だろうと、ここで止めなきゃいけない事実は変わりない。
今回はアタシもモデル・パンドラを装備してるし、ジェットアーマーを装着したタケゾーだっている。どれだけデザイアガルダ・フォーエバーと名乗ろうがGT細胞アポカリプスだかで強化されてようが、負ける気なんてない。
「グゲエェアァァア!!」
「なんとも言えない姿になったもんだ……。だけど、目の前に悪行を働くヴィランがいるのに見逃してたら、ヒーローの名が廃るってもんよ!」
もう肉親どころか人間でもなくなったデザイアガルダも、ようやくアタシ達へと意識を向けてくれる。
さっきまでの暴れようといい、完全に理性を失った怪物にしか見えない。
――これは下手に戸惑わず、全力勝負で叩きのめすのが最善か。
「タケゾー! デザイアガルダの気を引いておいて! 電撃魔術玉で速攻勝負に出るよ!」
「ああ! お前の準備ができるぐらいには持ちこたえてみるさ!」
時間をかけるのさえももったいない。また矛先が街のみんなに向いたら大変だ。
タケゾーもそれを理解し、アタシの言葉を素直に飲み込んでくれる。
いつの間にかタケゾーもヒーロースタンスに慣れたもんだ。あくまでアタシのためってことけど、それがアタシにとって何よりも心強いのもまた事実。
アタシにとっての旦那様はその期待通り、デザイアガルダ目がけて突っ込んでいく。
「グゲエェェエ!」
「俺もだいぶ慣れたもんだ! 最初は怖気づくしかなかった怪鳥相手に、ここまで戦えるとはな!」
「いい調子だよ! こっちも慣れてきたのか、チャージタイムも短くなってるねぇ!」
タケゾーにとってもアタシにとっても、デザイアガルダは親の仇だ。まさかここまで因縁が長引くとは思わなかったけど、もうそれもここまでとしよう。
加減はしない。全力でやらないと、デザイアガルダは止まらない。
――この一撃で、因縁もろとも吹き飛ばす。
「食らえ! 電撃魔術玉ぁぁああ!!」
ギュゴォォォオオン!!
「ゲガァァアア!?」
タケゾーが引きつけ、アタシが放った電撃魔術玉の一撃。デザイアガルダにクリーンヒットし、空中で盛大に火花を散らせる。
普通に使ったら死亡確定の一撃だけど、アポカリプスで強化された相手ならこれぐらいは必要だ。アタシも一度は被害に遭ってるから、おおよその見当はつけられる。
デザイアガルダも体中から煙を吹きながら、力なく墜落して――
「……グゲアァァアア!!」
ボコボコココッ!
「えっ!? 嘘!? もう立て直してる!?」
――行くと思ったのに、体から立ち込める煙を振り払いながら、デザイアガルダは再びこちらへと浮上してきた。
まさか、あの電撃魔術玉が効いてなかったとでも? いや、確かに手ごたえはあった。
耐久力が格段に上がってるとも考えられるけど、それならば一時的な墜落さえもおかしい。
そうなってくると、考えられる要因は別になってくる。
「超回復……!? 牙島のトカゲの尻尾みたいな再生能力が、デザイアガルダにも備わったってことか……!」
「だとしても、尋常な回復力じゃないぞ!? あの一撃も即座に回復させるなんて、どうやって倒せばいいんだ!?」
タケゾーとも言葉を交わすけど、これは『異常なまでの回復力』と見るのが適切か。RPGで毎ターン完全回復するボスキャラみたいだ。
実際、デザイアガルダが立ち直る時、奇妙なボコボコという音が聞こえていた。
信じがたい話だけど、あれは細胞が急速に再生する音だったと思われる。音が聞こえる程のスピードで再生する細胞って、言葉で理解できても頭で理解を拒みそうになるけどね。
――まさに怪物。完全に禁忌の存在。最早生物かも怪しい。
「グゲアァァアア!!」
「くっそ!? これは想像以上でしょ!? トドメが刺せないってことで――あぐうぅ!?」
「じゅ、隼!?」
こっちの考察もそこから湧き上がる畏怖も、デザイアガルダには関係ない。再生したかと思うと、すぐさまアタシを両足で鷲掴みにしてくる。
パワーもこれまでと桁が違い、強引にアタシの体を壁に叩きつけて摩り下ろすように宙を舞ってくる。
「いってて……!? 本当に暴れてるだけってかい!? でも、こっちもこのまま大根おろし体験なんてする気はないよ! タケゾー! ちょいと接続させて!」
「トラクタービーム!? ……よし! こっちは任せろ!」
モデル・パンドラによる防御力がなければマズかった。こうなったら、無理矢理にでもデザイアガルダを引き剥がすのが先だ。
なんとか摩り下ろしに耐えながら、左手のトラクタービームをタケゾーのジェットアーマーの右腕に接続。タケゾーもそれで何かを察してくれて、大きく宙を旋回しながら飛行してくれる。
相手が完全に人間を辞めたバケモノだろうと、アタシ達夫婦の絆を舐めないでほしい。完全に沈黙は無理でも、この戦況をひっくり返すぐらいのことはできる。
「生体コイル……フル稼働! そんでもって……飛んでけぇぇええ!!」
「ギギャァァア!?」
自らの身に電撃を纏わせ、デザイアガルダを怯ませながら、残った右手で掴みかかる。さらには壁を蹴った反動を利用し、トラクタービームで繋がったタケゾーを軸に旋回。
タケゾーもこちらの動きに合わせてくれるので、そのまま振り回すようにデザイアガルダを投げ飛ばす。
ズゴォォォオオン!!
アタシから引き剥がすこともでき、デザイアガルダ自身も別の建物の壁へと叩きつけられた。
結構な轟音を響かせているし、普通ならこれでノックアウト確定なんだけどね。
「グギャァァアア!!」
「やっぱ、決定打にはならないか……!?」
「こんなの、どうやって倒せばいいんだ……!? 持久戦になったら不利だぞ……!?」
予想通り、デザイアガルダはすぐに砂煙の中から姿を見せてくる。タケゾーとも空中で並んで様子を伺うも、これは本当に困ったことになった。
デザイアガルダ・フォーエバーとなったあいつには、これまでの攻撃なんて意味を成さない。電撃魔術玉が効かなかった時から予想してたとはいえ、中々ショックだ。
「……なあ。あの青い太陽なら、デザイアガルダを止められないか?」
「可能性があるとすればそれだけなんだけど、流石にあれをこんな街中で使うのはためらっちゃうね。……それに『やりすぎちゃう』恐れもある」
一応、アタシにはまだ使ってない攻撃手段はある。核融合のエネルギーを直接ぶつける青陽ならば、デザイアガルダにも十分な一撃は与えられるはずだ。
でもそれをやると、いくらデザイアガルダだって『肉体そのものが消滅する』恐れが出てくる。
完全に人間を辞めたとはいえ、やっぱり殺すことはしたくない。そこはどうしてもブレーキをかけたい。
――曲がりなりにもアタシの肉親ならばなおさらだ。
「ゲギアァァアア!!」
「チィ!? とにかく、今はもちこたえること優先で!」
「わ、分かった!」
どれだけ狂ったように暴れようと、どれだけ人間離れした姿を見せられようと、アタシの脳裏には鷹広のおっちゃんの姿が蘇る。
もうそんな過去は戻ってこないことは分かってる。なのに、過去の思い出がアタシの心にブレーキをかけてくる。
――この戦い、肉体的にも精神的にも苦しい。アタシにはどうすればいいかの決断ができない。
ドガァァァアアン!!
「グゲェエ!?」
「え!? 今度は何!? 砲撃!?」
そんな苦悩の最中、突如向かってきたデザイアガルダの肉体が爆炎に包まれる。
それで動きを止めてるし、デザイアガルダ自身の能力じゃなさそうだ。どちらかと言えば、大砲でも直撃した感じか。
でも、そんなことを誰が――
「フオオオオォ!」
「フ、フレイム!?」
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