空色のサイエンスウィッチ

将軍艦隊編・序

ep307 【右舷将の通信記録Ⅳ】

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　――こちら、右舷将のラルカ・ゼノアークです。ボスが搭乗予定の旗艦も含め、将軍艦隊ジェネラルフリート五艦将が指揮する艦艇による艦隊運動は問題なく行えております。
　それにしても、驚いたものです。まさかクライアントである固厳首相が自分達に責任を押し付け、世論の非難から逃れる手を打ちますとはね。
　こうなってしまった以上、固厳首相との契約はここまでしょう。となると、目的のものの入手も急ぐ必要がありますか。

　コメットノア……。もう一人の星皇社長とも言える人工知能と、その母体の獲得。
　これさえ成し遂げられれば、将軍艦隊ジェネラルフリートとしても固厳首相にこれ以上関わる必要もないでしょう。

　――成程。確かに自分が先導している将軍艦隊ジェネラルフリートの本隊があれば、固厳首相の率いる戦力を返り討ちにできるでしょう。
　ですが、厄介なのは空色の魔女とそれに与する市民の方ですか。

　かの者達は規模だけで見れば、将軍艦隊ジェネラルフリート本隊以上。下手な軍隊ではなく、団結した民衆の力とは厄介なものです。
　固厳首相に与する戦力ならば大義のもとに交戦できますが、民衆が相手ではそうもいかないでしょう。
　世界における世論というのも、厄介なものです。
　事実、民衆とヒーローの力により、ミスターフレイムを撤退にまで追い込んだわけです。底力は侮れません。

　――そうですね。必要ならば空色の魔女とその一派には、五艦将が率先して相手いたしましょうか。
　下手に数で攻め立てても、非難を受けるだけかもしれませんので。
　それで、目的の場所についての目処はついているのですか？　ミスターフクロウが空色の魔女側についた以上、こちらも悠長なことは言ってられません。

　――そうですか。では、自分も艦隊本隊を沿岸部に待機させ次第、そちらの作戦に参加いたします。
　戦況は三つ巴。単純な組織としての地位を考慮しても、先を読むのは難しいです。

　これもまた、空色の魔女だからこそ成し得た展開とでも言いましょうか。

　――デザイアガルダ・リターンズの件ですか？　それでしたらご安心を。命令通り、分隊を使ってウォリアール本国へ移送しました。
　おそらく、今後は本国で利用されることとなるでしょうが……自分も話を聞いて驚きました。
　まさか、彼女とクジャク様にそういう接点があったとはね。デザイアガルダも遠縁にはなるのですか。
　かの者が今後どうなるのかは、もう自分でもあずかり知らぬところです。むしろ、ミス空鳥がいずれどうなるのかが心配と言いますか……。

　――え？　『ラルカも魔女に絆されてねーか？』ですって？　そうではない……とは言いたいのですがね。
　今は余計な思考もやめましょう。ここからは作戦に注力したいです。



　――自分に与えられた役目は『空色の魔女の打倒』を含む『障害の排除』
　それ以上でも以下でもありません。


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