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星皇カンパニー編・転
ep186 黒幕の姿が見えてしまった。
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「そ、それって、本当の話なの? 本当にゼノアークさんが……?」
「ああ、間違いない。俺も直接本人から確認できたが、あの人こそが裏で色々と暗躍していた謎の女……ラルカ・ゼノアークだ」
急に『爆弾だ!』などと騒ぎ立てて家へと帰ってきたタケゾーだが、その口から何故そんなことを思ったのかという経緯をアタシも聞かされる。
タケゾーはある真実へと辿り着き、それで仕事を放り出してまで慌てて帰って来たらしい。
その真相とはこれまで何度もアタシの前にも現れ、裏で工作していた謎の紺コート女の正体。
――それはアタシがついさっき険悪なまま話を終えてしまった星皇社長の秘書、ラルカ・ゼノアークさんだった。
裏の世界で『ルナアサシン』という二つ名を持つ生粋の殺し屋こそ、彼女の本当の姿だった。
「ゼノアークさんの……ラルカさんの出身国だったウォリアールも軍事国家で、牙島も元々はウォリアールの人間だったって……?」
「ああ。フェリアさんは無関係みたいだが、ウォリアールという国の部隊をラルカは動かしている」
「そして、そのラルカさんも星皇カンパニーの……星皇社長の指示で動いてる。それはアタシが戦った大凍亜連合にしても同じことだった……」
タケゾーから聞かされた事実を聞いて、アタシの頭もパニックになってしまう。
氷山地が率いていて、鷹広のおっちゃんも関わっていた大凍亜連合。
その大凍亜連合と裏で結託し、ラルカさんと牙島が所属する国家、ウォリアール。
――それらの糸を全て操っていたのは、星皇カンパニー代表取締役社長、星皇 時音社長だった。
「……ごめん。タケゾーの話は信じるよ? 信じるけど、アタシはどうしても受け入れられないというか……」
「……気持ちは分かる。隼からしてみれば、複雑極まりないだろうな……」
アタシもこれらの事実を受け入れなければならないのは分かる。それでも、頭の中でその事実を拒絶してしまう。
ラルカさんのこともウォリアールのことも衝撃的だが、一番アタシの心にのしかかってくる事実は別にある。
――多くの騒動を引き起こし、パンドラの箱を狙っていた元凶が星皇社長だったこと。
正直、裏切られた気分だ。
「隼さん、大丈夫? 顔、真っ青」
「……うん、大丈夫だよ、ショーちゃん。心配かけてごめんね」
そんなアタシの苦悩が、思わず顔にも出てしまったようだ。だが、こればっかりはアタシも悩まずにはいられない。
技術者としても尊敬していた星皇社長が、アタシの敵となってこれまでの悲劇を起こしていた。
――何か理由があるのだろうが、それでもどこかで心が濁ってしまう。
「なあ、隼。お前はこれからどうしようと思う?」
「……星皇社長と会って、もう一度しっかりと話をしたい。だけど……」
「双方が敵対関係であることを理解した今、向こうも取り合ってはくれないだろうな……」
それでも、アタシはこの事実の先に進まないといけない。
明確な黒幕の姿は見えたのだから、まずはどうしてこんなことを繰り返してきたのかを知りたい。
内心、まだどこかで星皇社長を信じたい気持ちだってある。もしかすると、ラルカさんでさえ知らない想いだってあるかもしれない。
そんな期待からなんとか話の場を設けたいが、今の状況でそれは流石に難しいか。
「話が無理なら、こっちでどうにかして星皇カンパニーを調べられないもんかねぇ……」
「それも難しいだろうな。星皇カンパニーのビルだって、もう空色の魔女への警戒態勢だって引いてるだろうし……」
ならばとこっそり偵察することも考えてみるが、これもやっぱり難しい。
いくらアタシが空色の魔女の能力で忍び込もうとしても、返り討ちに遭う可能性が高い。
ラルカさんが待ち構えているのは確実で、交戦も避けられない。
一体、この状況でどう動けばいいのか――
「こっそり調べるの? だったら、この子を使えばいい」
「ウィッチキャット!? そうか! その手があったや!」
――そんな八方塞りと思われた状況で、ショーちゃんがあるものを抱えて提案してくれた。
それはアタシが作った以前に大凍亜連合を調べるためにも使った黒猫型偵察ロボット、ウィッチキャット。この子を使えば、星皇カンパニーにもバレずに偵察できる。
「……よし。ならば俺の出番だな。コントローラーとVRゴーグルを頼む」
「頼んだよ、タケゾー。それと、この工場の要塞システムのレベルも上げておかなきゃね」
「ああ、そうだな。もういつ敵の手が襲い掛かるか分かったもんじゃない。緊迫した状況になってしまったが、どうにかみんなで乗り切るぞ……!」
ウィッチキャットの操縦はタケゾーにしか託せない。アタシも必要なコントローラーとVRゴーグルを渡し、タケゾーにその任を任せる。
アタシもアタシでパソコンを用意し、ウィッチキャットとの視覚リンクと要塞システムの警戒レベルを最大を設定する。
――信じたくない事実を突きつけられて、いつ何が起こるかも分からない緊迫した状況。
アタシも思わず手に汗握り、唾を飲み込みながら様々な緊張も飲み込む。
「大丈夫。隼さんも武蔵さんも、ボクが守る」
「期待してるよ、ショーちゃん。……大丈夫さ。相手がどんな大企業でも、アタシ達にならやれる」
「目的の尻尾さえ掴めれば、こっちにも打つ手は見えてくる。今はそれを信じて、俺も覚悟を決めないとな……!」
それでも、今のアタシにはこんなに頼りになる家族がいる。
今考えるべきは、星皇カンパニー内部を調査すること。そして、星皇社長が大凍亜連合を使ってまで様々な実験を行い、パンドラの箱をも狙っていたその理由を見つけること。
敵は強大だ。気を抜けるはずなどない。
――それでも、アタシ達はその真相に近づくために、一丸となって戦い抜いてみせる。
「ああ、間違いない。俺も直接本人から確認できたが、あの人こそが裏で色々と暗躍していた謎の女……ラルカ・ゼノアークだ」
急に『爆弾だ!』などと騒ぎ立てて家へと帰ってきたタケゾーだが、その口から何故そんなことを思ったのかという経緯をアタシも聞かされる。
タケゾーはある真実へと辿り着き、それで仕事を放り出してまで慌てて帰って来たらしい。
その真相とはこれまで何度もアタシの前にも現れ、裏で工作していた謎の紺コート女の正体。
――それはアタシがついさっき険悪なまま話を終えてしまった星皇社長の秘書、ラルカ・ゼノアークさんだった。
裏の世界で『ルナアサシン』という二つ名を持つ生粋の殺し屋こそ、彼女の本当の姿だった。
「ゼノアークさんの……ラルカさんの出身国だったウォリアールも軍事国家で、牙島も元々はウォリアールの人間だったって……?」
「ああ。フェリアさんは無関係みたいだが、ウォリアールという国の部隊をラルカは動かしている」
「そして、そのラルカさんも星皇カンパニーの……星皇社長の指示で動いてる。それはアタシが戦った大凍亜連合にしても同じことだった……」
タケゾーから聞かされた事実を聞いて、アタシの頭もパニックになってしまう。
氷山地が率いていて、鷹広のおっちゃんも関わっていた大凍亜連合。
その大凍亜連合と裏で結託し、ラルカさんと牙島が所属する国家、ウォリアール。
――それらの糸を全て操っていたのは、星皇カンパニー代表取締役社長、星皇 時音社長だった。
「……ごめん。タケゾーの話は信じるよ? 信じるけど、アタシはどうしても受け入れられないというか……」
「……気持ちは分かる。隼からしてみれば、複雑極まりないだろうな……」
アタシもこれらの事実を受け入れなければならないのは分かる。それでも、頭の中でその事実を拒絶してしまう。
ラルカさんのこともウォリアールのことも衝撃的だが、一番アタシの心にのしかかってくる事実は別にある。
――多くの騒動を引き起こし、パンドラの箱を狙っていた元凶が星皇社長だったこと。
正直、裏切られた気分だ。
「隼さん、大丈夫? 顔、真っ青」
「……うん、大丈夫だよ、ショーちゃん。心配かけてごめんね」
そんなアタシの苦悩が、思わず顔にも出てしまったようだ。だが、こればっかりはアタシも悩まずにはいられない。
技術者としても尊敬していた星皇社長が、アタシの敵となってこれまでの悲劇を起こしていた。
――何か理由があるのだろうが、それでもどこかで心が濁ってしまう。
「なあ、隼。お前はこれからどうしようと思う?」
「……星皇社長と会って、もう一度しっかりと話をしたい。だけど……」
「双方が敵対関係であることを理解した今、向こうも取り合ってはくれないだろうな……」
それでも、アタシはこの事実の先に進まないといけない。
明確な黒幕の姿は見えたのだから、まずはどうしてこんなことを繰り返してきたのかを知りたい。
内心、まだどこかで星皇社長を信じたい気持ちだってある。もしかすると、ラルカさんでさえ知らない想いだってあるかもしれない。
そんな期待からなんとか話の場を設けたいが、今の状況でそれは流石に難しいか。
「話が無理なら、こっちでどうにかして星皇カンパニーを調べられないもんかねぇ……」
「それも難しいだろうな。星皇カンパニーのビルだって、もう空色の魔女への警戒態勢だって引いてるだろうし……」
ならばとこっそり偵察することも考えてみるが、これもやっぱり難しい。
いくらアタシが空色の魔女の能力で忍び込もうとしても、返り討ちに遭う可能性が高い。
ラルカさんが待ち構えているのは確実で、交戦も避けられない。
一体、この状況でどう動けばいいのか――
「こっそり調べるの? だったら、この子を使えばいい」
「ウィッチキャット!? そうか! その手があったや!」
――そんな八方塞りと思われた状況で、ショーちゃんがあるものを抱えて提案してくれた。
それはアタシが作った以前に大凍亜連合を調べるためにも使った黒猫型偵察ロボット、ウィッチキャット。この子を使えば、星皇カンパニーにもバレずに偵察できる。
「……よし。ならば俺の出番だな。コントローラーとVRゴーグルを頼む」
「頼んだよ、タケゾー。それと、この工場の要塞システムのレベルも上げておかなきゃね」
「ああ、そうだな。もういつ敵の手が襲い掛かるか分かったもんじゃない。緊迫した状況になってしまったが、どうにかみんなで乗り切るぞ……!」
ウィッチキャットの操縦はタケゾーにしか託せない。アタシも必要なコントローラーとVRゴーグルを渡し、タケゾーにその任を任せる。
アタシもアタシでパソコンを用意し、ウィッチキャットとの視覚リンクと要塞システムの警戒レベルを最大を設定する。
――信じたくない事実を突きつけられて、いつ何が起こるかも分からない緊迫した状況。
アタシも思わず手に汗握り、唾を飲み込みながら様々な緊張も飲み込む。
「大丈夫。隼さんも武蔵さんも、ボクが守る」
「期待してるよ、ショーちゃん。……大丈夫さ。相手がどんな大企業でも、アタシ達にならやれる」
「目的の尻尾さえ掴めれば、こっちにも打つ手は見えてくる。今はそれを信じて、俺も覚悟を決めないとな……!」
それでも、今のアタシにはこんなに頼りになる家族がいる。
今考えるべきは、星皇カンパニー内部を調査すること。そして、星皇社長が大凍亜連合を使ってまで様々な実験を行い、パンドラの箱をも狙っていたその理由を見つけること。
敵は強大だ。気を抜けるはずなどない。
――それでも、アタシ達はその真相に近づくために、一丸となって戦い抜いてみせる。
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