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大凍亜連合編・承
ep156 お約束の組織が襲い掛かって来た!
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「よし! これだけ撃ち込めば、中の人間はひとたまりもないだろ!」
「まさか、ここに侵入していた人間がいたとはな。だが、迂闊に俺らに関わったのが運の尽きだったか」
アタシ達に銃弾を浴びせたと思わしき男達の声が、民家の外から聞こえてくる。
ガラスも粉砕し、何発もこちらへと飛んできた銃弾。普通だったら、狙われた人間は蜂の巣確定だろうね。
「いきなり酷いことをするもんだねぇ! アタシでなけりゃ、お陀仏してたとこだよ!」
――まあ、アタシは銃弾を防げるんだけど。
ショーちゃんを背中で守りながらの電磁フィールド。アタシもショーちゃんが声をかけてくれたおかげで、先に守りへ入ることができた。
「お、お前は!? 空色の魔女!?」
「誰かと思えば、なんともガラの悪そうな御一行だねぇ。さては、大凍亜連合の皆さんかな?」
「チィ! 何度も何度も、俺らの前に現れやがって!」
そして連中の正体についても、アタシが予想した通りだった。
ガラの悪い、いかにも反社組織の構成員といった面々が拳銃を構えている。アタシとも因縁が深い、大凍亜連合の連中だった。
あまりにもお約束ではあるが、やはりこの場所がおかしなことになっているのも、大凍亜連合の仕業ということか。
「『何度も何度も』なんて言うけどさ、それはこっちのセリフでもあるわけよ。今度はこんな空き家で妙な実験をして、何を企んでたわけ?」
「うるせぇ! こっちはお前のせいで、アジトの一つが爆破されてんだぞ!」
「いや……。あれはそっちが自爆させたんでしょうが……」
そんな大凍亜連合の皆さんだが、こうしてアタシが現場に居合わせたことについて不満満々なご様子。
アジトの自爆の件までアタシに責任を擦り付け、なんとも身勝手な話をされてしまう。
こっちとしても関わりたくはないのだが、トラブルを起こされた以上は放っておけない。
「とりあえず、その拳銃は危ないから取り上げとくね。トラクタービーム!」
交戦を避けられない以上、アタシも勝負に出るしかない。
銃弾は電磁フィールドで防げると言っても、アタシの後ろにはショーちゃんがいる。
まずはトラクタービームを使い、拳銃を取り上げるとしよう。
「け、拳銃が!?」
「慌てるな! 空色の魔女に対抗するために用意しておいたアレを出せ!」
そうやって拳銃を取り上げたのはいいのだが、どうやら大凍亜連合にはまだ武器が残されているようだ。
こうなったらドンと来いだ。どんな武器が相手だろうとも、牙島よりは怖くない。
それこそ、矢でも鉄砲でも持ってきて――
「よし! そのボウガンで空色の魔女を狙え!」
「いいぃ!? 本当に矢ぁあ!?」
――などと考えていたら、鉄砲の次に矢を持ち出してきた。
見た目的には拳銃よりは怖くないけど、アタシの場合は事情が違う。
大凍亜連合が用意したボウガンだが、絶縁型強化プラスチックによって全体を組み立てている。矢も同じ素材で作られ、完全絶縁仕様だ。
――要するに、電磁フィールドもトラクタービームも通用しない。
「さあ! 放てぇえ!!」
「ちょ、ちょっとタンマ――」
大凍亜連合もアタシのことを想定し、ある程度の準備はしていたということか。これは思わぬ伏兵であった。
アタシの電気を使った能力が通用しない以上、痩せ我慢して耐えるぐらいしか――
ズパンッ! ズパンッ! ズパンッ!
「ど、どわぁ!? ボウガンが!?」
「きゅ、急にどうしたんだ!? ボウガンが切れた!?」
――そう思って両腕で顔を覆い隠していると、突如として大凍亜連合の構えていたボウガンがことごとく切断されていった。
それこそ、神速の斬撃でゴボウみたいに強化プラスチック製ボウガンが真っ二つだ。
あまりにも速い斬撃。アタシでも見逃しちゃったね。そもそも、よく見ようともしてなかったけど。
――ただ、こんな斬撃ができる人物など、この場に一人しかいない。
「隼さん、大丈夫!? これ、切ってもよかったよね!?」
「ナイス判断だよ! ショーちゃん!」
アタシのピンチを感じ取り、ショーちゃんがいち早く動いていたのはすぐに理解できた。
そして、高周波ブレードによる居合で相手のボウガンをことごとく切断。とっさの判断で動いたらしいが、これはグッジョブと言わざるを得ない。
――ショーちゃんを連れてきてよかった。
アタシの養子とはいえ、味方としては本当に頼りになる。
「ほぉう? さっきの技、インサイドブレードのもんやないか? 儂んとこから盗み出した高周波ブレードやが、中々使いこなしとるやないか。こいつぁ、おもろいもんが見れたもんや」
ショーちゃんのナイスアシストに感心していると、こちらに武器を構えていた大凍亜連合構成員の後ろから、何やらドスの利いた関西弁が聞こえてきた。
ここでもお約束の牙島かと思ったが、声質からして違う。ただ、アタシもその声自体には聞き覚えがある。
「そ、総帥……!?」
「おう。そこをどかんかい。儂も大凍亜連合のトップとして、これまで煮え湯を飲ませてきた正義の魔女とやらの顔を拝んどきたいわ」
その声の主は前方に並んでいた構成員を押しのけ、アタシとショーちゃんの前へと躍り出てくる。
スキンヘッドのコワモテに大柄な体格。ヤクザの大親分のような袴姿。
『総帥』と呼ばれていた点からも間違いない。こいつは以前、アタシもウィッチキャットをアジトに潜入させた時に見た男だ。
「どうも、初めましてと言わせてもらおか。儂ぁ、大凍亜連合の総帥をしとる、氷山地 猛っちゅうもんや」
「そいつはご丁寧にどうも。まさか、トップが直々にお目見えとはね……!」
「まさか、ここに侵入していた人間がいたとはな。だが、迂闊に俺らに関わったのが運の尽きだったか」
アタシ達に銃弾を浴びせたと思わしき男達の声が、民家の外から聞こえてくる。
ガラスも粉砕し、何発もこちらへと飛んできた銃弾。普通だったら、狙われた人間は蜂の巣確定だろうね。
「いきなり酷いことをするもんだねぇ! アタシでなけりゃ、お陀仏してたとこだよ!」
――まあ、アタシは銃弾を防げるんだけど。
ショーちゃんを背中で守りながらの電磁フィールド。アタシもショーちゃんが声をかけてくれたおかげで、先に守りへ入ることができた。
「お、お前は!? 空色の魔女!?」
「誰かと思えば、なんともガラの悪そうな御一行だねぇ。さては、大凍亜連合の皆さんかな?」
「チィ! 何度も何度も、俺らの前に現れやがって!」
そして連中の正体についても、アタシが予想した通りだった。
ガラの悪い、いかにも反社組織の構成員といった面々が拳銃を構えている。アタシとも因縁が深い、大凍亜連合の連中だった。
あまりにもお約束ではあるが、やはりこの場所がおかしなことになっているのも、大凍亜連合の仕業ということか。
「『何度も何度も』なんて言うけどさ、それはこっちのセリフでもあるわけよ。今度はこんな空き家で妙な実験をして、何を企んでたわけ?」
「うるせぇ! こっちはお前のせいで、アジトの一つが爆破されてんだぞ!」
「いや……。あれはそっちが自爆させたんでしょうが……」
そんな大凍亜連合の皆さんだが、こうしてアタシが現場に居合わせたことについて不満満々なご様子。
アジトの自爆の件までアタシに責任を擦り付け、なんとも身勝手な話をされてしまう。
こっちとしても関わりたくはないのだが、トラブルを起こされた以上は放っておけない。
「とりあえず、その拳銃は危ないから取り上げとくね。トラクタービーム!」
交戦を避けられない以上、アタシも勝負に出るしかない。
銃弾は電磁フィールドで防げると言っても、アタシの後ろにはショーちゃんがいる。
まずはトラクタービームを使い、拳銃を取り上げるとしよう。
「け、拳銃が!?」
「慌てるな! 空色の魔女に対抗するために用意しておいたアレを出せ!」
そうやって拳銃を取り上げたのはいいのだが、どうやら大凍亜連合にはまだ武器が残されているようだ。
こうなったらドンと来いだ。どんな武器が相手だろうとも、牙島よりは怖くない。
それこそ、矢でも鉄砲でも持ってきて――
「よし! そのボウガンで空色の魔女を狙え!」
「いいぃ!? 本当に矢ぁあ!?」
――などと考えていたら、鉄砲の次に矢を持ち出してきた。
見た目的には拳銃よりは怖くないけど、アタシの場合は事情が違う。
大凍亜連合が用意したボウガンだが、絶縁型強化プラスチックによって全体を組み立てている。矢も同じ素材で作られ、完全絶縁仕様だ。
――要するに、電磁フィールドもトラクタービームも通用しない。
「さあ! 放てぇえ!!」
「ちょ、ちょっとタンマ――」
大凍亜連合もアタシのことを想定し、ある程度の準備はしていたということか。これは思わぬ伏兵であった。
アタシの電気を使った能力が通用しない以上、痩せ我慢して耐えるぐらいしか――
ズパンッ! ズパンッ! ズパンッ!
「ど、どわぁ!? ボウガンが!?」
「きゅ、急にどうしたんだ!? ボウガンが切れた!?」
――そう思って両腕で顔を覆い隠していると、突如として大凍亜連合の構えていたボウガンがことごとく切断されていった。
それこそ、神速の斬撃でゴボウみたいに強化プラスチック製ボウガンが真っ二つだ。
あまりにも速い斬撃。アタシでも見逃しちゃったね。そもそも、よく見ようともしてなかったけど。
――ただ、こんな斬撃ができる人物など、この場に一人しかいない。
「隼さん、大丈夫!? これ、切ってもよかったよね!?」
「ナイス判断だよ! ショーちゃん!」
アタシのピンチを感じ取り、ショーちゃんがいち早く動いていたのはすぐに理解できた。
そして、高周波ブレードによる居合で相手のボウガンをことごとく切断。とっさの判断で動いたらしいが、これはグッジョブと言わざるを得ない。
――ショーちゃんを連れてきてよかった。
アタシの養子とはいえ、味方としては本当に頼りになる。
「ほぉう? さっきの技、インサイドブレードのもんやないか? 儂んとこから盗み出した高周波ブレードやが、中々使いこなしとるやないか。こいつぁ、おもろいもんが見れたもんや」
ショーちゃんのナイスアシストに感心していると、こちらに武器を構えていた大凍亜連合構成員の後ろから、何やらドスの利いた関西弁が聞こえてきた。
ここでもお約束の牙島かと思ったが、声質からして違う。ただ、アタシもその声自体には聞き覚えがある。
「そ、総帥……!?」
「おう。そこをどかんかい。儂も大凍亜連合のトップとして、これまで煮え湯を飲ませてきた正義の魔女とやらの顔を拝んどきたいわ」
その声の主は前方に並んでいた構成員を押しのけ、アタシとショーちゃんの前へと躍り出てくる。
スキンヘッドのコワモテに大柄な体格。ヤクザの大親分のような袴姿。
『総帥』と呼ばれていた点からも間違いない。こいつは以前、アタシもウィッチキャットをアジトに潜入させた時に見た男だ。
「どうも、初めましてと言わせてもらおか。儂ぁ、大凍亜連合の総帥をしとる、氷山地 猛っちゅうもんや」
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