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魔女の誕生編
ep7 アタシが科学の魔女ってもんさ!
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「ゼェ、ハァ、ヒィ……。や、やっと完成した……。ニシシシ~」
そんなこんなで多大な時間をかけはしたが、ようやくアタシが望む発明の数々が完成。
実際にどれぐらいの時間をかけたんだろ? なんか、丸二日ぐらい寝ずにぶっ通しで作ってたけど。
でも、今のアタシは生体コイルとなった心臓のおかげで、アルコールを摂取すればいくらでもエネルギーを充填できる。
お酒がエナジードリンク代わりだ。
それに何より、疲労よりも達成感で顔がにやけてしまう。
では早速、できあがったものの試運転と行きますか。
「さてさて、まずはこの専用コンタクトレンズを入れましてーの」
アタシ専用の発明品、その一。情報制御用コンタクトレンズ。
いくらかアタシの能力は解明できたとはいえ、まだまだ調査が必要な場面は多い。
そこでこのコンタクトレンズを使うことで、目に見えるデータを記録できるようにする。
記録したデータはそのまま無線により、このプレハブ小屋に設置したサーバーへと転送される。
もちろん、そんなチャチな機能だけじゃない。双眼鏡や計測デバイスとしての役目だってはたしている。
これまではエネルギー的な問題で実現できなかったが、今はアタシ自身がそのエネルギー源になっている。
この問題点さえクリアできれば、何も問題はない。
ちなみに、発動すると瞳に魔法陣が写るユーモアなアクセント付き。
無駄な機能じゃないかって? こういう遊び心も大切なもんだよ。
「次にー……このブローチも身に着けてーの」
アタシ専用の発明品、その二。通電可変衣装搭載ブローチ。
これはエナジェイションファイバーで作った衣装をブローチに埋め込むことで、通電させると中身が展開されて、即座に変身できるという優れものだ。
普段着ている服の上からでも、一時的に別の姿になることができる。髪型の変更にも対応してる。
元の姿に戻るためには、再度ブローチに通電させればいい。常時通電させる必要のない、省エネ設計だ。
アタシだって女の子だよ? 変身魔法少女とか憧れじゃん?
まあ、少女って年齢でもないけど。
「最後にー……杖型デバイスも持ってーの」
アタシ専用の発明品、その三。デバイスロッド。
エレクトロポリマーを加工することで、アタシの電気出力を活かして様々な用途に対応した、身の丈ほどの杖の形をしたデバイスだ。
これもまた試作段階だったが、アタシ自身が十分な電源となることで、課題はクリアできている。
この杖があれば、磁界を発生させることで揚力を生み出すことだってできる。
なお、デザインについてはアタシがイメージする魔法の杖を参考にした。
このデザインが大事なんだよ。やるからには、見た目の統一感にもこだわりたい。
「よーし! これで準備は整ったね!」
アタシは鏡の前に立ち、気合を入れながらニンマリとする。
これからやることは、アタシにとっても初めての体験だ。
まだ十分なレビューもとってないし、本来ならいきなり成功するものではない。
――それでも、アタシには自信がある。
こうして時間も忘れるほど開発に没頭する中で、アタシも自分の能力の使い方に慣れてきた。
お酒を飲んでも、無闇に放電することはない。髪の色も含めて、出力を調整する術は覚えた。
「スゥー……」
そんな自信を込めながら、まずは胸元のブローチへと手を当てて、体内の生体コイルを稼働させる――
バチバチバチ―― カッ!!
「おおお!? マジでできたぁあ!? 本当に魔女っぽくなったじゃん!?」
――そして、アタシが思い描いた通りに変身成功。
髪の変化も含め、ブローチに設定しておいた衣装が身に纏われることで、その姿が大きく変わる。
ポニーテールの結び目は自動的にほどけ、少し癖毛のある空色の髪へ。
頭の上にはいかにも魔法使いな黒い三角帽。
上半身には黒いローブが纏われ、下半身はプリーツスカートと厚手のタイツ。
靴も全身のデザインに合わせて、中世風なブーツになっている。
――これだけでも凄い。アタシって、天才じゃね?
「よーしよし! コンタクトレンズもうまく起動してるね!」
アタシ自身の視界にもコンタクトレンズ越しの情報が表示され、ちょっとしたサイバーパンク気分。
鏡を見ると瞳の中に魔法陣が写り込み、いかにも魔法使いっぽさが出ている。
起動の影響で目の周りにアイシャドウが施されたようになっているが、この程度は計算の範疇だ。
「これにデバイスロッドを持てば……完璧じゃん!」
そうして出来上がった姿のまま、鏡の前で体をクルリと一回転させてみる。
その姿はまるで、童話に出てくる魔女。魔法使いを目指してみたのだが、魔女って感じが強い。
魔法使いと魔女がどう違うのか、アタシにはよく分かんないけど。
「さーてさて! そしてここからこそが、ある意味本番ってもんよ! ニッシシ~!」
誰に解説するわけでもないが、思わず説明口調になってしまう。なんかテンションが爆上がり中だ。
そんなアタシのテンションの上がる理由については、今からやることを考えればお察しというもの。
手に取ったデバイスロッドに調節しながら電気を流し込み、地面と水平になるようにそっと手を放す――
「う……浮いた……。や……やったぁああ!!」
――そしてアタシの想像通り、デバイスロッドは宙に浮いた。
アタシ自身を電源とすることで、エレクトロポリマーの影響による磁場の発生と揚力への変換。
完璧だ。まさかアタシの試行錯誤していた発明品が、こんな形で実用化レベルになるとは思わなかった。
「お? おお!? しかもこの揚力、想像以上に大きくね!? アタシ一人ぐらいなら、余裕で浮かせられるじゃん!」
そのままデバイスロッドに腰かけてみるが、全く沈む気配すらない。
むしろ、このまま出力を上げれば、さらに浮上することだってできそうだ。
「……よし! やるか!」
そう思いたったら、やらずにはいられない。これもまた、試運転の一つである。
アタシはデバイスロッドに腰かけたまま、目を閉じて意識を集中させる。
マグネットリキッドで手に入れた力は、もうアタシの一部だ。
デバイスロッドだって、アタシが発明したものだ。
やれないはずがない。不思議とそんな自信を胸に抱き、ロッドにかかる力のベクトルを変換する――
フワァ
「と、飛んだぁああ!? アタシ、空を飛んだぁああ!!」
――そして望んだ通り、ロッドに腰かけたアタシの体は大空へと浮かび上がる。
壁で囲まれたゴミ捨て場を抜け出し、完全に宙に浮いている状態。
同じ要領でベクトルを調整すれば、上下左右への立体的な移動も自由自在。
その姿はまさに、童話で見てきた空を飛ぶ魔女。
アタシ自身を解析した結果、できるんじゃないかとは思っていたが、本当にできると興奮せずにはいられない。
――アタシは今、空を駆ける魔女となった。
そんなこんなで多大な時間をかけはしたが、ようやくアタシが望む発明の数々が完成。
実際にどれぐらいの時間をかけたんだろ? なんか、丸二日ぐらい寝ずにぶっ通しで作ってたけど。
でも、今のアタシは生体コイルとなった心臓のおかげで、アルコールを摂取すればいくらでもエネルギーを充填できる。
お酒がエナジードリンク代わりだ。
それに何より、疲労よりも達成感で顔がにやけてしまう。
では早速、できあがったものの試運転と行きますか。
「さてさて、まずはこの専用コンタクトレンズを入れましてーの」
アタシ専用の発明品、その一。情報制御用コンタクトレンズ。
いくらかアタシの能力は解明できたとはいえ、まだまだ調査が必要な場面は多い。
そこでこのコンタクトレンズを使うことで、目に見えるデータを記録できるようにする。
記録したデータはそのまま無線により、このプレハブ小屋に設置したサーバーへと転送される。
もちろん、そんなチャチな機能だけじゃない。双眼鏡や計測デバイスとしての役目だってはたしている。
これまではエネルギー的な問題で実現できなかったが、今はアタシ自身がそのエネルギー源になっている。
この問題点さえクリアできれば、何も問題はない。
ちなみに、発動すると瞳に魔法陣が写るユーモアなアクセント付き。
無駄な機能じゃないかって? こういう遊び心も大切なもんだよ。
「次にー……このブローチも身に着けてーの」
アタシ専用の発明品、その二。通電可変衣装搭載ブローチ。
これはエナジェイションファイバーで作った衣装をブローチに埋め込むことで、通電させると中身が展開されて、即座に変身できるという優れものだ。
普段着ている服の上からでも、一時的に別の姿になることができる。髪型の変更にも対応してる。
元の姿に戻るためには、再度ブローチに通電させればいい。常時通電させる必要のない、省エネ設計だ。
アタシだって女の子だよ? 変身魔法少女とか憧れじゃん?
まあ、少女って年齢でもないけど。
「最後にー……杖型デバイスも持ってーの」
アタシ専用の発明品、その三。デバイスロッド。
エレクトロポリマーを加工することで、アタシの電気出力を活かして様々な用途に対応した、身の丈ほどの杖の形をしたデバイスだ。
これもまた試作段階だったが、アタシ自身が十分な電源となることで、課題はクリアできている。
この杖があれば、磁界を発生させることで揚力を生み出すことだってできる。
なお、デザインについてはアタシがイメージする魔法の杖を参考にした。
このデザインが大事なんだよ。やるからには、見た目の統一感にもこだわりたい。
「よーし! これで準備は整ったね!」
アタシは鏡の前に立ち、気合を入れながらニンマリとする。
これからやることは、アタシにとっても初めての体験だ。
まだ十分なレビューもとってないし、本来ならいきなり成功するものではない。
――それでも、アタシには自信がある。
こうして時間も忘れるほど開発に没頭する中で、アタシも自分の能力の使い方に慣れてきた。
お酒を飲んでも、無闇に放電することはない。髪の色も含めて、出力を調整する術は覚えた。
「スゥー……」
そんな自信を込めながら、まずは胸元のブローチへと手を当てて、体内の生体コイルを稼働させる――
バチバチバチ―― カッ!!
「おおお!? マジでできたぁあ!? 本当に魔女っぽくなったじゃん!?」
――そして、アタシが思い描いた通りに変身成功。
髪の変化も含め、ブローチに設定しておいた衣装が身に纏われることで、その姿が大きく変わる。
ポニーテールの結び目は自動的にほどけ、少し癖毛のある空色の髪へ。
頭の上にはいかにも魔法使いな黒い三角帽。
上半身には黒いローブが纏われ、下半身はプリーツスカートと厚手のタイツ。
靴も全身のデザインに合わせて、中世風なブーツになっている。
――これだけでも凄い。アタシって、天才じゃね?
「よーしよし! コンタクトレンズもうまく起動してるね!」
アタシ自身の視界にもコンタクトレンズ越しの情報が表示され、ちょっとしたサイバーパンク気分。
鏡を見ると瞳の中に魔法陣が写り込み、いかにも魔法使いっぽさが出ている。
起動の影響で目の周りにアイシャドウが施されたようになっているが、この程度は計算の範疇だ。
「これにデバイスロッドを持てば……完璧じゃん!」
そうして出来上がった姿のまま、鏡の前で体をクルリと一回転させてみる。
その姿はまるで、童話に出てくる魔女。魔法使いを目指してみたのだが、魔女って感じが強い。
魔法使いと魔女がどう違うのか、アタシにはよく分かんないけど。
「さーてさて! そしてここからこそが、ある意味本番ってもんよ! ニッシシ~!」
誰に解説するわけでもないが、思わず説明口調になってしまう。なんかテンションが爆上がり中だ。
そんなアタシのテンションの上がる理由については、今からやることを考えればお察しというもの。
手に取ったデバイスロッドに調節しながら電気を流し込み、地面と水平になるようにそっと手を放す――
「う……浮いた……。や……やったぁああ!!」
――そしてアタシの想像通り、デバイスロッドは宙に浮いた。
アタシ自身を電源とすることで、エレクトロポリマーの影響による磁場の発生と揚力への変換。
完璧だ。まさかアタシの試行錯誤していた発明品が、こんな形で実用化レベルになるとは思わなかった。
「お? おお!? しかもこの揚力、想像以上に大きくね!? アタシ一人ぐらいなら、余裕で浮かせられるじゃん!」
そのままデバイスロッドに腰かけてみるが、全く沈む気配すらない。
むしろ、このまま出力を上げれば、さらに浮上することだってできそうだ。
「……よし! やるか!」
そう思いたったら、やらずにはいられない。これもまた、試運転の一つである。
アタシはデバイスロッドに腰かけたまま、目を閉じて意識を集中させる。
マグネットリキッドで手に入れた力は、もうアタシの一部だ。
デバイスロッドだって、アタシが発明したものだ。
やれないはずがない。不思議とそんな自信を胸に抱き、ロッドにかかる力のベクトルを変換する――
フワァ
「と、飛んだぁああ!? アタシ、空を飛んだぁああ!!」
――そして望んだ通り、ロッドに腰かけたアタシの体は大空へと浮かび上がる。
壁で囲まれたゴミ捨て場を抜け出し、完全に宙に浮いている状態。
同じ要領でベクトルを調整すれば、上下左右への立体的な移動も自由自在。
その姿はまさに、童話で見てきた空を飛ぶ魔女。
アタシ自身を解析した結果、できるんじゃないかとは思っていたが、本当にできると興奮せずにはいられない。
――アタシは今、空を駆ける魔女となった。
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