記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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最終章 それが俺達の絆

第468話 最終決戦・【零限の不死鳥】④

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「やはりその力か……!」
「ええ。ゼロラさんもお察しの通り、これは【龍殺しの狂龍】ジフウさんの力です……!」

 ゼロラも思っていた通り、ラルフルが次に体現させた力はジフウの力だった。
 <青色のオーラ>を身に纏わせる、ラルフルのスタイルチェンジ――<ドラゴンズ・ブルー>。
 全力のジフウと戦ったことがあるゼロラにも、その力の恐ろしさは理解している。
 軍隊式格闘術<コマンドサンボ>による、組技を主流にした"テクニック特化"のスタイル――



 ――ラルフルが見せてくれた成長に、ゼロラは戦慄しながらも喜びを感じていた。



「お前がジフウと同じスタイルで来るならば、俺もさっきと同じように相手しねえと、つまらねえよな……!」
「どうぞお好きなように来てください。自分とて、負けるつもりは毛頭ありません!」

 ゼロラがどんな手で来ようと、ラルフルのスタイルは変わらない。
 かつて王宮でジフウと戦った時と同じように、組技を主軸にしたテクニックで攻める――
 ラルフルはあの時のジフウの姿を再現するように、両腕を並行に構えた。

 腕を防御特化の"盾"とし、足を攻撃特化の"矛"とする、<コマンドサンボ>の中でもジフウが対ゼロラ用に編み出した闘法――
 一度はその身で実感した戦い方を、今度はラルフルが実践しようとしていた。

「俺だって負ける気はない。お前の力を推し量るためにも、同じ"テクニック勝負"で挑ませてもらうぞぉおお!!」

 ゼロラはラルフル目がけて先制のパンチを放つ――

「テヤァアア!!」


 バシンッ――


 ――そのパンチを、ラルフルは両手で流してゼロラの懐を空ける。

「ハァアア!!」
「甘い!!」

 ――そして空いた懐目がけての、ラルフルのキック。
 だがゼロラは体を反転させ、キックを背中で受け止めながら、片腕で挟み込む。
 そして空いたもう片方の腕で、今度はゼロラがパンチを放つ――

「ウラァアア!!」
「ぐっ!?」

 ――そのゼロラのパンチを捌きながら、ラルフルは体を捻って空いた足でゼロラの顔面を蹴り飛ばしにかかる。


 バシンッ――


 ――ゼロラはパンチの軌道を変え、ラルフルの蹴りを弾いて躱す。

「本当に俺の想像の上を行ってくれるな……!」
「ゼロラさんこそ、本当にテクニックでも侮れませんね……!」

 一瞬で行われた攻防――
 ゼロラもラルフルも、互いの技量を称賛した。

 常人には捉えることのできない、瞬間的な判断と技のやり取り――
 同じレベルにいる、一切の油断が許されない相手を目の前にして、ゼロラとラルフルは間合いを取りながら機会を伺い始めた。



 間合いはお互いのギリギリ外――
 相手の頭の先から足の先まで、その動きを読み合うように構え合う――





 ――ダッ!





 空気の流れから感じ取ったかのように、二人が同時に地面を蹴る。
 そこから始まるは、攻撃と防御が入り乱れる、技の共鳴――

 ラルフルは両手でゼロラの攻撃を捌きながら隙を伺う。
 ゼロラは体の軸を固め、ラルフルの蹴りをガードしながら隙を伺う。

 短い時間に何度も行われる、最高レベルの技の応酬――
 だが"テクニック特化"の<青色のオーラ>を纏ったラルフルでも、ゼロラのテクニックを完全に超えることはできなかった。

 ラルフルの技は自らの小柄さを活かした、変幻自在の鳥の舞。
 それに対してゼロラの技はその恵まれた体躯を地面に突き刺した、巨木より伸びる枝。

 同じ"テクニック勝負"に打って出ていても、その中身は異なる。
 その異なるテクニックのぶつかり合いが、完全な優劣をつけられない戦況へと導いていた。



「これでもダメですか……! ならば!!」

 そんな拮抗状態を今度こそ打ち破ろうと、ラルフルは再び目を瞑って大の字に構える。

「そうか……。"あいつ"の能力も使えるのか……!」

 ゼロラは距離をとって、ラルフルの準備が終わるのを待つ。
 サイバラの<黄色のオーラ>、ジフウの<青色のオーラ>と来て、次に考えられるのは一人しかいない。
 今の二人と同じように、オーラを滾らせる戦いを見せた強敵――



「ハァアアア……。――イェアァアア!!」



 ――雄たけびと共に、ラルフルの纏う<青色のオーラ>が、<赤色のオーラ>へと変化する。
 それはゼロラも先程戦った【最盛の凶獅子】シシバと同じ力を、ラルフルが体現させたことだと即座に理解できた。

 サイバラ、ジフウ、シシバ。
 ゼロラが"最高レベルの強敵"と認めた三人と、ラルフルもまた別の機会で戦っていた。
 その経験があったからこそ、こうして三人の力をそれぞれ形あるオーラとして引き出すことを、ラルフルは可能としていた。

「シシバの能力まで使えるとはな……!」
「スタイルチェンジ――<レオズ・レッド>……。これまで自分が培ってきた経験の力……存分にお見せいたします!」

 <レオズ・レッド>によるスタイルチェンジで、シシバの力をもその身に宿したラルフル。
 決意を込めた言葉と共に、<赤色のオーラ>を纏いながら動き出す。
 それはシシバの<ジークンドー>と同じく、最短を最速で射貫く、"スピード特化"のスタイル――
 ラルフルのスピードは目にもとまらぬ領域にまで跳ね上がり、ゼロラへ無数の連撃を浴びせにかかる。

「だったら俺も……同じ"スピード"で相手してやるよぉお!!」

 対するゼロラも地面を蹴り、ラルフルとのラッシュの速さ比べへと身を投じる。


 ドガガガッ!! ズガガガッ!!


 これまでと同じく、ラルフルの力への敬意を持ちながら、推し量るための"スピード勝負"――
 ゼロラとラルフルの攻撃がぶつかり合うたび屋上に響く、目に見える程の衝撃の円。
 それが無数に周囲へ散らばり、屋上に土煙が立ち込める。

「オラァアアア!!」
「ハアァアアア!!」

 互いの全速力をもって、ラッシュ勝負を続ける二人。
 無数の衝撃によって弾かれた大気は、その空間そのものを歪ませる――



 ――ダッ!



「俺と離れた……!?」
「逃げたわけではありませんよ……!」

 そんな激戦の最中、ラルフルは一度ゼロラから距離を置く。
 ゼロラは不審がるも、即座に距離を詰めなおしにかかる。

 ――ラルフルには狙いがある。
 それをゼロラも直感的に理解し、チャンスを与えるわけにはいかなかった――





「……<寸勁>!」


 ドゴォオンッ!!


「ゴホッ!?」

 近づくゼロラにタイミングを合わせ、ラルフルは拳を突き出す。
 ゼロラの腹に押し当てたその拳から放たれたのは、一切の無駄を省いた、"純粋な衝撃"――

 シシバの<鬼勁>の大元である、<ジークンドー>の<寸勁>。
 それをラルフルは扱うことに成功した――
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