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最終章 それが俺達の絆
第435話 戦闘・当代勇者①
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「すぐに終わらせてやる……!」
レイキース様は構えた剣をこちらへと振り払ってきました。
これはこの人が最も得意とする技――<光の刃>。
<勇者の光>を纏わせたその一閃は、多くの魔物を斬り伏せてきました。
ですが――
「フンッ!」
ガキィン!
「ば、馬鹿な!? 僕の<光の刃>を、素手で防御しただと!? 有り得ない!」
――今の自分なら、これぐらいは<鉄の防御>で弾くことができます。
レイキース様は驚いていますが、自分にとっては不思議でも何でもありません。
――いえ、一つ不思議な感覚があります。
先程レイキース様が<光の刃>を放つ時、何故か自分は『もっと強力な同じ技』を見た感覚に襲われました。
それが何だったのかは思い出せませんが、あれに比べればレイキース様の技は脅威にさえ感じません。
「くそぉ! 魔力を失った落ちこぼれが! 僕に盾突くなぁあ!!」
攻撃を防がれたレイキース様はその怒りに任せ、今度は<光の刃>を乱発してきました。
「手当たり次第ですか。少し頭を冷やしたほうが、よろしいのでは?」
「うるさい! 僕に見捨てられたクズが、僕に口出しをするなぁああ!!」
完全に頭に血が上ったレイキース様。
自分に軽くあしらわれたことが、余程気に食わなかったのでしょう。
こちらの防御が追い付かない程、大量の<光の刃>で攻め立ててきます。
「こう大量に撃たれては、捌くよりも躱したほうがいいですね」
そんな攻撃にも自分は冷静に対処できました。
お姉ちゃん達に攻撃が当たらないように位置取りし、<光の刃>の間をかいくぐります。
「くそ! 当たれ! 何故当たらないんだぁあ!?」
「そんなに激昂していては、攻撃が単調になります。やはり少し落ち着いて――」
「黙れぇええ!! 僕よりはるかに弱いくせに! 偉そうな口を叩くなぁああ!!」
レイキース様はこちらの言葉にも耳を貸さず、ひたすらに<光の刃>を乱発してきます。
こちらもただ攻撃されるだけでは終われません。
<光の刃>をかいくぐりながらレイキース様へと近づき――
ドゴンッ!!
「ガハッ!?」
――ボディーブローを一撃。
その一撃でレイキース様は体勢を大きく崩し、後逸します。
何となく思っていましたが、どうやら本当に思っていた通りのようです。
「畜生! チクショォオオ!! 僕が負けるはずないんだ! お前のような……魔力を失った落ちこぼれなんかにぃい!!」
レイキース様は今度は剣を使った近接戦を仕掛けてきます。
「レイキース様。いい加減に認めたらどうですか?」
「何を認めるというのだ!? 僕に逆らい、僕よりも弱いお前に、何かを教えられる義理などない!!」
――ですが、これも簡単に捌けてしまいます。
ある程度躱しながら、<鉄の防御>をかけた腕でガードし、隙を伺いながらパンチとキックを織りなします。
ドガァ! バキャァ!
「ゲホッ!? グホッ!? な、何故だ!? 魔法も使えない、剣も持たないこんなクズに、何故僕が押し負けないといけない!? こんなこと……あっていいはずがない!!」
レイキース様は今尚この戦況を認めきれず、自身の実力を認められないようです。
「ハァアア!!」
「ゴボォオ!? ……オォ……!?」
そんなレイキース様の腹部へ、今度は膝蹴りを放ちます。
近接戦になっても、相変わらず単調な攻撃――
隙を突くのは驚くほど簡単でした。
――今の自分は、レイキース様よりもはるかに強いです。
「降伏してください、レイキース様。即刻、あなたが使った術を解除し、大人しくお縄についてください」
「だ……黙れ……! 僕は正しいことをしているんだ……! 従うのは……お前の方だ……!」
「何が正しくて、何が間違っているかなんて、この際どうでもいいです。ただ……あなたの行いは"許されざるもの"です……!」
実力差を目の当たりにしても、恨みがましく自分を見てくるレイキース様を睨み返し、自分は普段出さない怒りの感情を露にしました。
レイキース様が起こした騒動のせいで、自分の大切な人達が悲しみました。
お姉ちゃんに、ゼロラさんに、ミライちゃん――
それどころか今この最中も、王都中で反乱が起きています。
多くの人達が、自らの意志を失っています。
――自分はこんな人を、"勇者"として認めたくありません。
「もう諦めてください。あなたとの実力差がこれほどなら、たとえリフィー様が加わっても、自分には勝てませんよ?」
「くぅ……!?」
「レ、レイキース様……」
傍で控えていたリフィー様も見ながら、自分は警告しました。
そんな自分をレイキース様は膝をつきながら、リフィー様は立ちすくみながら、ただ見ているしかありません。
これで決着です。
もう、お二人には抵抗する術はありません――
「……"紅の賢者"ァア!! 出て来ぉおい!!」
レイキース様は構えた剣をこちらへと振り払ってきました。
これはこの人が最も得意とする技――<光の刃>。
<勇者の光>を纏わせたその一閃は、多くの魔物を斬り伏せてきました。
ですが――
「フンッ!」
ガキィン!
「ば、馬鹿な!? 僕の<光の刃>を、素手で防御しただと!? 有り得ない!」
――今の自分なら、これぐらいは<鉄の防御>で弾くことができます。
レイキース様は驚いていますが、自分にとっては不思議でも何でもありません。
――いえ、一つ不思議な感覚があります。
先程レイキース様が<光の刃>を放つ時、何故か自分は『もっと強力な同じ技』を見た感覚に襲われました。
それが何だったのかは思い出せませんが、あれに比べればレイキース様の技は脅威にさえ感じません。
「くそぉ! 魔力を失った落ちこぼれが! 僕に盾突くなぁあ!!」
攻撃を防がれたレイキース様はその怒りに任せ、今度は<光の刃>を乱発してきました。
「手当たり次第ですか。少し頭を冷やしたほうが、よろしいのでは?」
「うるさい! 僕に見捨てられたクズが、僕に口出しをするなぁああ!!」
完全に頭に血が上ったレイキース様。
自分に軽くあしらわれたことが、余程気に食わなかったのでしょう。
こちらの防御が追い付かない程、大量の<光の刃>で攻め立ててきます。
「こう大量に撃たれては、捌くよりも躱したほうがいいですね」
そんな攻撃にも自分は冷静に対処できました。
お姉ちゃん達に攻撃が当たらないように位置取りし、<光の刃>の間をかいくぐります。
「くそ! 当たれ! 何故当たらないんだぁあ!?」
「そんなに激昂していては、攻撃が単調になります。やはり少し落ち着いて――」
「黙れぇええ!! 僕よりはるかに弱いくせに! 偉そうな口を叩くなぁああ!!」
レイキース様はこちらの言葉にも耳を貸さず、ひたすらに<光の刃>を乱発してきます。
こちらもただ攻撃されるだけでは終われません。
<光の刃>をかいくぐりながらレイキース様へと近づき――
ドゴンッ!!
「ガハッ!?」
――ボディーブローを一撃。
その一撃でレイキース様は体勢を大きく崩し、後逸します。
何となく思っていましたが、どうやら本当に思っていた通りのようです。
「畜生! チクショォオオ!! 僕が負けるはずないんだ! お前のような……魔力を失った落ちこぼれなんかにぃい!!」
レイキース様は今度は剣を使った近接戦を仕掛けてきます。
「レイキース様。いい加減に認めたらどうですか?」
「何を認めるというのだ!? 僕に逆らい、僕よりも弱いお前に、何かを教えられる義理などない!!」
――ですが、これも簡単に捌けてしまいます。
ある程度躱しながら、<鉄の防御>をかけた腕でガードし、隙を伺いながらパンチとキックを織りなします。
ドガァ! バキャァ!
「ゲホッ!? グホッ!? な、何故だ!? 魔法も使えない、剣も持たないこんなクズに、何故僕が押し負けないといけない!? こんなこと……あっていいはずがない!!」
レイキース様は今尚この戦況を認めきれず、自身の実力を認められないようです。
「ハァアア!!」
「ゴボォオ!? ……オォ……!?」
そんなレイキース様の腹部へ、今度は膝蹴りを放ちます。
近接戦になっても、相変わらず単調な攻撃――
隙を突くのは驚くほど簡単でした。
――今の自分は、レイキース様よりもはるかに強いです。
「降伏してください、レイキース様。即刻、あなたが使った術を解除し、大人しくお縄についてください」
「だ……黙れ……! 僕は正しいことをしているんだ……! 従うのは……お前の方だ……!」
「何が正しくて、何が間違っているかなんて、この際どうでもいいです。ただ……あなたの行いは"許されざるもの"です……!」
実力差を目の当たりにしても、恨みがましく自分を見てくるレイキース様を睨み返し、自分は普段出さない怒りの感情を露にしました。
レイキース様が起こした騒動のせいで、自分の大切な人達が悲しみました。
お姉ちゃんに、ゼロラさんに、ミライちゃん――
それどころか今この最中も、王都中で反乱が起きています。
多くの人達が、自らの意志を失っています。
――自分はこんな人を、"勇者"として認めたくありません。
「もう諦めてください。あなたとの実力差がこれほどなら、たとえリフィー様が加わっても、自分には勝てませんよ?」
「くぅ……!?」
「レ、レイキース様……」
傍で控えていたリフィー様も見ながら、自分は警告しました。
そんな自分をレイキース様は膝をつきながら、リフィー様は立ちすくみながら、ただ見ているしかありません。
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