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第28章 勇者が誘う、最後の舞台
第424話 紅の反逆
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「なんだ~、こいつ? "紅の賢者"とか言ーみてーだが……」
「レイキースの仲間か? "賢者"ということは、魔法の使い手だろうが……」
フロストとバクトはダンジェロのことは知らない。
だが、そのいで立ちと肩書から、魔法の使い手であると予想していた。
そして同時に、不安と恐怖にかられた。
<マジックジャマー>によって魔法が封じられたこの場で、レイキースを押しのけてまで前線へと出てくる意味――
理解できないその行動が、油断ならない敵であることを、二人に感じさせた。
「感服感服。諸君は小生を侮らぬか。だが……無意味!」
ダンジェロは左手を、フロストとバクトへと振り払う。
そこから放たれたのは、黒い靄――
「<詠唱の黒霧>……点火!!」
パチンッ!
ボォオオン!!
「な!? 爆発!?」
「魔法は防いだはずだろ!?」
ダンジェロが<詠唱の黒霧>を放った後に鳴らされた指パッチン――
その音と同時に、フロストとバクトは壮大な爆炎に巻き込まれた。
「うぐ……ぐぐ……!」
「き、貴様は……一体……!?」
全身を焼く激痛が二人を襲う。
その痛みに耐えきれず、二人はその場に倒れ伏してしまった。
「へえ……大したものだ。魔法が無効化された状況下で、これほどの爆発魔法を使えるとは」
「このような魔法はわたくしも知りませぬわ。"紅の賢者"という名前も、納得できますわね」
「ハッハッハッ……。恐縮恐縮」
ダンジェロはレイキースとリフィーに賛辞を送られている。
当のダンジェロ本人は表面的な感謝を述べているが――
「……愚劣愚劣。眼の眩んだ勇者……だ」
――周りには分からぬように、嘲笑っていた。
「レイキース! よくやった! 早くわしを助けるのだ!」
「わ、わしも頼む! ここから出すのじゃ!」
「ええ、お待ちください」
フロストとバクトが倒れたのを見て、ボーネス公爵とジャコウは必死に助けを求めた。
レイキースもそれに応え、探し出した牢屋のカギを使い、二人を外へと出した。
「おお! 助かったぞ!」
「よくもわしらをこんな目に会わせてくれたな~!」
「二人とも、今は脱出が先です。ここから先の計画は、僕の方で立ててあります」
レイキースはいきり立つボーネス公爵とジャコウを宥めながら、魔幻塔から去っていった。
「この二人がいれば、わたくし達の正義が再び、世に行き渡るのですわね……!」
リフィーもこれからの計画に期待を寄せ、レイキースの後をついて行く。
「……はてさて、小生も去ろうと思うが……この<マジックジャマー>という道具――使い道がありそうだ。有難くいただいていくとしよう……!」
ダンジェロも同じように去ろうとするが、その前にフロストが使っていた<マジックジャマー>を奪って行った。
「おい……バクト。無事か……?」
「かろうじて……だがな。護衛二人も、命に別状はないらしい」
レイキース達がいなくなったのを確認し、フロストとバクトは体を起こす。
ダメージは大きく、体の自由は効かないが、それでも致命傷には至らずに済んでいた。
「レイキースの奴ら……。相当やべーことを考えてるな~……」
フロストは混乱しつつも、事態を整理する。
レイキースが魔幻塔にやってきた目的は、"ボーネス公爵とジャコウの救出"。
そして、二人を救出した目的はおそらく――"改革派への反旗"。
自らの地位を返り咲かせるため、レイキースはボーネス公爵とジャコウの力を借りるつもりであることは、容易に想像できた。
「クソッ……! レイキースの奴……まさかこんな凶行に出てくるとは……!?」
バクトにも状況は理解できた。
当代の勇者がルクガイア王国へと敵意を向け、自らの欲求のためにその力を振るおうとしている――
先代勇者ユメの墓を守り続けていた二人にとって、この事態はあまりに衝撃的だった。
ユメが願った"共存という正義"とは違う、"自己中心的な正義"――
同じ"勇者"であるはずが、ここまで思想に違いが出るものかと、困惑していた。
「それにしても……レイキースと一緒にいた、あの"紅の賢者"ってーのは何者だ~?」
「俺も知らん……。レイキースに協力してるようだが、只者ではないな。……何より、一つ気になることがある」
そしてフロストとバクトがもう一つ気になっていたのは、"紅の賢者"――ダンジェロの存在。
二人はダンジェロのことなど何も知らなかったが、その行動において、一つだけ不可解な点があった――
「フロスト。さっきのあいつは……本当に、"魔法を使った"のか?」
――バクトはその疑問を、フロストへと投げかけた。
<マジックジャマー>によって、魔法が無効化された状況下で引き起こした爆発――
フロストもバクトと同じ疑問を抱いていた。
だが、フロストはダンジェロが引き起こした爆発に対し、思い当たる節があった。
それは自らも研究で"よく使うもの"だったからこそ、考えられた可能性――
詳細まで断言はできなかったが、一つだけ確信を持って言えることがあった――
「……"魔法は使ってない"な。あいつが使ったのは、おそらく――」
「レイキースの仲間か? "賢者"ということは、魔法の使い手だろうが……」
フロストとバクトはダンジェロのことは知らない。
だが、そのいで立ちと肩書から、魔法の使い手であると予想していた。
そして同時に、不安と恐怖にかられた。
<マジックジャマー>によって魔法が封じられたこの場で、レイキースを押しのけてまで前線へと出てくる意味――
理解できないその行動が、油断ならない敵であることを、二人に感じさせた。
「感服感服。諸君は小生を侮らぬか。だが……無意味!」
ダンジェロは左手を、フロストとバクトへと振り払う。
そこから放たれたのは、黒い靄――
「<詠唱の黒霧>……点火!!」
パチンッ!
ボォオオン!!
「な!? 爆発!?」
「魔法は防いだはずだろ!?」
ダンジェロが<詠唱の黒霧>を放った後に鳴らされた指パッチン――
その音と同時に、フロストとバクトは壮大な爆炎に巻き込まれた。
「うぐ……ぐぐ……!」
「き、貴様は……一体……!?」
全身を焼く激痛が二人を襲う。
その痛みに耐えきれず、二人はその場に倒れ伏してしまった。
「へえ……大したものだ。魔法が無効化された状況下で、これほどの爆発魔法を使えるとは」
「このような魔法はわたくしも知りませぬわ。"紅の賢者"という名前も、納得できますわね」
「ハッハッハッ……。恐縮恐縮」
ダンジェロはレイキースとリフィーに賛辞を送られている。
当のダンジェロ本人は表面的な感謝を述べているが――
「……愚劣愚劣。眼の眩んだ勇者……だ」
――周りには分からぬように、嘲笑っていた。
「レイキース! よくやった! 早くわしを助けるのだ!」
「わ、わしも頼む! ここから出すのじゃ!」
「ええ、お待ちください」
フロストとバクトが倒れたのを見て、ボーネス公爵とジャコウは必死に助けを求めた。
レイキースもそれに応え、探し出した牢屋のカギを使い、二人を外へと出した。
「おお! 助かったぞ!」
「よくもわしらをこんな目に会わせてくれたな~!」
「二人とも、今は脱出が先です。ここから先の計画は、僕の方で立ててあります」
レイキースはいきり立つボーネス公爵とジャコウを宥めながら、魔幻塔から去っていった。
「この二人がいれば、わたくし達の正義が再び、世に行き渡るのですわね……!」
リフィーもこれからの計画に期待を寄せ、レイキースの後をついて行く。
「……はてさて、小生も去ろうと思うが……この<マジックジャマー>という道具――使い道がありそうだ。有難くいただいていくとしよう……!」
ダンジェロも同じように去ろうとするが、その前にフロストが使っていた<マジックジャマー>を奪って行った。
「おい……バクト。無事か……?」
「かろうじて……だがな。護衛二人も、命に別状はないらしい」
レイキース達がいなくなったのを確認し、フロストとバクトは体を起こす。
ダメージは大きく、体の自由は効かないが、それでも致命傷には至らずに済んでいた。
「レイキースの奴ら……。相当やべーことを考えてるな~……」
フロストは混乱しつつも、事態を整理する。
レイキースが魔幻塔にやってきた目的は、"ボーネス公爵とジャコウの救出"。
そして、二人を救出した目的はおそらく――"改革派への反旗"。
自らの地位を返り咲かせるため、レイキースはボーネス公爵とジャコウの力を借りるつもりであることは、容易に想像できた。
「クソッ……! レイキースの奴……まさかこんな凶行に出てくるとは……!?」
バクトにも状況は理解できた。
当代の勇者がルクガイア王国へと敵意を向け、自らの欲求のためにその力を振るおうとしている――
先代勇者ユメの墓を守り続けていた二人にとって、この事態はあまりに衝撃的だった。
ユメが願った"共存という正義"とは違う、"自己中心的な正義"――
同じ"勇者"であるはずが、ここまで思想に違いが出るものかと、困惑していた。
「それにしても……レイキースと一緒にいた、あの"紅の賢者"ってーのは何者だ~?」
「俺も知らん……。レイキースに協力してるようだが、只者ではないな。……何より、一つ気になることがある」
そしてフロストとバクトがもう一つ気になっていたのは、"紅の賢者"――ダンジェロの存在。
二人はダンジェロのことなど何も知らなかったが、その行動において、一つだけ不可解な点があった――
「フロスト。さっきのあいつは……本当に、"魔法を使った"のか?」
――バクトはその疑問を、フロストへと投げかけた。
<マジックジャマー>によって、魔法が無効化された状況下で引き起こした爆発――
フロストもバクトと同じ疑問を抱いていた。
だが、フロストはダンジェロが引き起こした爆発に対し、思い当たる節があった。
それは自らも研究で"よく使うもの"だったからこそ、考えられた可能性――
詳細まで断言はできなかったが、一つだけ確信を持って言えることがあった――
「……"魔法は使ってない"な。あいつが使ったのは、おそらく――」
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