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第23章 追憶の番人『ドク』

第331話 対決・元ルクガイア王国騎士団二番隊隊士『アサルト』①

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「フレイムの奴……肩にあった大砲がなくなってるな?」
「フロストの馬鹿が取り外したんだろう。貴様はすでに知ってるようだが、フレイムはフロストの指示がないと、本来ならまともに戦えない。だからフロストはフレイムの武装を最小限に抑え、フレイム一人でも『俺達の殲滅』という単純な指示を、単純な戦闘能力で実行できるようにしたんだろうな」

 俺の疑問に後ろへと下がったバクトが答えてくれる。
 つまり、フレイム自身の戦闘能力は以前よりも下がっているのか。
 それなら十分に対処のしようも――

「ただし、フレイムと一緒に飛んできた二本の鉄筒……。あれはフレイムが<アサルトモデル>というパワーアップバージョンに切り替えた時に使う別の武装だ。戦闘能力は以前よりも上がってるぞ」
「強くなってるのか!?」

 俺の希望はバクトの言葉によってかき消された。
 詳しいことはまだ分からないが、フレイムは以前に戦った時と違い、<アサルトモデル>という形態らしい。

 とりあえず、フレイムの初手は分かる――

「シシバ、サイバラ。今からフレイムの奴、弾丸の雨を放ってくるぞ。それぞれガードするなり、なんなりしてくれ」
「弾丸の雨~? そらマズいな~。俺の打たれ弱さやと、守り切れへんかもな~」
「オレは自信あるッスけど、そもそもあいつのどこにそんな銃があるんスか?」

 俺の呼びかけにシシバとサイバラがそれぞれ答えていると、早速フレイムが左腕をガトリングガンへと変形させてきた。


 ドガガガガッ!!


 そして放たれる弾丸の雨!
 予測できていた俺は全身に<鉄の防御>をかけ、体を丸めて耐える!

「痛い痛い痛い!? なんスか、あの銃!? マシンガン並みの連射速度で、一発一発の威力まで高いだぁ!?」

 サイバラは痛がってこそいるが、ガトリングガンには耐えれているようだ。

 ……ただ、なんでこいつは大の字になって全身で弾丸を受け止めてるんだ?

「頑張れ! サイバラ! ほれ! もっと両手を広げて、俺を覆い隠さんかい!」
「ちょ!? シシバのカシラ!? オレを盾にしないでほしいんスけど!?」

 あー……シシバがサイバラを盾にしてるからか。
 しかしそんな状態でも、しっかりシシバを守り切るサイバラ。
 なんだかんだでサイバラはシシバの命令には忠実だ。後、頑丈すぎる。

「フオオ! フオオオオ!」

 そんな俺達の様子を見て、フレイムは背中から炎を噴出させながらの高速移動モードへと切り替える。

 ドガガガガッ!! ドガガガガッ!!

 高速移動しながらの、ガトリングガンによる掃討!
 こうなってくると、正面以外にも回り込まれる!
 俺も動きながら守りを固めるが――

「痛い痛いってぇ!? あいつ、あんなに速く動けるのかぁ!?」

 サイバラは元々が鈍足なせいか、フレイムの攻撃を相変わらず全弾まともに食らっている。
 ……それでも、ほとんど効いてないようだが。



 シュゥウン!

「こら! 待たんかい! その背中の火ぃ噴く奴! 俺にも使わせろやぁあ!!」
「フオ!? フオオオ!?」
「その装備奪ってどうするつもりスか!? カシラ!?」

 シシバは高速移動を始めたフレイムの後ろをとり、それ以上のスピードで追いかけまわす。
 そしてフレイムの背中にある、炎を噴出させる高速移動のための武装を執拗に狙う。

 ……シシバの奴、素でフレイムより速いんだよな。
 あいつの方が人間辞めてそうだ……。



 ――まあいい。シシバのスピードがあれば、フレイムのガトリングガンにも対策が取れそうだ。

「シシバ! そのままフレイムに飛びついて、左腕を落とせ!」
「はぁ!? いや!? いくらなんでも、そりゃえぐい――」
「そいつの左腕は機械だ! 生身じゃない!」
「なんや。なら、問題あらへんな」

 俺の言葉を聞いたシシバは、言われた通りにフレイムへと飛び掛かる――



「フオオオオ!!」

 ギュイィイイン!!

 ――だが、それと同時にフレイムがその場で高速回転を始める!
 わずかに浮いた自身の体と、高速移動装置の二つを使ってこそできる高速回転!

「う、うおおお!? ア、アカン!? 振り落とされる!?」

 その遠心力に耐えきれず、シシバはフレイムから手を離してしまう。

「だ、大丈夫ッスか!? カシラ!?」
「ま~、着地はできたしな。せやけど……あいつの装備は、ちと反則が過ぎへんか?」

 シシバは無事なようだが、確かにフレイムの力は反則だ。
 完全に人外の動きを可能とする装備――
 余分な武装を取り外したためか、完全にスピードを活かした戦い方を可能としている。



 それでもこっちは三人がかりだ。取れる対策はある!

 ガシィイ!

「フ、フオオオ!?」
「シシバ! サイバラ! 今だ! フレイムの左腕をもぎ取れぇえ!!」

 フレイムがシシバを振りほどいて油断している隙に、俺はフレイムの背中へとしがみつく!

「お前の高速移動はこの背中の装備があるから可能なんだろ? だったら、それを封じさせてもらうぜ!」
「フ……フオオオ!?」

 俺がしがみついたことで、フレイムは背中の装備をうまく扱えなくなったようだ!
 今ならフレイムの動きは封じられている!

「ッシャア!! だったらオレがいかせてもらうぜぇえ!!」

 俺とフレイムの様子を見て、サイバラがフレイムの左腕へと掴みかかる!

「シャァアルゥアァアア!!」

 そのまま全力でフレイムの左腕を引っ張り――



 ブチンッ!!



 ――引っこ抜いた!

「お前……あんな太い腕、よう力任せで引っこ抜けたな……」
「力任せならオレの十八番ッスよぉ!」

 恐るべし、サイバラの馬鹿力。
 関節技などを使わず、本当に力だけでフレイムの左腕を引っこ抜いてしまった。

 これでまず、ガトリングガンの脅威は去った。
 だが、このパワーアップしたフレイムには、まだ別の武装も用意されているのだろう――
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