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第22章 改革の歌
第317話 決戦・【龍殺しの狂龍】③
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新たなフィールドへと移動した、ゼロラとジフウ。
まずはジフウが下に敷き詰められた砂利を左手ですくい上げた。
「くたばれ! ゼロラァアア!!」
バシュゥン! バシュゥン!
「うぐぅ!? こ、これは……!?」
ゼロラの肩に数発の弾丸のようなものが突き刺さる。
それはジフウが放った、<砂利指弾>――
ジフウは左手に握った砂利を親指ではじき出し、銃弾のようにして飛ばしてきたのだ。
その速さも威力も、本物の銃弾と同等かそれ以上――
「まだまだ行くぞぉお!! ダラダラダラァアア!!」
ジフウは右手でも砂利を握りしめ、両手で<砂利指弾>をマシンガンのように連射する。
<鉄の防御>で身を固めるゼロラに対して、容赦ない砂利の雨が襲い掛かる。
国王直轄黒蛇部隊隊長として、王都に詳しかった事――
<コマンドサンボ>のスタイルを習得する最中で学んだ、戦場を活かした戦闘術――
一度はゼロラに傾いたかと思われた戦況は、戦場の変化でジフウの手中となった。
「くそぉ……くそがぁああ!!」
防戦一方だったゼロラは、意を決して守りを解く。
体をかがめて足元の砂利をすくい、ジフウに対して投げつける。
「チィ! 小賢しい真似を!」
ジフウは両手の<砂利指弾>で、ゼロラが放った散弾の如き砂利を徹底的に撃ち落とす。
それに気をとられたのが、ジフウにとっての誤算だった。
「ウオオオォ!!」
「し、しまった!? 砂利は囮か!?」
ジフウが砂利を掃討している間に、ゼロラは姿勢を低くしてジフウへと襲い掛かる。
「ヌゥン!」
「グヌゥ!?」
そのままゼロラはジフウを押し倒し、マウントでのパンチラッシュを放つ。
無慈悲な拳の雨が、ジフウを追い込む。
ドガッ! バキャン!
「ゴフッ!? な、舐めやがってぇええ!!」
だがジフウとてそれでは終わらない。
ゼロラのパンチを受け止めると、体を回転させてゼロラの腕に両足をかける。
「か……関節技……!?」
「ウハハハ! マウントで俺に勝負を挑んだのは間違いだったなぁあ!!」
得意の関節技に持ち込み、ジフウはゼロラの腕を極めにかかる。
ミシミシという音を感じながら、ゼロラの体に激痛が走り始める。
――それでもゼロラとて負けられない。
「オオオォ……!」
「グッ!? グヌヌヌゥ……!」
ゼロラの腕を挟み込むジフウの両足を、もう片方の腕使って強引にロックを外しにかかる。
ゼロラの必死の抵抗に、ジフウの関節技は完全に決まり切らず――
「オラァア!!」
「クソがぁあ!!」
――二人は再び切り離された。
「ならば……これでどうだぁあ!?」
地面を転がりながら、ジフウは再び砂利を掴んで<砂利指弾>を連射する。
「まだだぁああ!!」
それを見たゼロラは地面を蹴ってジフウの頭上へと飛び上がる。
そのまま全身を回転させながら放つ浴びせ蹴り――
――ドギャン!
「んぐぐぐぅ……!」
<砂利指弾>のために砂利を握っていたことが災いし、ジフウはゼロラの浴びせ蹴りに対してキャッチで投げ返すことができなかった。
腕を頭上で交差させてなんとかガードはできたが、膝をついたままだったその足元は、ゼロラの浴びせ蹴りの衝撃で砂利が吹き飛ぶ。
「ゼ……ゼロラァアア!!」
「ジフゥウウ!!」
ジフウは交差させた腕を払ってゼロラを吹き飛ばし、両手に持った砂利を捨てる。
そして再び、互いの全力での殴り合いが始まる――
パンチとキック、そしてガードとキャッチも交えた猛烈な技の攻防。
【零の修羅】と【龍殺しの狂龍】の二人の戦いはまだ終わらない――
まずはジフウが下に敷き詰められた砂利を左手ですくい上げた。
「くたばれ! ゼロラァアア!!」
バシュゥン! バシュゥン!
「うぐぅ!? こ、これは……!?」
ゼロラの肩に数発の弾丸のようなものが突き刺さる。
それはジフウが放った、<砂利指弾>――
ジフウは左手に握った砂利を親指ではじき出し、銃弾のようにして飛ばしてきたのだ。
その速さも威力も、本物の銃弾と同等かそれ以上――
「まだまだ行くぞぉお!! ダラダラダラァアア!!」
ジフウは右手でも砂利を握りしめ、両手で<砂利指弾>をマシンガンのように連射する。
<鉄の防御>で身を固めるゼロラに対して、容赦ない砂利の雨が襲い掛かる。
国王直轄黒蛇部隊隊長として、王都に詳しかった事――
<コマンドサンボ>のスタイルを習得する最中で学んだ、戦場を活かした戦闘術――
一度はゼロラに傾いたかと思われた戦況は、戦場の変化でジフウの手中となった。
「くそぉ……くそがぁああ!!」
防戦一方だったゼロラは、意を決して守りを解く。
体をかがめて足元の砂利をすくい、ジフウに対して投げつける。
「チィ! 小賢しい真似を!」
ジフウは両手の<砂利指弾>で、ゼロラが放った散弾の如き砂利を徹底的に撃ち落とす。
それに気をとられたのが、ジフウにとっての誤算だった。
「ウオオオォ!!」
「し、しまった!? 砂利は囮か!?」
ジフウが砂利を掃討している間に、ゼロラは姿勢を低くしてジフウへと襲い掛かる。
「ヌゥン!」
「グヌゥ!?」
そのままゼロラはジフウを押し倒し、マウントでのパンチラッシュを放つ。
無慈悲な拳の雨が、ジフウを追い込む。
ドガッ! バキャン!
「ゴフッ!? な、舐めやがってぇええ!!」
だがジフウとてそれでは終わらない。
ゼロラのパンチを受け止めると、体を回転させてゼロラの腕に両足をかける。
「か……関節技……!?」
「ウハハハ! マウントで俺に勝負を挑んだのは間違いだったなぁあ!!」
得意の関節技に持ち込み、ジフウはゼロラの腕を極めにかかる。
ミシミシという音を感じながら、ゼロラの体に激痛が走り始める。
――それでもゼロラとて負けられない。
「オオオォ……!」
「グッ!? グヌヌヌゥ……!」
ゼロラの腕を挟み込むジフウの両足を、もう片方の腕使って強引にロックを外しにかかる。
ゼロラの必死の抵抗に、ジフウの関節技は完全に決まり切らず――
「オラァア!!」
「クソがぁあ!!」
――二人は再び切り離された。
「ならば……これでどうだぁあ!?」
地面を転がりながら、ジフウは再び砂利を掴んで<砂利指弾>を連射する。
「まだだぁああ!!」
それを見たゼロラは地面を蹴ってジフウの頭上へと飛び上がる。
そのまま全身を回転させながら放つ浴びせ蹴り――
――ドギャン!
「んぐぐぐぅ……!」
<砂利指弾>のために砂利を握っていたことが災いし、ジフウはゼロラの浴びせ蹴りに対してキャッチで投げ返すことができなかった。
腕を頭上で交差させてなんとかガードはできたが、膝をついたままだったその足元は、ゼロラの浴びせ蹴りの衝撃で砂利が吹き飛ぶ。
「ゼ……ゼロラァアア!!」
「ジフゥウウ!!」
ジフウは交差させた腕を払ってゼロラを吹き飛ばし、両手に持った砂利を捨てる。
そして再び、互いの全力での殴り合いが始まる――
パンチとキック、そしてガードとキャッチも交えた猛烈な技の攻防。
【零の修羅】と【龍殺しの狂龍】の二人の戦いはまだ終わらない――
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