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第22章 改革の歌

第303話 改革の協奏曲

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 ジャコウの指示により、王国騎士団の二番隊と三番隊が王都を出て進軍を始めた。
 三番隊が先頭を行き、少し遅れて二番隊が続く隊列。
 まずはスタアラ魔法聖堂の部隊を排除し、そのままギャングレオ盗賊団へと前線を押し進めようと考えていた。



 キィィィン――

「な、なんだこの音は!?」
「風切り音!? 上空からか!?」

 そんな後続の二番隊の上空で、何やら風を切る音がした。
 二番隊の隊士達が上空を見上げると、長い四肢を持った人影が目の前へと落ちてきた――



 ズガァアン!!



「クーカカカ~! 久しぶりだな~、王国騎士団二番隊のアホどもがよ~!」
「ド、ドクター・フロスト!?」
「フロスト! 貴様まで我ら王国騎士団の邪魔をするのか!?」

 二番隊にとっては元上司であるフロストが、背中から四本の機械のアームを生やして二番隊の面々の前へと降り立った。

「"元隊長"を付けろよな~! ほーほー……見知った顔も何人かいるが、俺がいたころとは別物になったみてーだな~」

 フロストは目の前にいる二番隊の面々を見ながら余裕を見せる。

 さらに上空から、巨大な鉄の箱がフロストの傍へと落とされる。

「よーし。フレイムの奴から武器の差し入れも来たな~。それじゃー……早速やるとするか~!」

 フロストは四本のアームで箱の中身を取り出し始める。
 そこから出てきたのは、フロストお気に入りの銃火器の数々――

「まずはこれだ~! "ロケットランチャー"! "超大口径ショットガン"! "レールガン"! 俺の雇い主の意向で、死なない程度に威力は加減してやるよ! だが……痛い目は見てもらうぜ~! クーカカカカ~!!」

 フロストが用意した銃火器の数々が二番隊の面々へと向けられ、一斉に火を噴く。

 ボガァアン! ズゴォオン! ギュィイン!

 フロストは一本のアームで体を支え、背中に発電機を接続しながら銃火器を連射する。
 フロストの時代のはるか先を行く科学力の結晶――
 その猛威が二番隊を次々に襲った。

「怖気づくな! 前方に防御魔法を展開し、押し進むのだ!」
「ほーう? 今の二番隊は魔法が主流なのか~? だが、無駄だ! フレイム! 空爆開始!!」

 防御魔法でフロストの攻撃を凌ごうとする二番隊だったが、それを見たフロストは空を見上げて弟の名を呼んだ――



「フオオオオ!」

 ボガァアン! ボガァアン!

「く、くそ!? 【王国最強】のフレイムまで出てきたか!?」

 上空で兄フロストを下ろし、支援物資を降下させた弟のフレイムが上空から爆弾を投下し始める。

 元王国騎士団二番隊である、フロストとフレイムの兄弟。
 その二人によって二番隊は完全に足止めされてしまった――





「二番隊が襲撃を受けたのか!? 相手はドクター・フロストとフレイムの兄弟だと!?」
「仕方あるまい! 我ら三番隊だけでも進軍するぞ!」

 後ろからついて来るはずの二番隊が襲撃に会い、一時動揺する三番隊だったが、その間にも前線を進めようと進軍を再開していた。



「どうやらフロストとフレイムは予定通りに動いてくれたみたいだな」
「そうだね。二番隊はあの古株二人に任せておこう」
「自分も頑張ります!」
「わ、私だって!」

 そんな三番隊の眼前に、一つの集団が現れた。

 その先頭の集団に立っていたのは、ゼロラ、ロギウス、ラルフル、マカロン。
 そして――





「王国騎士団の皆さん……私達の"改革の意思"を見てもらうのです!」

 ――改革派事実上の総大将、ガルペラ。
 自身の臣下を従えて、死んだと思われていたはずの少女が姿を現した。

「バ、バカな!? ガルペラ侯爵は死んだはず――」
「勝手に殺さないでほしいのです。あなた達の総大将である軍師ジャコウが、私達を嵌めたのは承知の上なのです。あなた達王国騎士団はそれを承知の上で従い、この戦いに挑むのですか?」

 目の前で語る少女の言葉は、三番隊に重くのしかかる。
 不義を働いた主の命の元、騎士としての誇りさえも失った、今の王国騎士団――

 貴族によって腐敗した権力の傀儡と化した王国騎士団だったが、今更それを覆せる状況にはなかった。

「わ、我らは主が命に従うまでだ!」
「その主というのは国王陛下なのです? それとも軍師ジャコウなのです? ……騎士たるもの、民のためを思えないのですか?」
「だ、黙れ! こうなったら仕方ない! ここでお前達を亡き者とし、裏返った事実を修復させてもらうぞ!」

 三番隊の面々はガルペラ達改革派に刃を向けた。

「……仕方ないのです。改革派の皆さん! 私達も戦うのです!」

 ガルペラの合図により、改革派の面々も戦いの構えをとる。
 もうお互いに後戻りはできない。
 それぞれが目指すもの。それぞれが信じるもの。それぞれが守りたいもの――

 それらを賭したルクガイア王国内での世紀の一戦は、その熱を増していった――
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