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第21章 開戦前日
第297話 挑戦・ギャングレオ盗賊団頭領
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「行くでぇ!」
シシバさんは掛け声と共にこちらに向かってきました。
圧倒的なスピードを活かした突進――
「くうぅ!?」
――そこから繰り出された拳を自分はなんとかガードします。
「まだ甘いな」
「え!?」
シシバさんはガードされた拳をひるがえしてさらに連撃を入れてきました!
速い!? その後も一度の攻撃で何度も手数を稼いできます!
「ま、まだです!」
「キシシ! 反応は悪ないな~!」
さらにはラッシュの途中で動きをキャンセルして、こちらの背後や側面に回り込んできます!
自分は守ってばかりで攻められません!
「ハァ、ハァ! な、なんですかその動きは……!?」
「<ジークンドー>っちゅうスタイルらしいわ。俺の我流が多分に入っとるが、これが俺の本来のスタイルや」
<ジークンドー>――
動き自体はかなり直線的ですが、最短の距離を最速で何度も狙い撃つスタイル……!
シシバさん最大の武器であるスピードをこれでもかと活かし、こちらに攻撃の機会など与えずに攻め立ててきます。
一度の動きで二発以上の攻撃……!
これが【隻眼の凶鬼】となる前のシシバさんの姿……!
「本当に速いですね……。自分でも動きを追うのが難しいです……」
「ほーう……? "全く追えない"ってわけやないんやな?」
シシバさんの言う通りです。
確かにシシバさんの動きを目で追うのは苦労しますが、追えないわけではありません。
――王宮を脱出する時に見たシシバさんの動きよりも、捉えることができます!
「そこです!」
「んがぎぃ!?」
自分が背後に振り向きながら放った裏拳――
それはシシバさんの頬に直撃しました。
「あったた~……! や、やっぱ間合いが掴めへんと辛いな~……」
「シシバのカシラ。手合わせッスからね。そこのところ、カシラ自身もお気を付けを」
こちらの裏拳を受けて痛がるシシバさんを見て、近くで見物していたサイバラさんが口を挟みます。
シシバさんが"打たれ弱い"ことは聞いていましたが、自分が思うに"隻眼である"ことも理由に含まれていそうです。
シシバさんは"隻眼"故に"距離感がうまく掴めない"そうですが、そのせいで"必要以上に相手の攻撃のダメージも受ける"ようです。
本来ならある程度身構えられる攻撃でも、シシバさんにとっては"全てが不意打ち"になってしまうようです。
「シシバさん。自分もあまり無理はしない方がいいと思いま――」
「キシシシ! 気にすんなや。もうちーっとだけ、俺に付き合ってもらうでぇ?」
シシバさんはこちらの話も聞かずに、再度戦いの構えをとります。
シシバさんは相変わらず<ジークンドー>による攻撃と、ラッシュをステップでキャンセルしながらの変則的な戦い方を組み合わせてきます。
ですが、自分も負けてはいません!
なんとかシシバさんの動きに食らいついて、攻撃を捌きながら反撃も交えます!
「……ラルフルもいい線きてるッスね。ですが、シシバのカシラの方が上みたいッス」
「ハァ……! ハァ……!」
見物しているサイバラさんが再度口を挟んできました。
サイバラさんが言う通り、いくらハンデを背負っていようと、シシバさんの圧倒的なスピードの方が自分を上回っています。
シシバさんも動きに慣れてきたのか、ガードの質も上がって来ています。
「まあ、こんなもんかいの。そろそろ次の攻防で終わりしよか」
シシバさんはその場で軽くステップを踏みながら、最後の攻撃を仕掛けてきました!
このままでは自分の負け――ですが、このまま終わりません!
「ハァアア!」
「んな!? キャッチやと!?」
自分はシシバさんのキックを腕でキャッチします!
いくらシシバさんのガードの質が上がっていようと、掴んでしまえばこっちのものです!
――そして、この状態からシシバさんに一撃加える技もあります!
「テヤァアア!!」
「うおぉ!?」
「!? あ、あれはオレが使った……!?」
シシバさんの足を掴んだまま、その体を地面へと叩きつけます!
以前自分がサイバラさんに使われた、力任せの投げ技です!
ドガンッ! ズガンッ!
一度――二度――
今の自分にはそれが精一杯でしたが――
「な、なんちゅうこっちゃ……。こんなちっこい体のどこにこないな力が……!?」
――シシバさんには十分なダメージを与えられたようです。
「……自分が一本取った。ということでよろしいでしょうか?」
「あ、ああ……。驚いたわ……。なんちゅう力技や……」
シシバさんはまだ戦えそうでしたが、これはそもそも手合わせです。
潔く負けを認めて、自分との戦いを終えました。
「ホンマ強うなっとるな……。これなら明日の戦いでも期待できそうやわ」
シシバさんは自分の健闘を称えてくれました。
ハンデ有の手合わせだったとはいえ、シシバさんに勝てたことは大きな自信になりました。
――自分は着実に強くなっています。
その自信を胸に、明日は皆さんと一緒に戦い抜く決心がつきました。
シシバさんは掛け声と共にこちらに向かってきました。
圧倒的なスピードを活かした突進――
「くうぅ!?」
――そこから繰り出された拳を自分はなんとかガードします。
「まだ甘いな」
「え!?」
シシバさんはガードされた拳をひるがえしてさらに連撃を入れてきました!
速い!? その後も一度の攻撃で何度も手数を稼いできます!
「ま、まだです!」
「キシシ! 反応は悪ないな~!」
さらにはラッシュの途中で動きをキャンセルして、こちらの背後や側面に回り込んできます!
自分は守ってばかりで攻められません!
「ハァ、ハァ! な、なんですかその動きは……!?」
「<ジークンドー>っちゅうスタイルらしいわ。俺の我流が多分に入っとるが、これが俺の本来のスタイルや」
<ジークンドー>――
動き自体はかなり直線的ですが、最短の距離を最速で何度も狙い撃つスタイル……!
シシバさん最大の武器であるスピードをこれでもかと活かし、こちらに攻撃の機会など与えずに攻め立ててきます。
一度の動きで二発以上の攻撃……!
これが【隻眼の凶鬼】となる前のシシバさんの姿……!
「本当に速いですね……。自分でも動きを追うのが難しいです……」
「ほーう……? "全く追えない"ってわけやないんやな?」
シシバさんの言う通りです。
確かにシシバさんの動きを目で追うのは苦労しますが、追えないわけではありません。
――王宮を脱出する時に見たシシバさんの動きよりも、捉えることができます!
「そこです!」
「んがぎぃ!?」
自分が背後に振り向きながら放った裏拳――
それはシシバさんの頬に直撃しました。
「あったた~……! や、やっぱ間合いが掴めへんと辛いな~……」
「シシバのカシラ。手合わせッスからね。そこのところ、カシラ自身もお気を付けを」
こちらの裏拳を受けて痛がるシシバさんを見て、近くで見物していたサイバラさんが口を挟みます。
シシバさんが"打たれ弱い"ことは聞いていましたが、自分が思うに"隻眼である"ことも理由に含まれていそうです。
シシバさんは"隻眼"故に"距離感がうまく掴めない"そうですが、そのせいで"必要以上に相手の攻撃のダメージも受ける"ようです。
本来ならある程度身構えられる攻撃でも、シシバさんにとっては"全てが不意打ち"になってしまうようです。
「シシバさん。自分もあまり無理はしない方がいいと思いま――」
「キシシシ! 気にすんなや。もうちーっとだけ、俺に付き合ってもらうでぇ?」
シシバさんはこちらの話も聞かずに、再度戦いの構えをとります。
シシバさんは相変わらず<ジークンドー>による攻撃と、ラッシュをステップでキャンセルしながらの変則的な戦い方を組み合わせてきます。
ですが、自分も負けてはいません!
なんとかシシバさんの動きに食らいついて、攻撃を捌きながら反撃も交えます!
「……ラルフルもいい線きてるッスね。ですが、シシバのカシラの方が上みたいッス」
「ハァ……! ハァ……!」
見物しているサイバラさんが再度口を挟んできました。
サイバラさんが言う通り、いくらハンデを背負っていようと、シシバさんの圧倒的なスピードの方が自分を上回っています。
シシバさんも動きに慣れてきたのか、ガードの質も上がって来ています。
「まあ、こんなもんかいの。そろそろ次の攻防で終わりしよか」
シシバさんはその場で軽くステップを踏みながら、最後の攻撃を仕掛けてきました!
このままでは自分の負け――ですが、このまま終わりません!
「ハァアア!」
「んな!? キャッチやと!?」
自分はシシバさんのキックを腕でキャッチします!
いくらシシバさんのガードの質が上がっていようと、掴んでしまえばこっちのものです!
――そして、この状態からシシバさんに一撃加える技もあります!
「テヤァアア!!」
「うおぉ!?」
「!? あ、あれはオレが使った……!?」
シシバさんの足を掴んだまま、その体を地面へと叩きつけます!
以前自分がサイバラさんに使われた、力任せの投げ技です!
ドガンッ! ズガンッ!
一度――二度――
今の自分にはそれが精一杯でしたが――
「な、なんちゅうこっちゃ……。こんなちっこい体のどこにこないな力が……!?」
――シシバさんには十分なダメージを与えられたようです。
「……自分が一本取った。ということでよろしいでしょうか?」
「あ、ああ……。驚いたわ……。なんちゅう力技や……」
シシバさんはまだ戦えそうでしたが、これはそもそも手合わせです。
潔く負けを認めて、自分との戦いを終えました。
「ホンマ強うなっとるな……。これなら明日の戦いでも期待できそうやわ」
シシバさんは自分の健闘を称えてくれました。
ハンデ有の手合わせだったとはいえ、シシバさんに勝てたことは大きな自信になりました。
――自分は着実に強くなっています。
その自信を胸に、明日は皆さんと一緒に戦い抜く決心がつきました。
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