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第20章 獅子は吠え、虎は猛る
第275話 対決・ギャングレオ盗賊団頭領『凶』①
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「ここがガルペラ侯爵邸の屋上か。ここにシシバが――」
――ヒュゥウン!!
「ッ!?」
屋敷の屋上にたどり着いた俺に突如高速で何かが飛来してきた。
回転しながら弧を描き、鋭い風切り音を上げながらその飛行物体は屋上の中央にいる人物の手元へと渡る――
「ゼロラはんか……。丁度ええわ。ガルペラ……どこ行きおった?」
――シシバだ。
やはり他のギャングレオ盗賊団と同じように正気を失っている。
左手にはいつものようにトンファーを装備し、右手には先程の飛来していた物体を握りしめている。
「――その右手にあるのは、"ブーメラン"か」
「ああ、せや。俺も普段は滅多なことでは使わへん。せやけど……ガルペラをぶちのめすためには、これぐらい必要やと思うたからなぁ……!」
バール、トンファーに次ぐシシバの新たな武器――ブーメラン。
外側を鋭利な刃にすることで殺傷力を高めている。
「落ち着け、シシバ。お前らは嵌められて――」
「うっさい、ボケェエ!! ガルペラの居場所吐かんのやったら、たとえゼロラはんであろうと容赦せえへんでぇ……!」
なんとか言葉でシシバを説得しようと試みるが、取り付く島もない。
どうやら力ずくで大人しくさせるしかないようだな――
「シシバ。お前は正気を失ってる。悪いが少しばかり鉄拳制裁で頭を冷やしてもらうぜ……!」
「やれるもんならやってみろや……! リョウの想い人やかなんやか知らんが、俺のギャングレオ盗賊団をぶっ壊した輩の肩持つなら許さへんでぇ……!」
シシバは怒りの形相でこちらを睨みながら、ブーメランとトンファーを同時に構える……!
「キエアァア!!」
ヒュゥウウン!!
シシバが右手に持ったブーメランを投げつけてきた!
高速で回転しながらその刃が俺の首元を狙う!
「遠距離攻撃とはな……! また面倒な武器を用意したもんだ……!」
俺はシシバが投げたブーメランを回避した。
――だが再度目の前を見た時、シシバの姿は消えていた。
「後ろか!?」
ガキン!
シシバは俺がブーメランに気をとられている内に、背後へと回り込んでいた!
俺はトンファーによる一撃を寸前のところでガードする!
「相変わらずデタラメなスピードだな……!」
「ブーメランっちゅう隠し玉まで使うたんや。完全にぶちのめさしてもらうでぇ……!」
今回のシシバは完全に俺を殺す気で来ている。
ただでさえ手加減できる相手じゃないのに、ここまで殺意をむき出しにされては――
ヒュゥウン!
「しまった!? ブーメランか!?」
シシバの動きに気をとられていた俺の死角から、ブーメランが襲い掛かる!
俺はしゃがんで回避するが、シシバもすぐさま得意の超高速移動で俺から離れる!
「ふん! 俺のブーメランも躱しおるか! ホンマ喧嘩の腕だけは立ちおるわ! ……腹立つぐらいになぁあ!!」
距離をとったシシバはブーメランを一度手元に戻す。
今回のシシバの戦い方はブーメランによる遠距離攻撃とトンファーによる近接攻撃の二刀流――
そこにシシバお得意のスピードが加われば、縦横無尽の攻撃を展開可能……!
「行くで―― 俺のトップスピードに……ついてこれるもんなら、ついてこいやぁああ!!」
ヒュゥウン! シュゥウン!!
ブーメランを投げた後にシシバが超高速移動状態に入る!
「くそ!? 速いだけじゃない……! 手数まで増えられるとは……!」
シシバのブーメランを捌きながら、突進してくるシシバ本人の攻撃にも対処する!
とにかく攻撃の手数が多い! シシバ最大の武器でもあるスピードをこれでもかと見せつけてくる!
「舐めるなぁあ!!」
「甘いわぁあ!!」
接近してきたシシバに殴り掛かろうとするが、シシバはそのまま俺の横を通り過ぎる――
――ヒュゥウン!!
「!? しまった!? 本命はブーメラン――」
ザシュッ――
――気付いた時には遅かった。
俺のガードは間に合わず、ブーメランが肩を掠めて飛んでいく。
「大人しゅう俺にぶちのめられろや! それが嫌なら――さっさとガルペラの居所吐かんかい!!」
なおも激昂状態のシシバ。
幸いブーメランは俺の肩を掠めただけ。この程度の傷ならばまだ耐えられる。
ただでさえ速さに物を言わせるシシバの戦い方にブーメランの追撃まで入るこの状況。
前回のようにカウンターを狙おうにも、シシバ本体に気をとられていてはブーメランにまで対処できない。
――だが幸いなことはもう一つある。
"シシバが我を失って猛攻を仕掛けてきている"ことだ――
――ヒュゥウン!!
「ッ!?」
屋敷の屋上にたどり着いた俺に突如高速で何かが飛来してきた。
回転しながら弧を描き、鋭い風切り音を上げながらその飛行物体は屋上の中央にいる人物の手元へと渡る――
「ゼロラはんか……。丁度ええわ。ガルペラ……どこ行きおった?」
――シシバだ。
やはり他のギャングレオ盗賊団と同じように正気を失っている。
左手にはいつものようにトンファーを装備し、右手には先程の飛来していた物体を握りしめている。
「――その右手にあるのは、"ブーメラン"か」
「ああ、せや。俺も普段は滅多なことでは使わへん。せやけど……ガルペラをぶちのめすためには、これぐらい必要やと思うたからなぁ……!」
バール、トンファーに次ぐシシバの新たな武器――ブーメラン。
外側を鋭利な刃にすることで殺傷力を高めている。
「落ち着け、シシバ。お前らは嵌められて――」
「うっさい、ボケェエ!! ガルペラの居場所吐かんのやったら、たとえゼロラはんであろうと容赦せえへんでぇ……!」
なんとか言葉でシシバを説得しようと試みるが、取り付く島もない。
どうやら力ずくで大人しくさせるしかないようだな――
「シシバ。お前は正気を失ってる。悪いが少しばかり鉄拳制裁で頭を冷やしてもらうぜ……!」
「やれるもんならやってみろや……! リョウの想い人やかなんやか知らんが、俺のギャングレオ盗賊団をぶっ壊した輩の肩持つなら許さへんでぇ……!」
シシバは怒りの形相でこちらを睨みながら、ブーメランとトンファーを同時に構える……!
「キエアァア!!」
ヒュゥウウン!!
シシバが右手に持ったブーメランを投げつけてきた!
高速で回転しながらその刃が俺の首元を狙う!
「遠距離攻撃とはな……! また面倒な武器を用意したもんだ……!」
俺はシシバが投げたブーメランを回避した。
――だが再度目の前を見た時、シシバの姿は消えていた。
「後ろか!?」
ガキン!
シシバは俺がブーメランに気をとられている内に、背後へと回り込んでいた!
俺はトンファーによる一撃を寸前のところでガードする!
「相変わらずデタラメなスピードだな……!」
「ブーメランっちゅう隠し玉まで使うたんや。完全にぶちのめさしてもらうでぇ……!」
今回のシシバは完全に俺を殺す気で来ている。
ただでさえ手加減できる相手じゃないのに、ここまで殺意をむき出しにされては――
ヒュゥウン!
「しまった!? ブーメランか!?」
シシバの動きに気をとられていた俺の死角から、ブーメランが襲い掛かる!
俺はしゃがんで回避するが、シシバもすぐさま得意の超高速移動で俺から離れる!
「ふん! 俺のブーメランも躱しおるか! ホンマ喧嘩の腕だけは立ちおるわ! ……腹立つぐらいになぁあ!!」
距離をとったシシバはブーメランを一度手元に戻す。
今回のシシバの戦い方はブーメランによる遠距離攻撃とトンファーによる近接攻撃の二刀流――
そこにシシバお得意のスピードが加われば、縦横無尽の攻撃を展開可能……!
「行くで―― 俺のトップスピードに……ついてこれるもんなら、ついてこいやぁああ!!」
ヒュゥウン! シュゥウン!!
ブーメランを投げた後にシシバが超高速移動状態に入る!
「くそ!? 速いだけじゃない……! 手数まで増えられるとは……!」
シシバのブーメランを捌きながら、突進してくるシシバ本人の攻撃にも対処する!
とにかく攻撃の手数が多い! シシバ最大の武器でもあるスピードをこれでもかと見せつけてくる!
「舐めるなぁあ!!」
「甘いわぁあ!!」
接近してきたシシバに殴り掛かろうとするが、シシバはそのまま俺の横を通り過ぎる――
――ヒュゥウン!!
「!? しまった!? 本命はブーメラン――」
ザシュッ――
――気付いた時には遅かった。
俺のガードは間に合わず、ブーメランが肩を掠めて飛んでいく。
「大人しゅう俺にぶちのめられろや! それが嫌なら――さっさとガルペラの居所吐かんかい!!」
なおも激昂状態のシシバ。
幸いブーメランは俺の肩を掠めただけ。この程度の傷ならばまだ耐えられる。
ただでさえ速さに物を言わせるシシバの戦い方にブーメランの追撃まで入るこの状況。
前回のようにカウンターを狙おうにも、シシバ本体に気をとられていてはブーメランにまで対処できない。
――だが幸いなことはもう一つある。
"シシバが我を失って猛攻を仕掛けてきている"ことだ――
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