記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第19章 光と闇の交差点

第261話 対決・魔幻塔大神官④

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「リョ……リョウさん……!? でも、それはゼロラさんから貰った大切な――」
「ジャ――ジャコウは――このブローチに――術式――書いて――だ、だから――これ――壊せば――お――お願いだ! ――急いで!!」

 リョウが自らのブローチを壊すことを願うのを見て、マカロンは躊躇する。
 それでもリョウは俺達にブローチを破壊させることを願い出る。

 ――気力を振り絞ってこちらを見上げたリョウの顔からは涙があふれていた。
 
『もうこんなことはしたくない。何としてでもボクを止めてほしい』

 そんなリョウの気持ちが痛いほど伝わってくる――

「……やるぞ。リョウの思いを無駄にしないためにも……あのブローチを破壊する!!」

 俺がリョウのためを思ってプレゼントしたブローチ……。
 だが、それがリョウを苦しめる元凶となってしまっているのならば――

 ――俺自身の手で破壊する!

「マカロン! 俺とシシバにもう一度光の波動を纏わせてくれ! 無茶は承知だが――頼む!!」
「……分かりました! 私のありったけの力を使って光の波動をかけます!」

 俺とシシバの体がこれまで以上の光の波動に包まれる。
 マカロンも相当無茶をしているが、リョウを助けるために死に物狂いで魔法をかける。

「は、早く――ま、また――動き――だし――うぅ……」

 俺達に<ミラークイーン>を止める方法を伝えていたリョウだったが、再び意識を失ってうな垂れてしまう。
 そして――<ミラークイーン>が再び動き出した!

「ゼロラはん! 俺があの<ミラークイーン>とかいう奴のパンチを止めたる! リョウのブローチを壊すんは任せたで!!」
「分かった! 頼んだぞ!!」

 俺とシシバは同時に<ミラークイーン>へと飛び掛かった!

『おノれェエエエ!! 矮小な人間風情ガぁああ!! ワたしノ邪魔を――スルなァアアアア!!!』

 <ミラークイーン>の主である少女の声が再び発せられ、こちらへの憎悪をむき出しにする!
 その両拳を同時に繰り出し、俺とシシバを挟みこもうとする――

「隻眼になってからこれを使うんは初めてやが……やったるわぁあ!! <鬼勁・双>!!」

 ――その両拳に向かってトンファーを投げ捨てたシシバが飛びあがり、自らの両手でそれぞれ<鬼勁>を放つ!

 ボガァアン! ボガァアン!

 シシバが放った二つの<鬼勁>――<鬼勁・双>で<ミラークイーン>の両拳が弾かれ、わずかだが腹部への道が開かれる!

『ナ、なゼだ!? <ミラークイーン>の攻撃ヲ弾いタだと!? 人間如キが――人間如きガァアアア!!!』

 少女の声は怒り狂いながら驚愕している。

 ――姿は見えないし、<ミラークイーン>を操っている少女が何故これほどまでに人間への憎しみを募らせているのかは分からない。
 だが――そんなことは関係なしに、今の俺達がするべきことはただ一つ――



 ――リョウを助け出す!

「リョォォオウ!!」

 俺はシシバが開いてくれた道を走り、マカロンが与えてくれた光の波動を拳に纏わせて、<ミラークイーン>の腹部に囚われているリョウの元へと突進する――



「――ゼロラ殿――た、助けて――」

 俺が近づいてきたのを感じ取ったのか、リョウは自らの頭を上げて両手を広げる。
 リョウの胸元にあるブローチがハッキリと狙えるようになった――

「ウゥゥラァァアア!!!」

 俺は決死の思いで拳を突き出し――



 パリィィイン――



 ――リョウの胸元のブローチを砕いた。

『お、オノれェエエ!!?? よクモ――ヨくもヤってクレたなァアア!!??』

 リョウのブローチが砕け散ったことで、<ミラークイーン>を作り出していた闇がどんどんと消えていく――
 本体と思われる少女の声も少しずつ遠のいていく――

『こレデ終わラナいからナァ……! ワたシは必ず貴様ラ人間ヲ始末し、コノ世界を破滅ノ悪夢へトいつカ――イツか必ず誘ってやルカラなぁああ――――』

 少女の声は憎悪と怨嗟を残しながらも、<ミラークイーン>と共にこの場から消えていった……。
 そして辺りに溢れていた大量の闇もどんどんと蒸発するように消えていく……。

 ひどく憎悪に溢れ、悲しみに満ちた少女の声だったが……あれは一体誰の……?

「そ、そうだ!? リョウ!? 大丈夫か!?」

 <ミラークイーン>が消滅したことで、囚われていたリョウの体も宙へと投げ出される。
 俺は急いでリョウの元に駆け寄ってその体を抱きしめる。

「おい!? しっかりしろ! リョウ! リョウ!!」

 俺は必死にリョウへと声をかけるが、返事は返ってこない。

 それにリョウの体が異様なまでに冷たい。
 まさか……そんな――





「や……やあ……ゼロラ……殿……。本当に……君は……頼もしい……ね……」
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