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第16章 自分はあの日から変わりました
第216話 白状してもらいます
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ラルフル達が洞窟に入ってしばらくすると、一人の男が洞窟へと足を踏み入れた。
「また、この場所に来ることになるとは……」
ルクガイア王国騎士団団長、バルカウス。
先代勇者パーティーと当代勇者パーティーのどちらにも所属していた歴戦の戦士。
現在は魔法も扱えるようになり、魔法戦士となっている。
そんな彼の元に贈られた一通の手紙。
内容は『この場所まで一人で来い』というもの。差出人の名前は"ラルフル"。
「もはや拙者が逃げられるものではないな……」
本来バルカウスは非道を好まぬ武人肌であった。
この手紙に従い一人でここにやって来たのも、己の不義を自覚してのこと。
バルカウスは洞窟の奥へと進む。
かつての己の過ちが始まった場所へと――
「!? お主は……!?」
「…………」
洞窟の先にいたのは漆黒のローブとフードで全身を覆った一人の影。
それはバルカウスが犯した過ちの象徴。彼にとって、本来ここで会うはずがない存在。
その影は黙ってバルカウスを見ている。
驚愕しつつも、バルカウスはその影の正体を確かめるため、少しづつ歩を進める。
――彼を見張る三人の気配には気付かずに。
ボゥン! ガキィイイン!
「こ、これは!? 氷魔法か!?」
物陰から放たれた氷の弾丸がバルカウスの足を凍らせ、動きを奪う。
「リョウさん! バルカウスの動きを止められたわ! お願い!」
氷の弾丸を放ったのはマカロンであった。
フロストによって氷結弾が発射されるように改造されたグレネードランチャーで、バルカウスの足を狙って動きを止めた。
「流石だね、マカロン! ミリア様! 行くよ!」
「ええ! 合わせるわよ! リョウ大神官!」
マカロンがバルカウスの動きを止めたのに合わせてリョウとミリアも飛び出し、二人掛かりで拘束魔法を唱える。
「ぐっ!? 全身の動きが!? ぬ、抜けられぬ!?」
リョウとミリアが唱えた拘束魔法によって、バルカウスの上半身が光る魔法のロープで腕ごと巻きつけられる。
足は氷漬けにされ、腕は体ごと魔法で縛られている。
バルカウスは身動き一つとれなくなってしまった。
「こちらから呼び出しておいて、急にこのような真似をして申し訳ございません。バルカウス様」
マカロン、リョウ、ミリアによって動きを止められたバルカウスに、目の前の黒衣の人影がゆっくりと歩いていく。
人影はバルカウスに近づきながら話を続ける――
「ですが、こうでもしないとあなたと話ができないと思いました。自分は……どうしてもあなたに聞きたいことがあるのです」
「その声は……。そうか……やはりそういうことか」
バルカウスは目の前の人影の正体が誰だか分かった。
それは己の過ちによって、全てを奪われた少年。
「バルカウス様。あなたが持つ魔力……それは他者から奪ったものですね?」
「……その通りだ」
バルカウスの前まで来た人影は、彼を見つめながら問いかける。
その問いの内容を、バルカウスは素直に認める。
バルカウスを囲う四人はその言葉で全てを理解した。
自分達の仮説は正しかった。
バルカウスがこんな誘いに乗って一人でここに来たのも、自責の念があったからだということをその様子から伺えた。
「……分かりました。それではあの日、この場所で何があったのか――」
黒衣の人影はローブの肩に手をかけ、そのローブを脱ぎ捨てた。
「――全てを……白状してもらいます」
「ラルフル……」
ラルフルの姿を確認したバルカウスは、全てを話し始めた――
「また、この場所に来ることになるとは……」
ルクガイア王国騎士団団長、バルカウス。
先代勇者パーティーと当代勇者パーティーのどちらにも所属していた歴戦の戦士。
現在は魔法も扱えるようになり、魔法戦士となっている。
そんな彼の元に贈られた一通の手紙。
内容は『この場所まで一人で来い』というもの。差出人の名前は"ラルフル"。
「もはや拙者が逃げられるものではないな……」
本来バルカウスは非道を好まぬ武人肌であった。
この手紙に従い一人でここにやって来たのも、己の不義を自覚してのこと。
バルカウスは洞窟の奥へと進む。
かつての己の過ちが始まった場所へと――
「!? お主は……!?」
「…………」
洞窟の先にいたのは漆黒のローブとフードで全身を覆った一人の影。
それはバルカウスが犯した過ちの象徴。彼にとって、本来ここで会うはずがない存在。
その影は黙ってバルカウスを見ている。
驚愕しつつも、バルカウスはその影の正体を確かめるため、少しづつ歩を進める。
――彼を見張る三人の気配には気付かずに。
ボゥン! ガキィイイン!
「こ、これは!? 氷魔法か!?」
物陰から放たれた氷の弾丸がバルカウスの足を凍らせ、動きを奪う。
「リョウさん! バルカウスの動きを止められたわ! お願い!」
氷の弾丸を放ったのはマカロンであった。
フロストによって氷結弾が発射されるように改造されたグレネードランチャーで、バルカウスの足を狙って動きを止めた。
「流石だね、マカロン! ミリア様! 行くよ!」
「ええ! 合わせるわよ! リョウ大神官!」
マカロンがバルカウスの動きを止めたのに合わせてリョウとミリアも飛び出し、二人掛かりで拘束魔法を唱える。
「ぐっ!? 全身の動きが!? ぬ、抜けられぬ!?」
リョウとミリアが唱えた拘束魔法によって、バルカウスの上半身が光る魔法のロープで腕ごと巻きつけられる。
足は氷漬けにされ、腕は体ごと魔法で縛られている。
バルカウスは身動き一つとれなくなってしまった。
「こちらから呼び出しておいて、急にこのような真似をして申し訳ございません。バルカウス様」
マカロン、リョウ、ミリアによって動きを止められたバルカウスに、目の前の黒衣の人影がゆっくりと歩いていく。
人影はバルカウスに近づきながら話を続ける――
「ですが、こうでもしないとあなたと話ができないと思いました。自分は……どうしてもあなたに聞きたいことがあるのです」
「その声は……。そうか……やはりそういうことか」
バルカウスは目の前の人影の正体が誰だか分かった。
それは己の過ちによって、全てを奪われた少年。
「バルカウス様。あなたが持つ魔力……それは他者から奪ったものですね?」
「……その通りだ」
バルカウスの前まで来た人影は、彼を見つめながら問いかける。
その問いの内容を、バルカウスは素直に認める。
バルカウスを囲う四人はその言葉で全てを理解した。
自分達の仮説は正しかった。
バルカウスがこんな誘いに乗って一人でここに来たのも、自責の念があったからだということをその様子から伺えた。
「……分かりました。それではあの日、この場所で何があったのか――」
黒衣の人影はローブの肩に手をかけ、そのローブを脱ぎ捨てた。
「――全てを……白状してもらいます」
「ラルフル……」
ラルフルの姿を確認したバルカウスは、全てを話し始めた――
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