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第16章 自分はあの日から変わりました
第215話 仮説の追求
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「ここが……ラルフルが魔力を失った洞窟ね」
「パッと見たところ変わったところはないけど……」
自分達は目的の洞窟に到着しました。
自分が魔力を失った場所。勇者パーティーから追い出された場所。――自分の全てが終わったと思った場所。
お姉ちゃんとミリアさんは洞窟の様子を見て回っていますが、今のところ特に変わった様子はないようです。
洞窟は少し奥に広い空間があるだけで、モンスターもいません。
「ふむ……。妙だね」
リョウ大神官は奥の方まではいかず、何か考え事をしているようです。
「どうかされましたか? リョウ大神官」
「いや……。ラルフル君達当時の勇者パーティーは、そもそもどうしてこんな洞窟に立ち寄ったのかな?」
「あの時は……レイキース様から『放置しておくと危険なモンスターが住み着いている』と言われて立ち寄ったんです」
そう。ここは辺鄙な洞窟ですが近くに街道もあるため、【伝説の魔王】討伐の前の下準備として向かうようレイキース様に言われたのです。
「では、その時はレイキースを含む勇者パーティー全員がこの洞窟に揃っていたんだね?」
「いえ。あの時はレイキース様が洞窟近くの街道警備をしていたので、自分とバルカウス様とリフィー様の三人だけです」
「三人だけ……? それはますますもって妙だね……」
リョウ大神官はさらに考え込み始めました。何かおかしな点があるのでしょうか?
「ラルフル君。君はそのモンスターを目にしたんだね? どんなモンスターだった?」
「漆黒の衣装を纏った人型のモンスターでした。剣を持っていて、顔はフードで全く見えませんでした」
「漆黒の衣装? 剣を持った? 顔が全く見えない? ……そのモンスターに魔力を奪われたのかい?」
「おそらく……。あの時自分はそのモンスターの攻撃で気を失って、目が覚めた時には魔力を失っていました」
「まさか……」
自分への質問を重ねる中で、リョウ大神官は何かに気付いたようです。
そして普段自分に見せることのない真剣な表情をしながら、自分に語ってきました。
「ラルフル君……落ち着いて聞いてほしい。まずこれまでの話には"おかしな点"がいくつか存在するんだ」
「おかしな点……ですか?」
「ああ。ボクはこの洞窟と近くの街道、及びその周辺のモンスター分布図を知っている。その分布図によると、この辺りに生息しているのは四足歩行の獣型モンスターだけだ。これはラルフル君が勇者パーティーにいたころから変わらない」
「確かにあの時も洞窟周辺には獣型モンスターしかいませんでしたが……それがどう関係するのですか?」
「この洞窟には……"獣型モンスターがいた気配がない"んだよ」
獣型モンスターがいた気配がない? どうしてそんなことが分かるのでしょうか……?
「リョウ大神官が言っていることは事実よ、ラルフル。アタシもこの洞窟を見て回ったけど、どこにも"獣型モンスターの爪痕や毛"といったものが見当たらないのよ」
自分達の話にミリアさんも加わりました。
「あの時の人型モンスターがいたせいで、他のモンスターも近寄らなかったんじゃないですか?」
「その人型モンスターが倒されたのも二年以上前の話よ? その間に近隣のモンスターが住み着いてもいいのに、その気配すらないのよ。それにアタシが感じるこの洞窟の気配……。これは何か神聖な力がこの洞窟自体に宿っているからだと思うわ」
神聖な力ですか? それはつまり――
「流石はミリア様だね。この気配には敏感なようだ。そう、この洞窟には"魔除けになる神聖な力"が元々備わっている。おそらく天然のものだろう。そんな場所にそもそも"モンスターが住み着くこと"自体がおかしいんだよ」
「そ、それじゃあ……自分が戦ったあのモンスターは……?」
断言はできませんが、モンスターですらなかったということですか……?
「ラルフル、リョウさん……。これまでの話を聞いてると、そのラルフルが戦った相手ってもしかして人間なんじゃ……?」
さらに自分達の話にお姉ちゃんも加わりました。
「マカロンもそう思うんだね。僕も同じさ。そしてラルフル君が戦った相手……それはこんな姿をしてたんじゃないかな?」
リョウ大神官が魔法で空間からローブを取り出すと、それを自らの身に纏いました。
その姿は――
「じ、自分があの時戦った、黒い衣装の人型モンスター……!?」
「ど、どうなってるのよ!? フードで顔まで完全に隠れてるじゃないの!?」
「それに、リョウさんの体格まで変わってる……!?」
自分もミリアさんもお姉ちゃんも驚きました。
リョウ大神官の姿は自分が昔戦った、黒い衣装の人型モンスターと同じ姿になっていました。
さらにはミリアさんが言う通りフードを被るとその影で顔は完全に隠れ、体格も普段のリョウ大神官とは違うものに変わってしまいました。
「これは擬態系の魔法効果を付与した衣装だよ。身に着けると、相手にはその姿が別人になったように見えるものさ。ボクが着ているのは魔幻塔にあったものでね。ボクが以前何度か魔幻塔を抜け出すために使わせてもらったのさ」
黒い衣装からする声は、リョウ大神官のもので間違いありません。
確かにこの衣装があれば、人間であってもモンスターのように振舞って敵を欺けるかもしれません……。
「そしてこの衣装……。それなりに高度な魔法効果を付与しているけど、魔法効果さえ分かって術者の腕前さえあれば、同じものを再現することは可能だ」
リョウ大神官は衣装を脱ぎながら、自分達に解説を続けます。
「もっとも、剣を扱ったりなどといった技術的な変装まではできない。擬態系の魔法効果を付与できる程の腕を持ち、剣を扱え、あの時この場にいなかった人物――」
リョウ大神官が誰のことを言おうとしているのか分かりました……。分かってしまいました……。
それらすべての条件に当てはまる人物はただ一人――
「勇者……レイキース様!?」
「パッと見たところ変わったところはないけど……」
自分達は目的の洞窟に到着しました。
自分が魔力を失った場所。勇者パーティーから追い出された場所。――自分の全てが終わったと思った場所。
お姉ちゃんとミリアさんは洞窟の様子を見て回っていますが、今のところ特に変わった様子はないようです。
洞窟は少し奥に広い空間があるだけで、モンスターもいません。
「ふむ……。妙だね」
リョウ大神官は奥の方まではいかず、何か考え事をしているようです。
「どうかされましたか? リョウ大神官」
「いや……。ラルフル君達当時の勇者パーティーは、そもそもどうしてこんな洞窟に立ち寄ったのかな?」
「あの時は……レイキース様から『放置しておくと危険なモンスターが住み着いている』と言われて立ち寄ったんです」
そう。ここは辺鄙な洞窟ですが近くに街道もあるため、【伝説の魔王】討伐の前の下準備として向かうようレイキース様に言われたのです。
「では、その時はレイキースを含む勇者パーティー全員がこの洞窟に揃っていたんだね?」
「いえ。あの時はレイキース様が洞窟近くの街道警備をしていたので、自分とバルカウス様とリフィー様の三人だけです」
「三人だけ……? それはますますもって妙だね……」
リョウ大神官はさらに考え込み始めました。何かおかしな点があるのでしょうか?
「ラルフル君。君はそのモンスターを目にしたんだね? どんなモンスターだった?」
「漆黒の衣装を纏った人型のモンスターでした。剣を持っていて、顔はフードで全く見えませんでした」
「漆黒の衣装? 剣を持った? 顔が全く見えない? ……そのモンスターに魔力を奪われたのかい?」
「おそらく……。あの時自分はそのモンスターの攻撃で気を失って、目が覚めた時には魔力を失っていました」
「まさか……」
自分への質問を重ねる中で、リョウ大神官は何かに気付いたようです。
そして普段自分に見せることのない真剣な表情をしながら、自分に語ってきました。
「ラルフル君……落ち着いて聞いてほしい。まずこれまでの話には"おかしな点"がいくつか存在するんだ」
「おかしな点……ですか?」
「ああ。ボクはこの洞窟と近くの街道、及びその周辺のモンスター分布図を知っている。その分布図によると、この辺りに生息しているのは四足歩行の獣型モンスターだけだ。これはラルフル君が勇者パーティーにいたころから変わらない」
「確かにあの時も洞窟周辺には獣型モンスターしかいませんでしたが……それがどう関係するのですか?」
「この洞窟には……"獣型モンスターがいた気配がない"んだよ」
獣型モンスターがいた気配がない? どうしてそんなことが分かるのでしょうか……?
「リョウ大神官が言っていることは事実よ、ラルフル。アタシもこの洞窟を見て回ったけど、どこにも"獣型モンスターの爪痕や毛"といったものが見当たらないのよ」
自分達の話にミリアさんも加わりました。
「あの時の人型モンスターがいたせいで、他のモンスターも近寄らなかったんじゃないですか?」
「その人型モンスターが倒されたのも二年以上前の話よ? その間に近隣のモンスターが住み着いてもいいのに、その気配すらないのよ。それにアタシが感じるこの洞窟の気配……。これは何か神聖な力がこの洞窟自体に宿っているからだと思うわ」
神聖な力ですか? それはつまり――
「流石はミリア様だね。この気配には敏感なようだ。そう、この洞窟には"魔除けになる神聖な力"が元々備わっている。おそらく天然のものだろう。そんな場所にそもそも"モンスターが住み着くこと"自体がおかしいんだよ」
「そ、それじゃあ……自分が戦ったあのモンスターは……?」
断言はできませんが、モンスターですらなかったということですか……?
「ラルフル、リョウさん……。これまでの話を聞いてると、そのラルフルが戦った相手ってもしかして人間なんじゃ……?」
さらに自分達の話にお姉ちゃんも加わりました。
「マカロンもそう思うんだね。僕も同じさ。そしてラルフル君が戦った相手……それはこんな姿をしてたんじゃないかな?」
リョウ大神官が魔法で空間からローブを取り出すと、それを自らの身に纏いました。
その姿は――
「じ、自分があの時戦った、黒い衣装の人型モンスター……!?」
「ど、どうなってるのよ!? フードで顔まで完全に隠れてるじゃないの!?」
「それに、リョウさんの体格まで変わってる……!?」
自分もミリアさんもお姉ちゃんも驚きました。
リョウ大神官の姿は自分が昔戦った、黒い衣装の人型モンスターと同じ姿になっていました。
さらにはミリアさんが言う通りフードを被るとその影で顔は完全に隠れ、体格も普段のリョウ大神官とは違うものに変わってしまいました。
「これは擬態系の魔法効果を付与した衣装だよ。身に着けると、相手にはその姿が別人になったように見えるものさ。ボクが着ているのは魔幻塔にあったものでね。ボクが以前何度か魔幻塔を抜け出すために使わせてもらったのさ」
黒い衣装からする声は、リョウ大神官のもので間違いありません。
確かにこの衣装があれば、人間であってもモンスターのように振舞って敵を欺けるかもしれません……。
「そしてこの衣装……。それなりに高度な魔法効果を付与しているけど、魔法効果さえ分かって術者の腕前さえあれば、同じものを再現することは可能だ」
リョウ大神官は衣装を脱ぎながら、自分達に解説を続けます。
「もっとも、剣を扱ったりなどといった技術的な変装まではできない。擬態系の魔法効果を付与できる程の腕を持ち、剣を扱え、あの時この場にいなかった人物――」
リョウ大神官が誰のことを言おうとしているのか分かりました……。分かってしまいました……。
それらすべての条件に当てはまる人物はただ一人――
「勇者……レイキース様!?」
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