記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第15章 メカトロニクス・ファイト

第196話 心動かされた者達

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「ゼロラ殿! ロギウス殿下! 大丈夫でおじゃるか!?」

 オジャル伯爵は俺とロギウスを心配して駆け寄ってきた。

「ああ、大丈夫だ。それよりも助かったぜ」
「本当に助かったよ。……だけど、なぜオジャル伯爵がここに?」

 オジャル伯爵の救援に感謝する俺達だったが、ロギウスが当然の疑問を口にした。
 するとオジャル伯爵とオクバが横に並び、その後ろに部下が揃った形で全員が俺達の前に膝をついた。

「まろ達はあの"円卓会議"の場で、ゼロラ殿の発言に心動かされたでおじゃる。そして自分達にもできる事はないかと思い、今はこのダウンビーズの治安維持に努めているでおじゃる」
「ダウンビーズにはおでの知り合いも多いど。オジャル伯爵から話を聞いて、ゼロラの旦那たちが望む世界なら、おでたちのような亜人も生きられる世界ができると思い、おでとオジャル伯爵はまずこのダウンビーズの声を聴き、住人を守るために動いているど」

 俺が刺されたあの日に行われていた"円卓会議"。
 そこでの俺の言葉はオジャル伯爵の心にも届いていたようだ。
 オジャル伯爵だけではない。聞いた話ではこれまで利権を貪るだけだった他の貴族達も、自分達の在り方を考えて動き始めているようだ。

「フッ。そいつは本当に有難い話だ」
「全くだね。ゼロラ殿の発言は確かな効果があったようだ」

 喜ぶ俺にロギウスも同調してくれる。

「オジャル伯爵。あなたは僕の父上、ルクベール三世陛下とはあの後、話はできたのか?」
「"円卓会議"の二日後に話せたでおじゃる。まろはあの"円卓会議"の議事進行を務めていたでおじゃるので機会を貰えたでおじゃる。まろの方でも陛下の……心変わりが気になっていたでおじゃる」

 オジャル伯爵は言葉を濁しながらも国王のことについて話してくれた。

「陛下の心変わり……言葉を濁さずに言うなら、暴君への豹変について、父上はなんとおっしゃっていた?」
「……『ゼロラ殿とそれに連なる者達が動く時まで待て』とだけおっしゃっていたでおじゃる」

 国王がオジャル伯爵に述べた言葉の意味。
 それはロギウスが予想していた通り、国王自身が"改革最後の敵"となるように仕向けたことの証明だと俺達は理解した。

「まったく。父上も動いたら動いたで無謀な人だ……。オジャル伯爵。あなたは父の言葉を信じてその時を待っていてくれ」
「ロギウス殿下のご所望とあらば、まろは待ち続けるでおじゃる」

 オジャル伯爵はロギウスに頭を下げ、国王の言葉を信じることを誓った。
 こいつとは最悪の出会いだったが、今は頼もしい仲間だ。

「ゼロラの旦那たちはどうしてダウンビーズに来たんだど?」
「俺達はテコロン鉱山に向かう途中だ。そこにいるドクター・フロストという男に用がある」
「ド、ドクター・フロスト!? なんでまたそんな危険人物に用があるでおじゃるか!?」

 オジャル伯爵も驚くフロストという男。王国一級の危険人物という話は本物のようだ。
 そんなオジャル伯爵やオクバ達に、ロギウスは事情を説明してくれた。

「な、なるほどでおじゃる。確かにドクター・フロストを味方につけることができれば、王国騎士団とも渡り合えるかもしれないでおじゃる」
「事情は分かったど。でも、今日の寝床はどうするんだど?」

 二人とも事情を理解してくれたが、そもそも俺達がダウンビーズに立ち寄ったのは宿に寄るためだ。
 この騒動で忘れていたがもう陽も暮れてきているし、早く見つけないとな……。

「それならば、まろ達が拠点に使っている古屋敷を使えばいいでおじゃる。ゼロラ殿やロギウス殿下をお迎えするにはあまりにも貧相な場所でおじゃるが、野宿をするよりはましでおじゃる」
「そいつは助かる。ロギウスも構わないか?」
「僕も王宮を離れて長かった身だ。安全な寝床ならば、むしろ王宮よりも寝やすい」

 オジャル伯爵はそう言って俺達を自らの拠点である古屋敷へと案内してくれた。

 そこはかなり古くてボロボロだったが、オジャル伯爵の部下やオクバの亜人隊によって厳重に守られているため、安全な場所であることは分かった。

「思ったよりいい屋敷じゃないか。全然問題ないね」

 ロギウスもここで泊まることを了承してくれた。
 ……こいつ、王族の割に意外と逞しい精神してるな。
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