記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第13章 王国が変わる日

第175話 王宮脱出戦・レイキース参戦

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「レイ……キース……!?」

 俺を背後から剣で貫いたレイキースは一度剣を抜く。
 俺は体をよろめかせながらもなんとかレイキースの方に体を向ける。

「僕が見たところ、お前がこの反逆者達の支柱のようだ。他の連中は逃がしても、お前だけは逃がさない……!」

 レイキースの狙いはあくまで俺か。だがまともに体を貫かれたせいで満足に体を動かせない……!

「キエアァ!」

 ガキン!

「チッ! まだ残っていたのか!?」

 俺がレイキースと向き合っている間に、シシバが横からレイキースをトンファーで殴り掛かった。

「不意打ちか!? ギャングレオ盗賊団の頭領にはお似合いだな!」
「われにだけは言われたないわ。――にしてもこの手応え、防御魔法やな」

 レイキースはシシバの一撃をまともに食らったが、直撃した部分は魔力の布で守られたためか無傷だ。

「俺の時といい、ゼロラはんへの不意打ちといい。ホンマ、ワレは勇者のくせに卑怯な手が好きみたいやな」
「戦いにおいて重要なのはまず勝つことだ。手段など―― ッ!?」

 ガキン!!

 レイキースの注意がシシバに向いたその時、誰かがレイキースへと飛び膝蹴りを放った。

「レイキース様! よくも……よくもゼロラさんを……!!」
「お前まで僕に逆らうのか……ラルフル!」

 飛びこんできたはラルフルだった。わざわざ俺を助けるために戻って来たのか……?

「どこ見とるんや? <鬼勁>!!」

 レイキースの注意が今度はラルフルに向いたのを見て、シシバの<鬼勁>がレイキースの懐に入る。

 パリン……!

「クソッ! 防御魔法を破られたか! だが――もう遅い!」

 ラルフルとシシバの連撃を受けてレイキースの防御魔法の効果が切れる。
 だがレイキースはシシバとラルフルには目もくれず、俺目がけて一直線に剣を構えて突撃し――





 スブゥ!!

 ――今度は正面から俺の腹を刺し貫いた。

「ゴフッ……!?」

 俺の口から鮮血があふれ出す。もうまともに立っていることさえままならない。

 だが、ここでレイキースを止めなければ……シシバもラルフルも危ない!

「オオォ――ラァ!!」
「何!? その体で!?」

 俺は剣を刺したままのレイキースの腕を掴み、力任せに地面へと叩きつける。

「ガハッ!? あ、ありえない!? 僕の剣に貫かれたまま、まだ動けるなんて……!?」

 俺は何度もレイキースを投げ飛ばしては地面へと叩きつける。何度も何度も。
 まだ剣が刺さったままで、投げるたびに激痛が走るが、そんなことは関係なしに何度も叩きつける。

「あ……ありえない……僕が……勇者が……こんな……!」

 衝撃に耐えかねたレイキースが俺の腹から剣を抜き取る。だが、俺の方も限界だ。
 早くトドメを――

 ドゴンッ!!

「カ……ハ……!」

 倒れたレイキースに対して、ラルフルとシシバが腹に二―ドロップを決めるのが見えた……。

「ゼロラさん!! しっかりしてください!!」
「無茶しおってからに!!」

 ラルフルとシシバが俺を心配そうに見てくる……。
 特にラルフルは今にも泣きそうだ……。

「お……お前ら……早く……逃げ……」

 それだけ言うと俺の体は崩れ落ち――


「ゼロラさん!!!」


 ――ラルフルが泣きながら俺を呼ぶ声が聴こえたのを最後に……俺の意識は途絶えた。
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