119 / 476
第9章 激突・ギャングレオ盗賊団
第120話 獅子を操る者
しおりを挟む
「……そら、どういう意味や?」
しばしの沈黙の後にシシバが俺に問い返す。
「言葉通りの意味だ。お前は誰かの指示でギャングレオ盗賊団を動かしてるんだろ? そいつは誰なんだ?」
「……なんでそんな風に思うんや?」
これまでの不気味な笑顔とは違う険しい表情を浮かべるシシバ。俺は思ったことをそのまま口にしていった。
「ギャングレオ盗賊団は盗賊稼業で赤字が続いてるんだろ? てめえが喧嘩したいだけでやってるとも考えられる。だが、狙っているのは"平民から評判の悪い貴族"だけだ。兄貴のジフウも言ってたが、俺もこうやって直接会って確信した。てめえ自身は進んで"義賊のような行為をする人間"じゃねえ」
「…………」
俺の話にシシバは口を挟まずに黙って聞き続ける。今度は俺の方が意趣返しとばかりにニヤつきながら言った。
「ギャングレオ盗賊団の……てめえのバックにはそれを指示している"誰か"がいる。俺も"同じ匂いのする人間"のことは分かるんでな」
そう、こいつも"俺と同じ"で"誰かの下について"行動を起こしている。ギャングレオ盗賊団には頭領シシバのさらに上に"元締め"が存在するはずだ。
「キシ……キシシシ……! キシャシャシャシャシャ! シャーッシャシャシャシャァア!!」
俺の話を聞き終わった後、シシバは狂ったように笑い声をあげる。それは"喜び"と"驚き"が入り混じったような笑い声だった。
「驚いたでぇ……いや、ホンマに驚いた! ギャングレオの行動を読んでここまで来ることは予想できとったが、まさかさらにその裏まで読んで発言してくるとはの~!」
「否定しない……ってことは、認めるってことでいいんだな?」
"元締め"の存在をほぼ認めてしまったシシバだが、わざとらしくはぐらかす。
「さ~て? ど~なんかの~? でもどないな話にしても、できんのは俺に勝ってからや」
シシバは足元にあったL字型の棒を足ではね上げてキャッチし、ヒュンヒュンと片手で素振りをする。よく見ると先端が二股に分かれているようだ。
「見たことのない武器だな」
「こいつは"バール"っちゅうてな。本来は釘を抜いたりすんのに使うもんやが、中々手に馴染むから獲物としても使っとる」
右手に持ったバールを肩に乗せて前屈姿勢をとるシシバ。
「俺はな~、ゼロラはん。どないな理由があっても、"強い奴に従う"ことを信条としとるんや~。俺に聞きたいことがあるんやったら……俺に勝って、この口割らせてみろやぁ!」
シシバはまるでとっておきのオモチャでも見つけた子供のようにその右目をギラつかせている。
どうやら早く戦いたくて仕方がないようだ。
「俺をガッカリさせんなや? ゼロラはん……!」
「こっちこそ楽しませてもらうぜ? シシバ……!」
両者睨み合い、緊張が走る。
「音に聞こえしその力……。じっくりと、ほんでもってた~っぷりと……味合わせてもらうでぇ……! 【零の修羅】……ゼロラはんよぉお!!」
バールを肩に構えたまま、シシバが先手を打ってきた。凄まじいスピードでの突進! 俺目がけて振り下ろされるバール!
「キェエエアァ!」
「ぬうぅん!」
ガキィイン!
俺も腕に力を込めてバールをガードする! その振動で腕が一瞬痺れる!
それでもシシバの手は緩まない。接近と後退を繰り返しながら、バール以外にも回し蹴り等の体術を使って苛烈に攻め立てる。
「オラァアア!」
「キッシシシシ!」
俺も反撃とばかりに殴り掛かるが、シシバはまるで瞬間移動でもしたかのように避ける。
「キシャァアアア!!」
シシバの移動先は俺の頭上! 頭を狙って両手でバールを叩きつけようとする!
「ウオラァアア!!」
ガキィイイイン!!
なんとか左腕でバールを受け止め、着地したシシバとの鍔迫り合いになる。少しの間膠着状態が続いたが、お互いを弾き飛ばすように距離が置かれる。
「ええで! ええでぇ! もっと……もっと俺を楽しませろやぁ!!」
ギャングレオ盗賊団頭領、【隻眼の凶鬼】、シシバ。
その戦いの火ぶたがついに切って落とされた。
しばしの沈黙の後にシシバが俺に問い返す。
「言葉通りの意味だ。お前は誰かの指示でギャングレオ盗賊団を動かしてるんだろ? そいつは誰なんだ?」
「……なんでそんな風に思うんや?」
これまでの不気味な笑顔とは違う険しい表情を浮かべるシシバ。俺は思ったことをそのまま口にしていった。
「ギャングレオ盗賊団は盗賊稼業で赤字が続いてるんだろ? てめえが喧嘩したいだけでやってるとも考えられる。だが、狙っているのは"平民から評判の悪い貴族"だけだ。兄貴のジフウも言ってたが、俺もこうやって直接会って確信した。てめえ自身は進んで"義賊のような行為をする人間"じゃねえ」
「…………」
俺の話にシシバは口を挟まずに黙って聞き続ける。今度は俺の方が意趣返しとばかりにニヤつきながら言った。
「ギャングレオ盗賊団の……てめえのバックにはそれを指示している"誰か"がいる。俺も"同じ匂いのする人間"のことは分かるんでな」
そう、こいつも"俺と同じ"で"誰かの下について"行動を起こしている。ギャングレオ盗賊団には頭領シシバのさらに上に"元締め"が存在するはずだ。
「キシ……キシシシ……! キシャシャシャシャシャ! シャーッシャシャシャシャァア!!」
俺の話を聞き終わった後、シシバは狂ったように笑い声をあげる。それは"喜び"と"驚き"が入り混じったような笑い声だった。
「驚いたでぇ……いや、ホンマに驚いた! ギャングレオの行動を読んでここまで来ることは予想できとったが、まさかさらにその裏まで読んで発言してくるとはの~!」
「否定しない……ってことは、認めるってことでいいんだな?」
"元締め"の存在をほぼ認めてしまったシシバだが、わざとらしくはぐらかす。
「さ~て? ど~なんかの~? でもどないな話にしても、できんのは俺に勝ってからや」
シシバは足元にあったL字型の棒を足ではね上げてキャッチし、ヒュンヒュンと片手で素振りをする。よく見ると先端が二股に分かれているようだ。
「見たことのない武器だな」
「こいつは"バール"っちゅうてな。本来は釘を抜いたりすんのに使うもんやが、中々手に馴染むから獲物としても使っとる」
右手に持ったバールを肩に乗せて前屈姿勢をとるシシバ。
「俺はな~、ゼロラはん。どないな理由があっても、"強い奴に従う"ことを信条としとるんや~。俺に聞きたいことがあるんやったら……俺に勝って、この口割らせてみろやぁ!」
シシバはまるでとっておきのオモチャでも見つけた子供のようにその右目をギラつかせている。
どうやら早く戦いたくて仕方がないようだ。
「俺をガッカリさせんなや? ゼロラはん……!」
「こっちこそ楽しませてもらうぜ? シシバ……!」
両者睨み合い、緊張が走る。
「音に聞こえしその力……。じっくりと、ほんでもってた~っぷりと……味合わせてもらうでぇ……! 【零の修羅】……ゼロラはんよぉお!!」
バールを肩に構えたまま、シシバが先手を打ってきた。凄まじいスピードでの突進! 俺目がけて振り下ろされるバール!
「キェエエアァ!」
「ぬうぅん!」
ガキィイン!
俺も腕に力を込めてバールをガードする! その振動で腕が一瞬痺れる!
それでもシシバの手は緩まない。接近と後退を繰り返しながら、バール以外にも回し蹴り等の体術を使って苛烈に攻め立てる。
「オラァアア!」
「キッシシシシ!」
俺も反撃とばかりに殴り掛かるが、シシバはまるで瞬間移動でもしたかのように避ける。
「キシャァアアア!!」
シシバの移動先は俺の頭上! 頭を狙って両手でバールを叩きつけようとする!
「ウオラァアア!!」
ガキィイイイン!!
なんとか左腕でバールを受け止め、着地したシシバとの鍔迫り合いになる。少しの間膠着状態が続いたが、お互いを弾き飛ばすように距離が置かれる。
「ええで! ええでぇ! もっと……もっと俺を楽しませろやぁ!!」
ギャングレオ盗賊団頭領、【隻眼の凶鬼】、シシバ。
その戦いの火ぶたがついに切って落とされた。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。

母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる