110 / 476
第9章 激突・ギャングレオ盗賊団
第111話 獅子の本丸
しおりを挟む
コゴーダから地図を受け取った翌日の朝。俺は記された場所に来ていた。
「やっぱり何もねえな。あれだけ巨大な盗賊団なんだから、でかい建造物でもあるはずなんだが……ん?」
林の中に入っていくと何やら小さな小屋があった。
「まさかこれがギャングレオ盗賊団のアジトじゃねえよな?」
とりあえず中に入ってみたが、誰もいない。入口以外は窓すらないが……ただ一つだけスイッチがあった。
「……これを押せってことだよな?」
俺は恐る恐るスイッチを押してみた。
ゴォウン!
「うお!? な、なんだ!? 床が下がった!?」
いや! これは部屋自体が下へと移動している!? まさかこの地下にアジトがあるのか!?
しばらく下降すると部屋が停止したので、元々あった入り口から外へ出てみた。
外へ出るとそこは先程の林ではなく、巨大な地下空洞になっていた。やはり地下へと向かっていたんだな。
だが何より驚くべきことは――
「これは……城か……?」
俺の目の前に飛び込んできたのは、巨大な地下空洞に収まる巨大な城だった。城門があり、その手前には水が流れる堀に橋まで架けられている。
「まさか……これがギャングレオ盗賊団の……?」
「そのとーり! ここはかつて、【伝説の魔王】率いる魔王軍が大陸侵攻の足掛かりとして用意していた"地底魔城"だ! それをおれたちギャングレオ盗賊団のアジトとして改造したのがここだ!」
俺の疑問に答えるかのように、城門の方から聞き覚えのある声が飛んできた。
「よく来たな、ゼロラ! "地底魔城"改め、ギャングレオ盗賊団本部! "ギャングレオ城"へ!」
「サイバラ……!」
センビレッジでの対決以来か。相変わらずグラサンに半裸の奇抜な格好だな。
「前も思ったんだがよ。お前、服着ろよ」
「うるせぇ! これがおれのポリシーだ!」
捨てちまえ、そんなポリシー。
サイバラの周りにはギャングレオの下っ端と思われる連中が何人かいた。出迎えの準備は万端のようだ。
「ギャングレオ盗賊団頭領、シシバのカシラからてめえを"ギャングレオ流"で盛大に手荒く歓迎してやれとのご通達だ!」
本当に手荒い歓迎をしてくれたもんだ。してくれたもんだが……。
「……おい。そこの看板に『ようこそ、ゼロラ様』ってデカデカと書いてあるのはなんだ?」
「……いや、おれは反対したんだぜ? 歓迎ムード出し過ぎだって」
うん、確かに出し過ぎだな。これじゃあ"手荒く歓迎"どころか"手厚く歓迎"しちまってるぞ。
「と、とにかくだ! シシバのカシラはてめえを試す気らしい! だが、おれはこの前の借りもある! おれの給料から差し引かれた店の弁償代も含めて、てめえを全力で叩き潰させてもらうぜ!」
いや、店壊したのはお前だろ。
「御託はいい。かかってくるならさっさとかかってこい」
「上等だ! あれからパワーアップしたおれの力を見せてやるぜ!」
俺とサイバラ、そして周りの下っ端たちが対決の合図を待つように身構える。
ヒュ~…… パァン!
「……おい。花火が上がったんだが、あれが対決の合図か?」
「あー!? ヤカタ主任とネモト部長の仕業だな!? いらねえんだよ! そんな演出!」
「主任? 部長? 誰だそいつら?」
「ウチの建設現場主任と企画営業部長だよ!」
それ盗賊団の役職じゃねえだろ。……ダメだ。よく分からんが相手のペースだ。
「サイバラ隊長。俺達帰っていいですか?」
「なんだか気が抜けちゃったといいますか……」
「馬鹿野郎! おれだって入った気合が全速力で抜けそうだよ!」
いや。向こうもペースを乱してるらしい。
「も、もうこうなったらヤケクソだー! ぜっっったいてめえをぶちのめしてやるぜー!」
サイバラの中の何かが切れてしまったようだ。もうそれでいい。こっちも始めるならさっさと始めたい。
「お前ら! このおっさんやっちまいなぁ! ブチ殺しちまいなぁ!!」
「やっぱり何もねえな。あれだけ巨大な盗賊団なんだから、でかい建造物でもあるはずなんだが……ん?」
林の中に入っていくと何やら小さな小屋があった。
「まさかこれがギャングレオ盗賊団のアジトじゃねえよな?」
とりあえず中に入ってみたが、誰もいない。入口以外は窓すらないが……ただ一つだけスイッチがあった。
「……これを押せってことだよな?」
俺は恐る恐るスイッチを押してみた。
ゴォウン!
「うお!? な、なんだ!? 床が下がった!?」
いや! これは部屋自体が下へと移動している!? まさかこの地下にアジトがあるのか!?
しばらく下降すると部屋が停止したので、元々あった入り口から外へ出てみた。
外へ出るとそこは先程の林ではなく、巨大な地下空洞になっていた。やはり地下へと向かっていたんだな。
だが何より驚くべきことは――
「これは……城か……?」
俺の目の前に飛び込んできたのは、巨大な地下空洞に収まる巨大な城だった。城門があり、その手前には水が流れる堀に橋まで架けられている。
「まさか……これがギャングレオ盗賊団の……?」
「そのとーり! ここはかつて、【伝説の魔王】率いる魔王軍が大陸侵攻の足掛かりとして用意していた"地底魔城"だ! それをおれたちギャングレオ盗賊団のアジトとして改造したのがここだ!」
俺の疑問に答えるかのように、城門の方から聞き覚えのある声が飛んできた。
「よく来たな、ゼロラ! "地底魔城"改め、ギャングレオ盗賊団本部! "ギャングレオ城"へ!」
「サイバラ……!」
センビレッジでの対決以来か。相変わらずグラサンに半裸の奇抜な格好だな。
「前も思ったんだがよ。お前、服着ろよ」
「うるせぇ! これがおれのポリシーだ!」
捨てちまえ、そんなポリシー。
サイバラの周りにはギャングレオの下っ端と思われる連中が何人かいた。出迎えの準備は万端のようだ。
「ギャングレオ盗賊団頭領、シシバのカシラからてめえを"ギャングレオ流"で盛大に手荒く歓迎してやれとのご通達だ!」
本当に手荒い歓迎をしてくれたもんだ。してくれたもんだが……。
「……おい。そこの看板に『ようこそ、ゼロラ様』ってデカデカと書いてあるのはなんだ?」
「……いや、おれは反対したんだぜ? 歓迎ムード出し過ぎだって」
うん、確かに出し過ぎだな。これじゃあ"手荒く歓迎"どころか"手厚く歓迎"しちまってるぞ。
「と、とにかくだ! シシバのカシラはてめえを試す気らしい! だが、おれはこの前の借りもある! おれの給料から差し引かれた店の弁償代も含めて、てめえを全力で叩き潰させてもらうぜ!」
いや、店壊したのはお前だろ。
「御託はいい。かかってくるならさっさとかかってこい」
「上等だ! あれからパワーアップしたおれの力を見せてやるぜ!」
俺とサイバラ、そして周りの下っ端たちが対決の合図を待つように身構える。
ヒュ~…… パァン!
「……おい。花火が上がったんだが、あれが対決の合図か?」
「あー!? ヤカタ主任とネモト部長の仕業だな!? いらねえんだよ! そんな演出!」
「主任? 部長? 誰だそいつら?」
「ウチの建設現場主任と企画営業部長だよ!」
それ盗賊団の役職じゃねえだろ。……ダメだ。よく分からんが相手のペースだ。
「サイバラ隊長。俺達帰っていいですか?」
「なんだか気が抜けちゃったといいますか……」
「馬鹿野郎! おれだって入った気合が全速力で抜けそうだよ!」
いや。向こうもペースを乱してるらしい。
「も、もうこうなったらヤケクソだー! ぜっっったいてめえをぶちのめしてやるぜー!」
サイバラの中の何かが切れてしまったようだ。もうそれでいい。こっちも始めるならさっさと始めたい。
「お前ら! このおっさんやっちまいなぁ! ブチ殺しちまいなぁ!!」
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
実家が没落したので、こうなったら落ちるところまで落ちてやります。
黒蜜きな粉
ファンタジー
ある日を境にタニヤの生活は変わってしまった。
実家は爵位を剥奪され、領地を没収された。
父は刑死、それにショックを受けた母は自ら命を絶った。
まだ学生だったタニヤは学費が払えなくなり学校を退学。
そんなタニヤが生活費を稼ぐために始めたのは冒険者だった。
しかし、どこへ行っても元貴族とバレると嫌がらせを受けてしまう。
いい加減にこんな生活はうんざりだと思っていたときに出会ったのは、商人だと名乗る怪しい者たちだった。
騙されていたって構わない。
もう金に困ることなくお腹いっぱい食べられるなら、裏家業だろうがなんでもやってやる。
タニヤは商人の元へ転職することを決意する。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる