記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第9章 激突・ギャングレオ盗賊団

第106話 獅子の思惑

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「ギャ、ギャングレオ盗賊団なのです!? よりにもよってなのです!?」

 ガルペラはかなり驚いたが、ミリアは推薦した理由を挙げてくれた。

 ギャングレオ盗賊団は貴族からのみ盗みを働いている。
 それ以外の人間は、たとえ同じ場所にいたとしても襲わない。
 頭領のシシバがミリアに直接宣言した。

「つまりギャングレオ盗賊団は、いわゆる"義賊"ってことか?」
「た、確かにギャングレオ盗賊団からの被害報告は悪徳貴族からのみ挙がっているようなのです。あ! 私は襲われたことないのです!」

 暗に『私は悪徳貴族じゃない』って言いたげだな、ガルペラよ。いや、確かにそうなんだけど。

「そういえば俺がギャングレオ盗賊団と戦った時も、連中は店の用心棒をしてたな」
「ええ。それ以外にも建設工事、街道整備、下水道清掃、貿易、事務代行、イベント設営、買い物代行、猫探し、犬の散歩代行なんかをしてるみたいよ」

 ローゼスがギャングレオ盗賊団の活動内容を並べてくれたが、本当に盗賊団の活動内容か? なんだかおかしなものも含まれてるし。特に"犬の散歩代行"。

「あー・・・・・でも前に戦ったサイバラって幹部も"多角経営"がどうのこうの言ってたな」
「想像以上に多角経営してましたけどね……」

 やはりラルフルも俺と同じことを考えてたか。

「でもそうやって考えてみると、ギャングレオ盗賊団は盗賊なんかしなくても十分にやっていけそうなのです。むしろ盗賊行為の手際の良さを考えると、相当手間賃がかかっているはずなのです。盗賊する方が赤字な気がするのです」

 盗賊団が盗賊行為で赤字を出すって、それもう盗賊団という概念が崩壊してないか?

「こうして考えていくとギャングレオ盗賊団は悪評こそあれど、それを"わざと流している"ようにも見えるのです。もしかするとそれも"悪徳貴族への宣戦布告"なのかもしれないのです」

 それが本当なら手を組む価値はありそうだ。だが噂に聞く頭領・【隻眼の凶鬼】シシバはかなり狂った人間のようだ。それさえも演技の可能性が出てきたが。

「とにかく一度、ギャングレオ盗賊団の人間……特に頭領のシシバには会って直接話を聞きたいところだな」
「でもどうやって話を聞くのです?」

 問題はそれだ。以前はセンビレッジの酒場で用心棒をしていたが、今もいるのだろうか?

「私の調べでは、ギャングレオ盗賊団の幹部は今も以前と同じ店で用心棒をしてるみたいよ。ただ最近、その幹部が別の幹部と入れ替わったみたいなのよ」
「幹部が入れ替わった? サイバラじゃないのか?」
「今あの店の用心棒代表をしてるのは、ギャングレオ盗賊団参謀長のコゴーダという男よ」

 ローゼスが再びギャングレオ盗賊団について知っていることを教えてくれる。
 盗賊団の参謀長か。盗賊団としてはやけに組織としての統率がとれているな。

「参謀長って人なら頭領にも近い立場でしょうから何か聞き出せそうですね」

 ラルフルが意気揚々と提案する。

「それなら早速行ってくるか」
「わ、私も行きます!」
「自分も行きます!」
「ならアタシも」

 マカロン、ラルフル、ミリアも同行を願い出る。
 おいおい。遊びに行くんじゃねえんだぞ?

「ラルフルはともかく、マカロンとミリアが来ても何もできねえだろ。相手はギャングレオ盗賊団なんだぞ?」
「でもゼロラさん、今回は交渉なんですよね? 戦いに行くわけじゃないんですよ? ゼロラさんだけじゃまた喧嘩に発展しますよ?」

 た、確かに。マカロンの発言にグゥの音も出ない。

「アタシもギャングレオとはもう一度話をしたかったし、交渉事ならゼロラさんよりは手荒なことはしないわよ」

 ミリアが俺の方を軽く睨みながら述べた。すまん、確かに以前こいつのことを強引に攫って話聞きだそうとしてたわ。

「私も行きたいところですが、私が店に行くとそれだけで混乱しそうなのでやめておくです」
「ガルペラ様が行かれないのなら、私も残ります」

 ガルペラとローゼスは屋敷に残るそうだ。もしもギャングレオ盗賊団との協定が結べそうなら、その時のための手続きの準備を今のうちにしておくらしい。

「ガルペラ侯爵はクールにとどまるのです!」

 そう言って決めポーズをとるガルペラ。こんなんだけどセンビレッジでは優秀な領主様なんだよな。

 何はともあれ、俺達四人はギャングレオ盗賊団が用心棒をしている店に向かうのであった。
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