15 / 476
第2章 動く運命の前兆
第15話 対決・元勇者パーティー魔法使い②
しおりを挟む
ゼロラさんは自分に全力で挑んでくるように言ってきました。思わず体が震えてしまいます。
「安心しろ。全ての技を使うとはいっても威力自体は抑えてやる。だが、技は片っ端から使っていく。お前はそれをよく見て、そして盗め!」
ゼロラさんの目は本気です。いくら威力を抑えてもらっても今の自分では勝てる相手ではありません。
ですが、自分はゼロラさんの技をもっと見てみたい。この人から技を見て学んでいきたい。そう強く願いました。
「……分かりました! よろしくお願いします!」
◇◇◇
俺は見てみたいと思った。このラルフルという少年の成長を。これまでの汚れ仕事をしてきた時とは違い、純粋に武闘家としての喜びをこの身に感じていた。
「覚悟はいいか? ……来い! ラルフルゥ!!」
「ハァアアア!!」
ラルフルが全力で殴り掛かってくる。その拳はさっきよりさらに速く鋭い。俺は回避と同時に体をひねって裏拳を放つ。
「ヌウゥ!?」
「不意打ち気味の裏拳だったのに、よく防げたな!」
その裏拳をラルフルは先程俺が見せたガードと同じ要領で防ぐ。ラルフルは一瞬怯むが、すぐに反撃のパンチを放つ。
怯んだ隙にこちらから追撃することも可能だったが、俺はあえて反撃のチャンスを与え、伸ばされた腕を掴んでラルフルを投げ飛ばす。
「な、投げ技……!?」
「<背負い投げ>って技だ」
覚えたのはついさっき、馬車の中でだがな。
「ま、まだです! ハァアアア!!!」
その後もラルフルとの稽古……と称した、割と本気の喧嘩は続く。
俺自身もジャンから貰った書物で覚えたばかりの技を交え、パンチ、キック、投げ技、関節技……。俺が現状使える技の全てをラルフルにぶつけていった。体格差の都合上プロレス技などでラルフルには使えないものもあったが、俺が使った技のほぼ全てをラルフルはこの短時間で習得してしまった。
俺は楽しかった。俺の技を見て急激に成長する目の前の少年の姿を見るのが。ずっと見ていたいと思った。
「ハァ、ハァ、ハァ……!」
「大したもんだぜ……。俺とここまで渡り合えたのは、この二年でお前が初めてだ」
これは本心だ。ラルフルの成長スピードからくる実力は、これまで俺に絡んできた盗賊や冒険者等々の実力をすでに超える程になっていた。
だが、これ以上はラルフルの身体の方が限界だろう。本人はまだまだ目に気合が籠っているが、今はまだ無茶する時ではない。かといって言葉で止まるような状況でもない。
こうなったら少し強引に決着をつけにかかるか。
◇◇◇
強い……。ゼロラさんの強さの底が自分には分かりません。あれから結構な時間続けていますが、自分が真似た技を放ってもゼロラさんにはあっさり防がれてしまいます。まだ確かな感触のある一撃を入れられてすらいません。
それに自分はもう息も絶え絶えだというのに、ゼロラさんは全く息を切らしていません。分かっていた実力差ですが、せめて一撃ぐらいは入れたい……!
ゼロラさんが何か話していたようでした。聞き取れませんでしたが、今の自分にできることは渾身の一撃を放つことのみ。意識を集中させて拳に力を集中させ……。
「ヤァアアア!!」
ありったけの力を込めたパンチをゼロラさんの額目がけて放ちました。
「フンッ!」
「!?」
自分のパンチはしっかりとゼロラさんの額に直撃しました。……直撃はしましたが、ゼロラさんは微動だにせず額で自分の拳を完全に受け止めてしまいました。
「オラァ!」
バキィ!
直後に放たれたゼロラさんのアッパーで自分の体は宙を舞い、地面に倒れこんでしまいました。
やっぱり強い……。今の自分ではまだゼロラさんを超えることはできなかった……。
「安心しろ。全ての技を使うとはいっても威力自体は抑えてやる。だが、技は片っ端から使っていく。お前はそれをよく見て、そして盗め!」
ゼロラさんの目は本気です。いくら威力を抑えてもらっても今の自分では勝てる相手ではありません。
ですが、自分はゼロラさんの技をもっと見てみたい。この人から技を見て学んでいきたい。そう強く願いました。
「……分かりました! よろしくお願いします!」
◇◇◇
俺は見てみたいと思った。このラルフルという少年の成長を。これまでの汚れ仕事をしてきた時とは違い、純粋に武闘家としての喜びをこの身に感じていた。
「覚悟はいいか? ……来い! ラルフルゥ!!」
「ハァアアア!!」
ラルフルが全力で殴り掛かってくる。その拳はさっきよりさらに速く鋭い。俺は回避と同時に体をひねって裏拳を放つ。
「ヌウゥ!?」
「不意打ち気味の裏拳だったのに、よく防げたな!」
その裏拳をラルフルは先程俺が見せたガードと同じ要領で防ぐ。ラルフルは一瞬怯むが、すぐに反撃のパンチを放つ。
怯んだ隙にこちらから追撃することも可能だったが、俺はあえて反撃のチャンスを与え、伸ばされた腕を掴んでラルフルを投げ飛ばす。
「な、投げ技……!?」
「<背負い投げ>って技だ」
覚えたのはついさっき、馬車の中でだがな。
「ま、まだです! ハァアアア!!!」
その後もラルフルとの稽古……と称した、割と本気の喧嘩は続く。
俺自身もジャンから貰った書物で覚えたばかりの技を交え、パンチ、キック、投げ技、関節技……。俺が現状使える技の全てをラルフルにぶつけていった。体格差の都合上プロレス技などでラルフルには使えないものもあったが、俺が使った技のほぼ全てをラルフルはこの短時間で習得してしまった。
俺は楽しかった。俺の技を見て急激に成長する目の前の少年の姿を見るのが。ずっと見ていたいと思った。
「ハァ、ハァ、ハァ……!」
「大したもんだぜ……。俺とここまで渡り合えたのは、この二年でお前が初めてだ」
これは本心だ。ラルフルの成長スピードからくる実力は、これまで俺に絡んできた盗賊や冒険者等々の実力をすでに超える程になっていた。
だが、これ以上はラルフルの身体の方が限界だろう。本人はまだまだ目に気合が籠っているが、今はまだ無茶する時ではない。かといって言葉で止まるような状況でもない。
こうなったら少し強引に決着をつけにかかるか。
◇◇◇
強い……。ゼロラさんの強さの底が自分には分かりません。あれから結構な時間続けていますが、自分が真似た技を放ってもゼロラさんにはあっさり防がれてしまいます。まだ確かな感触のある一撃を入れられてすらいません。
それに自分はもう息も絶え絶えだというのに、ゼロラさんは全く息を切らしていません。分かっていた実力差ですが、せめて一撃ぐらいは入れたい……!
ゼロラさんが何か話していたようでした。聞き取れませんでしたが、今の自分にできることは渾身の一撃を放つことのみ。意識を集中させて拳に力を集中させ……。
「ヤァアアア!!」
ありったけの力を込めたパンチをゼロラさんの額目がけて放ちました。
「フンッ!」
「!?」
自分のパンチはしっかりとゼロラさんの額に直撃しました。……直撃はしましたが、ゼロラさんは微動だにせず額で自分の拳を完全に受け止めてしまいました。
「オラァ!」
バキィ!
直後に放たれたゼロラさんのアッパーで自分の体は宙を舞い、地面に倒れこんでしまいました。
やっぱり強い……。今の自分ではまだゼロラさんを超えることはできなかった……。
0
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる