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when I was little ・・・
社交界デビュー -3/4-
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〔バルティス 十四歳~十六歳〕
コーレス男爵との食事会は思いの外充実したものとなり、互いの身の上話などもするほどだった。
別荘で起きた事件については語らなかったが、両親を早くに亡くしたことでしている苦労話など、コーレス男爵との共通する話題に肩の力が抜けていくのを感じる。
そして、終盤にさしかかると敬語をやめ名前で呼び合うようになった。
爵位は僕が上、年は彼の方が上。
貴族ではよくある図式だけれど、似たような境遇だからかなんとなく砕けたかった。
「ビノワの婚約者ってどんな人?」
深い意味はなく聞いたそれにビノワは少しだけ躊躇いを見せ…どこか寂しそうに笑みを浮かべた。
聞いてはいけなかっただろうか…
貴族間では複雑な事情から結ばれる婚約もあるから、ビノワもそうなのかと思った。
「俺の婚約は王命なんだ」
特に珍しいことではない。
だから僕は、その婚約について何も違和感を感じることはなかった。
******
食事会を終えて屋敷に戻ると、ジェイマンから他に誰か参加したのかを聞かれた。
「ずっとふたりだけだったよ」
「左様でございますか」
どこか安堵したような雰囲気に、何を心配しているのか分からず首を傾げるが、それ以上は特に何も言われなかった。
それからも何度かふたりで食事やお茶をして、その何度目かで初めて婚約者を紹介された。
「初めまして、トレーシア・アレギラです」
綺麗な人だな、と思った。
僕の三つ上だから十七歳なのに、なぜか妖艶な雰囲気のある女性…それが僕の第一印象。
「最近、いつもひとりで出掛けるから浮気でもしてるのかと思ったわ」
楽しそうにそう話す彼女は、ビノワのことが好きなんだなとよく分かる態度で、王命とは言え想い合う同士なのだと思えた。
お茶会の間、常にビノワの腕に自分のものを絡め寄り添っていて、彼女が何か問えばビノワも優しい眼差しを向けて答える。
婚約者っていいな…と、初めて思えた。
だけど自分はまだまだやることがあるし、婚約者にしたいと思える相手もいない。
だけどいつかは…と考えながらお茶を口に含んでいたら、ふと視線を感じた。
その視線は向かいに座る伯爵令嬢のもので、変わらずビノワに寄り添いながら…じっと僕を見るその視線に、思わず固まった。
この二年、色んな思惑を持ちながら近付いてきた女性はそれなりにいて、なんとなくそれに似たような…だけど少し違うような…不思議と言うか違和感と言うか、少し居心地が悪い…そんな感じ。
「…………!」
思わず茶器を落としそうになった。
ビノワの肩口に頭を乗せて甘えているのに、視線は僕に向けたまま…口元に弧を描いたから。
その意味を僕はよく分かっていないけれど、なんとなくいい意味ではない気がした。
そして、そのあと交わされたであろうふたりとの会話はあまり記憶に残らなかった。
******
初めて伯爵令嬢を紹介されてからと言うもの、ビノワと会う席によく同席するようになり、いつものように護衛を連れて出掛けた街でも偶然会うことが増えていった。
今までも知らないだけですれ違っていたのだろうと言われ、妙な感覚も覚えた。
そして、その度に感じたのは距離が近いこと。
まだ夜会など社交界に出たことのない僕でも、婚約者でもない女性と身を寄せたり触ったりしてはならないことくらい知っている。
そんな常識を無視するような態度と行動に、僕は戸惑いながらも距離を取ろうとしていた。
いっそビノワと会うのをやめようかと思ったこともあるけれど、漸く出来た友人を失うことはしたくなくて、それとなくビノワに婚約者について苦言を呈したりもした。
「彼女は少し自由奔放なところがあるから…異性との距離も注意はするんだけど、そのたび泣かれて謝られるんだ」
「自由奔放って…」
やがて十五歳になった僕は、騎士達を相手にそれまで知らなかった知識を学ぶ機会を得て、男女間の付き合いと言うものを知った。
だからこそ、伯爵令嬢の行動が招く結果がどんなものかを想像することが出来る。
僕も十六歳になれば後見も外れて社交界デビューし、今は名ばかりの爵位も実態を帯びていく。
しかし、伯爵令嬢は既に成人していて社交界にも身を置いている存在のはず。
それなのにあの態度と行動は…他の男性と関係を持っていると思われても仕方のないものだ。
「……ビノワはいいの?結婚相手が…」
言葉を濁す僕に、ビノワは力なく笑うだけ。
******
社交界デビューを目前にした頃、ジェイマンからいくつかの注意事項を告げられた。
きっと本当なら、父親の役目なのだろう。
お酒を飲みすぎてはいけないとか、勢いで女性と関係を持ってはならないとか、分からないことは適当に誤魔化さずに何も言わず笑っていろと、久し振りに長い話だった。
特に強く言われたのは女性関係。
「いいですか?社交界は魑魅魍魎が住まうと言われております」
「魑魅魍魎……」
思わず、ぶるっと震えてしまう。
「出されるお飲み物に薬を仕込まれる可能性も忘れてはなりません。どなたかに手渡される物を受け取り、そのまま飲むようなこともダメです」
かつて媚薬を盛られた時の悪夢が甦ってきた。
……行きたくない。
「そして何より、婚約者でもない女性とふたりきりになったりダンス以外で触れることは許されません。無駄に見つめてもなりません」
ジェイマンの話に、僕はひたすらコクコク頷くしか出来ない。
「ぼっちゃま自身がお気に召したとしても、その場の勢いで関係を持たれてはなりませんぞ」
「……そんなことしない」
「分かりません。若さとは時に大きな過ちをしてしまうものです」
「…………ジェイマンもしたの?」
「私は幼き頃より妻一筋です」
いいなと思った。
きっと社交界にはそういう人達がいっぱいいて、支え合いながら未来の話をしているんだろうな。
「そして、たとえお気に召したとしても、接触するのはお相手がどのような方なのか、婚約者はおられるのかをお調べしてからです。その場で余計なお約束などなさりませんよう」
「…………ねぇ、行かないとか…ダメ?」
「なりません」
社交界に出るようになれば、これからは自分で判断したりすることになる。
もちろん、今までと変わらずジェイマンが助けてはくれるけれど、そこに伴う責任は僕にあるのだから注意しなくてはならない。
うっかり盛り上がって子供が出来るとか…どれだけ失望されるのか想像しただけで恐ろしい。
「気を引き締めて挑みます」
背筋を伸ばしてそう言う僕に、ジェイマンは満足げな笑みを浮かべた。
******
結果として、社交界は楽しかった。
成人を機に爵位を譲り受けた人もぼちぼちいて、同じ爵位持ちとしての会話もあったり。
慣れないお酒は必ず給仕人から受け取るようにして、美味しいからとうっかり飲みすぎないように気を付け、デビュタント同士で踊るダンスに少しドキドキしながら…それなりに楽しんだ。
大変だったのはそれからのこと。
「また届いた……」
以前とは比べ物にならないほどの勢いで縁談が持ち込まれるようになり、若い子爵だからと舐められ先触れなしで突撃されることもしばしば。
表舞台に立ったことにより本当の意味で当主、そして領主となり、これまで以上に貴族間の付き合いで疲弊することが増えていった。
年代問わずに顔見知りの貴族も増えていったけれど、やはり深い親交は築けず、息抜きにビノワを誘っては飲みに行く。
この頃になってもアレギラ伯爵令嬢に絡まれる事はあったけれど、その頻度は僅かなもの。
そして、社交界に出たことで時折耳にするようになった噂があり、そのせいでビノワのことが心配にもなっていた。
──────アレギラ伯爵令嬢は多情
だが、噂とは嘘も混じっている。
だから全部を鵜呑みにすることはない。
けれど…少しずつその噂が僕の中でも真実味を帯びていく。
ふたりでいる時には仲睦まじく…それこそビノワに密着しているのに、ビノワのいない夜会などでは別の男性に同じような事をしている姿を、僕自身も見かけたことがあった。
そんなアレギラ伯爵令嬢を牽制する者もいるが、楽しそうに触れ合いながらどこかへ連れ立ち消えていく者もいる。
その度に、ビノワを思って胸が痛んだ。
コーレス男爵との食事会は思いの外充実したものとなり、互いの身の上話などもするほどだった。
別荘で起きた事件については語らなかったが、両親を早くに亡くしたことでしている苦労話など、コーレス男爵との共通する話題に肩の力が抜けていくのを感じる。
そして、終盤にさしかかると敬語をやめ名前で呼び合うようになった。
爵位は僕が上、年は彼の方が上。
貴族ではよくある図式だけれど、似たような境遇だからかなんとなく砕けたかった。
「ビノワの婚約者ってどんな人?」
深い意味はなく聞いたそれにビノワは少しだけ躊躇いを見せ…どこか寂しそうに笑みを浮かべた。
聞いてはいけなかっただろうか…
貴族間では複雑な事情から結ばれる婚約もあるから、ビノワもそうなのかと思った。
「俺の婚約は王命なんだ」
特に珍しいことではない。
だから僕は、その婚約について何も違和感を感じることはなかった。
******
食事会を終えて屋敷に戻ると、ジェイマンから他に誰か参加したのかを聞かれた。
「ずっとふたりだけだったよ」
「左様でございますか」
どこか安堵したような雰囲気に、何を心配しているのか分からず首を傾げるが、それ以上は特に何も言われなかった。
それからも何度かふたりで食事やお茶をして、その何度目かで初めて婚約者を紹介された。
「初めまして、トレーシア・アレギラです」
綺麗な人だな、と思った。
僕の三つ上だから十七歳なのに、なぜか妖艶な雰囲気のある女性…それが僕の第一印象。
「最近、いつもひとりで出掛けるから浮気でもしてるのかと思ったわ」
楽しそうにそう話す彼女は、ビノワのことが好きなんだなとよく分かる態度で、王命とは言え想い合う同士なのだと思えた。
お茶会の間、常にビノワの腕に自分のものを絡め寄り添っていて、彼女が何か問えばビノワも優しい眼差しを向けて答える。
婚約者っていいな…と、初めて思えた。
だけど自分はまだまだやることがあるし、婚約者にしたいと思える相手もいない。
だけどいつかは…と考えながらお茶を口に含んでいたら、ふと視線を感じた。
その視線は向かいに座る伯爵令嬢のもので、変わらずビノワに寄り添いながら…じっと僕を見るその視線に、思わず固まった。
この二年、色んな思惑を持ちながら近付いてきた女性はそれなりにいて、なんとなくそれに似たような…だけど少し違うような…不思議と言うか違和感と言うか、少し居心地が悪い…そんな感じ。
「…………!」
思わず茶器を落としそうになった。
ビノワの肩口に頭を乗せて甘えているのに、視線は僕に向けたまま…口元に弧を描いたから。
その意味を僕はよく分かっていないけれど、なんとなくいい意味ではない気がした。
そして、そのあと交わされたであろうふたりとの会話はあまり記憶に残らなかった。
******
初めて伯爵令嬢を紹介されてからと言うもの、ビノワと会う席によく同席するようになり、いつものように護衛を連れて出掛けた街でも偶然会うことが増えていった。
今までも知らないだけですれ違っていたのだろうと言われ、妙な感覚も覚えた。
そして、その度に感じたのは距離が近いこと。
まだ夜会など社交界に出たことのない僕でも、婚約者でもない女性と身を寄せたり触ったりしてはならないことくらい知っている。
そんな常識を無視するような態度と行動に、僕は戸惑いながらも距離を取ろうとしていた。
いっそビノワと会うのをやめようかと思ったこともあるけれど、漸く出来た友人を失うことはしたくなくて、それとなくビノワに婚約者について苦言を呈したりもした。
「彼女は少し自由奔放なところがあるから…異性との距離も注意はするんだけど、そのたび泣かれて謝られるんだ」
「自由奔放って…」
やがて十五歳になった僕は、騎士達を相手にそれまで知らなかった知識を学ぶ機会を得て、男女間の付き合いと言うものを知った。
だからこそ、伯爵令嬢の行動が招く結果がどんなものかを想像することが出来る。
僕も十六歳になれば後見も外れて社交界デビューし、今は名ばかりの爵位も実態を帯びていく。
しかし、伯爵令嬢は既に成人していて社交界にも身を置いている存在のはず。
それなのにあの態度と行動は…他の男性と関係を持っていると思われても仕方のないものだ。
「……ビノワはいいの?結婚相手が…」
言葉を濁す僕に、ビノワは力なく笑うだけ。
******
社交界デビューを目前にした頃、ジェイマンからいくつかの注意事項を告げられた。
きっと本当なら、父親の役目なのだろう。
お酒を飲みすぎてはいけないとか、勢いで女性と関係を持ってはならないとか、分からないことは適当に誤魔化さずに何も言わず笑っていろと、久し振りに長い話だった。
特に強く言われたのは女性関係。
「いいですか?社交界は魑魅魍魎が住まうと言われております」
「魑魅魍魎……」
思わず、ぶるっと震えてしまう。
「出されるお飲み物に薬を仕込まれる可能性も忘れてはなりません。どなたかに手渡される物を受け取り、そのまま飲むようなこともダメです」
かつて媚薬を盛られた時の悪夢が甦ってきた。
……行きたくない。
「そして何より、婚約者でもない女性とふたりきりになったりダンス以外で触れることは許されません。無駄に見つめてもなりません」
ジェイマンの話に、僕はひたすらコクコク頷くしか出来ない。
「ぼっちゃま自身がお気に召したとしても、その場の勢いで関係を持たれてはなりませんぞ」
「……そんなことしない」
「分かりません。若さとは時に大きな過ちをしてしまうものです」
「…………ジェイマンもしたの?」
「私は幼き頃より妻一筋です」
いいなと思った。
きっと社交界にはそういう人達がいっぱいいて、支え合いながら未来の話をしているんだろうな。
「そして、たとえお気に召したとしても、接触するのはお相手がどのような方なのか、婚約者はおられるのかをお調べしてからです。その場で余計なお約束などなさりませんよう」
「…………ねぇ、行かないとか…ダメ?」
「なりません」
社交界に出るようになれば、これからは自分で判断したりすることになる。
もちろん、今までと変わらずジェイマンが助けてはくれるけれど、そこに伴う責任は僕にあるのだから注意しなくてはならない。
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結果として、社交界は楽しかった。
成人を機に爵位を譲り受けた人もぼちぼちいて、同じ爵位持ちとしての会話もあったり。
慣れないお酒は必ず給仕人から受け取るようにして、美味しいからとうっかり飲みすぎないように気を付け、デビュタント同士で踊るダンスに少しドキドキしながら…それなりに楽しんだ。
大変だったのはそれからのこと。
「また届いた……」
以前とは比べ物にならないほどの勢いで縁談が持ち込まれるようになり、若い子爵だからと舐められ先触れなしで突撃されることもしばしば。
表舞台に立ったことにより本当の意味で当主、そして領主となり、これまで以上に貴族間の付き合いで疲弊することが増えていった。
年代問わずに顔見知りの貴族も増えていったけれど、やはり深い親交は築けず、息抜きにビノワを誘っては飲みに行く。
この頃になってもアレギラ伯爵令嬢に絡まれる事はあったけれど、その頻度は僅かなもの。
そして、社交界に出たことで時折耳にするようになった噂があり、そのせいでビノワのことが心配にもなっていた。
──────アレギラ伯爵令嬢は多情
だが、噂とは嘘も混じっている。
だから全部を鵜呑みにすることはない。
けれど…少しずつその噂が僕の中でも真実味を帯びていく。
ふたりでいる時には仲睦まじく…それこそビノワに密着しているのに、ビノワのいない夜会などでは別の男性に同じような事をしている姿を、僕自身も見かけたことがあった。
そんなアレギラ伯爵令嬢を牽制する者もいるが、楽しそうに触れ合いながらどこかへ連れ立ち消えていく者もいる。
その度に、ビノワを思って胸が痛んだ。
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