せめて夢の中は君と幸せになりたい

Ringo

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新season前にざまぁ(読み飛ばしても無問題)

side王弟 -ざまぁ 3/4-

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※無自覚ロリコン王弟のざまぁです。

※お読み頂かなくとも、繋がります。

※やっちまいな!!と言う方のみどうぞ。






────────────────────






優秀な兄のスペアとしてしか見られず、常に日陰の存在として扱われ、余計な争いを生まないようにと子を成す事が出来ぬよう処置を施され、そんな俺に残ったのは兄の裏となることだった。

表沙汰に出来ぬ汚れ仕事の一切を引き受け、表向きに兄を綺麗な王で居続けさせる為だけの存在。

その鬱憤を晴らすかの如く、手当たり次第に女を抱いてはその中に精を放った。

子種を断たれていることなど知らない女達は、やがて俺の子を身籠ったから責任を取れと金銭を要求してきたが、その都度真実を教えてやれば顔色悪く立ち去っていく…その繰り返し。

それまでは成熟して色香の強い女を好んで抱いていたが、ある日の夜会で面白い女を見つけた。

パッと見は成人手前くらいに見えるが、よくよく観察すれば明らかに子供と分かる容姿。

だが、それにしては体つきがよく、ほどよく膨らんだ胸や丸みを帯びた上向きの尻の形に若々しさを感じ、興味が湧いた。


「いい加減にしろ!!」


やたら纏わりついていた男に絡めようとした手を振り払われるも、しつこく迫っている…そこに見えた素質を自分のものにしたくなり、様子を窺いながら一人になる隙を狙って近付いた。

いざ話しかけてみれば、十三歳だという。

先程の男とは愛し合っているのに、親の決めた婚約者との呪縛が取り払えないのだと言うが…どう見ても一方通行の絡みだった。

それなりに成長させた体なのに、内側から溢れる色香は皆無であり…そのアンバランスさに、口元が緩みそうになる。

この蕾を俺が育て咲かせたい…そう思った。


「今のお前では無理だろうよ」

「どうすればいいの?口付けもなかなかしてくださらないのよ?きっと性格の悪い婚約者に縛り付けられてるんだわ」


単なる無知な無邪気さで絡んでいるわけではないらしく、いっそ既成事実を作れば決心もつくのではないかとさえ言ってのけた。

その知識もあるらしい。


「知識だけじゃ男は落ちないぞ」


経験させてやろうか?

父親とそう変わらないであろう年齢をした俺の誘いを、この娘は躊躇いなく受け入れた。


「そうすれば、もっと多くの男性が私の虜になるんでしょう?それに、いざ本番を迎えたときに失敗したくないわ」


それから数日後、連れ込んだ馴染みの宿で時間を掛けて若い芽を摘み取り、花を散らした。

いつものように中へ精を放った時だけ僅かに眉を寄せたが、妊娠の心配がないことを告げれば、散らしたばかりだと言うのに俺より盛る始末。

普段相手している女よりも数段瑞々しい体に俺も夢中になり、気付けばどっぷり夜も更けていた。


「体を重ねるっていいわね」


齢十三の娘が言う台詞とは思えなかったが、それだけ満足したのだと思えば気分もいい。

それから何度も体を重ね、男を知った娘の周りには明らかに欲を孕んだ者が群がるようになり、気が向けば相手をしているようだが、あくまでも娘の本命は例の男。

しかしその男が娘の誘惑や脅しに屈することはなく、我慢の限界を迎えた娘はドレスを乱れさせて叫び、男に暴行されたのだと声をあげた。

そしてそれから数日後、金と体を使って手駒とした若造を丸め込み、件の男が守ろうとしていた婚約者の令嬢を襲わせ花を散らさせた。

さすがにこれで婚約解消となると踏んだ娘だったが、それを男は断固として拒否。

やがて心を壊した令嬢が命を絶つと、その報復に男は若造達を斬りつけ自らも自害した。


「彼は私の運命の相手じゃなかったのね」


莫大な慰謝料を支払うはめになったものの、当の本人は相も変わらず本能のままに動き、俺との関係も続けている。

俺としても、自分好みに動くよう躾た女をそう簡単に手放す気にもなれず、裏仕事の報酬としての働きも躊躇なく受け入れたことから、この件を握り潰す協力をした。


「ねぇ、もっとして」


時には熟れた女も抱くが、それでもこの若い蕾の持つ瑞々しさは癖となっている。

既に多くの男のモノを咥えこんでいるにも関わらず、未だキツく締め付けるのは若さ故か。

その後、新しく夢中になったと言う男爵位の男と婚約を結ばせ、けれど俺との関係は変わらず。

そして、そのうちに俺は娘を城の私室に招いて行為をするようになり、俺達の関係は広く知られることになっていった。

自ら手塩に掛けて育てた蕾が少しずつ花咲く様子が心を満たし、やがて頻繁に連れ込むようになった頃、偶然見かけた他国の王族に興味を持った娘は、与えていた媚薬を用いて事に及び、その精を腹の中へ絞り上げた。

他国の王族が絡んだ事でさすがの俺も庇う事やしらを切り通す事も出来ず、娘を連れ込んだ上で放置した責任を取らされて幽閉となった。


「陛下より杯を賜りました」


小さな寝台とソファーひとつしかない、常に冷え込むこの部屋で過ごすようになってどれだけの時が過ぎたのだろう…ついに終わりの時を迎えた。

聞けばあの娘がやらかしたらしい。

最後に体を重ねたのは、あの王族を襲った僅か数刻前のことで…事態が起きた時、俺は私室で眠りについていた。


「…………兄上は息災か?」

「お変わりございません」

「そうか…それは何よりだ……」


思えば、兄はいつも俺を気にかけてくれていた。

裏仕事ばかり押し付ける立場に置いている事や、子を成す事が出来ないこと…決して蔑ろになどされていなかったのに、俺はまるで拗ねた子供のように不満をぶつけ続けた。

女ひとりくらい優遇して何が悪い…と。

そのせいで何人の命が消え、幾つの婚約が解消されたのか…その尻拭いは兄へと放り投げた。


「…………兄上は……退位されるのだろうか…」


その問い掛けに、小さな杯を乗せた盆を持つ従者は答えない。

けれど、その表情が…答えなのだろう。

俺がしてきたことは許されない。

こんな場所とはいえ、生きるに困らない扱いを与えてくれたのは…兄による働きのはず。





陛下……兄からという杯を手に取ると、ずっと押し殺してきた感情が溢れてきた。





「………………酒を……交わしたかった……」





兄弟として…ふたりで…………





「兄上…………申し訳ありませんでした」





杯の中身を呷った瞬間、扉の向こうから小さな嗚咽と…俺の名を呼ぶ声が……聞こえた気がした






兄上




もう一度貴方の弟として生まれ変われるのなら




その時は決して貴方を煩わさないと約束する





だからもう一度






叶うなら貴方の弟として







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