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遠距離恋愛
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𓂃𓈒𓏸︎︎︎︎
「リリーは今頃どうしているだろう…」
「無事に王都に着いたんじゃないか?」
物思いに耽って呟いたアルバートに、主である第1王子のランドルフは事も無げに水を差す。
そんな主に、アルバートは睨みをきかせた。
「……そんな事は分かってますよ。本来なら、王都に着いたリリーチェを迎えてあげる予定だったんです。ご存知でしたよね?なのに突然、日程を前倒しするなんて…」
そう、本当なら今頃2人は再会の場面を迎えていたはずだった。
それをランドルフの希望で10日早く出立する事になってしまったのだ。
慌てて早馬で手紙を出したが、返ってきた返事にはリリーチェの悲しみが溢れていた。
「だって、お前ばっかりずるいんだもん」
ランドルフにはまだ婚約者がいない。
候補となる令嬢は数人いるが、卒業後に正式決定される運びとなっている。
つまりは嫉妬故の強行だった。
「俺だって婚約者とイチャイチャしたいし?でもまだ決まってないし?なのにお前は隙あらば婚約者の元に行こうとするし?…面白くない」
特に思いを寄せる相手はいないが、自身を取り囲む者達の殆どが婚約者持ち。
記念日やら誕生日やらと浮かれる様子を見るたびに、ランドルフは不貞腐れていた。
「俺だって女の子とイチャイチャしたい!!」と。
しかし王家は過去に“やらかし”をしており、早くから婚約者を設ける事を避けている。
基本的に長男が王位を継承するが、ランドルフの高祖父は次男…何があったかはお察しの通りだ。
「こちらの王女殿下との交流次第では、候補となられるかもしれないんですよね?」
「そうだな。もしそうなれば筆頭候補となるし、うまく進めばそのまま婚約者となって共に帰国する予定だ」
「…という事は、そうなった時に僕は幸せ満開の殿下を傍で見るわけですよね?僕はこれから少なくとも2年間は婚約者に会えないのに」
理不尽だ…と思う。
「そうなってしまうなぁ。王女はまだ14歳だし、もしかしたら帰国も延びるやもしれん。陛下が大層溺愛しているから、成人してすぐの輿入れは消極的らしいし…せめて18歳になってからかも?」
「自国のご令嬢にしましょう」
4年もリリーチェを放置出来るものかと間髪入れずに提案するが、ランドルフは何処吹く風。
「4年後か…件の令嬢も14歳になるな。少女から大人の女性に変わり始めるといったところか」
「僕のリリーチェを想像しないで頂きたいっ!!」
バンッ!!と執務机を叩いて抗議するも、ランドルフは「可愛いから綺麗にかわるんだろうなぁ」だの「デビュタントは誰がエスコートするんだろうか」だのと言ってアルバートを揶揄う。
「デビュ…タント……」
失念していたが、王国の貴族子女は15歳になると純白の衣装を着て社交界デビューをする。
そのエスコート相手は基本的に婚約者であり、いない者は家族が代理を務める事が習わし。
現在10歳のリリーチェがデビュタントを迎えるのは5年後と思い出して、アルバートはランドルフに詰め寄った。
「何がなんでも5年以内に帰ります。一生に1度しかないリリーチェの記念すべき日に立ち会えないなど、生きている意味も価値も持たないので」
「わ…分かったよ、約束する」
満足気に頷く側近候補の勢いに押されて、こくこくと首肯するランドルフ。
悪戯心で「6年くらいはここにいようかな」と言おうとしていた言葉を飲み込んだ。
そして、自身も何度か見かけた事のあるリリーチェの姿を脳裏に思い浮かべてみる。
確かに同年代の少女よりは見目が良いものの、そうは言ってもまだ10歳の幼い容姿。
言葉は悪いが“ツルペタ”の幼児体型をしていて、アルバートが何故こんなにも夢中なのかが理解出来ない。
ふと、思いついて口にしてしまう。
「アルバートって…ロリコン?」
「違います!!リリーだから好きなんです!!僕の純粋な想いを侮辱しないでください!!」
鼻息荒く否定するが、長身で鍛えている年頃の男が懸想しているのは間違いなく幼い娘。
去年の剣技大会で2人が手を取り合って話す姿を見かけたが、小さな体を抱き寄せる様子は禁断の雰囲気すら漂わせていた。
「なぁ…どこまでした?」
あけすけな問いにアルバートは頬を染め、その様子にランドルフはドン引きする。
「ちょ、なんで引いてるんです!?…頬にキスしかしてませんよ。去年はまだ9歳だったし」
「そうか…まぁなんだ…頑張れよ」
アルバートも17歳のお年頃。
それなりに男女のあれやこれやに興味はあるが、その全てはリリーチェに捧げると決めている。
「でも、閨教育くらいは受けてもいいんじゃないか?初めての女性を相手にするのは気を使って大変だと聞くぞ」
「そんなもの、リリーチェと共に乗り越えます」
王侯貴族の子息達は、早い者だと14歳を迎えた時に閨教育の実技を受ける風習がある。
あくまでも建前は“初夜の場で女性に辛い思いをさせない為”とされているが、本音は“早いうちから女性に慣らせて欲に惑わされない為”。
解消する術と相手を安全に確保する事で、厄介事に巻き込まれるのを避ける事が出来る。
かくいうランドルフも14歳で実技を受けており、それからも何人かの女性を相手に経験を積み重ねて技術を磨いてきた。
こちらへの滞在中も、「国が違えば習慣も違う」事を身をもって学ぶ為に、幾人かの女性が王家によって用意されている。
「もしも王女と結婚となれば、こちらの閨教育について知っておいて損はしない」
「……左様でございますか」
つい冷めた目で主を見てしまうが、確かに閨教育は多少の異なりがあるし、王女ともなれば厳粛な手順というものを享受している可能性が高い。
閨事にはその国なりのルールやマナーが存在するので、迎え入れる男性はそれを尊重するのが国際的に暗黙の了解とされている。
「初夜は恙無く、憂いなく終わらせたいからな」
「初夜…」
アルバートの脳裏にリリーチェが浮かぶが、流石に今のリリーチェを相手にどうこうしたいという気持ちはさらさらない。
漠然と、その頃にはどんな女性になっているだろうとイメージしてみるだけ。
そんな事を考えていると、幼いリリーチェがポンッと浮かんで頬が緩んだ。
『アルバート様』
普段は「アル」と呼ぶのに、恋愛小説の影響から時折「アルバート様」と呼ぶようになった。
頬を染めながらもじもじとする様子が擽ったくも可愛らしくて、アルバートは妄想の中で何度も柔らかな頬にキスをする。
そして思いを新たに決意をした。
「殿下。もしも5年以内に帰れないとなった暁には、側近候補を辞退させて頂き国へ戻ります」
「……約束は守るってば」
剣技も頭脳も同年代では随一のアルバートを候補から外すつもりはない。
しかも眉目秀麗で人当たりも良く、今ではアルバート目当てに情報を齎す者もいるほど。
いっそ色仕掛けでもしてくれればとも思うが、そんな事を持ちかければ即座に辞退するだろう。
流石のランドルフも軽い冗談でも口にしようとは思わない。
こうして始まった遠距離恋愛だが、当初の話通りにアルバートが留学途中で帰国することはなく、それが叶ったのはリリーチェがデビュタントを迎える直前であった。
「リリーは今頃どうしているだろう…」
「無事に王都に着いたんじゃないか?」
物思いに耽って呟いたアルバートに、主である第1王子のランドルフは事も無げに水を差す。
そんな主に、アルバートは睨みをきかせた。
「……そんな事は分かってますよ。本来なら、王都に着いたリリーチェを迎えてあげる予定だったんです。ご存知でしたよね?なのに突然、日程を前倒しするなんて…」
そう、本当なら今頃2人は再会の場面を迎えていたはずだった。
それをランドルフの希望で10日早く出立する事になってしまったのだ。
慌てて早馬で手紙を出したが、返ってきた返事にはリリーチェの悲しみが溢れていた。
「だって、お前ばっかりずるいんだもん」
ランドルフにはまだ婚約者がいない。
候補となる令嬢は数人いるが、卒業後に正式決定される運びとなっている。
つまりは嫉妬故の強行だった。
「俺だって婚約者とイチャイチャしたいし?でもまだ決まってないし?なのにお前は隙あらば婚約者の元に行こうとするし?…面白くない」
特に思いを寄せる相手はいないが、自身を取り囲む者達の殆どが婚約者持ち。
記念日やら誕生日やらと浮かれる様子を見るたびに、ランドルフは不貞腐れていた。
「俺だって女の子とイチャイチャしたい!!」と。
しかし王家は過去に“やらかし”をしており、早くから婚約者を設ける事を避けている。
基本的に長男が王位を継承するが、ランドルフの高祖父は次男…何があったかはお察しの通りだ。
「こちらの王女殿下との交流次第では、候補となられるかもしれないんですよね?」
「そうだな。もしそうなれば筆頭候補となるし、うまく進めばそのまま婚約者となって共に帰国する予定だ」
「…という事は、そうなった時に僕は幸せ満開の殿下を傍で見るわけですよね?僕はこれから少なくとも2年間は婚約者に会えないのに」
理不尽だ…と思う。
「そうなってしまうなぁ。王女はまだ14歳だし、もしかしたら帰国も延びるやもしれん。陛下が大層溺愛しているから、成人してすぐの輿入れは消極的らしいし…せめて18歳になってからかも?」
「自国のご令嬢にしましょう」
4年もリリーチェを放置出来るものかと間髪入れずに提案するが、ランドルフは何処吹く風。
「4年後か…件の令嬢も14歳になるな。少女から大人の女性に変わり始めるといったところか」
「僕のリリーチェを想像しないで頂きたいっ!!」
バンッ!!と執務机を叩いて抗議するも、ランドルフは「可愛いから綺麗にかわるんだろうなぁ」だの「デビュタントは誰がエスコートするんだろうか」だのと言ってアルバートを揶揄う。
「デビュ…タント……」
失念していたが、王国の貴族子女は15歳になると純白の衣装を着て社交界デビューをする。
そのエスコート相手は基本的に婚約者であり、いない者は家族が代理を務める事が習わし。
現在10歳のリリーチェがデビュタントを迎えるのは5年後と思い出して、アルバートはランドルフに詰め寄った。
「何がなんでも5年以内に帰ります。一生に1度しかないリリーチェの記念すべき日に立ち会えないなど、生きている意味も価値も持たないので」
「わ…分かったよ、約束する」
満足気に頷く側近候補の勢いに押されて、こくこくと首肯するランドルフ。
悪戯心で「6年くらいはここにいようかな」と言おうとしていた言葉を飲み込んだ。
そして、自身も何度か見かけた事のあるリリーチェの姿を脳裏に思い浮かべてみる。
確かに同年代の少女よりは見目が良いものの、そうは言ってもまだ10歳の幼い容姿。
言葉は悪いが“ツルペタ”の幼児体型をしていて、アルバートが何故こんなにも夢中なのかが理解出来ない。
ふと、思いついて口にしてしまう。
「アルバートって…ロリコン?」
「違います!!リリーだから好きなんです!!僕の純粋な想いを侮辱しないでください!!」
鼻息荒く否定するが、長身で鍛えている年頃の男が懸想しているのは間違いなく幼い娘。
去年の剣技大会で2人が手を取り合って話す姿を見かけたが、小さな体を抱き寄せる様子は禁断の雰囲気すら漂わせていた。
「なぁ…どこまでした?」
あけすけな問いにアルバートは頬を染め、その様子にランドルフはドン引きする。
「ちょ、なんで引いてるんです!?…頬にキスしかしてませんよ。去年はまだ9歳だったし」
「そうか…まぁなんだ…頑張れよ」
アルバートも17歳のお年頃。
それなりに男女のあれやこれやに興味はあるが、その全てはリリーチェに捧げると決めている。
「でも、閨教育くらいは受けてもいいんじゃないか?初めての女性を相手にするのは気を使って大変だと聞くぞ」
「そんなもの、リリーチェと共に乗り越えます」
王侯貴族の子息達は、早い者だと14歳を迎えた時に閨教育の実技を受ける風習がある。
あくまでも建前は“初夜の場で女性に辛い思いをさせない為”とされているが、本音は“早いうちから女性に慣らせて欲に惑わされない為”。
解消する術と相手を安全に確保する事で、厄介事に巻き込まれるのを避ける事が出来る。
かくいうランドルフも14歳で実技を受けており、それからも何人かの女性を相手に経験を積み重ねて技術を磨いてきた。
こちらへの滞在中も、「国が違えば習慣も違う」事を身をもって学ぶ為に、幾人かの女性が王家によって用意されている。
「もしも王女と結婚となれば、こちらの閨教育について知っておいて損はしない」
「……左様でございますか」
つい冷めた目で主を見てしまうが、確かに閨教育は多少の異なりがあるし、王女ともなれば厳粛な手順というものを享受している可能性が高い。
閨事にはその国なりのルールやマナーが存在するので、迎え入れる男性はそれを尊重するのが国際的に暗黙の了解とされている。
「初夜は恙無く、憂いなく終わらせたいからな」
「初夜…」
アルバートの脳裏にリリーチェが浮かぶが、流石に今のリリーチェを相手にどうこうしたいという気持ちはさらさらない。
漠然と、その頃にはどんな女性になっているだろうとイメージしてみるだけ。
そんな事を考えていると、幼いリリーチェがポンッと浮かんで頬が緩んだ。
『アルバート様』
普段は「アル」と呼ぶのに、恋愛小説の影響から時折「アルバート様」と呼ぶようになった。
頬を染めながらもじもじとする様子が擽ったくも可愛らしくて、アルバートは妄想の中で何度も柔らかな頬にキスをする。
そして思いを新たに決意をした。
「殿下。もしも5年以内に帰れないとなった暁には、側近候補を辞退させて頂き国へ戻ります」
「……約束は守るってば」
剣技も頭脳も同年代では随一のアルバートを候補から外すつもりはない。
しかも眉目秀麗で人当たりも良く、今ではアルバート目当てに情報を齎す者もいるほど。
いっそ色仕掛けでもしてくれればとも思うが、そんな事を持ちかければ即座に辞退するだろう。
流石のランドルフも軽い冗談でも口にしようとは思わない。
こうして始まった遠距離恋愛だが、当初の話通りにアルバートが留学途中で帰国することはなく、それが叶ったのはリリーチェがデビュタントを迎える直前であった。
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