5 / 5
我慢比べ
しおりを挟む
朝目が覚めるとやっぱりロベルトはいなくて、昨夜いた場所…そこに、あるはずのない温もりを求めて縋りついた。
「…ロベルト……」
「おはようございます」
僅かに残っていた香りに悶えていたら、ノックもなしにロベルトが入ってきた。それ、私だから許されるって分かってやってるよね?やたら満面の笑みなのは私が何をしていたのか分かっているからなのよね?
そんな爽やかな笑顔を見せられても、簡単には起きてあげないんだから。私は寝起きの悪い女なんだからねっ。……もう少し香りを堪能したいし。匂いがなくなるまでクンクンしてやる!と、シーツに顔を埋めた。
「…………ロベルト」
「はい」
「使っているコロンと同じものを寄越しなさい」
「畏まりました」
貴方が尻尾をブンブンしていることなんて、見なくとも分かるわ。声が弾んでいるもの。
「……お起きにならないんですか?」
ふんっ、起きてなんかあげないんだってば。まだまだこの匂いを堪能してやる。
「間もなく朝食のお時間ですよ」
「あっ…………何するのよ、邪魔しないで」
いつまでもクンクンしていたら、腰に手を回されヒョイッと持ち上げられてしまった。こんな対策もあるのね。でもシーツは離してあげない!
「食事はきちんとお取りくださいね、これ以上細くなったら折れてしまいます」
「そんな簡単に折れないわよ」
むしろコルセットの締め付け地獄に耐え抜いている、わりと丈夫な腰だわ。どんなに激しい房事でも耐えられてよ?
「……こんなに細くて…コルセットの必要があるんですか?」
「嗜みですもの、仕方ないわ。それよりおろしてくれる?まだ堪能したいの」
「本体がいるのに?」
あら。確かに、香りを強く感じると思った。つけてる本人がいるからだったのね、うっかりだわ。
「じゃぁ、ロベルトから直接嗅ぐ。おろして」
途端におろされ、ビシィッ!と尻尾を振りながら直立するロベルトの首筋に鼻先を寄せて、香りを堪能する。……いい匂い。
ロベルトは背が高いから爪先立ちにならないといけなくて、そうなるとふらつくのを支える為に、逞しく鍛えられた胸元に手を添えるしかないの。致し方ないのよ?たまたまそこにあるのが胸板なだけだわ。
「……………ふぅ…満足した」
「っ……それはようございました」
ふふんっ。さりげなく首筋に唇をつけてやった。
「さぁ、行きましょうか」
「…………………はい」
ロベルトは私と常に行動を共にする為、食事は一緒にとることになっている。食堂について食事をとり終わるまで、とても熱い視線を受け続けた。
我慢比べね。負ける気なんてしないけれど。
その後、部屋に戻って身仕度を始める為にロベルトは退出したのだけれど…些か早足だったのを私は見逃さなかった。
まずは一勝ゲットね。
******
ロベルトと繰り広げた攻防をエルザに話したら、あまり苛めてやるなと怒られたわ。いえ、正確には窘められた。
「殿方は色々と大変なのですから、あまり強い刺激をお与えになるのはお控えください」
外部の目がなければ、こうして気兼ねなくロベ トについて話すことが出来る。外では特大の猫を被っているから疲れるのよ。とはいえ、私がロベルトに夢中だという噂は既に広がり始めているけどね。発信元?それは企業秘密だわ。
さてさて。エルザに叱られ、ぶすっとしながら繊細な細工のような編み込みを施してもらっていると、ロベルトご帰還。
おやまぁ……スッキリした顔して。
そして、相変わらずノックなしだけれどエルザすら気にしていない。これは…イケる?援護してくれてる?エルザだけには、昔から散々ロベルトについて語ってきたものね。
「出来上がりました」
「素敵…ありがとう、エルザ」
「では、準備をして参ります」
エルザは一礼をして、パタン…と扉を閉めた。えぇ、完全に閉めましたわ。ありがとう。
「よくお似合いです」
「ありがとう。貴方も素敵よ」
騎士仕様のロベルトは、長い髪を高い位置でひとつに縛っている。動くたび、細い金糸が揺れてとても綺麗で…いつまでも触っていられる。
「誰にも触らせてはダメよ」
「仰せの通りに」
ロベルトの髪を指でくるくる弄っていると、ポケットから取り出した小瓶の中身を自分の手首に塗り、私の首筋に擦り付けてきた。
「…………いい香りだわ」
目を閉じてゆっくり呼吸をすれば、その香りが私のものなのか、それともロベルトのものなのか分からなくなる。まるでひとつに溶け合ったみたいで気持ちいい…………やだ、私まで変態だわ。
とか思いつつ、いつまでもやめないロベルトの戯れを享受していると、ノックの音。
「ご準備が整いました」
「今行くわ」
最後にロベルトへ近付き…思い切り香りを吸い込気み、ふうっ…と息を吐いて気合いをいれた。
******
執務室のテーブルに書類を広げ、キャスト候補を絞る為の話し合いが始まった。集まったのはざっと百三十名。連日の面接で声を枯らした事が、今となっては既に懐かしい。
「予定通り、男性達の好みにあたる者にはその数を記してあります」
エバンスが並べた絵姿の右下には、それぞれ数字が記されていた。見た目は大切なので、絵姿だけでどの女性と食事をしたりお酒を飲みたいのかを選んでもらった結果と言うことになる。
この屋敷だけでは大した人数にならないから、手分けしてあちこち派遣して得た貴重なデータであり、収集する際には他の人が誰を選んだのか分からないように徹底してもらっていた。
「ダントツの人気者から、少数派まで…予定通りね。ちなみにロベルトも投票したの?」
「俺はクリスティア様の騎士なので致しません」
「私の騎士でないならするの?」
「クリスティア様の絵姿があるのならば」
「そう、それなら無いから仕方ないわね」
私とロベルトのやり取りに驚く者はこの屋敷にはいない。それだけ近しい人を集めた。そして、広げt…うぉっほん…広がる噂は放置したまま、まずは屋敷内にいる使用人達へのアピールから始めることにしたわ。身近な人からの話であれば、より信憑性が増しますもの。いえ、噂は自然と広がっているだけですわよ?ウフフ♡
(使えない)王太子の婚約者などという有り難い肩書きをいただいてから、ずっと我慢してきたの。だからもうしない。
******
「お前みたいに真面目で堅苦しい女は嫌いだ。俺はアンジェリカと結婚する!婚約破棄だ!!」
定期のお茶会でそう声を張られた時は、思わず涙を流してしまった。だって嬉しかったんだもの。
「な、なぜ泣く!……まぁ、なんだ…そんなに俺の事が好きだと言うなら、おま────」
「なりませんわ!!それはなりません!真実の愛を貫きたいお気持ち、とてもとても分かります」
「そ、そうか?分かっ────」
「お手続きは私が済ませておきますから、殿下は何一つご心配なさらずお過ごしください。それでは、やる事がありますので失礼致します」
「ちょ、クリスティア、ま──────」
何か言っていたけれど、そんなの無視して足早に与えられている自室へと向かった。急いでお父様に手紙を書かなくてはならない。
「お嬢様!?」
「エルザ、すぐにランドルフとロベルトを呼んできてちょうだい」
「まさか…っ、畏まりました!」
縺れそうになる足を叱咤しながらなんとか自室へと辿り着き、予定より早い戻りに驚くエルザに指示を飛ばすと、全速力で手紙を書いてお父様の執務室まで届けるよう従者に渡した。
お返事を待つ間、実家や親友から贈られてきた宝物を鞄にポイポイ入れていく。部屋を変われと言われたら持ち出せるようにしておかないと、盗まれたら困る。ちなみに王太子から義務的に贈られたものは不要なのでどうぞ。
順調に仕分けを続けていたら、扉が大きな音をたててお父様が入ってきた。
「クリスティア!!」
「お父様!!」
ヒシッ…と抱き合い、これまでの苦労を無言のまま労い合う。長かったわ。苦節十二年…漸くこの時を迎えることが出来た。
「すぐに陛下へ話をつけてくる」
「お願い致します」
しっかりと頷き合い、駆け足で立ち去るお父様を見送ってから仕分けに戻り、そうこうしている内に再び大きな音と共に扉が開いた。
「クリスティア様!!」
そこにいたのは、複雑な感情を織り交ぜさせた瞳を揺らしているロベルト。息は乱れず、汗なんてかいていないけれど、いつもはきちんと纏められている髪が乱れ解れているから、急いで来てくれたのだと分かり胸が熱くなった。
「……ロベルト…」
本当ならお父様の時のように抱きつきたい。望まぬ婚約に縛られ、好きでもない男と過ごさなくてはいけない日々を耐えて十二年…もう心に蓋をしなくていいと思うと、我慢できなくなる。
「……ロベルト…エルザとランドルフは…?」
「え、あ……」
「置いてきたのね?」
「…………申し訳ございません」
きっとエルザはあの短い指示で全てを察し、的確な伝言をしてくれたのだろう。だからこそ…こうして貴方が駆け付けてくれたことが嬉しいの。
『俺より見目がいい騎士など目障りだ』
そんな理由で公爵家から連れてきたふたりの護衛騎士を外され…それでもふたりは王宮に留まり、私の傍にいてくれた。まぁ…ランドルフはエルザがいるからだろうけれど。
「今、お父様が陛下にお話をしに行っているわ」
「っ……では…」
「婚約破棄を言い渡されたけれど、予定通りこちらから叩きつけるわ」
私なりに思う悪女の笑みを浮かべたら、ロベルトは頬を緩めた。あら?怖くないのかしら。
「戻りましょう…公爵邸に」
「えぇ、みんなで戻るわよ」
距離を縮めることなく、私達は微笑みあった。
「…ロベルト……」
「おはようございます」
僅かに残っていた香りに悶えていたら、ノックもなしにロベルトが入ってきた。それ、私だから許されるって分かってやってるよね?やたら満面の笑みなのは私が何をしていたのか分かっているからなのよね?
そんな爽やかな笑顔を見せられても、簡単には起きてあげないんだから。私は寝起きの悪い女なんだからねっ。……もう少し香りを堪能したいし。匂いがなくなるまでクンクンしてやる!と、シーツに顔を埋めた。
「…………ロベルト」
「はい」
「使っているコロンと同じものを寄越しなさい」
「畏まりました」
貴方が尻尾をブンブンしていることなんて、見なくとも分かるわ。声が弾んでいるもの。
「……お起きにならないんですか?」
ふんっ、起きてなんかあげないんだってば。まだまだこの匂いを堪能してやる。
「間もなく朝食のお時間ですよ」
「あっ…………何するのよ、邪魔しないで」
いつまでもクンクンしていたら、腰に手を回されヒョイッと持ち上げられてしまった。こんな対策もあるのね。でもシーツは離してあげない!
「食事はきちんとお取りくださいね、これ以上細くなったら折れてしまいます」
「そんな簡単に折れないわよ」
むしろコルセットの締め付け地獄に耐え抜いている、わりと丈夫な腰だわ。どんなに激しい房事でも耐えられてよ?
「……こんなに細くて…コルセットの必要があるんですか?」
「嗜みですもの、仕方ないわ。それよりおろしてくれる?まだ堪能したいの」
「本体がいるのに?」
あら。確かに、香りを強く感じると思った。つけてる本人がいるからだったのね、うっかりだわ。
「じゃぁ、ロベルトから直接嗅ぐ。おろして」
途端におろされ、ビシィッ!と尻尾を振りながら直立するロベルトの首筋に鼻先を寄せて、香りを堪能する。……いい匂い。
ロベルトは背が高いから爪先立ちにならないといけなくて、そうなるとふらつくのを支える為に、逞しく鍛えられた胸元に手を添えるしかないの。致し方ないのよ?たまたまそこにあるのが胸板なだけだわ。
「……………ふぅ…満足した」
「っ……それはようございました」
ふふんっ。さりげなく首筋に唇をつけてやった。
「さぁ、行きましょうか」
「…………………はい」
ロベルトは私と常に行動を共にする為、食事は一緒にとることになっている。食堂について食事をとり終わるまで、とても熱い視線を受け続けた。
我慢比べね。負ける気なんてしないけれど。
その後、部屋に戻って身仕度を始める為にロベルトは退出したのだけれど…些か早足だったのを私は見逃さなかった。
まずは一勝ゲットね。
******
ロベルトと繰り広げた攻防をエルザに話したら、あまり苛めてやるなと怒られたわ。いえ、正確には窘められた。
「殿方は色々と大変なのですから、あまり強い刺激をお与えになるのはお控えください」
外部の目がなければ、こうして気兼ねなくロベ トについて話すことが出来る。外では特大の猫を被っているから疲れるのよ。とはいえ、私がロベルトに夢中だという噂は既に広がり始めているけどね。発信元?それは企業秘密だわ。
さてさて。エルザに叱られ、ぶすっとしながら繊細な細工のような編み込みを施してもらっていると、ロベルトご帰還。
おやまぁ……スッキリした顔して。
そして、相変わらずノックなしだけれどエルザすら気にしていない。これは…イケる?援護してくれてる?エルザだけには、昔から散々ロベルトについて語ってきたものね。
「出来上がりました」
「素敵…ありがとう、エルザ」
「では、準備をして参ります」
エルザは一礼をして、パタン…と扉を閉めた。えぇ、完全に閉めましたわ。ありがとう。
「よくお似合いです」
「ありがとう。貴方も素敵よ」
騎士仕様のロベルトは、長い髪を高い位置でひとつに縛っている。動くたび、細い金糸が揺れてとても綺麗で…いつまでも触っていられる。
「誰にも触らせてはダメよ」
「仰せの通りに」
ロベルトの髪を指でくるくる弄っていると、ポケットから取り出した小瓶の中身を自分の手首に塗り、私の首筋に擦り付けてきた。
「…………いい香りだわ」
目を閉じてゆっくり呼吸をすれば、その香りが私のものなのか、それともロベルトのものなのか分からなくなる。まるでひとつに溶け合ったみたいで気持ちいい…………やだ、私まで変態だわ。
とか思いつつ、いつまでもやめないロベルトの戯れを享受していると、ノックの音。
「ご準備が整いました」
「今行くわ」
最後にロベルトへ近付き…思い切り香りを吸い込気み、ふうっ…と息を吐いて気合いをいれた。
******
執務室のテーブルに書類を広げ、キャスト候補を絞る為の話し合いが始まった。集まったのはざっと百三十名。連日の面接で声を枯らした事が、今となっては既に懐かしい。
「予定通り、男性達の好みにあたる者にはその数を記してあります」
エバンスが並べた絵姿の右下には、それぞれ数字が記されていた。見た目は大切なので、絵姿だけでどの女性と食事をしたりお酒を飲みたいのかを選んでもらった結果と言うことになる。
この屋敷だけでは大した人数にならないから、手分けしてあちこち派遣して得た貴重なデータであり、収集する際には他の人が誰を選んだのか分からないように徹底してもらっていた。
「ダントツの人気者から、少数派まで…予定通りね。ちなみにロベルトも投票したの?」
「俺はクリスティア様の騎士なので致しません」
「私の騎士でないならするの?」
「クリスティア様の絵姿があるのならば」
「そう、それなら無いから仕方ないわね」
私とロベルトのやり取りに驚く者はこの屋敷にはいない。それだけ近しい人を集めた。そして、広げt…うぉっほん…広がる噂は放置したまま、まずは屋敷内にいる使用人達へのアピールから始めることにしたわ。身近な人からの話であれば、より信憑性が増しますもの。いえ、噂は自然と広がっているだけですわよ?ウフフ♡
(使えない)王太子の婚約者などという有り難い肩書きをいただいてから、ずっと我慢してきたの。だからもうしない。
******
「お前みたいに真面目で堅苦しい女は嫌いだ。俺はアンジェリカと結婚する!婚約破棄だ!!」
定期のお茶会でそう声を張られた時は、思わず涙を流してしまった。だって嬉しかったんだもの。
「な、なぜ泣く!……まぁ、なんだ…そんなに俺の事が好きだと言うなら、おま────」
「なりませんわ!!それはなりません!真実の愛を貫きたいお気持ち、とてもとても分かります」
「そ、そうか?分かっ────」
「お手続きは私が済ませておきますから、殿下は何一つご心配なさらずお過ごしください。それでは、やる事がありますので失礼致します」
「ちょ、クリスティア、ま──────」
何か言っていたけれど、そんなの無視して足早に与えられている自室へと向かった。急いでお父様に手紙を書かなくてはならない。
「お嬢様!?」
「エルザ、すぐにランドルフとロベルトを呼んできてちょうだい」
「まさか…っ、畏まりました!」
縺れそうになる足を叱咤しながらなんとか自室へと辿り着き、予定より早い戻りに驚くエルザに指示を飛ばすと、全速力で手紙を書いてお父様の執務室まで届けるよう従者に渡した。
お返事を待つ間、実家や親友から贈られてきた宝物を鞄にポイポイ入れていく。部屋を変われと言われたら持ち出せるようにしておかないと、盗まれたら困る。ちなみに王太子から義務的に贈られたものは不要なのでどうぞ。
順調に仕分けを続けていたら、扉が大きな音をたててお父様が入ってきた。
「クリスティア!!」
「お父様!!」
ヒシッ…と抱き合い、これまでの苦労を無言のまま労い合う。長かったわ。苦節十二年…漸くこの時を迎えることが出来た。
「すぐに陛下へ話をつけてくる」
「お願い致します」
しっかりと頷き合い、駆け足で立ち去るお父様を見送ってから仕分けに戻り、そうこうしている内に再び大きな音と共に扉が開いた。
「クリスティア様!!」
そこにいたのは、複雑な感情を織り交ぜさせた瞳を揺らしているロベルト。息は乱れず、汗なんてかいていないけれど、いつもはきちんと纏められている髪が乱れ解れているから、急いで来てくれたのだと分かり胸が熱くなった。
「……ロベルト…」
本当ならお父様の時のように抱きつきたい。望まぬ婚約に縛られ、好きでもない男と過ごさなくてはいけない日々を耐えて十二年…もう心に蓋をしなくていいと思うと、我慢できなくなる。
「……ロベルト…エルザとランドルフは…?」
「え、あ……」
「置いてきたのね?」
「…………申し訳ございません」
きっとエルザはあの短い指示で全てを察し、的確な伝言をしてくれたのだろう。だからこそ…こうして貴方が駆け付けてくれたことが嬉しいの。
『俺より見目がいい騎士など目障りだ』
そんな理由で公爵家から連れてきたふたりの護衛騎士を外され…それでもふたりは王宮に留まり、私の傍にいてくれた。まぁ…ランドルフはエルザがいるからだろうけれど。
「今、お父様が陛下にお話をしに行っているわ」
「っ……では…」
「婚約破棄を言い渡されたけれど、予定通りこちらから叩きつけるわ」
私なりに思う悪女の笑みを浮かべたら、ロベルトは頬を緩めた。あら?怖くないのかしら。
「戻りましょう…公爵邸に」
「えぇ、みんなで戻るわよ」
距離を縮めることなく、私達は微笑みあった。
1
お気に入りに追加
466
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説

冷徹義兄の密やかな熱愛
橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。
普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。
※王道ヒーローではありません
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

乙女ゲームは見守るだけで良かったのに
冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した私。
ゲームにはほとんど出ないモブ。
でもモブだから、純粋に楽しめる。
リアルに推しを拝める喜びを噛みしめながら、目の前で繰り広げられている悪役令嬢の断罪劇を観客として見守っていたのに。
———どうして『彼』はこちらへ向かってくるの?!
全三話。
「小説家になろう」にも投稿しています。
最愛から2番目の恋
Mimi
恋愛
カリスレキアの第2王女ガートルードは、相手有責で婚約を破棄した。
彼女は醜女として有名であったが、それを厭う婚約者のクロスティア王国第1王子ユーシスに男娼を送り込まれて、ハニートラップを仕掛けられたのだった。
以前から婚約者の気持ちを知っていたガートルードが傷付く事は無かったが、周囲は彼女に気を遣う。
そんな折り、中央大陸で唯一の獣人の国、アストリッツァ国から婚姻の打診が届く。
王太子クラシオンとの、婚約ではなく一気に婚姻とは……
彼には最愛の番が居るのだが、その女性の身分が低いために正妃には出来ないらしい。
その事情から、醜女のガートルードをお飾りの妃にするつもりだと激怒する両親や兄姉を諌めて、クラシオンとの婚姻を決めたガートルードだった……
※ 『きみは、俺のただひとり~神様からのギフト』の番外編となります
ヒロインは本編では名前も出ない『カリスレキアの王女』と呼ばれるだけの設定のみで、本人は登場しておりません
ですが、本編終了後の話ですので、そちらの登場人物達の顔出しネタバレが有ります
元カノが復縁したそうにこちらを見ているので、彼の幸せのために身を引こうとしたら意外と溺愛されていました
おりの まるる
恋愛
カーネリアは、大好きな魔法師団の副師団長であるリオンへ告白すること2回、元カノが忘れられないと振られること2回、玉砕覚悟で3回目の告白をした。
3回目の告白の返事は「友達としてなら付き合ってもいい」と言われ3年の月日を過ごした。
もう付き合うとかできないかもと諦めかけた時、ついに付き合うことがてきるように。
喜んだのもつかの間、初めてのデートで、彼を以前捨てた恋人アイオラが再びリオンの前に訪れて……。
大好きな彼の幸せを願って、身を引こうとするのだが。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
続きが気になります( ߹ㅁ߹)
更新待ってます!
退会済ユーザのコメントです