(完結)漆黒の国と半地下の姫

Ringo

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【番外編】国王夫妻の閨 ※マクシミリアン視点

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HOT50入りの感謝を込めて、番外編連投。
お楽しみ頂ければ幸いです(*゚∀゚人゚∀゚*)♪

──────────────────────




「ぜひ、再現しよう」


頬を染める妻の手を引いて寝台へと向かう。

日中、仲のいい夫人達を招いて開いた茶会の席でどんな話をしていたのか聞けば、返ってきた答えはまさかの営みについて。

夫の不実に悩む友人の為に、自分が思う愛のある営みについてを講義したと言うじゃないか…それなら是非とも僕と再現してほしい。


「リュリツィア」

「……えっと…」

「僕にも教えて?『愛のある営み』について」


寝台の上で向かい合って座り、恥ずかしがる妻の様子に顔の筋肉全てがだらしなく緩んでしまうのは仕方ない。

僕の子を五人生んでいるにも関わらず、いつまで経っても変わらない初心な妻が愛しい。

ふと先日の紳士会での会話を思い出した。


『肌の馴染みが忘れられなかった』


そう言ったのは、リュリツィアに相談を持ちかけたシェルマリーの夫。

初めて恋心を抱いて肌を重ねた相手が不遇の結婚を強いられて嫁ぎ、やがて未亡人となり再会した時に再び重なったことで思いが再燃したらしい。

それなのに、いざ肉欲を満たす生活を始めてみれば知ることになった事実。


『結局は初恋の残滓に縋っただけ』


実は強いられたわけではなかった結婚。むしろ財産に惹かれた女が積極的に推し進めたもので、豊富にあった財産を僅か二年で食い尽くし、親族に責め続けられた老子爵は心労が祟り逝去した。

うまく誘導して名義を変えていた邸宅や美術品を売り捌いて、それさえも無くなりかけたところで再会した嘗ての恋人に言葉巧みに言い寄り、そこからは経験から得た手練手管で篭絡。


『二度も子が流れたから責任も感じてしまって』


その言葉に疑問を抱いたのは僕だけではない。


───それ、本当にお前の子供か?そもそも、本当に妊娠していたのか?


本心では妻のもとに戻りたいのに、どうしても見捨てることが出来ないのだと言って酔い潰れた男を迎えに来たのは、妻でなく愛人。

覚束ない足取りの男を支え、ペロリと舌舐めずりをした姿にゾッとしたのを覚えている。


「……ん…リリー……」


つい思考に耽っていたら、妻に口を塞がれた。


「何を考えているの?」

「ん……何も…」


拗ねた顔をするリュリツィアにされるがまま、服をはだけさせられ落とされる口付けに心地よさを覚え、次々と増える独占欲の印に体が熱くなる。

首筋から始まり、柔らかい唇の感触がゆっくりと下がっていく。

愛してやまない妻から向けられる愛情…そして嫉妬と独占欲は、僕も抱く愛情を温め、心を潤わせて癒してくれる。


「…………あっ………」


やがて辿り着いた熱く滾る場所はさらりとした扱いで通り過ぎ、太股から爪先まで続く口付けに焦れったを感じてしまう。


「……リリー…ッ……」


早く折り返して欲しい…熱く滾る場所に戻ってきて欲しい…そう願って名を呼ぶも、返ってくるのはチラリとした上目遣いだけ。

激しい情欲を湛えた瞳とぶつかれば、それだけでも熱く滾るものはビクリと反応するのに、与えられるのは焦らし。


「……リリー…リュリ…ッ…ツィ……っ、ん…」


懇願に近い声音で請えば、口付けが折り返したところでふわりと微笑んで手が伸ばされ、やんわりと握られた。

ゆっくりと口付けは進み…小さな手で扱かれている様子を眺めていると、先端から溢れ出してしまう透明な液体。

僕は情けない顔をしていることだろう。

愛するリュリツィアからの愛撫に体は熱を持ち、期待して待つ場所へと近付くたびに滾るものは自分の意思に関係なくビクビクと動いてしまう。


「…………は…っ、ん……あ、あ…っ……」


一挙手一投足を見逃さんとばかりに見つめている僕に見せつけるように、視線を合わせたまま先端に口付けゆっくりと飲み込んでいく小さな口。

およそ半分ほどを過ぎたところで喉元に行き着いてしまい、空いている部分に手を添え僕を見つめたまま頭と手を上下に動かして、唾液を混ぜた淫靡な音を立てながら緩急をつけて吸われながら、生き物のように動き回る舌使いに腰が浮く。


「リリー…ッ……いい…っ…気持ち…い……っ」


既に届いている喉元をさらに突き上げてしまうが、どうしても止められない。


『構わないから平気よ』


傷付けたくない、無理はさせたくないと言った僕に囁き返された女神の言葉に、いつからか本能に抗うのをやめた。

それでも自然と手加減をするのは、彼女を愛しているからなのだと思う。


「リリーッ……リリー……!」


小さな頭を掴んで、気を抜けばスルリと指の間を落ちてしまう上質な絹糸を思わせる髪をひと纏めにし、出来るだけ優しく…それでいてより深く捩じ込もうと腰を突き上げ、それによって漏れる苦しそうな息遣いも独占欲を満たす。

誰よりも高貴な女性…誰からも望み求められる女性が、自分だけを欲し求めてくれる高揚感。


「リリー……もっ…と……もっと…っ…」


あまりの快感に背けそうになる視線を必死で繋ぎ止め、自分でも大きすぎると思うものが小さな口を出入りする様子を眺め、生理的に流される涙に劣情が沸き上がった。


「……っ…も……でる…っ…っ……リリー…ッ!」


鬼畜なほど奥を突き上げ、下腹部がきゅうっとした直後に迸り始めた精を容赦なく流し込む。


「……っ…んっ……っ……っ……」

「リリー…リュリツィア……ッ…で…る……!」


いつもより長く大量に放出されているのは分かっているが、必死で飲み込んでいる妻を気遣うことなど出来ず、むしろ頭を押し付けた。


「……はっ…あ……あっ、…リリー…ッ……」

「……………………っ…ん……凄い量…」


全て出しきったところで強く吸われ、ちゅぽんと口を離してからまるで決まった儀式のように先端にちゅっと口付け、艶やかに微笑みながら舌舐めずりをする姿に愚息が萎えることはない。


「…………リュリツィア…ッ…」

「あっ……!」


上体を起こして抱き寄せ、つぷっと指を差し込めばそこはしとどに濡れていて、焦るように解すのもいつもの流れ。

欲しいのは指じゃない…そう抗議するかのように締め付け蠢く隘路の中で指を動かしながら、あいているもう片方の手を後頭部に添えて引き寄せ、残る精の匂いに構うことなく舌を絡めれば、さらに蜜が溢れてくる。


「……んっ…リリー……愛してる…っ……」

「わたくしだっ、て…っ…あ…ん…愛してる…」


深く口付けたまま限界まで質量を増して固くなっている愚息を蜜口に宛がい、ゆっくりと腰をおろして飲み込ませれば今にも暴発しそうになり、下腹部に力を込めてやり過ごす。


「……っ…はっ……ん…リリー…ッ……」

「…マクシム…ッ…おっき……い…っ……」


余計な煽りを受け、思わず抱き締めれば大きくて柔らかい胸がむにゅりと押し潰され、うっかり理性の糸が焼ききれそうになった。


───童貞か!!


何度も交わり、さらに五人も子を成しているというのに初心なのは自分の方だ…と思えるほどリュリツィアの中は気持ちいい。

張りがあって形のいい尻を揉んで意識を散らし、きゅうきゅうと締め付けるリュリツィアを気持ちよく啼かせる為に腰を突き上げる。


「……っ…気持ちいい…マクシム…ッ……!」


向かい合って抱き合いながら交わるのもいいが、やはり存分に攻めて啼かせるには…と繋がったまま体勢を変えて組み敷き、ぐいっと体を折り畳むようにすればより奥へと愚息が入り込んだ。


「あぁぁぁっ!」

「……っ、キツ…ッ…」


経産婦が緩いと話す奴が信じられない。そういう女性もいるのかもしれないが、五人生んでも変わらないリュリツィアの締め付けに、いつだって愚息は食い千切られそうだ。

さっさと出せとばかりに締め付けられ、穿つたびにあたるザラつきに理性は消えた。


「あぁっ…!……っ、マク…ッ…シム、激し…まっ…て…あっ、ダメ……っ、や…まっ……っ…」

「待てない…っ、無理、気持ちいい…っ!」


すっかり歓迎されている秘境の入り口を叩けば、顔見知りの愚息は快く迎え入れられ、僅かに開かれたそこへ突くたびに飲み込まれる。


「いや…っ、まって……あっ、ダメ!ダメ……っ…やだ、マクシム…ッ…は…あっ…!!」


猛烈に穿たれ感じる過ぎた快感から逃げようと身を捩るのを押さえ付け、泣いて縋る妻に返してやるのはニヤリとした笑みだけ。


「やっ……い、あ…っ…!…だめ……まっ…」


今すぐにでも出したい、奥を白く染めたい…そう思いながらも、限界まで押し上げられて達する妻を見てから放ちたい思いが勝つ。


「だめ……!…マクシム…ッ、マクシム…ッ…!」


ぎゅうっ…と一際強く締め付けられると同時にビクリと始まった痙攣に満足して、溜めに溜めた精を勢いよく吐き出せば、直接注がれる熱にリュリツィアの体は跳ねた。


「あっ!……っ、熱…つよ……っい…っ……!」


自分で言うのもなんだが、吐き出される僕の精液は多くて勢いがよすぎる。びゅっ!と効果音がつくように飛び出すのだが、一度寸前で抜いて吐き出したところ、リュリツィアの顔どころか頭を飛び越えて着地した。

そんな子種達が、今まさにリュリツィアの子宮にびゅっ!びゅっ!と注ぎ込まれており、吐精の快感に震える僕の腕の中で、リュリツィアも同じように震え、さらに締め付けてくる。

リュリツィアを愛する想いに限界はない。

沸き上がる愛情と同じく子種は即座に充填され、最後の一滴を吐き出したところで愚息は元気なまま存在を主張している。


「……っ、待って…まだ…っ、あっ……」


休むまもなく再開される律動。

きっかけを作ったのはリュリツィアだよ?まだまだ僕は愛し足りない。


「愛してるよ、僕の奥さん」

「!! ……っ…!」


どれだけ歳月を経ても、僕の言葉に頬を染めて喜んでくれる。それだけでも心は潤うけれど…


「まだまだ付き合ってね、奥さん」

「えっ、あ、ちょ……あっ!」


さて、今度また開かれるかもしれない閨講座の為にもネタを提供しようじゃないか。

僕に愛されている自慢なら、いくらでもしてくれて構わないよ。





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