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貴族令嬢ゴレイジャー
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ある日の放課後at特級クラス。
クラスメイト達とお喋りしながらシュナイダーの迎えを教室で待っているアメリアの前に、5人の令嬢が立ちはだかった。
赤、青、緑、黄、ピンク…と鮮やかなビビットカラーが目に突き刺さる。
女子生徒はベージュの制服(ワンピース)を着ているはずだが、装いから察するに恐らく貴族。
何をアピールしたいのか、こうして放課後になると着替える者が多い。
「アメリア・アンダーソン。あなた、何様のつもりですの?」
向かって右から2番目…ブルーのドレスを着た令嬢が派手な扇子を口元に広げ、座ったままのアメリアを物理的にも見下してくる。
「“何様”……とは?」
キョトンと首を傾げるアメリアの態度に、細い目を吊り上げて口調を荒らげた。
「シュナイダー様の婚約者を気取って付き纏うなと言ってるのよ!!」
「気取るも何も、わたくしは婚約者ですわ」
アメリアの至極真っ当な答えにご令嬢…改めゴレイジャーの5人は顔を歪め、中央の赤いドレスを着た“レッド”が甲高い声をあげた。
「ひどい……っ!!」
突然“レッド”がポロポロと涙を流し始め、両脇の“ブルー”と“グリーン”が背中を擦りながら「お気を確かに!!大丈夫ですわ!!」などと言って励ます。
茶番を繰り広げるゴレイジャーとは対称的に、アメリアのクラスメイト達は至って冷静。
ちなみにゴレイジャーは色鮮やかなドレスを着ているが、アメリアwithクラスメイト達は特級クラス専用の制服を着用している。
制服と言っても非常にタイトな装飾のない黒のドレスで、深いスリットが入っているも同色のレースがあしらわれているので中は覗けない。
制服ドレスは伸縮性に長けた生地で仕立てられており、武術の履修を課せられている彼女達は、有事の際に自ら動けるようこの装いをしており、隠された太腿には護身用ナイフが潜む。
いざと言う時にはレース部分を剥ぎ取り、華麗な足技でも相手を攻撃する。
さて、話は戻ってゴレイジャー。
絶対零度の視線を向けられるも、レッドを中心に茶番を続けている。
「サブリナ様がお可哀想ですわ」
そう言ってアメリアを睨むブルー。
どうやらレッドはサブリナというらしい。
「そうですわ。本来であれば、サブリナ様がシュナイダー様のお隣におられるべきなのに」
次いで言ったのはグリーン。
本来とは何を根拠に言うのだろうか。
「たかが子爵家の娘のくせに、末は騎士総団長と目されるシュナイダー様の周りをウロチョロと付き纏って……目障りなのよ」
そう言うイエローも子爵家令嬢では?とアメリアは思うが口には出さない。
「剣を振るう乱暴な田舎娘に絡まれて、シュナイダー様が可哀想…アタシなら……」
ブツブツと呟くように話すピンクは、何を考えているのか頬を染めている。
「皆さん……ありがとう」
取り巻きの励ましに気を取り直したレッドは、優美な微笑みを浮かべて涙を拭った。
「子爵家の貴女には理解出来ないかもしれませんが、高位貴族の妻とは社交に務め美しくあるものなんですのよ。そうする事で旦那様にも深く愛されます。まぁ…粗雑な貴女には一生ご縁のないお話でしょうけども」
饒舌に語るレッドと、うんうん頷く取り巻き達。
「ましてシュナイダー様は王家に連なる尊いお血筋をお持ちの公爵家ご嫡男。あの方に相応しいとされるのは、同等の家格や血筋を持つ家の娘なのよ……わたくしのように」
誇らしげに語るレッドに対し、心なしか取り巻き達の表情は固い気もするが触れない。
「シュナイダー様がそうお望みになるなら、わたくしはその意思に従うまでですわ」
「っ…図々しいのよ!!地味な料理を作ったり、我が物顔で近くにいる事が!!身の程を知りなさい!!」
「シュナイダー様が望んで下さっているからに過ぎません。ご迷惑なら致しませんもの」
喚くレッドに冷静な物言いで対応していると、またも「ひどいっ!!」と叫んで泣き出してしまう。
どうしたものか…と考えていると、アメリアの隣に座っているクラスメイトが口を開いた。
物凄くイイ笑顔で。
ある日の放課後at特級クラス。
クラスメイト達とお喋りしながらシュナイダーの迎えを教室で待っているアメリアの前に、5人の令嬢が立ちはだかった。
赤、青、緑、黄、ピンク…と鮮やかなビビットカラーが目に突き刺さる。
女子生徒はベージュの制服(ワンピース)を着ているはずだが、装いから察するに恐らく貴族。
何をアピールしたいのか、こうして放課後になると着替える者が多い。
「アメリア・アンダーソン。あなた、何様のつもりですの?」
向かって右から2番目…ブルーのドレスを着た令嬢が派手な扇子を口元に広げ、座ったままのアメリアを物理的にも見下してくる。
「“何様”……とは?」
キョトンと首を傾げるアメリアの態度に、細い目を吊り上げて口調を荒らげた。
「シュナイダー様の婚約者を気取って付き纏うなと言ってるのよ!!」
「気取るも何も、わたくしは婚約者ですわ」
アメリアの至極真っ当な答えにご令嬢…改めゴレイジャーの5人は顔を歪め、中央の赤いドレスを着た“レッド”が甲高い声をあげた。
「ひどい……っ!!」
突然“レッド”がポロポロと涙を流し始め、両脇の“ブルー”と“グリーン”が背中を擦りながら「お気を確かに!!大丈夫ですわ!!」などと言って励ます。
茶番を繰り広げるゴレイジャーとは対称的に、アメリアのクラスメイト達は至って冷静。
ちなみにゴレイジャーは色鮮やかなドレスを着ているが、アメリアwithクラスメイト達は特級クラス専用の制服を着用している。
制服と言っても非常にタイトな装飾のない黒のドレスで、深いスリットが入っているも同色のレースがあしらわれているので中は覗けない。
制服ドレスは伸縮性に長けた生地で仕立てられており、武術の履修を課せられている彼女達は、有事の際に自ら動けるようこの装いをしており、隠された太腿には護身用ナイフが潜む。
いざと言う時にはレース部分を剥ぎ取り、華麗な足技でも相手を攻撃する。
さて、話は戻ってゴレイジャー。
絶対零度の視線を向けられるも、レッドを中心に茶番を続けている。
「サブリナ様がお可哀想ですわ」
そう言ってアメリアを睨むブルー。
どうやらレッドはサブリナというらしい。
「そうですわ。本来であれば、サブリナ様がシュナイダー様のお隣におられるべきなのに」
次いで言ったのはグリーン。
本来とは何を根拠に言うのだろうか。
「たかが子爵家の娘のくせに、末は騎士総団長と目されるシュナイダー様の周りをウロチョロと付き纏って……目障りなのよ」
そう言うイエローも子爵家令嬢では?とアメリアは思うが口には出さない。
「剣を振るう乱暴な田舎娘に絡まれて、シュナイダー様が可哀想…アタシなら……」
ブツブツと呟くように話すピンクは、何を考えているのか頬を染めている。
「皆さん……ありがとう」
取り巻きの励ましに気を取り直したレッドは、優美な微笑みを浮かべて涙を拭った。
「子爵家の貴女には理解出来ないかもしれませんが、高位貴族の妻とは社交に務め美しくあるものなんですのよ。そうする事で旦那様にも深く愛されます。まぁ…粗雑な貴女には一生ご縁のないお話でしょうけども」
饒舌に語るレッドと、うんうん頷く取り巻き達。
「ましてシュナイダー様は王家に連なる尊いお血筋をお持ちの公爵家ご嫡男。あの方に相応しいとされるのは、同等の家格や血筋を持つ家の娘なのよ……わたくしのように」
誇らしげに語るレッドに対し、心なしか取り巻き達の表情は固い気もするが触れない。
「シュナイダー様がそうお望みになるなら、わたくしはその意思に従うまでですわ」
「っ…図々しいのよ!!地味な料理を作ったり、我が物顔で近くにいる事が!!身の程を知りなさい!!」
「シュナイダー様が望んで下さっているからに過ぎません。ご迷惑なら致しませんもの」
喚くレッドに冷静な物言いで対応していると、またも「ひどいっ!!」と叫んで泣き出してしまう。
どうしたものか…と考えていると、アメリアの隣に座っているクラスメイトが口を開いた。
物凄くイイ笑顔で。
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つづきが気になります😭😭😭😭
ゴレンジャーかな?って思って読んでたら令嬢5人でゴレイジャー。納得(笑)
こちらは溺愛系なんですね。
両極端な作品の同時進行は大変だと思いますが、頑張って下さい😊更新楽しみにしてます。
…R18じゃない?Σ(*・д・ノ)ノ