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鳥籠の中の妻

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ふたりが初めて体を繋げたのはまだ互いが中学生だった頃。






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「透くん、来週の日曜日はお暇ですか?」


昼食後の洗い物をしていると腰に手が周り、桜が後ろから抱き着き尋ねてきた。

すぐにでも振り向き抱き締めたくなるが、あいにく左手には皿を持ち右手には泡だらけのスポンジを握っている。


「お暇ですよ。何かあるの?」

「子供達が朝からじぃじと遊ぶって言うから、久し振りにふたりでお出掛けしたいなと思って」

「また俺達は除け者か」


子供達は甘やかしてくれるじぃじ大好きっ子に育ち、何かと一緒に遊びたがり、『パパとママは内緒だよ』と何でも買い与えるものだから、結託した子供達からふたりは除け者にされてしまう。

結局は大量のお土産を抱えホクホク顔で帰宅するのでバレバレなのだが。


「じゃぁ、デートしようか」

「やった♡」


ぎゅっと抱き着いてくるので背中に胸が押し潰され、否応なく下半身が疼いてしまった。


「桜は行きたい所ある?朝からなら少し遠出も出来るし、日帰りで温泉でも行く?」

「……車でだよね?」

「もちろん」


背後でホッと息を吐くのが分かった。

透がそれ以外を認めるはずもないのに、桜は時々こうして確認をしてくる。

残りの洗い物を済ませると、振り向いて桜を正面から抱き寄せ腰をグイッと押し付けた。


「……どうして硬くなってるの?」

「桜が可愛くて」


啄むようなキスを何度か繰り返す。

子供達は夢の中で、今は夫婦の時間。


「思い出すなぁ…初めて桜と車の中でした時のこと。凄く興奮したんだよね」


背中からお尻を撫で回し、覚えてるだろ?と目で訴えれば桜は背筋をゾクリを震わせた。


「買ったばかりの新車なのに…桜のせいでビシャビシャになったんだっけ」

「ちが…っ、ぁっ、」


スルリとスカートを捲りあげて生肌を揉み、割れ目に沿って指を這わせば腰を揺らす。

桜の体についてはなんでも熟知済みだ。


「違わないでしょ?あの日は桜を学校まで迎えに行ったから制服だった…萌えたなぁ。ねぇ…まだ制服持ってるよね?」

「持っ…てる…っけど…」


じゃぁ着てよ…と耳元で囁かれ、挙げ句にカプりと耳朶を噛まれて舌が差し込まれると桜はもう立ってはいられなくなる。


「日曜日は温泉にしよう。日帰りでも部屋を取って過ごせる所あるし…そこで着てよ」


一頻り体を撫で回して満足すると今度は子供にするように抱き上げ、持ち上げられた桜は慣れたように透の腰へ足を巻き付けた。


「……重いでしょ…?」

「前から言ってるけど重いなんて思った事もないし、むしろ軽いと思ってるよ」

「でも…」

「じゃなきゃ頻繁に駅弁しないし?」

「そっ…!!…れは…感謝シテ…マス…」


モゴモゴと語尾を小さく言って肩に頭を預ける様子が可愛くて、わざと腰を突き出した。


「好きだもんね?この体位」

「…っ……好き……」

「じゃぁ今日はこのまましようか。声は我慢してね。桜、この体位だと声出やすいから」

「だって…キモチヨクテ……透くん、お風呂は?」

「1回したら入ってくる」


赤く染まった頬に口付け、抱き上げたまま寝室へと向かった。






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「シャワー浴びてくるね」

「……うん…行ってらっしゃい…」


相も変わらず同室の赤ん坊に気を遣いながらの行為だが、その背徳感と強いられる声の抑制に結果として深い快楽の谷へと落とされてしまう。

くたりと横たわる桜の頬を撫でてから寝室を出た透は浴室へと向かい、セックスで滲み出た汗を流すべくシャワーの蛇口を捻った。


『……車で?』


ふと不安げにそう聞いてきた事を思い出す。

桜の心に付けられた傷は、今も深く残ったまま。


「……マジでぶち殺したい…」


透が免許を取ってからのデートは車のみだが、それまでも基本的には徒歩圏内に出掛けるだけだったり、遠出をする時は実家お抱えのハイヤーを利用していた。

そもそも透と同じく実家が富裕層であるお嬢様の桜が公共機関を使ったことはない。

ただ1度だけを除いて。


「……くそ…っ…!!」


その❝1度だけ❞で起きた出来事を思い出し、湧いた怒りを抑える為に冷水を被った。






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中学生になって初めての夏休み、クラスメイトから誘われ初めて電車で出掛ける事になった桜。

心配だからと反対したのは透だけ。

桜の両親は『何事も経験』だと許可し、桜も初めての事に浮かれていた。


「行ってきます!!」


迎えに来た友人達と連れ立ち明るく出掛けた姿を見送ってから僅か1時間後…桜を保護したとの連絡が警察から入った。

予想だにしない連絡を受けた両親と透が駆けつけ見たのは、女性警察官に支えられ震える自分を抱き締め涙を流す桜の姿。


「桜っ!!」


両親よりも早く駆け寄った透の胸に飛び込み、顔を押し付け声にならない嗚咽と慟哭を漏らした。


「大丈夫…大丈夫だよ桜…もう大丈夫…」


ぎゅうぎゅうと抱き着く桜を抱き締め、何度も大丈夫だと優しい声音で繰り返す。


「帰ろう。もうひとりにはしないよ。大丈夫」


桜が保護された原因は痴漢被害。

あまりの混雑に友人達と引き離され、満員電車の中で自由も利かないところを狙われた。

背後に立っていた男から痴漢行為を受け、保護された時には下着が太腿まで下げられていたと聞いた透は怒りから血管が切れそうになる。

不審に思った乗客に取り押さえられてそのまま警察へと突き出され、男は現行犯逮捕。

供述によれば膝丈のフレアスカートを器用に捲りあげてその中へと手を滑り込ませたという。

それ以上の事をしたのかどうかは語らず、桜自身も話そうとしない為に分からない。

ただ異常なまでに怯えており、その可能性もなくはないというのが警察の見解だった。

帰りの車の中でも桜は透に抱き着いて離れず、透は抱き締めながら「大丈夫」と伝え続ける。


「透ちゃん…今日は傍にいてあげてくれる?」


桜の母親にそう頼まれたが、言われなくともそうするつもりだった。

既に何度も寝泊まりはしており、このまま二度と帰りたくないとさえ思う。

ふたりで部屋に入ると内鍵をかけ、腕にしがみつく桜と共にベッドへと横になる。


「桜…」


呼び掛けても返事はなく、縋るように抱き着いて離れようとしない。

まだ震える体を優しく抱き締め「大丈夫」と繰り返し、ふと思いついたことを口に出した。


「桜…着替えようか」


その言葉の意味が分からずに顔をあげた桜の瞼は痛々しい程に赤くなっており、未だポロポロと涙を流している。


「着替えよう、桜」


怒りでどうにかなりそうだった。

有無を言わさずスカートの中に手を入れ、どこの誰とも知らない男が触れた下着を脱がせると視界に入らないよう床へと投げ捨てる。


「あれは捨てておくから」


抵抗するかと思った桜はキョトンとするだけで、しかし透の言葉にやや遅れてコクンと頷いた。

少し涙は収まったが、まだヒクヒクと小さくしゃくり上げるのは変わらない。

桜は発育が良く上背と胸こそあるが童顔の色白。

パッと見はとても幼く見える為、そのアンバランスな雰囲気が男を欲情させたという。

未だ恐怖から抜けきれない桜は震えており、その様子に透の怒りと独占欲が沸騰し始めた。


「どうせだから全部脱いじゃおうか」


この言葉にも桜はコクンと頷く。

1枚1枚丁寧に脱がせていきながら、ここにも触れたのか…ここにも…と頭に血が上るのが分かる。

いっそ引きちぎりたいが、そんな事をすれば桜が怖がると思いなんとか暴走を留めた。


『目撃者によると、恐らく胸部にも手を差し込んでいたのではないかとの事です』


ブラウスを脱がせて見えたブラジャーは少しズレていて、胸の収まりが中途半端。

何をされたのか思い浮かべそうになるが瞬時に打ち消し、そのまま顔を寄せてベロリと舐めた。


「桜、少し背中浮かせて」


素直に従う様子に内心ホッとしながら怒りで震えそうになる手でホックを外し、ショーツと同様に視界の外へ投げ捨てる。


「あとで新しいやつ買おうね」


やはり頷くだけの桜に微笑みを向け、触られたであろう膨らみを優しく揉んで口付けた。


「桜は綺麗だよ…ここも…ここも全部綺麗」


そう言いながらあちこちに口付け、その都度強く吸い付いて赤い印を残していく。

桜が中学生になったのを機に裸での触れ合いを始め、セックスこそしないもののこうして独占欲の痕を幾度となく付けていた。

慣れた刺激に桜の涙と震えは収まり、少しずつ女の吐息を漏らし始める。


「…透くんも…」


靴下もスカートも脱がせたところで桜にそうねだられ、「そうだね」と答えて透も脱いだ。

一糸纏わぬ姿となった透の下半身には臍まで反り返る剛直が脈打っており、こんな状況だが桜に対して興奮しているのだと訴えている。


「ごめんね。桜が可愛くて大好きだからこうなっちゃうんだ…怖い?」

「……こわくない…」


何度も見たことがあり、触れたこともある部分。

フルフルと首を振った。


「桜……セックスしよう」


ビクッとしたが、その怯えが透に対してではないことは分かっている。

初めてはもう少し大人になってから…せめて桜が高校生になってからと考えていた。

けれど予期せぬ被害に遭い、与り知らぬところで処女を散らされるのではないかという不安と嫉妬を抑えられなくなった。


「なるべく痛くないようにするから…ねぇ桜、俺に初めてをちょうだい?」


桜とて初めては透しか考えられない。

全身に優しく舌を這わされながら時折チクっと吸われて、少しずつ増えていく印に体は火照る。


「で…でも……」

「桜は俺のものでしょ?俺も桜のものだよ」


だからしよう?と下半身に顔を埋めながら甘えるように言われ、トロトロと溢れ出した蜜を啜る音と刺激に思考は蕩けていく。

もう何度もこうしてきたから、桜の体は素直に反応してビクリと達した。


「っ……痛く…しない…?」

「優しくする」


桜が怖いのは初めてに伴うと聞く痛みだけ。

なのに何度聞いても「優しくする」としか言われず戸惑ってしまう。

暫く蜜を啜りながら舐めて噛んでを繰り返していた透がゆっくり覆い被さってきた。

体は桜の足の間に割り入っており、局部同士を静かに擦り付けている。


「桜……お願い…」


熱く滾るような視線を向けられて見つめ合い、触れた唇を開けば当然のように入ってきた舌が慣れた動きで絡み合う。

いつもならこのまま、やがて透の息と腰使いが荒くなって果てるのを待つだけ。

それが今は擦りながら、さりげなく先端を少しだけ埋めるような仕草も見せる。


「…っ……ゆっくり……」


クラスメイトの中には既に経験済みの子もいて、その話を桜もきゃぁきゃぁ言って聞いていた。

自分もいずれは…と思っていたがまだ先の話だと思っていたのに、痴漢に遭って透以外の男に触れられた気持ち悪さが拭えない。


「泣かないで…優しくする…ゆっくりするから」


嫌われるかもしれない。

もう触れてくれないかもしれないと怖かった。

透に愛されないまま、別の男に初めてを奪われるかもしれない現実もあるのだと。


「好きなのっ……透くんが…っ、」

「俺も好きだよ。桜だけが好き」


舌を絡めながら少しずつ腰を進め、ゆっくりと固く狭い隘路をこじ開けていく。

途中感じた薄い膜の感触に、男の指による陵辱では破られなかったのだと内心で安堵した。


「いっ……ん…っ…!!」


その膜を躊躇なく突いた瞬間にあがりかけた声は口付けで塞ぎ、侵入を拒むような強い締め付けに堪えて奥へと進む。

腰が溶けそうになるほどに気持ちいいが、避妊具なしに及んだので暴発は避けなくてはならない。


「っ……入っ…た……っ…」

「……っ……透くん……つらいの…?」


額には脂汗が滲んでいるが、それは今この瞬間にも襲い来る強烈な快感を逃がそうと耐えているせいで…確かに辛くもある。


「桜が気持ちいいせいで……出ちゃいそう…」


眉をへにょりと八の字に下げてそう告げれば、桜は困ったようなそれでいて嬉しそうに笑って透の頬を両手で挟んだ。


「…んっ……痛くない?」

「少し…でも平気…透くんが優しいから…」

「そっ、か…っん、ちょ、締めっ…っ」

「…どうしたの?」

「っく……っぁぁぁ…っ…」


ガバッと抱き締められ、またも呻いた透。

痛みと違和感を感じつつも透にきゅんきゅんするたび締め付けているのだが、桜がそれに気付くことはない。


「……ムリ………」

「え?あっ、んっ…!!」


我慢の限界を迎えた透は貪るように口付け、溶け朽ちそうな快感に負けじとゆっくりと腰を振り、霞む理性を繋ぎ止めながら隘路を擦る。


「んぁっ、ぁ…っ」


けれど桜の抑えた喘ぎに煽られ、少しずつ腰を振る速度は増してしまう。

愛しい、可愛い、気持ちいい…そんな感情がグルグルと脳内を駆け巡り、避妊していない事など忘れて一心不乱に奥を穿つ。


「桜っ、桜っ、」


激しい口付けに必死で応えていると、徐々に破瓜の痛みは和らぎ快感へと変わっていく。

抉られるような違和感は拭えないが、それ以上に透と繋がっていることが幸せでならない。


「あっ、あっ、桜っ…桜…っ!!」


一層強く穿たれると動きは止まり、直後に奥へと放たれていったものが桜の中を白く染めた。

避妊…と思ったのは一瞬。

勢いよく浴びせられる飛沫を感じて透への想いが溢れ出てくる。


「っん……っ…」


桜の首筋に顔を埋めながらグリグリと腰を回し、吐き出したものを一面へと塗り広げ…

そしてピタリと止まる。


「……………ごめん……出した………」


そうは言いつつ抜く気配はなく、荒い息を吐いて覆い被さったまま。

それがなんとも可笑しくて、つい笑ってしまう。


「……笑い事じゃないよ、桜」

「だって……ふふっ」

「生理…あと1週間くらいだっけ?」


桜のことはなんでも把握している。

危険日ど真ん中でなくとも可能性は高いと理解しているが、蕩けるような快感から抜け出したくなくてつい腰を回してしまう。


「んっ、そぅ…のくら…ぃっ…」

「桜…結婚しよう」


至極真面目な顔をあげてそう言い、初めての行為に頬を上気させている桜の唇を舐めた。


「結婚しよう。いや、する。だから桜は安心して産んでくれたらいいよ」


透が無責任に逃げるとは思っていない。


「2度目のプロポーズ?」

「…確かに」


見知らぬ男に触られ、あらぬ所まで手を伸ばされた時に未来はなくなったと思った。

けれど大好きな人は汗を滲ませた顔をキリリとさせ、結婚しようと言ってくる。


「私、透くんのお嫁さんになれる?」

「桜以外はなれないよ」


生まれた時から傍にいて、これから先も当然いるものだと信じてきた愛しい人。


「結婚したら桜はずっと家にいて」


もう怖い思いをしなくていいように。

透を待つ狭い世界で生きる未来を思い描き、桜は嬉しそうに笑って涙を流した。


「……いる。おうちで透くんの帰りを待ってる」


透がいればそれでいい。

それだけでいい。

それしかいらない。


「何処にも行かない。透くんが帰ってくる家で大人しく待ってるから…だから捨てないで…」


この日を境にふたりは頻繁に体を繋げるようになり、不意に情緒が荒れる桜と根気よく向き合う日々を過ごしてきた。





そしてふたりは夫婦となる。






「今日は何して過ごしたの?」


監視カメラで見ていたにも関わらず、透は帰宅するとそう尋ねてしまう。


「ここで透くんを待ってたよ」


その答えが聞きたくて。




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