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運命の隣国 3【前編】 ※騎士side
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隣国で過ごす時間も残り三日となり第五王女は未だに接触を図ろうとしてくるけれど、その都度ミレーヌ王女が足止めをしてくれたから助かった。
「またなの?懲りない子ね」
「ご執心だねぇ」
「…勘弁してください」
殿下とミレーヌ王女の茶会の席に、もう見慣れてしまった封書が届けられて溜め息が漏れた。
「で?今度はなんて?」
「ミレーヌ王女…楽しまないでください」
ニコニコしながら揶揄され思わず睨んでしまったが、これ幸いとばかりに殿下に抱きついている。
「そう睨むな、オーランド」
分かりやすい演技だと分かりながらも甘えられて嬉しい殿下は、嬉しそうにミレーヌ王女を抱き締めている…俺はハンカチで我慢しているというのに酷い主だ。
カサ──
手紙を開いたが何て事はない、いつものように会いたいだの話がしたいだの書かれているだけ。返事はしなくていいとミレーヌ王女が言ってくれたから良かったが、妹溺愛王女だったらと思うと背筋に嫌な汗をかいてしまう。
「どれどれ?…あ~…これはまた思い込んでいそうね。今頃オーランドの境遇を憂えて頭を抱えているんじゃない?」
「…憂いなどありません」
むしろ付き纏われるほうが憂いだ!そう叫んで突き放すことが出来ればどんなに楽か。
「まぁ、あと三日でサヨナラなわけだし無視して夢だけ見させてあげて。会うのも返事もしなくていいから」
「…分かりました」
渋々そう答えれば、ミレーヌ王女は殿下と仲良く茶菓子の食べさせあいを始めた。元はミレーヌ様からの打診だったけれど、数回の顔合わせで殿下もすっかり骨抜きになった事を俺は知っている。
仲がいいのは何よりだし、実は既に体を繋げていることも知っている俺としては無事に出立の運びとなって安堵していた。初夜で純潔を捧げたと偽装できるように避妊薬は飲んでいると言っていたが、到着した日から毎晩、ここぞとばかりに逢瀬を重ねて楽しんでいる。…羨ましい。
平民は純潔を重んじない。だから『いずれ籍を抜く俺とトリシアは平民も同然』と説き伏せ、初めて組み敷いた日の事を思い出した。どうせ結婚するのだからと最初から避妊はしていないし、向こうを出る前日も朝までしていたから既に子が出来ている可能性もある。
「…顔が気持ち悪いぞ?」
トリシアの蕩けきった姿を思い出していたら、殿下から含みを持たせた笑みを向けられた。あなた達に触発されたせいです。
「あと一週間もすればトリシアに会えるな」
「えぇ、楽しみです」
帰ったら一週間の休みをもらっている。その間はトリシアを思い切り愛そう。
そう思っていた俺の思いは切り刻まれた。
******
「きゃぁぁぁぁ!」
女の悲鳴で起き上がり、何事だと枕元の剣を握れば世話係のメイドが俺の方を見ている。
なんだ?と寝台からおりようと手をついて、そこにあるはずのない感触に血の気が引いた。
──────なぜここに
「んん…」
「マ、マリーベル様!?なにをっ…」
メイドがあげた悲鳴で目覚めたのか、むくりと起き上がったのは第五王女。そして…その姿は裸。俺の体は勢いよく体温を下げ、指先が震えているのが分かる。
「ん…どうしたの?」
メイドに裸を見られるなど慣れているのか、一切隠す様子もなく…
「どうした!!───っ!」
悲鳴に駆け付けてきた隣国の騎士や使用人達にもその姿は捉えられ、さすがに男が来たことに驚いてシーツを体にあてているが…俺は衝撃のあまりに動けずにいた。
「あ、あのっ…その…」
「…!!殿方は出ていってください!」
我に返ったメイドにより駆け付けた者達が追い出されていったが、そこで漸く頭が働いてきた。
─────終わった
******
出立を明日に控え、俺は殿下とミレーヌ王女に伴われて国王の執務室へと呼ばれた。それが何故なのかなど分かりきっている。
「失礼致します」
殿下とミレーヌ王女に続いて入室すると、そこには国王と第五王女…恐らく母親であろう側妃が並んで座っていた。国王は困ったような、側妃は申し訳なさそうな顔をしており…第五王女は頬を染めてこちらを上目遣いで見上げている。
「マリーベルから話は聞いたが、君からも聞きたいと思ってね」
殿下を間に挟んで向かいに座り、出されたお茶に視線を落として呼吸を整える。間違えるな…そう思うも、何をどう言えばあちらの狙いを回避できるのか分からずに頭痛がしてきた。
「その前にいいかしら?」
言葉をえらんでいたら、ミレーヌ王女が殿下には向けない冷えた声で質問があると投げ掛けた。
「なんだ?ミレーヌ」
「事のあらましは聞いておりますが…そもそも、なぜマリーベルがオーランドの部屋に入れましたの?部屋の前には護衛が立っていたはず」
そう、メイドの悲鳴に護衛は駆け付けた。扉の前にいた者ならばあのタイミングはおかしい。
「それは───」
「私が頼みました!」
国王の言葉を遮り、名案だっただろうと言いたげにしているこの女は本当に王女なのだろうか。殿下もだがミレーヌ王女までもが冷気と怒気を放っていることにも気付いていない。
「なぜ?」
「それは…その…お話がしたくて…」
「話がしたくて何故裸で寝ていたの?」
ミレーヌ王女の直球な質問に頬を染めているが、微塵も可愛いなど思えない。この話し合いの先に待つ結末は覚悟しているが…無理だ。
「その…お伺いした時には…オーランド様は既に寝ていらっしゃって…」
「それで?何故そのまま帰らなかったの?」
「…寝顔を拝見したくて」
恥ずかしそうにチラチラと視線を向けてくるが、俺は笑顔のひとつも見せていないのによくも嬉しそうだと思う。
「で?寝顔を見て帰らなかった理由は?」
ミレーヌ王女からのその質問に、それまで嬉しそうにしていた第五王女は僅かに顔を歪めた。
「それは…女性の名前を…お呼びになられて…」
あぁ…と合点がいった。そしてなんと自分勝手な女なのだと呆れた。そして、そんな女に見事に嵌められた自分も情けなくなる。漸くトリシアの元に帰れるからと浮かれ、さすがに出立の前日はいけないが二日前の昨夜ならと深酒をしてしまったのだ…昨夜の自分を殴りたい。
「当たり前でしょう?オーランドは婚約者がいるの、それも相思相愛の。寝言で名を呼ぶなんて当然じゃない」
「でもっ!!」
「逆の立場で考えなさい。一方的に慕っているからとあなたの寝室に忍び込んだ男が、身勝手な嫉妬で裸になった上で寝台にまで入り込む…気持ち悪い犯罪よ。あなた正気じゃないわ」
ズバリと言うミレーヌ王女に第五王女はキッと睨みつけているが、その態度はなんだと言ってやりたい。いっそこの場で殺して処刑されようかとすら思える。
「私はオーランド様をお救いしたいだけです!」
「救うって何から?オーランドは自分で望んで平民になるの。あなたの価値観を押し付けるんじゃありません!勘違いと思い込みもいい加減にしなさい!」
「勘違いでも思い込みでもないわ!それにもう子が出来たかもしれません!私はオーランド様と結婚します!!」
その言葉にミレーヌ王女は握る扇をパキリと音をたてて折り、第五王女に向けて勢いよく投げつけた。正直、もっとやれと思ってしまう。
「阿婆擦れが!」
「国王陛下、これはさすがに看過できない。酔い潰れていたとは言えオーランドにも責任はあるでしょう。ですが気持ちのいいものではない」
そこで──と殿下は提案を持ちかけた。共同出資による、両国を繋ぐ鉄道の建設に対する利権の見直し。その出資額を隣国で八割を負担し、筆頭利権者はこちらに譲れ…と。
「またなの?懲りない子ね」
「ご執心だねぇ」
「…勘弁してください」
殿下とミレーヌ王女の茶会の席に、もう見慣れてしまった封書が届けられて溜め息が漏れた。
「で?今度はなんて?」
「ミレーヌ王女…楽しまないでください」
ニコニコしながら揶揄され思わず睨んでしまったが、これ幸いとばかりに殿下に抱きついている。
「そう睨むな、オーランド」
分かりやすい演技だと分かりながらも甘えられて嬉しい殿下は、嬉しそうにミレーヌ王女を抱き締めている…俺はハンカチで我慢しているというのに酷い主だ。
カサ──
手紙を開いたが何て事はない、いつものように会いたいだの話がしたいだの書かれているだけ。返事はしなくていいとミレーヌ王女が言ってくれたから良かったが、妹溺愛王女だったらと思うと背筋に嫌な汗をかいてしまう。
「どれどれ?…あ~…これはまた思い込んでいそうね。今頃オーランドの境遇を憂えて頭を抱えているんじゃない?」
「…憂いなどありません」
むしろ付き纏われるほうが憂いだ!そう叫んで突き放すことが出来ればどんなに楽か。
「まぁ、あと三日でサヨナラなわけだし無視して夢だけ見させてあげて。会うのも返事もしなくていいから」
「…分かりました」
渋々そう答えれば、ミレーヌ王女は殿下と仲良く茶菓子の食べさせあいを始めた。元はミレーヌ様からの打診だったけれど、数回の顔合わせで殿下もすっかり骨抜きになった事を俺は知っている。
仲がいいのは何よりだし、実は既に体を繋げていることも知っている俺としては無事に出立の運びとなって安堵していた。初夜で純潔を捧げたと偽装できるように避妊薬は飲んでいると言っていたが、到着した日から毎晩、ここぞとばかりに逢瀬を重ねて楽しんでいる。…羨ましい。
平民は純潔を重んじない。だから『いずれ籍を抜く俺とトリシアは平民も同然』と説き伏せ、初めて組み敷いた日の事を思い出した。どうせ結婚するのだからと最初から避妊はしていないし、向こうを出る前日も朝までしていたから既に子が出来ている可能性もある。
「…顔が気持ち悪いぞ?」
トリシアの蕩けきった姿を思い出していたら、殿下から含みを持たせた笑みを向けられた。あなた達に触発されたせいです。
「あと一週間もすればトリシアに会えるな」
「えぇ、楽しみです」
帰ったら一週間の休みをもらっている。その間はトリシアを思い切り愛そう。
そう思っていた俺の思いは切り刻まれた。
******
「きゃぁぁぁぁ!」
女の悲鳴で起き上がり、何事だと枕元の剣を握れば世話係のメイドが俺の方を見ている。
なんだ?と寝台からおりようと手をついて、そこにあるはずのない感触に血の気が引いた。
──────なぜここに
「んん…」
「マ、マリーベル様!?なにをっ…」
メイドがあげた悲鳴で目覚めたのか、むくりと起き上がったのは第五王女。そして…その姿は裸。俺の体は勢いよく体温を下げ、指先が震えているのが分かる。
「ん…どうしたの?」
メイドに裸を見られるなど慣れているのか、一切隠す様子もなく…
「どうした!!───っ!」
悲鳴に駆け付けてきた隣国の騎士や使用人達にもその姿は捉えられ、さすがに男が来たことに驚いてシーツを体にあてているが…俺は衝撃のあまりに動けずにいた。
「あ、あのっ…その…」
「…!!殿方は出ていってください!」
我に返ったメイドにより駆け付けた者達が追い出されていったが、そこで漸く頭が働いてきた。
─────終わった
******
出立を明日に控え、俺は殿下とミレーヌ王女に伴われて国王の執務室へと呼ばれた。それが何故なのかなど分かりきっている。
「失礼致します」
殿下とミレーヌ王女に続いて入室すると、そこには国王と第五王女…恐らく母親であろう側妃が並んで座っていた。国王は困ったような、側妃は申し訳なさそうな顔をしており…第五王女は頬を染めてこちらを上目遣いで見上げている。
「マリーベルから話は聞いたが、君からも聞きたいと思ってね」
殿下を間に挟んで向かいに座り、出されたお茶に視線を落として呼吸を整える。間違えるな…そう思うも、何をどう言えばあちらの狙いを回避できるのか分からずに頭痛がしてきた。
「その前にいいかしら?」
言葉をえらんでいたら、ミレーヌ王女が殿下には向けない冷えた声で質問があると投げ掛けた。
「なんだ?ミレーヌ」
「事のあらましは聞いておりますが…そもそも、なぜマリーベルがオーランドの部屋に入れましたの?部屋の前には護衛が立っていたはず」
そう、メイドの悲鳴に護衛は駆け付けた。扉の前にいた者ならばあのタイミングはおかしい。
「それは───」
「私が頼みました!」
国王の言葉を遮り、名案だっただろうと言いたげにしているこの女は本当に王女なのだろうか。殿下もだがミレーヌ王女までもが冷気と怒気を放っていることにも気付いていない。
「なぜ?」
「それは…その…お話がしたくて…」
「話がしたくて何故裸で寝ていたの?」
ミレーヌ王女の直球な質問に頬を染めているが、微塵も可愛いなど思えない。この話し合いの先に待つ結末は覚悟しているが…無理だ。
「その…お伺いした時には…オーランド様は既に寝ていらっしゃって…」
「それで?何故そのまま帰らなかったの?」
「…寝顔を拝見したくて」
恥ずかしそうにチラチラと視線を向けてくるが、俺は笑顔のひとつも見せていないのによくも嬉しそうだと思う。
「で?寝顔を見て帰らなかった理由は?」
ミレーヌ王女からのその質問に、それまで嬉しそうにしていた第五王女は僅かに顔を歪めた。
「それは…女性の名前を…お呼びになられて…」
あぁ…と合点がいった。そしてなんと自分勝手な女なのだと呆れた。そして、そんな女に見事に嵌められた自分も情けなくなる。漸くトリシアの元に帰れるからと浮かれ、さすがに出立の前日はいけないが二日前の昨夜ならと深酒をしてしまったのだ…昨夜の自分を殴りたい。
「当たり前でしょう?オーランドは婚約者がいるの、それも相思相愛の。寝言で名を呼ぶなんて当然じゃない」
「でもっ!!」
「逆の立場で考えなさい。一方的に慕っているからとあなたの寝室に忍び込んだ男が、身勝手な嫉妬で裸になった上で寝台にまで入り込む…気持ち悪い犯罪よ。あなた正気じゃないわ」
ズバリと言うミレーヌ王女に第五王女はキッと睨みつけているが、その態度はなんだと言ってやりたい。いっそこの場で殺して処刑されようかとすら思える。
「私はオーランド様をお救いしたいだけです!」
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その言葉にミレーヌ王女は握る扇をパキリと音をたてて折り、第五王女に向けて勢いよく投げつけた。正直、もっとやれと思ってしまう。
「阿婆擦れが!」
「国王陛下、これはさすがに看過できない。酔い潰れていたとは言えオーランドにも責任はあるでしょう。ですが気持ちのいいものではない」
そこで──と殿下は提案を持ちかけた。共同出資による、両国を繋ぐ鉄道の建設に対する利権の見直し。その出資額を隣国で八割を負担し、筆頭利権者はこちらに譲れ…と。
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