【完結】初恋は淡雪に溶ける

Ringo

文字の大きさ
上 下
11 / 26

💀元婚約者・part2💀

しおりを挟む






体を繋げる悦びを知ってからというもの、アンジェリカを強く意識するようになった。

それまでしなかった訳でもないが、意識して見れば同年代の中でも凹凸のある体型をしているアンジェリカは目を引く。

実際にガーデンパーティーなどに出向けば、多くの男…それこそ年齢を問わずに視線を集めている事に気付き、嫉妬をすると同時に“俺のもの”という優越感に浸れた。

だがアンジェリカの貞操観念は強く、腰を抱き寄せ触れ合うことすら叶わない。

俺の欲望をぶつけるのは専ら娼婦達。


『お前はいいよなぁ。アンジェリカ嬢とあんな事やこんな事が出来るんだから』


閨教育を受けてから一年も経つと、多くの友人が婚約者と踏み込んだ関係を持っているという話を聞くようになる。

舌を絡める口付けは勿論、素肌を晒させたり性器を擦り合わせる擬似性交など段階は様々で…

遅かれ早かれどうせ結婚するのだからと、既に婚約者の花を散らしている者もいたほど。


『この前は避妊薬を忘れて焦った』


伴った外出先で悪天候に見舞われ宿に泊まることになり、薬もないのにうっかり中へ放ったのだという話には大いに盛り上がった。


『いずれは孕ませるにしても今じゃないよな』


そうだ…俺もいずれはアンジェリカの中に子種を注ぎ、あの薄い腹を膨らませる…そう考えただけで下半身は熱を持ってしまい、際限なく湧いてくる欲望を連日のように娼婦へ流し込んだ。


『男を知らない体は解すのに時間も掛かり狭いくらいに窮屈…だがそれがいい。破瓜の痛みに耐えて震え、縋るような目も堪らないぞ』


手練手管に長けた娼婦との行為はいつも最高の快楽を与えてくれるが、その言葉が脳裏にこびりついて深い満足感を得られなくなった。

アンジェリカは相変わらず最低限のエスコートしか許さず、苛立ちは増すばかり。

堪らず尻を撫でた時には侍女まで諌めるような事を言ってきたので、思い切り頬を叩いてやった。

どうせ俺に抱かれるんだ。

侍女如きに文句を言われる筋合いは無い。

無駄に実った乳房を揉むのも、頂きを舌で舐め転がすのも俺に認められた権利だと言うのに。

思うようにならないアンジェリカを前にすると、叶わない現実に責める言葉をぶつけた。

そうやって鬱屈とした日々が続いていたある日の事だ…レイラと知り合ったのは。






*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜






「はじめまして、レイラです」


二代前に伯爵へ陞爵した貴族の娘。

幼い頃から病気がちであまり外へは出たことのなかったというレイラは、甘やかされたせいか所作や言葉遣いに堅苦しさを感じさせない。

腕を組んでは躊躇なく体を押し付け、会えば嬉しくて仕方ないとばかりに抱き着いてくる。

体の凹凸はアンジェリカ程ないが、それでも女性特有の柔らかさを感じて下半身は疼いた。

しかしレイラは貴族令嬢…無闇に手を出せば責任を追求されてしまう。

だが……


「アルビスさま…わたし…」


いつからか俺を見つめる瞳には熱が篭もり、気が付けば吸い寄せられるように唇を重ねていた。

拙い舌の動きは口付けに慣れていないことを窺わせ、呼吸もままならない様子に鼓動は高鳴る。


「…んっ……アルビスさまぁ……」


腰を抱いていないと立っていられなくなったレイラを連れて、近場の宿屋にしけこんだ。

幸いにも時刻は昼過ぎ。

固い蕾をじっくり解す時間も充分で、羞恥に悶える姿を堪能してから貫くのも可能。

この時にはレイラの家が弱小貴族だと分かっていたから、何かしら問題が起きても権力でねじ伏せる事が出来る。


「レイラ…愛してるよ」


そう囁いてやれば嬉しそうに微笑み、自ら足を開き俺の昂りを受け入れた。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

「好き」の距離

饕餮
恋愛
ずっと貴方に片思いしていた。ただ単に笑ってほしかっただけなのに……。 伯爵令嬢と公爵子息の、勘違いとすれ違い(微妙にすれ違ってない)の恋のお話。 以前、某サイトに載せていたものを大幅に改稿・加筆したお話です。

【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!

はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。 伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。 しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。 当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。 ……本当に好きな人を、諦めてまで。 幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。 そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。 このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。 夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。 愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。

その日がくるまでは

キムラましゅろう
恋愛
好き……大好き。 私は彼の事が好き。 今だけでいい。 彼がこの町にいる間だけは力いっぱい好きでいたい。 この想いを余す事なく伝えたい。 いずれは赦されて王都へ帰る彼と別れるその日がくるまで。 わたしは、彼に想いを伝え続ける。 故あって王都を追われたルークスに、凍える雪の日に拾われたひつじ。 ひつじの事を“メェ”と呼ぶルークスと共に暮らすうちに彼の事が好きになったひつじは素直にその想いを伝え続ける。 確実に訪れる、別れのその日がくるまで。 完全ご都合、ノーリアリティです。 誤字脱字、お許しくださいませ。 小説家になろうさんにも時差投稿します。

恋人に捨てられた私のそれから

能登原あめ
恋愛
* R15、シリアスです。センシティブな内容を含みますのでタグにご注意下さい。  伯爵令嬢のカトリオーナは、恋人ジョン・ジョーに子どもを授かったことを伝えた。  婚約はしていなかったけど、もうすぐ女学校も卒業。  恋人は年上で貿易会社の社長をしていて、このまま結婚するものだと思っていたから。 「俺の子のはずはない」  恋人はとても冷たい眼差しを向けてくる。 「ジョン・ジョー、信じて。あなたの子なの」  だけどカトリオーナは捨てられた――。 * およそ8話程度 * Canva様で作成した表紙を使用しております。 * コメント欄のネタバレ配慮してませんので、お気をつけください。 * 別名義で投稿したお話の加筆修正版です。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

諦めて、もがき続ける。

りつ
恋愛
 婚約者であったアルフォンスが自分ではない他の女性と浮気して、子どもまでできたと知ったユーディットは途方に暮れる。好きな人と結ばれことは叶わず、彼女は二十年上のブラウワー伯爵のもとへと嫁ぐことが決まった。伯爵の思うがままにされ、心をすり減らしていくユーディット。それでも彼女は、ある言葉を胸に、毎日を生きていた。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

処理中です...