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国王と王妃
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「話があるんだ」
新しく迎えた元ハインツ王国のフィオーナとの伽のあと、湯浴みと着替えを済ませて戻ったアルベルトのただならぬ様子に、シルビアは様々な可能性を脳裏に浮かべた。
離縁──その単語が浮かび、覚悟してはいたものの現実となるとこんなにも辛いのかと、思わず震える手を胸にあてる。
「シルビア……あの…」
苦し気に何かを言い淀む様子に、やはり自分の予想通りなのだと思い…
「……いやです…」
「え?」
「私は…っ、、いやです…」
拒絶する言葉と共に突然泣き始めたシルビアに、全て知られていたのかと焦るアルベルト。
「シルビア…っ、あの、」
「いやです…」
「えっと」
「絶対にいやです!別れません!!」
「……え?」
捨てられた子犬が最大限の警戒をするように、目からは大粒の涙を流してぷるぷると震え…それでいて寂しそうに縋る視線を向けられて、ずっと抱えてきた思いが膨れ上がる。
「……シルビア」
抱き締めればスッポリと収まるようになったのはいつからだったか…何よりも愛しい存在を腕の中に閉じ込めて出会いからを思い出せば、ここ最近やたらと頭と体を悩ませていた事が馬鹿らしく思えてきた。
「……離れたくないの…っ…いやなのっ……」
思えば肉欲に思考さえも支配されるようになったのは、強制的に愛妾を娶らされて伽を迎える事になった日から。
さっさと愛妾達を孕ませ、煩い周囲を黙らせてシルビアの元に戻りたいと強く思った。
もっと抱かなければ…
もっと子種を注がなければ…
そんな思いに駆られて伽部屋へと向かい、徐々に膨れ上がる肉欲のままに女達を抱いた。
それでも満たし切れない部分を埋めてくれたのは現在後宮管理人として留めているシャロンで、彼女はどんなに貪欲に求めようと乱暴に抱こうとアルベルトを受け止め、この二年間で増幅し続けた欲の殆どをその身に受け続けてきた。
「…怖かったんだ。統一したばかりで仕方のない状況と立場とはいえ、他の女を抱かなくてはならなくて…シルビアに嫌われてしまうのではないか…離れていってしまうのではないか…そればかりが浮かんで…不安で仕方なくて………シルビアを殺してしまいたくなった」
アルベルトの思わぬ熱烈な告白に、シルビアは頬を染める。
「…ねぇ、そんな嬉しそうな顔したら…もう二度とこの部屋から出さないよ…出したくない………ずっと俺だけのものでいてほしい」
「……どこにも行かない。頼まれても出ていってなんかあげない」
「あとね……シルビアにお願い…って言うか…悩みを気いて欲しいって言うか…だけど…出来るなら……シルビアに叶えて欲しくて……」
* * * * * *
「先ほど向かわれました」
「……そう」
アルベルトが三日ぶりの王女との伽に向かったとの報告を受け、変わらず痛む胸に手を添えてゆっくりと息を吐き出した。
壁に掛けられている時計を見やり…秒針の音だけが響く静かな部屋の中、広い寝台の中央に膝を抱えてじっと座る。
『欲に支配されるようになってからずっと抱えてきた悩みなんだけど…何て言うか…完全に解消出来なかった時…こうぶわっと膨れ上がった情欲のまま…そんな状態で戻ったら…シルビアを乱暴に抱いてしまうと思うんだ……でもずっと帰りたいと思ってた…シルビアのところに戻りたかった』
そんな切実な思いを吐露されたシルビアは、ひとり夫婦の寝室で夫の帰りを待っている。
『今まではどうしてたか?…えっと…いつかは話そうと思っていたんだけど…実は以前愛妾として召し上げられていた女性をひとり…管理人として留めてて…だけど特別な感情はない!誓って愛してるのはシルビアだけだ!でもっ…その…どんなにぶつけても受け止めてくれて…ごめん…言い訳にしかならない。でも本当にそれだけで…でも…王女との初日も頭がおかしくなるくらいに欲が膨れて…その…たまたま通りかかった彼女を部屋に連れ込んだ…本当にごめん…』
ここ数日やたら気遣わしげな視線を向けられていると感じていたが、その原因が分かり、シルビアは複雑な思いに駆られた。
わざわざ肩書きまで与えて留め置き、それまでのように…むしろそれまで以上に伽の相手をさせていれば、その者こそが寵愛を向けられている相手だと思われる。
他の女性との伽を切り上げてまで求めて足早に手をとったり、他の女性との伽を充分に遂げたあとでも足を向けたり…そんな事が一度や二度三度でなければ、そう思われても仕方ない。
『愛情は欠片も持ってないし、間違っても口にしてない!必ず愛してないし愛さないって伝えてきたし、名前だって……名前は…ごめん…留め置いてるその女性だけは…呼んだことがある』
『俺の名前は………愛妾の期間が終わってから暫くして…最初は敬称をつけて…今は…っ…今は愛称で呼ぶことも許可してる…っ、ごめん!!』
もう隠すことはないと言われ、近いうちに留め置いている女性も後宮を去るように手配をすると言われたが…
「…近いうちって……いつ…?」
フィオーナが初日の伽で受けた衝撃で体調を崩してしまい、間の二日間は丸々シルビアと過ごしていたアルベルト。
『シルビアとだけ過ごせると思うと気持ちが落ち着くんだ…勿論したくもなるんだけど、シルビアとの営みは幸せって言うか…心が温かくなるような…そんな気持ちになる』
殆どの時間を過ごした寝台で、穏やかにそう言ったアルベルト。行為そのものも優しかった。
「彼女には…どちらも向けたんでしょう?」
子を成す為に行う神聖な行為も、本能に飲み込まれて欲の赴くままに行う乱暴な行為も…そのどちらも向けられた女性が憎くなってしまい、そんな自分にも嫌になって顔を伏せる。
約束はした。
『必ず戻ってくるから待っていてほしい』
たとえ荒ぶる思いを抱えていようと、これからは自分が受け止めたいとも伝えた。
けれど…とも思ってしまう。
激しい欲に駆られたアルベルトが、もしもまた彼女に会ってしまったら…それでも真っ直ぐに自分の元に戻ってきてくれるだろうか…と。
小国が集う大陸が荒れ始めたのは婚約を結んでからだいぶ経った頃で、それまでは一夫一妻制を敷く国の民だったから…深く考えていなかった。
勿論、男児をひとりも成せなければ側妃を召し上げることになるとは言われていた。
でも……
「あのままだったら…アルは私だけのものでいたのに……統一なんて…戦争なんて…嫌い……」
* * * * * *
───コンコン
ノックの音にハッと顔をあげ、自分がいつの間にか寝ていたことに気付く。
時計を見れば、アルベルトが伽へ向かったとの報告を受けてから四時間が経っていた。
一気に不安が押し寄せてくる。
「……どうしたの?」
扉の向こうにいるノックをした相手にそう問いかければ、半ば予想していた言葉が返ってきた。
「陛下は今宵こちらへお戻りにはなりません」
ズキンと胸が痛み、呼吸が苦しくなる。
「そう、なのね……陛下は今…どちらに……?」
「………………陛下は………」
妙に空けられる間に息が止まりそうになる。
───早く言って!!
浮かぶのは顔も知らない女性の存在。
余計な心配と苦労をかけたくないからと、いつどんな人が愛妾として召し上げられているのか、アルベルトは教えてくれなかった。
『厄介事』として扱ったフィオーナ嬢を除いて。
「陛下は………後宮で治療を受けておいでです」
「……え?」
「伽のあと、部屋をあとにして回廊を歩いていたところを……お相手のフィオーナ様に刃を向けられました」
───バンッ!!
「お怪我は!?アルは無事なの!?」
寝室から飛び出したシルビアを迎えたのは、側近のジルベルク。
「落ち着いてください、陛下は僅かな切り傷を腕に受けましたがご無事です」
「……良かっ…た…」
「ただ……」
初めて見るジルベルクの苦痛に歪む表情に、シルビアは言い様のない不安に駆られる。
「ただ…なに……?」
「……長く陛下の伽を務めてきた女性がフィオーナ様の刃を深く受け、意識が戻りません」
「……アルは…陛下は彼女の傍に…?」
「ついておいでです」
「っ………………ジル、お願いがあるの」
新しく迎えた元ハインツ王国のフィオーナとの伽のあと、湯浴みと着替えを済ませて戻ったアルベルトのただならぬ様子に、シルビアは様々な可能性を脳裏に浮かべた。
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「シルビア……あの…」
苦し気に何かを言い淀む様子に、やはり自分の予想通りなのだと思い…
「……いやです…」
「え?」
「私は…っ、、いやです…」
拒絶する言葉と共に突然泣き始めたシルビアに、全て知られていたのかと焦るアルベルト。
「シルビア…っ、あの、」
「いやです…」
「えっと」
「絶対にいやです!別れません!!」
「……え?」
捨てられた子犬が最大限の警戒をするように、目からは大粒の涙を流してぷるぷると震え…それでいて寂しそうに縋る視線を向けられて、ずっと抱えてきた思いが膨れ上がる。
「……シルビア」
抱き締めればスッポリと収まるようになったのはいつからだったか…何よりも愛しい存在を腕の中に閉じ込めて出会いからを思い出せば、ここ最近やたらと頭と体を悩ませていた事が馬鹿らしく思えてきた。
「……離れたくないの…っ…いやなのっ……」
思えば肉欲に思考さえも支配されるようになったのは、強制的に愛妾を娶らされて伽を迎える事になった日から。
さっさと愛妾達を孕ませ、煩い周囲を黙らせてシルビアの元に戻りたいと強く思った。
もっと抱かなければ…
もっと子種を注がなければ…
そんな思いに駆られて伽部屋へと向かい、徐々に膨れ上がる肉欲のままに女達を抱いた。
それでも満たし切れない部分を埋めてくれたのは現在後宮管理人として留めているシャロンで、彼女はどんなに貪欲に求めようと乱暴に抱こうとアルベルトを受け止め、この二年間で増幅し続けた欲の殆どをその身に受け続けてきた。
「…怖かったんだ。統一したばかりで仕方のない状況と立場とはいえ、他の女を抱かなくてはならなくて…シルビアに嫌われてしまうのではないか…離れていってしまうのではないか…そればかりが浮かんで…不安で仕方なくて………シルビアを殺してしまいたくなった」
アルベルトの思わぬ熱烈な告白に、シルビアは頬を染める。
「…ねぇ、そんな嬉しそうな顔したら…もう二度とこの部屋から出さないよ…出したくない………ずっと俺だけのものでいてほしい」
「……どこにも行かない。頼まれても出ていってなんかあげない」
「あとね……シルビアにお願い…って言うか…悩みを気いて欲しいって言うか…だけど…出来るなら……シルビアに叶えて欲しくて……」
* * * * * *
「先ほど向かわれました」
「……そう」
アルベルトが三日ぶりの王女との伽に向かったとの報告を受け、変わらず痛む胸に手を添えてゆっくりと息を吐き出した。
壁に掛けられている時計を見やり…秒針の音だけが響く静かな部屋の中、広い寝台の中央に膝を抱えてじっと座る。
『欲に支配されるようになってからずっと抱えてきた悩みなんだけど…何て言うか…完全に解消出来なかった時…こうぶわっと膨れ上がった情欲のまま…そんな状態で戻ったら…シルビアを乱暴に抱いてしまうと思うんだ……でもずっと帰りたいと思ってた…シルビアのところに戻りたかった』
そんな切実な思いを吐露されたシルビアは、ひとり夫婦の寝室で夫の帰りを待っている。
『今まではどうしてたか?…えっと…いつかは話そうと思っていたんだけど…実は以前愛妾として召し上げられていた女性をひとり…管理人として留めてて…だけど特別な感情はない!誓って愛してるのはシルビアだけだ!でもっ…その…どんなにぶつけても受け止めてくれて…ごめん…言い訳にしかならない。でも本当にそれだけで…でも…王女との初日も頭がおかしくなるくらいに欲が膨れて…その…たまたま通りかかった彼女を部屋に連れ込んだ…本当にごめん…』
ここ数日やたら気遣わしげな視線を向けられていると感じていたが、その原因が分かり、シルビアは複雑な思いに駆られた。
わざわざ肩書きまで与えて留め置き、それまでのように…むしろそれまで以上に伽の相手をさせていれば、その者こそが寵愛を向けられている相手だと思われる。
他の女性との伽を切り上げてまで求めて足早に手をとったり、他の女性との伽を充分に遂げたあとでも足を向けたり…そんな事が一度や二度三度でなければ、そう思われても仕方ない。
『愛情は欠片も持ってないし、間違っても口にしてない!必ず愛してないし愛さないって伝えてきたし、名前だって……名前は…ごめん…留め置いてるその女性だけは…呼んだことがある』
『俺の名前は………愛妾の期間が終わってから暫くして…最初は敬称をつけて…今は…っ…今は愛称で呼ぶことも許可してる…っ、ごめん!!』
もう隠すことはないと言われ、近いうちに留め置いている女性も後宮を去るように手配をすると言われたが…
「…近いうちって……いつ…?」
フィオーナが初日の伽で受けた衝撃で体調を崩してしまい、間の二日間は丸々シルビアと過ごしていたアルベルト。
『シルビアとだけ過ごせると思うと気持ちが落ち着くんだ…勿論したくもなるんだけど、シルビアとの営みは幸せって言うか…心が温かくなるような…そんな気持ちになる』
殆どの時間を過ごした寝台で、穏やかにそう言ったアルベルト。行為そのものも優しかった。
「彼女には…どちらも向けたんでしょう?」
子を成す為に行う神聖な行為も、本能に飲み込まれて欲の赴くままに行う乱暴な行為も…そのどちらも向けられた女性が憎くなってしまい、そんな自分にも嫌になって顔を伏せる。
約束はした。
『必ず戻ってくるから待っていてほしい』
たとえ荒ぶる思いを抱えていようと、これからは自分が受け止めたいとも伝えた。
けれど…とも思ってしまう。
激しい欲に駆られたアルベルトが、もしもまた彼女に会ってしまったら…それでも真っ直ぐに自分の元に戻ってきてくれるだろうか…と。
小国が集う大陸が荒れ始めたのは婚約を結んでからだいぶ経った頃で、それまでは一夫一妻制を敷く国の民だったから…深く考えていなかった。
勿論、男児をひとりも成せなければ側妃を召し上げることになるとは言われていた。
でも……
「あのままだったら…アルは私だけのものでいたのに……統一なんて…戦争なんて…嫌い……」
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時計を見れば、アルベルトが伽へ向かったとの報告を受けてから四時間が経っていた。
一気に不安が押し寄せてくる。
「……どうしたの?」
扉の向こうにいるノックをした相手にそう問いかければ、半ば予想していた言葉が返ってきた。
「陛下は今宵こちらへお戻りにはなりません」
ズキンと胸が痛み、呼吸が苦しくなる。
「そう、なのね……陛下は今…どちらに……?」
「………………陛下は………」
妙に空けられる間に息が止まりそうになる。
───早く言って!!
浮かぶのは顔も知らない女性の存在。
余計な心配と苦労をかけたくないからと、いつどんな人が愛妾として召し上げられているのか、アルベルトは教えてくれなかった。
『厄介事』として扱ったフィオーナ嬢を除いて。
「陛下は………後宮で治療を受けておいでです」
「……え?」
「伽のあと、部屋をあとにして回廊を歩いていたところを……お相手のフィオーナ様に刃を向けられました」
───バンッ!!
「お怪我は!?アルは無事なの!?」
寝室から飛び出したシルビアを迎えたのは、側近のジルベルク。
「落ち着いてください、陛下は僅かな切り傷を腕に受けましたがご無事です」
「……良かっ…た…」
「ただ……」
初めて見るジルベルクの苦痛に歪む表情に、シルビアは言い様のない不安に駆られる。
「ただ…なに……?」
「……長く陛下の伽を務めてきた女性がフィオーナ様の刃を深く受け、意識が戻りません」
「……アルは…陛下は彼女の傍に…?」
「ついておいでです」
「っ………………ジル、お願いがあるの」
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