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怪物獣道ファング 願いを求める500チーム

6話 知らぬがほっとけ

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「すいませーん!遅れました」

僕は、息をきらしながら教室に入った。

「澤畑、お前が遅れるなんて珍しいな、ってなんだその肩の傷!」

先生は肩を指差す。
肩からは血が固まっていた。さっきの戦いでの傷だ。

「急いでいたもので、擦りむいて・しまいました」(何言ってんだ僕!肩なんて、どうやって擦りむくんだよ!)
「そう・・か、気をつけろよ。速く保険室に行ってこい」
「は・・はい」(あれ?)


──────────────────────



その頃、サシミは




「重ぇぇぇ、なんだよこの男、何キロあんだよ!」

倒して、気絶させた1匹と1人を引きずって目立たない草むらに、隠そうとしていた。

「こいつが目を覚ましたら、知ってること全部話してもらうか。人間には言葉が通じねぇからな」

サシミは、ベルベンの喋っていたことが引っかかっていた。

(ペットは、前からこのゲームことを知っていたようだった。聞いたら、もしかして、少しは、有利になるかもしんねぇ)

そんな事を思いながら引きずっていると、

「やぁ、そこの君。異能力ペットだよね」

背の高いロングコートを着た男と全身をポンチョで、覆ったジト目の猫が話しかけてきた。

「!・・クソ!こんな時に、またかよ!」

引きずっていた1匹と1人を地面において戦う姿勢をとる。すると、ジト目の猫が

「まぁ まってくれ。吾輩達は、戦うつもりはない安心しろ」
「安心? できねぇし、俺は戦ってもいいぜ」

未だに戦う姿勢をやめないサシミはそう言った。
すると、飼い主の方が

「そんなたくさんの傷があるのに、戦うというか。面白い、君は面白いな。私達は、話しがしたいのだ。君と、あの少年とは、話せそうだ」

背の高い男は、笑いながらそう言った。
サシミは戦う姿勢をやめると、

「いいぜ、情報交換しようじゃねぇか。ただし、攻撃っぽい事してきたら倒すからな」
(こいつらに、色々聞いた方が速いかもしんねぇしな。)
「それは、こちらも同じだ。君に会う前に2チームに会って話しをしようとしたが、すぐにおそってきてね。この、あんころの、能力で倒した」

ジト目の猫の頭をなでながら言った。

(こいつら! もう2チームも倒したのか!)
「自己紹介がまだだったな私は、武捨 隆弘むしゃ たかひろそしてこちらが」
「あんころ・もち。能力は(波動、気、オーラを操る)
事だ。 よろしくね」
「波動?気?なんだそれ?」
「生き物が必ず持っている心の力だよ。我輩は、自分の気を固まらせ、放つ事ができる。波動弾だよ。さらに他の生き物の気も見る事ができる。壁を通しても。異能力ペットの気と、その飼い主の気は、他の気と全く違うからどこにいるか、わかるんだよ。君の名前は?」
「俺は、サシミ。能力は(好きな体の部位1カ所を怪物化できる)事だ。かっこいいだろ」

なかなか良い能力名を付けて、サシミは胸を張っている。

「俺が知っているのは、自分の能力くらいだ。お前らは?」
「あんころは、記憶喪失なのだ。異能力ペットになった瞬間から記憶がない」
「なんだそれ、俺は、記憶を失ってないぞ。つまり、何も知らないって事か」

サシミは肩を落とした。すると隆弘は、

「話しを最後まで聞け。さっき2チーム倒したと、言ったろ。その2チームが、気絶する前に話してくれたのだ。2チームの2匹が言った事は揃って、



(この戦いが始まる前から知っていた)
と、言ったのだ」
「なに!俺の倒したこいつも同じようなことを言ってたぞ!」

サシミは、倒れているベルベンを指差した。

「詳しいことは、聞いたか?」
「いや、聞けてねぇ」

ベルベンは、教えてくれなかったし、一発で倒してしまったから、聞けなかった。
すると、隆弘は、

「なら話そう。私の倒したペットの言っていたことを、要約すると、
(私は、ペットショップにいた。ペットショプの店員に教えてもらった。3年後、この中から異能力ペットバトルに選ばれるかもしれないと、言われた。)
以上だ」
「つまりこのゲームは、3年前から決まっていたってことか」

するとあんころが

「ゲーム・・か」

あんころは、小さな声で言ったのでサシミには、聞こえなかった。

「あんころは、捨てられていた。もしかしたら、
ペットショプにいたかもしれないが、どっちみち
記憶が無いので、詳しくはわからない。だから君は、どうだったのか知りたいのだ」

すると隆弘は、サシミに向かって前かがみになり話しを聞こうとした。

「・・俺は・」





⦅ねぇ、貫太郎。大好きだよ。⦆











「野良猫だったんだよ。人間の顔を引っ掻きまくって、保健所に行ったんだ」

サシミは、俯きながらそう答える。

「・・・そうか」

隆弘は、詳しくは聞かなかった。

「で!もう話しは終わったろ。じゃあな。お互い頑張ろうぜ」

サシミはせかすように話しを終わらせようとした。

「まだ話したい事がある。君の飼い主と一緒に。
この時間は、学校だろ案内してくれ」
「・・・・わかったよ。もうすぐそこだぜ。こいつらは・・・まぁ、別にここにおいててもいいだろ。いこうぜ」

未だに気絶している1匹と1人をそこにおいたまま、学校に向かった。



──────────────────────





「ここが俺の飼い主の学校だ」

サシミ達は学校の前にいた。

「この学校なら昨日来たな」
「なんできたんだよ」
「異能力ペットや、その飼い主がいると思ってね。なら授業が終わるまで待っていよう」
「もう終わってると思うぜ。今日、午前中までって言ってたから」

そんな事を話していると、不意に








「コケェェェェェェェェェ!!!!」


「なんだ!」
「!」     「!」

耳が痛くなる声が辺り一面に響く。

「たかひろあっちに、異能力ペットと、飼い主がいる。きっと、今の声は、異能力ペットだよ。その近くにいるの、この声の、飼い主じゃなくて、サシミくんの飼い主だ」
「なんだと!」
「おい!それは、本当なんだろうな!」
「あぁ、気は、人それぞれだからね。一度見た気は、忘れないよ。」
「!クソ!」
「おい!サシミくん!」

サシミは、声のする所に走っていった。










残り・486チーム




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