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怪物獣道ファング 願いを求める500チーム

1話 会うは初めの始め

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僕の名前は、 澤畑さわはた ただし
僕は普通な生活が好きだ。  
朝起き、                
朝食を食べ
学校に行き
授業を受け
昼食を食べ
また授業を受け
家に帰り
ニュースを見て
晩飯を食べ
風呂に入り
寝る。

そんな普通の生活。繰り返し。生きるという事。普通は説明のつかないもの。普通は普通であり、普通という普通だ。それが幸せ。自分が安心だと思う暮らし。


親とは別暮らしをしている。実家から学校まで遠いからだ。
でも寂しくはなかった。なぜなら僕にはサシミがいたからだ。  サシミは1年前に父が一人では寂しいだろうと保健所から引きとってきた猫で、毛並みは、こげ茶で、所々、毛がちりちりになっている。サシミは、全く懐かなかったし一度も鳴かなかった。だけどいるだけで嬉しかった。

「じゃあ行ってくるな!サシミ。」   「・・・・」

いつも通りリビングにいるサシミに声をかけて、学校に向かった。
まだ5月。暖かく、嫌でも眠たくなる気温だ。地面を見つめながら歩いているとすぐに高校についた。僕は上靴に履き替えて教室に入り自分の席に座る。思っていた以上に早く着いてしまいホームルームまでまだ時間がたくさんあったため机に頭を乗せて寝ることにした。誰と喋るわけでもない。それ以外にやる事がないんだ。
僕が通っている高校は、私立芭蕉高校。芭蕉と言う名前だが松尾芭蕉とは何も関係ない。一言で言えば普通の高校である。なので僕はかなりこの高校を気にいっている。普通だからね。
しかし僕は、2年生になっても友達が全くいない。
休み時間もずっと自分の席で寝ていたらそれは誰も声はかけてくれないだろう。

「澤畑くん!!」

この子以外は。

「ねぇ!ねぇ!澤畑くん!ねぇ!ねぇってば!」
「なに?雨森さん」
「あのね!四つ葉のクローバーみつけたんだ!すごいでしょ!」        「・・・・」

この子は僕のクラスメートの 雨森 智晴(あめもり ちはる)とても明るくて誰とでも話せるクラスの人気者。僕に一方的に話しかけてくるので、友達と言っていいのか分からない。今も他のクラスのみんなに、
「四つ葉のクローバーみつけた!」
と、言ってまわっている。
時計を見ると、だいぶ時間が経っており少ししてから担任の石倉いしくら先生がホームルームを始めた。休み時間、僕はトイレに行く最中

「おい!金出せよっ!」
「もう・・ないで・す」
「嘘つくんじゃねぇよ!昨日持ってこいって言ったよなぁ?」

誰も通らない廊下で上級生が下級生を脅しているのを見つけた。制服を着崩し、いかにも不良って感じだ。

「・・ぁ・」
「・ッ!・・・・」

目が合ってしまった。だけどすぐにそらす。そうだ。僕は何も見ていない。関わりたくない。あの子はきっと大丈夫、僕は普通の生活をおくりたいんだ。自分が傷つかない普通を。
ごめんなさいと心の中で呟きながらそのままトイレに向かった。その時細長いお菓子を口に咥えた髪のとても長い女の子とすれ違った。
トイレを終え教室に帰ろうとすると、不良が脅していた廊下に人がごった返している。少し背伸びをしながら、どうしたのか見てみると

「!」

脅していた不良がボコボコになっていた。鼻血を流して白目をむいてる。

「はい!そこどいて!どいて!」

先生達が生徒達をかきわけてその男のもとに走る。さっきの一瞬で一体何が起こったんだ。僕は心臓をバクバクさせながら教室に戻った。







授業も終わり家に帰ると家のポストに手紙が入っており、その手紙の真ん中に、
                               (澤畑 禎 様)
と書いていたので自分の部屋で読もうと考え家に入った。
「ただいまー!サシミ!」

いつもサシミは帰ってきたら玄関かリビングにいるはずなのにいない。

「サシミ?」

どこにいるかは気になったが、
先に手紙を読もうと思い2階にある自分の部屋にむかった。ギシギシと階段を上る音がいつもより大きく感じる。心臓がうるさい。



ギシギシ



ギシギシ




この時から全てが変わっていった。

(手紙なんて久しぶりだな・・誰だろ?)


半開きのドアを開けて僕は自分の部屋の中に入った。

「へっ?」

僕の普通で


「あ?」


楽しくて


「・・・・・・」


幸せで


「・・・・・・」


退屈で


「・・・・・」


窮屈で


「なに・・・・これ・・・」


つまらない毎日。


「ふわぁ~ぁ」


それが終わりをむかえ、普通ではない日々が始まった。

「よぉ~飼い主」

僕の部屋には右手の項に500と数が書かれている、欠伸をし、少し丸くて、二足歩行でたっている





                    サシミがいた。




綺麗な瞳が僕を見つめている。その輝きは僕の幸せの象徴の目だった。

僕の普通はもう










       戻らない













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