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第14章
第137話 unusual 2
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深夜。
珍しく月夜は眠れなかった。
いつもなら、布団に入って目を閉じれば徐々に意識は失われていき、気がついたときには朝になっている。けれど今日は違った。ずっと頭の上にある天井を見つめている。目を閉じても眠気はやって来ない。
すぐ隣にルゥラがいる。二人の間にフィルがいた。少々狭いが、今は布団が一つしかないから仕方がない。ルゥラに買ってやろうかとも考えていたが、なかなか実行に移せていなかった。いや、実行に移すことはできる。その必要があるか否かの判断が終わっていないだけだ。
もう一度天井を見つめる。
数週間前まで、自分は殺される危機に晒されていた。小夜にそう告げられた。もともとそれほど危機感を抱いていたわけではないが、そうして現れたのがルゥラで、彼女は月夜にご飯を食べさせようとした。これだけ聞けば話の流れがまったくといって良いほど分からないが、実際に起きたことはそんな感じだ。
ご飯を食べさせることで、ルゥラは月夜の寿命を削れると考えていたらしい。影響は予想のできないところから生じるから、そんなこともできるのかもしれない。しかし、今のルゥラを見ていると、とてもそんな企てを抱いているようには見えなかった。彼女は単純に自分の願望を満たそうとしているだけだ。
ルゥラは物の怪だと小夜が言っていた。ということは、彼女も昔どこかで命を落としたのだろうか。
第一、物の怪とは何だろう。フィルは小夜を庇って物の怪になったらしい。つまり一度死んだということだ。いや、一度ではなかったか。小夜は九回と言っていたと記憶している。いずれにしろ、フィルは命を落として物の怪になった。逆に言えば、もうこれ以上命を落とすことはないということだろうか。
たぶん、こんな毎日はずっとは続かないだろうと月夜はふと思う。
何も特別な予想ではなかった。すべては移り変わっていく。自分もいつか高校を卒業して、その先の道へと進むのだ。具体的なイメージはまだないが、結局、高校生ではなくなり、今とは異なる生活をするようになる。
そのとき、ルゥラはまだ傍にいるだろうか?
フィルは傍にいるだろうか?
寝返りを打って、ルゥラが月夜の身体に寄りかかってきた。彼女は月夜よりも体温が高い。
月夜はそっと腕を伸ばし、彼女の身体を抱えてみる。同時にフィルとの距離も近くなった。
こうしていれば眠れるだろうか。
無音。
吐息。
静寂。
夜が夜として機能していると感じられるのは、月夜にとって久し振りのことだった。
珍しく月夜は眠れなかった。
いつもなら、布団に入って目を閉じれば徐々に意識は失われていき、気がついたときには朝になっている。けれど今日は違った。ずっと頭の上にある天井を見つめている。目を閉じても眠気はやって来ない。
すぐ隣にルゥラがいる。二人の間にフィルがいた。少々狭いが、今は布団が一つしかないから仕方がない。ルゥラに買ってやろうかとも考えていたが、なかなか実行に移せていなかった。いや、実行に移すことはできる。その必要があるか否かの判断が終わっていないだけだ。
もう一度天井を見つめる。
数週間前まで、自分は殺される危機に晒されていた。小夜にそう告げられた。もともとそれほど危機感を抱いていたわけではないが、そうして現れたのがルゥラで、彼女は月夜にご飯を食べさせようとした。これだけ聞けば話の流れがまったくといって良いほど分からないが、実際に起きたことはそんな感じだ。
ご飯を食べさせることで、ルゥラは月夜の寿命を削れると考えていたらしい。影響は予想のできないところから生じるから、そんなこともできるのかもしれない。しかし、今のルゥラを見ていると、とてもそんな企てを抱いているようには見えなかった。彼女は単純に自分の願望を満たそうとしているだけだ。
ルゥラは物の怪だと小夜が言っていた。ということは、彼女も昔どこかで命を落としたのだろうか。
第一、物の怪とは何だろう。フィルは小夜を庇って物の怪になったらしい。つまり一度死んだということだ。いや、一度ではなかったか。小夜は九回と言っていたと記憶している。いずれにしろ、フィルは命を落として物の怪になった。逆に言えば、もうこれ以上命を落とすことはないということだろうか。
たぶん、こんな毎日はずっとは続かないだろうと月夜はふと思う。
何も特別な予想ではなかった。すべては移り変わっていく。自分もいつか高校を卒業して、その先の道へと進むのだ。具体的なイメージはまだないが、結局、高校生ではなくなり、今とは異なる生活をするようになる。
そのとき、ルゥラはまだ傍にいるだろうか?
フィルは傍にいるだろうか?
寝返りを打って、ルゥラが月夜の身体に寄りかかってきた。彼女は月夜よりも体温が高い。
月夜はそっと腕を伸ばし、彼女の身体を抱えてみる。同時にフィルとの距離も近くなった。
こうしていれば眠れるだろうか。
無音。
吐息。
静寂。
夜が夜として機能していると感じられるのは、月夜にとって久し振りのことだった。
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