蜜柑製の死

羽上帆樽

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2023年6月8日

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腱鞘炎になる。

このように考えるのは、そういう状態を、病気、と認定したからだ。

しかし、病気とは何だろう?

何をもって病気と呼ぶのか?

医者が病気だと言えば、それは病気なのだろうか?

人間は、人間、という病気にかかってはいないか?

毎日、働いて、ご飯を食べて、風呂に入って、眠って、ということを。

しなければならないという病気にかかってはいないか?

僕は、かかっている気がする。

僕自身が。

そう、僕は、僕という病気にかかっているのだ。

自分で決めたことを、最後までやり遂げなくてはならない、と考えてしまう。

そういう病気にかかっている。

僕は僕でなければならない、と考えてしまう。

そういう病気にかかっている。

病気とは何だろう、という問いと同じように。

僕とは何だろう?

何をもって僕と同定するのか?

けれど、僕でないとならないこともある。

それは、たとえば。

僕の声。

僕の話し方。

僕の指の形。

それこそが僕。

追い求めなくて良い。

僕は最初から僕でしかない。

それ以外にはなれない。

それで充分ではないか?

僕の中から自然と出てくるものを見てみたい。

それは、きっと、面白いものだろう。
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