蜜柑製の死

羽上帆樽

文字の大きさ
上 下
15 / 32

2023年6月1日

しおりを挟む
突然の雪。

季節外れの雪。

これほど素敵なものはない。

生きている意味を実感する。

この日の雪のために生きていたのだと思えるくらい。

雨や、風や、日照り。

その中でも、ときどき、特別に目を引くものがある。

そのときに、生きている理由を理解する。

本当は、生きている意味や理由などない。

それらは「ある」という姿をとらない。

認識の主体は自分。

だから、意味や理由は自分で生み出すほかにない。

それでも、これが探していたものだと思えるのは。

そう思えてしまうのは、どうしてだろう?

生きる意味や理由をアウトソースすることで生きていける。

他者によって定められたいのだ。

自分の力ではどうにもならないと諦めて。

他者にすべてを預けたいのだろう。

雨も、風も、日照りも、結局のところ、それは他者。

そして、それらは、同じ人間よりも遙かに超越したものであり。

有無を言わせない力がある。

どれほど努力しても、雨を降らせることはできない。

せいぜい、雨が降った場合のことを考えて、対策を練ることができるくらい。

自分はその程度の存在だと思いたいのだろう。

思ったところで、どうなるのか?

分からないが、それはなんとなく安定感がある。

安心感がある。

相手は、敵でも、味方でもない。

少しだけ温かく、少しだけ冷たい。

少しだけ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ネット短編集

しんたろう
現代文学
僕のネット短編作品集です。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

処理中です...