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「え?」
モコは父ちゃんが俺に向けたナイフを持つ腕に噛み付いた。体ごと全体重で飛び込んで来たモコに腕を引きずられ父ちゃんは上向きに吹っ飛んだ。道路に頭を打ち付け呻く。
モコは前足を切られていた為、着地が上手く出来なくてゴロゴロと変な風に回りながら木の扉にぶつかって止まった。
嘘.................
モコが.................
噛み付いた.................!
俺は初めての衝撃に呆けてしまった。
パトカーが家の前に到着し、中から警官が2人出てくる。俺は気が抜けてしまった。
父ちゃんが
まだ
ナイフを持っているのを忘れて。
父ちゃんは呻きながら体を素早く起こし、1番近くにいたモコに目掛けてナイフを振り下ろした。転がって扉に体を打ち付けたモコは横向きになっていた。
モコは.........動けなかったんだ.................
「ギャァンン!」
一瞬で全ての血が頭に上がったような気がした。
「モコォォ!てめぇーーーーーーーーぇぇぇぇぇ!」
俺は全速力で走り出した。
もう、良い。もう沢山だ。消えて無くなれ!俺に似た顔も。汚い存在も。何もかも!全部!!
俺は最後の有りっ丈の力を込めて父ちゃんだった者の背中に蹴りをぶち込んだ。奴は木の扉に激しく叩きつけられバウンドして漸くその稼働を止めた。
「ああああーーモコーーーーーー!」
俺は駆け寄ってモコを抱きしめる。右側から胸に深くナイフが刺さったままのそこからじわじわと赤いものが滲み出て、薄い茶色の毛の色を変えて行く。モコは薄っすら目を開けピクピクと痙攣を起こしていた。
救急車のサイレンが響き渡る。近所の住人達も騒ぎを聞きつけ集まってくる。警官が父ちゃんを確保する。家の中に救急隊員がどかどか入って行く。尚はナイフで切られた腕を応急処置をされていた。
モコは.........
俺の腕の中で一つ、
大きく息を吐いて
ゆっくりと潤んだ青と赤の瞳を閉じた。
****
まずは母ちゃんの事。
結論から言うと取り敢えず無事だった。
あいつは金も欲しかったのか、母ちゃんを縛り上げて預貯金の引き出しに使おうとしていたらしい。
体は散々暴行されて左腕は折れ、打撲だらけだったが内臓は無事だった。俺が最初に電話した時間にはすでに奴は侵入していて、母ちゃんを縛り上げてから飯食ったり、風呂入ったりしていたらしい。
尚は......右腕に15針も縫う怪我を負った。幸い神経には届いていなかったから動くようにはなるけど、バスケは就学中出来るかどうか分からない。
あいつは再犯で、しかも同じ相手を再び襲ったとして、今度は長く務所暮らしになるだろう。まだ詳しく分からない。次会ったらもう容赦はしない。
俺は.................冷たくなったモコを毛布で包んで一日中泣いた。
俺の大事な
俺の.........守るべきお姫様を抱きしめて。
モコは父ちゃんが俺に向けたナイフを持つ腕に噛み付いた。体ごと全体重で飛び込んで来たモコに腕を引きずられ父ちゃんは上向きに吹っ飛んだ。道路に頭を打ち付け呻く。
モコは前足を切られていた為、着地が上手く出来なくてゴロゴロと変な風に回りながら木の扉にぶつかって止まった。
嘘.................
モコが.................
噛み付いた.................!
俺は初めての衝撃に呆けてしまった。
パトカーが家の前に到着し、中から警官が2人出てくる。俺は気が抜けてしまった。
父ちゃんが
まだ
ナイフを持っているのを忘れて。
父ちゃんは呻きながら体を素早く起こし、1番近くにいたモコに目掛けてナイフを振り下ろした。転がって扉に体を打ち付けたモコは横向きになっていた。
モコは.........動けなかったんだ.................
「ギャァンン!」
一瞬で全ての血が頭に上がったような気がした。
「モコォォ!てめぇーーーーーーーーぇぇぇぇぇ!」
俺は全速力で走り出した。
もう、良い。もう沢山だ。消えて無くなれ!俺に似た顔も。汚い存在も。何もかも!全部!!
俺は最後の有りっ丈の力を込めて父ちゃんだった者の背中に蹴りをぶち込んだ。奴は木の扉に激しく叩きつけられバウンドして漸くその稼働を止めた。
「ああああーーモコーーーーーー!」
俺は駆け寄ってモコを抱きしめる。右側から胸に深くナイフが刺さったままのそこからじわじわと赤いものが滲み出て、薄い茶色の毛の色を変えて行く。モコは薄っすら目を開けピクピクと痙攣を起こしていた。
救急車のサイレンが響き渡る。近所の住人達も騒ぎを聞きつけ集まってくる。警官が父ちゃんを確保する。家の中に救急隊員がどかどか入って行く。尚はナイフで切られた腕を応急処置をされていた。
モコは.........
俺の腕の中で一つ、
大きく息を吐いて
ゆっくりと潤んだ青と赤の瞳を閉じた。
****
まずは母ちゃんの事。
結論から言うと取り敢えず無事だった。
あいつは金も欲しかったのか、母ちゃんを縛り上げて預貯金の引き出しに使おうとしていたらしい。
体は散々暴行されて左腕は折れ、打撲だらけだったが内臓は無事だった。俺が最初に電話した時間にはすでに奴は侵入していて、母ちゃんを縛り上げてから飯食ったり、風呂入ったりしていたらしい。
尚は......右腕に15針も縫う怪我を負った。幸い神経には届いていなかったから動くようにはなるけど、バスケは就学中出来るかどうか分からない。
あいつは再犯で、しかも同じ相手を再び襲ったとして、今度は長く務所暮らしになるだろう。まだ詳しく分からない。次会ったらもう容赦はしない。
俺は.................冷たくなったモコを毛布で包んで一日中泣いた。
俺の大事な
俺の.........守るべきお姫様を抱きしめて。
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