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第六章 「精算」と「真相」
104.これ程の数....一体何が
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「父上」
『ランドールか。.........月の光の娘は見つかったか?お前がこれだけ探しても居らぬならば、やはり闇の所だろうな。彼奴は知らぬと言っておったが、囲っているのだろう。お前はどうするつもりだランドール』
「.........ルナと.........添い遂げようと思っております」
『....そうか。あの番の娘も姿をくらましたそうだな。獣人の属性だった様だが.........あちらからも音沙汰無しだ』
「.........父上、申し訳有りません。どうかお許し下さい。この様な事になってしまって.........唯、ケジメは着けます」
『番か.........。不思議だな。この様な間で出逢うとは。誰かの差し金かも知れん.........いや、番なぞそうそう逢い見えるものではないか』
「.........私の番は、ルナです。それが漸く解りました。失くせば生きては行けない。父上、闇のお方の所へ謝罪に行って参ります」
『そうだな。婚姻は少し待った方が良いだろう』
「.........ええ.........そうです、ね。では.........行って参ります」
『ああ』
それがランドールと話しをした最後だった。あれの母であるウィンディールの元にも寄り、闇の城に向かった様だ。だがやはり追い返された。ルナの母である夜の女神も同じ対応をしたようだった。
そしてそのままランドールは消息を発った。
神である我々が2人の居場所すら判らない。そんな場所など有りはしないのに、だ。
いや、1つだけ。
それは絶望を意味する場所。
我々が生み出される前より存在する彼処ならば.........
何故こんな事になってしまったのか.........
我々は.........2人の神の子を失った事に漸く気付いた。いや、それだけでは無い。あの番の女神候補の娘も忽然と居なくなっていたのだ。
何かが可笑しいと誰もが思っていた。その真相を知るのは唯1人だけ。
審判神だ。
過去に起きた全ての目を持っている。
奴の処に向かう。そして知らされた真実は.........
例えようも無い怒りが襲う。荒れ狂う風が身体の中を吹き荒れた。だが抑えなければ。風が暴れれば全てが壊れる。
あれから数百の年月。
『ああ.........永かったよランドール。これで漸く終わるのだな。抑えていた風を.........解放出来る.........』
胸で泣く妻のウィンディールを抱きながら、風神は暗闇に浮かぶ2つの月を見上げた。
****
目が覚めると俺はまた手枷を着けられていた。そしてベッドもソファもテーブルも消え失せたていた。だが衣類は着けたまんまだ。昨日のあれが夢では無い事は解った。彼女から吹き込まれた神力も身体の中を巡っていたし、よく寝た所為か身体に何ら異常も無い。
その内ガシャンガシャンと数人の足音が聞こえて来る。手枷はそのままに俺は誰かに担がれた。薄目を開け様子を伺う。
空間が揺れたと思った次の瞬間、あのコロシアムの第1闘技場の上に出ていた。そこには真ん中にポツンと木で出来た椅子が置いてあり、俺はそこに座らされる。
手枷は着いたままだが他は何も着けられていない。まあ、神力が無ければ何も出来ないだろうと思われているのかも知れないが。本来この手枷も神力を奪う物なのかも知れない。神が造りし物だ。もう壊す訳にはいかないな.........
『これより、風神族であるアウィン・シータ・ウィングボルトへの裁きを行う。尚、被告人の受け答えは不要。弁明も不要である。私は審判神レフリアーノ。嘘、偽りは無駄だからだ。何故なら過去起きた出来事は全て見、聴き、真実のみ記録に残す事が出来る。これが私の力【真銘の突眼】であるからである』
「.................」
『だが、顔くらい上げたいであろう。少し神力を与えてやろう』
そう聞こえたかと思うと俺の頭に温かい風が舞う。それに釣られるまま顔を上げ目を開いた。そして驚愕する。
其処には.........コロシアムの観覧席を埋め尽くす神の姿が有ったからだ。天界の神全てなのかは判らない。だがこれ程の数.....一体何が....起きているのか....
あまりの事に呆然としていた。が、審判神の下真正面段の椅子にサラの姿が。そして少し離れてはいるが風の父ウィンドルザークの姿まで。
「ーーっ!」
申し訳ない気持ちで一杯になった。地上も真面に治められない神族に成り下がってしまった。期待外れだろう.........地上の風は.........もう爺さんしか居ない。どうにかなるだろうか.........もう.........どうしたら.........
目線を下げた処に黒い顔の獣人が立っていた。そしてその右隣にはミル様が。左隣にはヤマアラシが。火や水、土まで居る。皆無事だったか。そして、爺さんが.........苦悶の表情でこちらを見ていた。
ああ。爺さん、本当にすまん。迷惑掛けちまったな.........
シャザ、レイピア返してくれたんだ.........済まなかった。ミル様良かったな。どうにか2人一緒になれれば良いんだけど.........
『さて、心の準備は良いか?』
俺は審判神を見上げ、一間空けてコクンと頷いた。
『ランドールか。.........月の光の娘は見つかったか?お前がこれだけ探しても居らぬならば、やはり闇の所だろうな。彼奴は知らぬと言っておったが、囲っているのだろう。お前はどうするつもりだランドール』
「.........ルナと.........添い遂げようと思っております」
『....そうか。あの番の娘も姿をくらましたそうだな。獣人の属性だった様だが.........あちらからも音沙汰無しだ』
「.........父上、申し訳有りません。どうかお許し下さい。この様な事になってしまって.........唯、ケジメは着けます」
『番か.........。不思議だな。この様な間で出逢うとは。誰かの差し金かも知れん.........いや、番なぞそうそう逢い見えるものではないか』
「.........私の番は、ルナです。それが漸く解りました。失くせば生きては行けない。父上、闇のお方の所へ謝罪に行って参ります」
『そうだな。婚姻は少し待った方が良いだろう』
「.........ええ.........そうです、ね。では.........行って参ります」
『ああ』
それがランドールと話しをした最後だった。あれの母であるウィンディールの元にも寄り、闇の城に向かった様だ。だがやはり追い返された。ルナの母である夜の女神も同じ対応をしたようだった。
そしてそのままランドールは消息を発った。
神である我々が2人の居場所すら判らない。そんな場所など有りはしないのに、だ。
いや、1つだけ。
それは絶望を意味する場所。
我々が生み出される前より存在する彼処ならば.........
何故こんな事になってしまったのか.........
我々は.........2人の神の子を失った事に漸く気付いた。いや、それだけでは無い。あの番の女神候補の娘も忽然と居なくなっていたのだ。
何かが可笑しいと誰もが思っていた。その真相を知るのは唯1人だけ。
審判神だ。
過去に起きた全ての目を持っている。
奴の処に向かう。そして知らされた真実は.........
例えようも無い怒りが襲う。荒れ狂う風が身体の中を吹き荒れた。だが抑えなければ。風が暴れれば全てが壊れる。
あれから数百の年月。
『ああ.........永かったよランドール。これで漸く終わるのだな。抑えていた風を.........解放出来る.........』
胸で泣く妻のウィンディールを抱きながら、風神は暗闇に浮かぶ2つの月を見上げた。
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目が覚めると俺はまた手枷を着けられていた。そしてベッドもソファもテーブルも消え失せたていた。だが衣類は着けたまんまだ。昨日のあれが夢では無い事は解った。彼女から吹き込まれた神力も身体の中を巡っていたし、よく寝た所為か身体に何ら異常も無い。
その内ガシャンガシャンと数人の足音が聞こえて来る。手枷はそのままに俺は誰かに担がれた。薄目を開け様子を伺う。
空間が揺れたと思った次の瞬間、あのコロシアムの第1闘技場の上に出ていた。そこには真ん中にポツンと木で出来た椅子が置いてあり、俺はそこに座らされる。
手枷は着いたままだが他は何も着けられていない。まあ、神力が無ければ何も出来ないだろうと思われているのかも知れないが。本来この手枷も神力を奪う物なのかも知れない。神が造りし物だ。もう壊す訳にはいかないな.........
『これより、風神族であるアウィン・シータ・ウィングボルトへの裁きを行う。尚、被告人の受け答えは不要。弁明も不要である。私は審判神レフリアーノ。嘘、偽りは無駄だからだ。何故なら過去起きた出来事は全て見、聴き、真実のみ記録に残す事が出来る。これが私の力【真銘の突眼】であるからである』
「.................」
『だが、顔くらい上げたいであろう。少し神力を与えてやろう』
そう聞こえたかと思うと俺の頭に温かい風が舞う。それに釣られるまま顔を上げ目を開いた。そして驚愕する。
其処には.........コロシアムの観覧席を埋め尽くす神の姿が有ったからだ。天界の神全てなのかは判らない。だがこれ程の数.....一体何が....起きているのか....
あまりの事に呆然としていた。が、審判神の下真正面段の椅子にサラの姿が。そして少し離れてはいるが風の父ウィンドルザークの姿まで。
「ーーっ!」
申し訳ない気持ちで一杯になった。地上も真面に治められない神族に成り下がってしまった。期待外れだろう.........地上の風は.........もう爺さんしか居ない。どうにかなるだろうか.........もう.........どうしたら.........
目線を下げた処に黒い顔の獣人が立っていた。そしてその右隣にはミル様が。左隣にはヤマアラシが。火や水、土まで居る。皆無事だったか。そして、爺さんが.........苦悶の表情でこちらを見ていた。
ああ。爺さん、本当にすまん。迷惑掛けちまったな.........
シャザ、レイピア返してくれたんだ.........済まなかった。ミル様良かったな。どうにか2人一緒になれれば良いんだけど.........
『さて、心の準備は良いか?』
俺は審判神を見上げ、一間空けてコクンと頷いた。
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