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第五章 「勝者」と「陰謀」
95.やっぱり神の力か!
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「.........アウィン。とうとう来たわね、この時が。ふふっ」
「元気そうだな?いつの間にそんなに強くなったんだ?土の神の入れ知恵か?」
「まあ、そうね。真面にやっても勝てないし。使える物はなんでも使うわ。だって女神よ?労力に充分値するでしょ?」
「.........そう、だな。彼女は女神だ。だが、俺から奪った所で果たして相手にされるかな?」
「サラちゃんなら大丈夫よ~。男慣れしてないでしょ?純情そうだし。ふふ。メロメロにしてやるわ!」
「........サラ、ならな」
「何よ?歯切れが悪いわね。何?何かあるの?」
「別に。さあ、やろうか。どうせ俺が勝つよ」
「自信家な所も好きだけど、今回はごめんなさいね?勝たないと番が手に入らないから、負けてもらうわよ?」
「.........馬鹿」
俺達は次の瞬間後方に飛び下がる。俺は風の刃を奴目掛け放った。が、岩壁に遮られた。瞬時に岩など出現させるなど今までのガイザックには出来なかった筈だ。
続けて風を圧縮し、5、6個空中から無作為に蛇行させながらガイザックに向け放つ。当たれば回転しながら弾け飛ぶ風爆弾だ。岩壁を避けガイザックに向かう圧縮玉。だが、地面から尖った細い岩槍が四方に飛び出て、パパパンッと音をさせ消された。
何だ?俺の風を消し去る程の強度の岩か?
一瞬そう考えた隙に俺の足元の石畳がグズッと揺れる。
「!」
咄嗟に上空へ4メートル程飛び上がる、が、ズバッと俺の右ふくらはぎを飛び出て来た尖った岩が切り裂いた。
「!? くっぅ!えらく、伸びるじゃないか.........やっぱり神の力か!」
「あら?解っちゃった?あたし達は個々の力は弱いけど土の神は力が集まる大地の神。地面があれば負けないわ!」
「成る程.........なら上空から攻撃すれば良いんだな?」
「出来れば、ね?」
ガイザックは土だ。土は火の熱心でエネルギーに溢れ、直観的で情熱的な性質も無く、水の、流動的で適応力がはあるが、相手に影響されやすい性質でも無い。
一度こうだと決めたら突き進み、土台をキチンと作り上げ成功へ導く。地道さを嫌わず退屈だが安定感がある。どちらかと言うと大局では馬鹿な事は怖がり敬遠するタイプだ。だが、今奴はこの殻を脱ぎ捨て俺と戦っているのだ。そうまでして番を欲していたとは、意外だった。
まあ、俺もサラに関しては風の性質である合理性と楽観主義とは異なる人間だし。
人付き合いは風のそれまんまなんだが。
俺は友人は多いがその関係は広く浅い。正直感情表現が苦手だ。深いレベルで他者と関わるのも好きでは無い。
だからかも知れないが俺はサラに執着している。スピードを持って移ろう周りに流され、流して来た。だが、変わらないモノが欲しかったんだ。振り向けば必ずそこにある。サラへの想いが俺の指針。風の俺の『芯』なんだ。
「.........無くせば.........俺はどうなるかな.........」
ランドールはルナを失いどうなったんだろう。きっと俺より風の性質が強かっただろう。だが悲しみに暮れ、後悔の念が強い。ランドールにとってルナは.........間違い無く『芯』だったんだ。
ガイザック。お前の事嫌いじゃないよ。だが俺にはサラが必要だ。女神じゃ無いサラが。番だからじゃない唯のサラが。俺の腕の中で俺の『芯』になる唯一なんだ。
だから、
「俺は風だ。風はスピード。ガイザック、早々に全力で行くわ」
「.........良いわ。お相手してあげる。ベッドの中じゃ無いのが残念だけどね?」
石畳がドロッと崩れ透明な岩が伸び上がって来ると共にそれは第1闘技場を埋め尽くした。
「あたしも、全力よ」
俺は風を操り地上から徐々に摩擦を使い空中に4本の渦を巻き上げる。ゴゴゴゴと風が重なり音が次第に大きくなる。即席のハリケーンだ。威力は85ノット以上。それを闘技場四隅に移動させ腕を振り下ろす。
ハリケーンが4本同時に中央へ。ガイザック目掛け威力を保ったまま襲い掛かった。
奴を巻き上げて簡単には帰って来れない場所まで飛ばしてやろうと思っていた。だがそれはあの透明な岩に阻まれる。奴はドーム型に岩を固めその中に入っている。風の研磨が通用しない。つまり、硬いのだ。あの岩.........ダイアモンドか。凄いな。流石神の力。闘技場一杯にダイアモンドとは.........
俺は少し考えを巡らせ、ふと思い当たり、ハリケーンを一箇所に集める。次第に1つになり轟々と言う地響に変わったそれを圧縮しドームの頂点に押し当ててやる。
ハリケーンのドリルだ。更に圧縮し重さを加えた。
ダイアモンドは確かに硬い。だが壊れない訳では無い。一定方向からの強い衝撃に弱いのだ。しかもドーム型。俺なら、壊せる。
手元で更に風の圧縮玉を作る。ググッと極限まで圧縮を繰り返してからハリケーンの真ん中に投げ入れてやる。ヒュッと一気に下まで運ばれドームの頂点にドンッと打つかった。
その瞬間、バカアアアンッとダイアモンドのドームが砕け散る。
だが、ドームの中に有ったのは茶色く尖る飴色の物体。それが花の様にバラッと360度にばらけたかと思うとグルグルと回り出した。
「元気そうだな?いつの間にそんなに強くなったんだ?土の神の入れ知恵か?」
「まあ、そうね。真面にやっても勝てないし。使える物はなんでも使うわ。だって女神よ?労力に充分値するでしょ?」
「.........そう、だな。彼女は女神だ。だが、俺から奪った所で果たして相手にされるかな?」
「サラちゃんなら大丈夫よ~。男慣れしてないでしょ?純情そうだし。ふふ。メロメロにしてやるわ!」
「........サラ、ならな」
「何よ?歯切れが悪いわね。何?何かあるの?」
「別に。さあ、やろうか。どうせ俺が勝つよ」
「自信家な所も好きだけど、今回はごめんなさいね?勝たないと番が手に入らないから、負けてもらうわよ?」
「.........馬鹿」
俺達は次の瞬間後方に飛び下がる。俺は風の刃を奴目掛け放った。が、岩壁に遮られた。瞬時に岩など出現させるなど今までのガイザックには出来なかった筈だ。
続けて風を圧縮し、5、6個空中から無作為に蛇行させながらガイザックに向け放つ。当たれば回転しながら弾け飛ぶ風爆弾だ。岩壁を避けガイザックに向かう圧縮玉。だが、地面から尖った細い岩槍が四方に飛び出て、パパパンッと音をさせ消された。
何だ?俺の風を消し去る程の強度の岩か?
一瞬そう考えた隙に俺の足元の石畳がグズッと揺れる。
「!」
咄嗟に上空へ4メートル程飛び上がる、が、ズバッと俺の右ふくらはぎを飛び出て来た尖った岩が切り裂いた。
「!? くっぅ!えらく、伸びるじゃないか.........やっぱり神の力か!」
「あら?解っちゃった?あたし達は個々の力は弱いけど土の神は力が集まる大地の神。地面があれば負けないわ!」
「成る程.........なら上空から攻撃すれば良いんだな?」
「出来れば、ね?」
ガイザックは土だ。土は火の熱心でエネルギーに溢れ、直観的で情熱的な性質も無く、水の、流動的で適応力がはあるが、相手に影響されやすい性質でも無い。
一度こうだと決めたら突き進み、土台をキチンと作り上げ成功へ導く。地道さを嫌わず退屈だが安定感がある。どちらかと言うと大局では馬鹿な事は怖がり敬遠するタイプだ。だが、今奴はこの殻を脱ぎ捨て俺と戦っているのだ。そうまでして番を欲していたとは、意外だった。
まあ、俺もサラに関しては風の性質である合理性と楽観主義とは異なる人間だし。
人付き合いは風のそれまんまなんだが。
俺は友人は多いがその関係は広く浅い。正直感情表現が苦手だ。深いレベルで他者と関わるのも好きでは無い。
だからかも知れないが俺はサラに執着している。スピードを持って移ろう周りに流され、流して来た。だが、変わらないモノが欲しかったんだ。振り向けば必ずそこにある。サラへの想いが俺の指針。風の俺の『芯』なんだ。
「.........無くせば.........俺はどうなるかな.........」
ランドールはルナを失いどうなったんだろう。きっと俺より風の性質が強かっただろう。だが悲しみに暮れ、後悔の念が強い。ランドールにとってルナは.........間違い無く『芯』だったんだ。
ガイザック。お前の事嫌いじゃないよ。だが俺にはサラが必要だ。女神じゃ無いサラが。番だからじゃない唯のサラが。俺の腕の中で俺の『芯』になる唯一なんだ。
だから、
「俺は風だ。風はスピード。ガイザック、早々に全力で行くわ」
「.........良いわ。お相手してあげる。ベッドの中じゃ無いのが残念だけどね?」
石畳がドロッと崩れ透明な岩が伸び上がって来ると共にそれは第1闘技場を埋め尽くした。
「あたしも、全力よ」
俺は風を操り地上から徐々に摩擦を使い空中に4本の渦を巻き上げる。ゴゴゴゴと風が重なり音が次第に大きくなる。即席のハリケーンだ。威力は85ノット以上。それを闘技場四隅に移動させ腕を振り下ろす。
ハリケーンが4本同時に中央へ。ガイザック目掛け威力を保ったまま襲い掛かった。
奴を巻き上げて簡単には帰って来れない場所まで飛ばしてやろうと思っていた。だがそれはあの透明な岩に阻まれる。奴はドーム型に岩を固めその中に入っている。風の研磨が通用しない。つまり、硬いのだ。あの岩.........ダイアモンドか。凄いな。流石神の力。闘技場一杯にダイアモンドとは.........
俺は少し考えを巡らせ、ふと思い当たり、ハリケーンを一箇所に集める。次第に1つになり轟々と言う地響に変わったそれを圧縮しドームの頂点に押し当ててやる。
ハリケーンのドリルだ。更に圧縮し重さを加えた。
ダイアモンドは確かに硬い。だが壊れない訳では無い。一定方向からの強い衝撃に弱いのだ。しかもドーム型。俺なら、壊せる。
手元で更に風の圧縮玉を作る。ググッと極限まで圧縮を繰り返してからハリケーンの真ん中に投げ入れてやる。ヒュッと一気に下まで運ばれドームの頂点にドンッと打つかった。
その瞬間、バカアアアンッとダイアモンドのドームが砕け散る。
だが、ドームの中に有ったのは茶色く尖る飴色の物体。それが花の様にバラッと360度にばらけたかと思うとグルグルと回り出した。
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