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第四章 「後悔」と「過去世」
76.資格はあるか?
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ミル様と皇子は踊る様に間合いを取りながら剣を交わす。それをボンヤリする頭で見ていた。
ルナの死因は分からない。神は寿命なんて無いだろうし、神同士の争いは出来ないらしいし、自殺なんて考えられない。
でもこの胸の苦しみはそれなんじゃないのか?裏切った事は間違い無い。夢で見たから。
1つになれなかったのも解ってる.........彼女が.........静かに震えて泣いていたから.........
神同士の婚姻だ。どちらが上とかは無い。対等な立場だった筈だ。結婚前に不義を起こしたランドールとルナは終わってしまった。俺が夢で見たのはそこまで。
.................何があったんだろう?
俺はその時初めて2人の先にあった出来事が気になった。それはサラと俺のその先に影響を齎すような.........そんな事じゃ無いのか?漠然とした不安。
負い目。悲しみ。後悔。ランドールの記憶から来るこの気持ちは.........唯の別れの為、じゃ無いのか?
これ愁傷?まさか.........
ルナは.........ランドールが裏切った為に
.........死んだ?
じわりと嫌な汗が額に滲む。
いや、まだそうと決まった訳じゃ無い.........
でも、もし、そうだったとしたら.........?
俺に.........彼女の側に居る資格はあるか?
観覧席を見上げサラを再度見る。こっちを見てる。
ランドールはルナを愛していたんだ。偽り無く。だが「番」の匂いに抗えなかった。それは長く奴が求めて来たモノだったんだ。でもルナに出会えて幸せで.........忘れていたのに。あんなタイミングで「番」に出会ってしまった。
奴は.........心から深く愛していたはずのルナを奈落に突き落としたんだ。
サラ.........俺の前世の罪、お前は許してくれるか?
俺は.........どうすれば良い?
いや、本当に俺達は偶然出会ったのか?「番」の匂いで俺を導いたんじゃないのか?だとしたら何故ランドールを前世に持つ俺の前に現れたんだ。
君は後世で何がしたかったんだ。もしランドールが原因で死んだなら.........何故裏切った男を後世で「番」にしようだなんて思うんだ。
君は.........本当は俺に何を求めているんだ.........?
ルナ
「ーーン。アウィン!」
ガアンッッ
剣が交わる音にハッとする。
「どうした?ぼうっとして。第4闘技場の後攻も終わったみたいだぞ?土が勝ったようだ」
「あ.........ああ。そうだな。.........ふぅ.........」
「ん?どうした?」
「いや、何でもない。地上に帰った後の事を少し考えていただけだよ。サラのあの姿じゃ困るなって。光ってるし」
「うむ。そうだな。髪は染めれば良いが、確かに光は抑えられんか。何か手段を考えねばな」
「ああ.................」
今日何かの拍子に夢の続きが見れるなら.........ハッキリするだろうか?そうしたら俺は.........
その時、目の前に居る筈の皇子が何かにドカンと吹っ飛ばされる。飛ばされながらグルンと身体を捻りなんとか地面に着地した。
「.........ん?」
「うむ、様子見は終わったかな?」
「様子見?」
「ミル様はまず暫くは相手の動きを観察するんだ。そしてその後の組み合わせを考えるんだよ」
「組み合わせ?」
「ほら、アレだ」
「.........っ!うぉっ!」
そこには、黒い短いショートパンツから足だけが異様に長く筋肉質な茶色の毛で覆われた黒い蹄で立つミル様の姿があった。
ーーーーーっげぇ!キモっ!
「あれがミル様の能力の1つ。『変化』だ」
変化?足だけがカモシカのようになってる。見た目が人間なだけに異様な姿に見える。
「まあ、あまり時間は持たないみたいなんだがな。しかも全身変態は無理みたいだ。だが、戦闘時には役立つ」
「.................それはえらい加護貰ったな。一つと言う事は幾つかまだ有るんだろ?」
「我が知っているのは後1つかな。他は夫に成る者しか教えないと言っていた」
「.........ほう?」それはそれは.........。
「.........知りたいからじゃ無いからな」
多分むくれているシャザ。黒いから分かりにくいけど。
「是非とも番になってくれ。そして後で教えてくれよ」
「..........................上手くいけば、いや、彼女にその気があれば.........」
「弱気は損気だな。なんて......... 」
俺も人の事言える立場じゃ無いんだけど。障害だらけだ。しかもどうにもならない前世の罪とか.........
彼女が前世の記憶を取り戻したら.........その後が怖い。俺の手を離してしまうかも知れない。
それは.........堪らなく苦しくて辛過ぎる。彼女の居ない未来なんて考えた事も無かったのに.........
でも、きっとこのまま終われないんだろうな。
ルナの死因は分からない。神は寿命なんて無いだろうし、神同士の争いは出来ないらしいし、自殺なんて考えられない。
でもこの胸の苦しみはそれなんじゃないのか?裏切った事は間違い無い。夢で見たから。
1つになれなかったのも解ってる.........彼女が.........静かに震えて泣いていたから.........
神同士の婚姻だ。どちらが上とかは無い。対等な立場だった筈だ。結婚前に不義を起こしたランドールとルナは終わってしまった。俺が夢で見たのはそこまで。
.................何があったんだろう?
俺はその時初めて2人の先にあった出来事が気になった。それはサラと俺のその先に影響を齎すような.........そんな事じゃ無いのか?漠然とした不安。
負い目。悲しみ。後悔。ランドールの記憶から来るこの気持ちは.........唯の別れの為、じゃ無いのか?
これ愁傷?まさか.........
ルナは.........ランドールが裏切った為に
.........死んだ?
じわりと嫌な汗が額に滲む。
いや、まだそうと決まった訳じゃ無い.........
でも、もし、そうだったとしたら.........?
俺に.........彼女の側に居る資格はあるか?
観覧席を見上げサラを再度見る。こっちを見てる。
ランドールはルナを愛していたんだ。偽り無く。だが「番」の匂いに抗えなかった。それは長く奴が求めて来たモノだったんだ。でもルナに出会えて幸せで.........忘れていたのに。あんなタイミングで「番」に出会ってしまった。
奴は.........心から深く愛していたはずのルナを奈落に突き落としたんだ。
サラ.........俺の前世の罪、お前は許してくれるか?
俺は.........どうすれば良い?
いや、本当に俺達は偶然出会ったのか?「番」の匂いで俺を導いたんじゃないのか?だとしたら何故ランドールを前世に持つ俺の前に現れたんだ。
君は後世で何がしたかったんだ。もしランドールが原因で死んだなら.........何故裏切った男を後世で「番」にしようだなんて思うんだ。
君は.........本当は俺に何を求めているんだ.........?
ルナ
「ーーン。アウィン!」
ガアンッッ
剣が交わる音にハッとする。
「どうした?ぼうっとして。第4闘技場の後攻も終わったみたいだぞ?土が勝ったようだ」
「あ.........ああ。そうだな。.........ふぅ.........」
「ん?どうした?」
「いや、何でもない。地上に帰った後の事を少し考えていただけだよ。サラのあの姿じゃ困るなって。光ってるし」
「うむ。そうだな。髪は染めれば良いが、確かに光は抑えられんか。何か手段を考えねばな」
「ああ.................」
今日何かの拍子に夢の続きが見れるなら.........ハッキリするだろうか?そうしたら俺は.........
その時、目の前に居る筈の皇子が何かにドカンと吹っ飛ばされる。飛ばされながらグルンと身体を捻りなんとか地面に着地した。
「.........ん?」
「うむ、様子見は終わったかな?」
「様子見?」
「ミル様はまず暫くは相手の動きを観察するんだ。そしてその後の組み合わせを考えるんだよ」
「組み合わせ?」
「ほら、アレだ」
「.........っ!うぉっ!」
そこには、黒い短いショートパンツから足だけが異様に長く筋肉質な茶色の毛で覆われた黒い蹄で立つミル様の姿があった。
ーーーーーっげぇ!キモっ!
「あれがミル様の能力の1つ。『変化』だ」
変化?足だけがカモシカのようになってる。見た目が人間なだけに異様な姿に見える。
「まあ、あまり時間は持たないみたいなんだがな。しかも全身変態は無理みたいだ。だが、戦闘時には役立つ」
「.................それはえらい加護貰ったな。一つと言う事は幾つかまだ有るんだろ?」
「我が知っているのは後1つかな。他は夫に成る者しか教えないと言っていた」
「.........ほう?」それはそれは.........。
「.........知りたいからじゃ無いからな」
多分むくれているシャザ。黒いから分かりにくいけど。
「是非とも番になってくれ。そして後で教えてくれよ」
「..........................上手くいけば、いや、彼女にその気があれば.........」
「弱気は損気だな。なんて......... 」
俺も人の事言える立場じゃ無いんだけど。障害だらけだ。しかもどうにもならない前世の罪とか.........
彼女が前世の記憶を取り戻したら.........その後が怖い。俺の手を離してしまうかも知れない。
それは.........堪らなく苦しくて辛過ぎる。彼女の居ない未来なんて考えた事も無かったのに.........
でも、きっとこのまま終われないんだろうな。
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