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第四章  「後悔」と「過去世」

75.神って普通に死ねるのか?

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「嫌ならまた次のトーナメントに参加して勝てば良いんだけどね」
「.................」

 ガチンコ過ぎるだろ。戦いの女神(アマゾネス)には関わらないでおこう。


 闘技場の清掃が終わり、ミル様が中央へ歩いて行く。後姿を見ながら思う。

 本当胸と尻がムチムチだな。俺好みだ。まあ、大概の男は好きだろうけど。きっと手に収まらないに違いない。えらく肉肉しい。
 サラはどちらかと言うとスマートな身体だから.........いや、まあ、ツルペタまでいかないし胸は形良いけど.........ダメダメ!比べんな俺!バシバシ顔を叩く。どっちにしろサラじゃ無いなら意味なんて無いんだからな。


 獅子の神族が現れる。頭がライオンのムッキムキの大男.........かと思っていたが全く予想外の姿だった。
 .........顔.........人間の男だ。かなりの美丈夫。眩しい金髪に赤い瞳。凛々しい男らしさも有り、気品さえ漂う佇まいだった。どこかの国に高位貴族なのか、白いマントには紋章が入っている。

「おお.....獣人か?ミル様より人間っぽいな」
「.........獅子族は地上に自分達を王とする獣人の国を作っているからな。ハルレア皇国。聞いた事あるだろ?」
「ハルレア.........ああ、知ってる。あれ獣人の国なのか?知らなかった.....」
「獅子族は早い内から人間と交わって来ているからな。姿もかなり人間寄りだ。獣人とは気付きにくいかも知れん」
「ああ。男前だな。人間の中でも中々居ない美形だよ。あ、ほら。姫達がガン見してるぞ」
「.........本当だ」

 俺は姫達の間のサラを見る。第1闘技場は獣人神の席に1番近い場所だ。こちらからもよく見える。サラは俺を見つけるとはわっと顔を綻ばせ嬉しそうに手を振った。
 かっ可愛い~!手を振り返そうとすると何故か目の前の獅子族の皇子様の野郎が手を振って答えている。


 お前じゃねぇよ!!俺のサラに笑い掛けるな!無駄に白い歯しやがって。爽やか過ぎるだろ!色男め。無駄な色気出しやがって!
 俺だってプラチナブロンドで割と良男.........顔は優男系だが。
 .....黙ってれば綺麗とか優しそうとか言われるが凛々しいと言われた事は.........一度も無い。

「.................」
くそ。なんか負けてるな。


 俺はその場からスタスタ横に向かって歩いて離れ、立ち止まってクルッと向きを変えサラを見上げる。するとサラの目線は俺を追って顔を横に向けて見ていた。そこで漸く手を振り返す。

 はにゃっと再び笑いながらまた手を振るサラ。良し!サラは俺しか見てないな。なら良い!そして可愛い!胸がウズウズする!

 満足して再びシャザの所に戻ると、口に手を当てなんだか震えていた。顔黒くて分かりにくいんだよな。でも多分笑われているのは判った。尻尾が地面をビッタンビッタン叩いていたからな。


「プ.........ふっ.........ふ.........」
「.................」
「ふ.........くっくっ.........ふはっ!」
「.................愛されてるだろ?羨ましいか?」
「.........っぶっはははははははっ!」
「.........ほら、始まるぞ」

 ちょっと額を擦って色々誤魔化した。
 何してんだ俺。子供かよ。


「ーー始め!」

 開始の号令と共に第1闘技場第1試合後攻戦が始まる。
 獅子と牛の戦いだ。

 だが唯の牛じゃないらしい。ミル様はスラリと腰のレイピアを抜くと皇子に向かって走りながら一刀振る。顔は笑ってる。だが皇子の方もヒラリと避けながら腰から長剣を引き抜き迷う事無く横に振り抜く。成る程。フェミニストな訳じゃ無いんだな。しゃがんで躱しながらミル様のレイピアがスルリと皇子の顔目掛け突き刺さったかの様に見えた、が、どうやらこの2人は動体視力が高いらしい。皇子もそれを躱して後ろに飛び退いた。

 考えたらこの試合神族の皇子と神の皇女(姫)の戦いじゃん。これは楽しい。年齢も近そうだし戦いの中ラブロマンスが生まれたらシャザは泣くだろうな.........。

 ん?そう言えばアイツらどうなってるかな?

 フイッと第2闘技場を見る。あっちはまだ先攻が終わってないみたいだ。じゃあ、第4は.........


「.................へぇ」


 対戦相手の神族を上手く岩で閉じ込めた様だ。ガイザックは頭は悪くない。それは俺も分かってる。だが俺も負けられないんだよ。冷たい思考がまたも頭を過ぎる。
 .........まあ、良い。

 俺はフイッと顔を戻してサラを見た。姫達が周りに居てうるさそうだ。皇子大人気だな。神々の席を見ると昨日サラを抱き止めた暗い銀髪の神が居た。サラの方を見ている。何だよあいつ。えっと、あの神は.........


 後ろの紋章を確認する。



 ..........................審判神?



 あのピンクの髪の女の親玉だよな?

 番の匂い。俺達が感じているモノとは少し違うがおそらく間違い無いだろう。「花の香り」と言うのが番の一つの基準だ。サラはあの男に惹かれた自分に驚いていた。
 て、言うか。なんで見てる?審判神は気づいてる?だから見に来たのか?誰を?天界に来てから接触してない筈だ。いや、ピンクの髪の女は.........何かの確認する為に寄越したとか?
 .........もしかして、過去世と関係がある?

 目の色や雰囲気は違うがサラはルナに似ている。前世ではあるが.........前世?そうだよ。

 俺はその時初めて大事な事に気が付いた。

 ルナは.........女神なんだ。女神って.................神。



 神って普通に死ねるのか?



 ランドールは.........どうやって死んだんだ?
 死んでなきゃ前世にならん。

 2人は.........2人は.........1つになれなかった。じゃあ.........



 最後はどうなったんだ?


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