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第四章 「後悔」と「過去世」
74.賭けようか?
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「モテモテなはずなのにな?」
「うーん。行為だけではやはりダメだと言う事だろう。女神ともなれば尚更、高貴な精神を伴わなければ番う事は出来ないのかもな。そう、考えるとアウィン。お前は.........」
「.........高貴な精神かどうかは分からんが.........女神じゃなくても彼女を半身だと思うし、他の女は要らないし、俺と居る事で幸せだと思って欲しいし、死ぬ時は一緒に連れて逝きたいくらいは思ってるぞ?」
「.............高貴.........で無く、ベタ惚れと言うんだよそれは」
「ふふ、だよな。まあ、切っ掛けは「番」だからなんだけどな。まさか女神だったなんて.........本当参った」
「.................無欲、か。妻が女神だったならもっと喜ぶものなんじゃ無いのか?」
「俺はサラがサラであれはそれで良い。特別な力は要らないさ。俺にとっては、サラの作ったパイが食べられて、家族を作って、穏やかに過ごせればそれが1番良い事だからな。偽り無く、だ」
「.........何度も思うが、風の性質じゃ無いな」
「ははははっ。こんな風も吹くんだよ」
****
第1闘技場の先攻の試合はまだ続いていた。ワニとヒョウの神族だ。これまた人外の顔だな.........。
ミル様はまだ来ていない様だ。
ヒョウはシャザと似てるけど背は低い。身体の模様もクッキリ見えた。すばしっこいな。ヒョウの武器は長い先だけのパルチザンだ。えらくシンプルでアンバランスに見えた。だが、長い槍は見事にヒョウの機動性とマッチしていたのだ。後脚の強靭な脚力が合わさって突き出す長い尖った一点に力が加わり針の様にワニの身体に穴を空けていく。硬い鱗を持つワニも鋭い針には悲鳴を挙げていた。
だが、流石にワニだ。痛がって呻きながらも自身のアックスを振り回しギラリとヒョウの動きを観察していた。何か狙ってるのかもな。
「どちらが勝つか賭けようか?」
「ああ、良いぞ?じゃあ我は.........ワニにしておこうか」
「じゃあ、俺はヒョウな。俺が負けたらそうだな.........この紅いレースのリボンをやるよ。ミル様に似合いそうだろ?なんてな、さっき仕舞い損ねて朝からポケットに入れてて忘れてたんだ。でも、まあ価値は有る。一点物だぞ?」
それは見事な紅一色の豪華なレースだった。真ん中にサテンのリボンが通っていて髪にも結べる。だが、今のサラには派手だしな。彼女には淡い色の方が似合う。ミル様の黒髪には映える筈だ。
「.........ワニを勝たせないといかんな......」
「不正は禁止な。ふふ」
「じゃあ、我が負けたら.........我が此処に留まる理由を教えてやろうか」
「.................これは負けられ無くなったかな?」
「不正は禁止だぞ?」
「「ははははははっ!」」
****
最終的に勝ったのはワニだった。
やはりヒョウには戦闘時動きに癖があった様で、槍を突き出した後、右に身体を少し反らせた処をアックスで左から攻撃するかのように見せかけ、一瞬両足で地面を蹴り後方へ回避しようとした処を狙われ、挟む様にワニのぶっとい尻尾でふっ飛ばされた。かなり遠くまで飛んで行き、そのまま意識が戻らずワニの勝利。ふーん。これを狙ってたのか。まあ、ヒョウは打撃に弱そうだったからな。攻撃が当たれば勝つか。ワニの粘り勝ちだな。
「ほら、リボン。おめでとう」
俺は笑いながらシャザに紅いリボンを渡した。奴はそれを受け取り一瞬愛おしそうに見つめズボンのポケットに仕舞う。
「ふふ。我は紅が好きだ。ミル様も紅が似合う。渡せれば良いがな.........」
「なんだよ、弱気だな。ミル様も言ってただろ?強気の男が好きなんだって。いや、本当頼むからお前に惚れさせてくれよ。ミル様があんな事言うからサラが警戒してるんだ。余計な火種はもう要らん。腹一杯だ」
「.........ああ。確かに」
俺達は二人して苦笑した。
第1闘技場の後攻はミル様と.........獅子族の神族だ。
牛と獅子って.........。地上の弱肉強食の世界じゃ有り得ないカードだよな。
「シャザ、ミル様ってそんなに強いのか?」
「ああ。強いな。剣技もさることながら威力もある。獣人神の加護の中でもかなり上位のモノを付与されている。まあ、見てろ」
「へぇ.........それは楽しみだな。ん?」
「そう、楽しみにしておいてね?アウィンくん♡」
「.........っ」
色気のある良い女の声で耳元で囁かれた。この人はもう.........やめてくれ。
「....ミル様」
俺は少し身体をずらしながらミル様を見る。丸いパンパンに育ったデカイ胸が視界に入った。深い谷間が見える赤い薄いトップスに黒のショート寸の袖無しジャケット。同じく黒のショートパンツから見事な健康的な美脚がスラリと出ている。だが.........裸足だ。いや、片手にブーツを持っている。なんで脱いだんだろ?
「ふふーん。男同士で内緒話?仲良いわね。さて、私も頑張らなくちゃねー」
「女性はミル様だけですか?」
「そうなのよ~!戦いの女神の眷族の子に1人居たんだけどね、団体戦で落ちちゃって。まあ、残るかどうかは別だけど」
「戦いの女神.........やっぱり強いんでしょうね?」
「あらゆる武器を扱えるしね。神同士は戦えないから誰がどれだけ強いか、なんて判らないけど。戦いの女神も4年に一度トーナメント戦やってるわよ。あっちはガチのやつだし、団体戦なんか無くて個人戦のみでやってるから」
「へぇ。勝ったら何か良い事有るんですか?」
「参加出来るのは全神族と戦いの女神見習いだけなんだけど、優勝した者は参加した女神見習いを誰でも妻に出来るし、女神見習いが勝てば位が上がって待遇も変わり参加した好きな神族の男達を娶れるわ。それに加えて天界での屋敷も貰えて軍も率いる事を許される。割と人生掛けたトーナメントになるわよね」
それ.........強制下克上カップリング.........いや、強制ハーレム.........
アマゾネスかよ!
「うーん。行為だけではやはりダメだと言う事だろう。女神ともなれば尚更、高貴な精神を伴わなければ番う事は出来ないのかもな。そう、考えるとアウィン。お前は.........」
「.........高貴な精神かどうかは分からんが.........女神じゃなくても彼女を半身だと思うし、他の女は要らないし、俺と居る事で幸せだと思って欲しいし、死ぬ時は一緒に連れて逝きたいくらいは思ってるぞ?」
「.............高貴.........で無く、ベタ惚れと言うんだよそれは」
「ふふ、だよな。まあ、切っ掛けは「番」だからなんだけどな。まさか女神だったなんて.........本当参った」
「.................無欲、か。妻が女神だったならもっと喜ぶものなんじゃ無いのか?」
「俺はサラがサラであれはそれで良い。特別な力は要らないさ。俺にとっては、サラの作ったパイが食べられて、家族を作って、穏やかに過ごせればそれが1番良い事だからな。偽り無く、だ」
「.........何度も思うが、風の性質じゃ無いな」
「ははははっ。こんな風も吹くんだよ」
****
第1闘技場の先攻の試合はまだ続いていた。ワニとヒョウの神族だ。これまた人外の顔だな.........。
ミル様はまだ来ていない様だ。
ヒョウはシャザと似てるけど背は低い。身体の模様もクッキリ見えた。すばしっこいな。ヒョウの武器は長い先だけのパルチザンだ。えらくシンプルでアンバランスに見えた。だが、長い槍は見事にヒョウの機動性とマッチしていたのだ。後脚の強靭な脚力が合わさって突き出す長い尖った一点に力が加わり針の様にワニの身体に穴を空けていく。硬い鱗を持つワニも鋭い針には悲鳴を挙げていた。
だが、流石にワニだ。痛がって呻きながらも自身のアックスを振り回しギラリとヒョウの動きを観察していた。何か狙ってるのかもな。
「どちらが勝つか賭けようか?」
「ああ、良いぞ?じゃあ我は.........ワニにしておこうか」
「じゃあ、俺はヒョウな。俺が負けたらそうだな.........この紅いレースのリボンをやるよ。ミル様に似合いそうだろ?なんてな、さっき仕舞い損ねて朝からポケットに入れてて忘れてたんだ。でも、まあ価値は有る。一点物だぞ?」
それは見事な紅一色の豪華なレースだった。真ん中にサテンのリボンが通っていて髪にも結べる。だが、今のサラには派手だしな。彼女には淡い色の方が似合う。ミル様の黒髪には映える筈だ。
「.........ワニを勝たせないといかんな......」
「不正は禁止な。ふふ」
「じゃあ、我が負けたら.........我が此処に留まる理由を教えてやろうか」
「.................これは負けられ無くなったかな?」
「不正は禁止だぞ?」
「「ははははははっ!」」
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最終的に勝ったのはワニだった。
やはりヒョウには戦闘時動きに癖があった様で、槍を突き出した後、右に身体を少し反らせた処をアックスで左から攻撃するかのように見せかけ、一瞬両足で地面を蹴り後方へ回避しようとした処を狙われ、挟む様にワニのぶっとい尻尾でふっ飛ばされた。かなり遠くまで飛んで行き、そのまま意識が戻らずワニの勝利。ふーん。これを狙ってたのか。まあ、ヒョウは打撃に弱そうだったからな。攻撃が当たれば勝つか。ワニの粘り勝ちだな。
「ほら、リボン。おめでとう」
俺は笑いながらシャザに紅いリボンを渡した。奴はそれを受け取り一瞬愛おしそうに見つめズボンのポケットに仕舞う。
「ふふ。我は紅が好きだ。ミル様も紅が似合う。渡せれば良いがな.........」
「なんだよ、弱気だな。ミル様も言ってただろ?強気の男が好きなんだって。いや、本当頼むからお前に惚れさせてくれよ。ミル様があんな事言うからサラが警戒してるんだ。余計な火種はもう要らん。腹一杯だ」
「.........ああ。確かに」
俺達は二人して苦笑した。
第1闘技場の後攻はミル様と.........獅子族の神族だ。
牛と獅子って.........。地上の弱肉強食の世界じゃ有り得ないカードだよな。
「シャザ、ミル様ってそんなに強いのか?」
「ああ。強いな。剣技もさることながら威力もある。獣人神の加護の中でもかなり上位のモノを付与されている。まあ、見てろ」
「へぇ.........それは楽しみだな。ん?」
「そう、楽しみにしておいてね?アウィンくん♡」
「.........っ」
色気のある良い女の声で耳元で囁かれた。この人はもう.........やめてくれ。
「....ミル様」
俺は少し身体をずらしながらミル様を見る。丸いパンパンに育ったデカイ胸が視界に入った。深い谷間が見える赤い薄いトップスに黒のショート寸の袖無しジャケット。同じく黒のショートパンツから見事な健康的な美脚がスラリと出ている。だが.........裸足だ。いや、片手にブーツを持っている。なんで脱いだんだろ?
「ふふーん。男同士で内緒話?仲良いわね。さて、私も頑張らなくちゃねー」
「女性はミル様だけですか?」
「そうなのよ~!戦いの女神の眷族の子に1人居たんだけどね、団体戦で落ちちゃって。まあ、残るかどうかは別だけど」
「戦いの女神.........やっぱり強いんでしょうね?」
「あらゆる武器を扱えるしね。神同士は戦えないから誰がどれだけ強いか、なんて判らないけど。戦いの女神も4年に一度トーナメント戦やってるわよ。あっちはガチのやつだし、団体戦なんか無くて個人戦のみでやってるから」
「へぇ。勝ったら何か良い事有るんですか?」
「参加出来るのは全神族と戦いの女神見習いだけなんだけど、優勝した者は参加した女神見習いを誰でも妻に出来るし、女神見習いが勝てば位が上がって待遇も変わり参加した好きな神族の男達を娶れるわ。それに加えて天界での屋敷も貰えて軍も率いる事を許される。割と人生掛けたトーナメントになるわよね」
それ.........強制下克上カップリング.........いや、強制ハーレム.........
アマゾネスかよ!
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