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第三章 「獣人」と「覚醒」
50.楽しめるか!
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俺達は漸く獣人神の居る謁見の間まで辿り着く。15分は歩いたぞ.........身体がデカイから建物もデカイのだ。
サラはもう俺に身体を預けてしまっている。なんならウトウトし始めていた。昨日途中で起きてしまったからな。女神、だろうけどまだ結婚して10日。.........本当色々有過ぎるよな。なんか申し訳無いな。空飛んでる時寝かせてやれば良かった。今まで一人で空を飛んでたから、なんか楽しくて。多分俺は.........こんな時でも浮かれているのだろう。妻になったサラの存在に。
謁見の間の重厚な扉が開かれる。さあ、勝負だ。成る可く穏便に。もう、この際知り合いが見てなきゃ裸踊りでも何でもやってやるよ。その代わり根こそぎ《リンミン》持って帰ってやる。
俺はシャザに先導されつつ、ゆっくりと遠くに見える王座を見る。そこには.........デカイ.........山.........いや、山の様にデカイ黒い獣人が座していた。黒い塊にギラギラした眼がこちらを見ている。金に光るそれはまるで獲物を前にした捕食者のようだ.........!!
「獣人.........神」
初めて見た。てか、何の動物かわからん.........。バッファロー?ライオン?マントヒヒ?混ぜこぜ?
空を切ってデカイ黒い尻尾がビッタンと地を打った。ビリビリと石で出来た床が揺れる。その拍子にサラがビクン!と跳ねて俺の首に抱き着いた。「にゃ!!」っと声が漏れる。
「おや?主は随分ご機嫌のようだ。珍しい」
ご機嫌なんだ。確かに尻尾をブンブン振り回してるのは犬みたいだな。
獣人神の10メートル位前で止まる。シャザが膝を着いた。俺はサラを床に立たせて腹に手を当て頭を下げる。サラはワンピースの裾を少し持ち上げカーテンシーをした。
「我が偉大なる父よ。彼は我の友人で風の神の末裔です。この度相談が有ってこちらまで赴いたとの事。何卒話を聞いてやって下さい」
「......ふ...ぅ.........良い匂いがするなぁ.........だが.........既に.........か。勿体ない」
「?」
「まあ、良い。相談とな?風の子よ。言ってみるが良い」
おお!顔に似合わずフレンドリー。これは行けるか?
「はい。獣人神よ。私は風の末裔アウィンと申します。この私の伴侶となった女性はサラ。彼女は女神の魂を受け継いだ様で、その身に宿る力が漏れ出し、今とても危ない状態なのです。どうかお力をお貸し願えませんか?」
「どの様な力だ?」
「まずは、その身から漏れ出す【魅了】が男を惹きつけます。そして.........神族全ての.........「番」になり得る匂いが彼女から発せられています。それから彼女が作る料理には【癒し】の効果が。匂いの為に既に一度襲われているのです。どうか私達に匂い消しである《リンミン》の花を採取する事をお許し願えませんか?」
「.........ふうむ。そうだな。........匂い消し........な...ところで、其方。強いか?」
「.........は?え?」 なんだよ?
「強いのか?」
「.........それなりに」
「ふうん?そうか.........シャザ、どうだ?」
「はっ。三年前は互角で有りました」
「ふうん?.........ふふ。良いなぁ。ふうん.........そうか。.........では、一つ催しを開こう。『勝ち抜き』だ」
「え?」 まさか?
「風の子アウィン。其方は戦って勝ち抜いて来い。儂にお前の『強さ』を見せてみろ。内容はそうだな。くじ引きにしよう。くじで出た競技で戦うのだ。ふふふ。どうだ?楽しそうだろう?それに勝ち残れば其方の希望通りにしてやろう。元来勝者には希望のモノをやるのが天界の取り決めでな。儂の力の及ぶ範囲なら何でも叶えてやる」
「......分かりました.........」くそ!
「今から触れを出す。丁度春で神族が多数天界に上がって来ているからな。明日正午から始めよう。ふふ。過去何度かしている、所謂お遊びだ。だが、弱い者は一瞬足りとも残りはしない。勿論能力を使っても構わん。儂の結界の中でする」
「.................承知致しました」
「アウィン.........」
俺を心配するオレンジの瞳。
「サラ.........大丈夫。やってみるよ」
てか、やるしかないだろうよ!あー!!獣人神の野郎~面白がりやがって!花くらい取らせろよ。
「催しの間は儂が其方の伴侶を預かる。心配は要らん。儂の名の下に護ってやる。ふふ」
「.........信用させて頂きます」
あー!この野郎!マジで手とか出したら神族全員皆殺しな。サラの防御結界10倍にしてやる。
「さあ!触れを出せ!楽しもうじゃないか!」
『「おおおおー~~~~~~~!!!」』
獣人神の従者どもが吠える。
................失敗した。簡単には手に入らない!
サラの身が危険だって言ってんだろうが!とっとと花寄越せよ!この山野郎!
こんなの楽しめるか~~~~~~~~~~~!!!
サラはもう俺に身体を預けてしまっている。なんならウトウトし始めていた。昨日途中で起きてしまったからな。女神、だろうけどまだ結婚して10日。.........本当色々有過ぎるよな。なんか申し訳無いな。空飛んでる時寝かせてやれば良かった。今まで一人で空を飛んでたから、なんか楽しくて。多分俺は.........こんな時でも浮かれているのだろう。妻になったサラの存在に。
謁見の間の重厚な扉が開かれる。さあ、勝負だ。成る可く穏便に。もう、この際知り合いが見てなきゃ裸踊りでも何でもやってやるよ。その代わり根こそぎ《リンミン》持って帰ってやる。
俺はシャザに先導されつつ、ゆっくりと遠くに見える王座を見る。そこには.........デカイ.........山.........いや、山の様にデカイ黒い獣人が座していた。黒い塊にギラギラした眼がこちらを見ている。金に光るそれはまるで獲物を前にした捕食者のようだ.........!!
「獣人.........神」
初めて見た。てか、何の動物かわからん.........。バッファロー?ライオン?マントヒヒ?混ぜこぜ?
空を切ってデカイ黒い尻尾がビッタンと地を打った。ビリビリと石で出来た床が揺れる。その拍子にサラがビクン!と跳ねて俺の首に抱き着いた。「にゃ!!」っと声が漏れる。
「おや?主は随分ご機嫌のようだ。珍しい」
ご機嫌なんだ。確かに尻尾をブンブン振り回してるのは犬みたいだな。
獣人神の10メートル位前で止まる。シャザが膝を着いた。俺はサラを床に立たせて腹に手を当て頭を下げる。サラはワンピースの裾を少し持ち上げカーテンシーをした。
「我が偉大なる父よ。彼は我の友人で風の神の末裔です。この度相談が有ってこちらまで赴いたとの事。何卒話を聞いてやって下さい」
「......ふ...ぅ.........良い匂いがするなぁ.........だが.........既に.........か。勿体ない」
「?」
「まあ、良い。相談とな?風の子よ。言ってみるが良い」
おお!顔に似合わずフレンドリー。これは行けるか?
「はい。獣人神よ。私は風の末裔アウィンと申します。この私の伴侶となった女性はサラ。彼女は女神の魂を受け継いだ様で、その身に宿る力が漏れ出し、今とても危ない状態なのです。どうかお力をお貸し願えませんか?」
「どの様な力だ?」
「まずは、その身から漏れ出す【魅了】が男を惹きつけます。そして.........神族全ての.........「番」になり得る匂いが彼女から発せられています。それから彼女が作る料理には【癒し】の効果が。匂いの為に既に一度襲われているのです。どうか私達に匂い消しである《リンミン》の花を採取する事をお許し願えませんか?」
「.........ふうむ。そうだな。........匂い消し........な...ところで、其方。強いか?」
「.........は?え?」 なんだよ?
「強いのか?」
「.........それなりに」
「ふうん?そうか.........シャザ、どうだ?」
「はっ。三年前は互角で有りました」
「ふうん?.........ふふ。良いなぁ。ふうん.........そうか。.........では、一つ催しを開こう。『勝ち抜き』だ」
「え?」 まさか?
「風の子アウィン。其方は戦って勝ち抜いて来い。儂にお前の『強さ』を見せてみろ。内容はそうだな。くじ引きにしよう。くじで出た競技で戦うのだ。ふふふ。どうだ?楽しそうだろう?それに勝ち残れば其方の希望通りにしてやろう。元来勝者には希望のモノをやるのが天界の取り決めでな。儂の力の及ぶ範囲なら何でも叶えてやる」
「......分かりました.........」くそ!
「今から触れを出す。丁度春で神族が多数天界に上がって来ているからな。明日正午から始めよう。ふふ。過去何度かしている、所謂お遊びだ。だが、弱い者は一瞬足りとも残りはしない。勿論能力を使っても構わん。儂の結界の中でする」
「.................承知致しました」
「アウィン.........」
俺を心配するオレンジの瞳。
「サラ.........大丈夫。やってみるよ」
てか、やるしかないだろうよ!あー!!獣人神の野郎~面白がりやがって!花くらい取らせろよ。
「催しの間は儂が其方の伴侶を預かる。心配は要らん。儂の名の下に護ってやる。ふふ」
「.........信用させて頂きます」
あー!この野郎!マジで手とか出したら神族全員皆殺しな。サラの防御結界10倍にしてやる。
「さあ!触れを出せ!楽しもうじゃないか!」
『「おおおおー~~~~~~~!!!」』
獣人神の従者どもが吠える。
................失敗した。簡単には手に入らない!
サラの身が危険だって言ってんだろうが!とっとと花寄越せよ!この山野郎!
こんなの楽しめるか~~~~~~~~~~~!!!
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