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第二章 「天界」と「女神」

47.口移しだろ?

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 朝、サラの髪にマグノリアのオイルを垂らして擦り込みクシで梳く。サラはまだ眠そうだ。何度も繰り返し梳いたらピカピカになった。楽しい。

 朝飯は他の神族にサラのパイを食わす訳にはいかないのでサラ以外は天界での神族の食事法をする。

 単純だ。神力を食うのだ。天界では神力を具現化出来る。食うのが好きな奴は豪勢な食事を楽しむ。味もちゃんと感じる。

「アウィン.........美味しい?」
「うーん。基本旨いと思う料理はサラが作るモノくらいだから.....まあ、腹が膨れれば何でも構わん」

 俺はリンゴ一つとバケット一切れに水だけ腹に入れる。

「...........これだけ?.......アウィンって1人にすると貧相な食事しかしないんじゃ無いの?好きな料理は何?」
「.........サラの作るパイ。スープも好きだな。薄くないのに優しい味がするから」
「ふふ。餌付けしちゃった」
「毎月.........待ち遠しかったからな」

 ちょっと照れる。俺は普段あまり食う事に興味は無い。でもサラのパイは違った。
 サラが持って訪ねてくるそのパイを食べる事が毎月の始まりの合図だった。
 不思議と気力が湧き胸が温まる。やはり【癒し】が効いていたのかも知れない。俺は単純に愛しいサラが作った物だからだと思ってたんだけど。 
 確かに誰かに分ける事は無かったから、爺さんにも力がバレる事も無かったんだよな。


 ゾーイとレインはサンドウィッチやらサラダやコーヒーを楽しんでいる。ガイザックは何だか厚切りトーストに蜂蜜。上に生クリームたっぷりとフルーツが盛った甘そうなやつをウフウフ言いながら食べていた。朝から元気奴だな。

「俺達は空を飛んで行く。サラが居るから早くは飛ばない。お前らは好きに行けば良いよ。半日はかかるから」

 風になれば1時間くらいで着いちまうが、サラの呼吸が出来ない。それでも空気の膜を掛けて最速では飛んでいるが限界があるしな。

「私はまあ、ゆっくり行くよ。途中にセイレーンの湖があるはずだし。挨拶していくよ」
「俺も温泉地に寄って行く。間欠泉に曾祖父さんが居るんだ」
「あたしは先に行ってるわ。獣人は顔は獣だけどムキムキが多いからウォッチングしとく」
「.........そのまま「男好き」に戻れば良いじゃねーか」
「それは趣味にするわ。大丈夫。ちゃんと夫として見てもらうように頑張るから♡ね?サラちゃん?」
 バチンっとウィンクされる。

 .........男色が趣味ってなんだよ?

 ビビッと固まるサラ。

「お前からは良い匂いはしないんだってさ。諦めろ」
「.........そう言えばそんな事言ってたわね?サラちゃん番の匂い分かるんだっけ?あたしってどんな匂いなの?」
「甘く無い濃い紅茶」
「あたし砂糖無しで紅茶飲めないのに~」
「知らんがな」

 因みにサラが言うには

 ゾーイは『固いパン』
 レインは『苦いバナナ』らしい。

 独特....。嗅いだ事があるような無いような.........でも不思議と三人共嫌な匂いでは無いんだと。
 惹かれはしないらしいが。
 .........なんかヤダな。




 ************



 食事の後、早々に支度を整えてまたサラを横抱きにし、空へ飛び立った。

 勿論小屋は切り刻み更地にして。
 いずれまた土に還り木になって生えてくる。ここはそう言う所だ。
 暫く飛んでから俺はサラに言った。


「サラ。水筒の水くれ」
「うん。待ってね?」

 抱えていた水筒の蓋を開けるサラ。

「はい、アウィン。どうぞ」
「........サラ俺両手塞がってるんだけどな?」
「ん?降りる?」
「サラが飲ませてくれよ」
「うん。良いよ。溢れないかな......」

 水筒を俺の口に近づける。

「溢しそうだから、サラ。もう一つ方法あるだろ?」
「ん?うーん.........ハンカチに浸してチューって吸うとか?」
「ふっ!ふふふふ。何だそれ?ははははっ!」
「えー?違う?なんだろ。んー」
「.........口移しだろ?こう言う時はさ」
「えーーーーー!朝だよ?ヤダ~見られたら恥ずかしいもん!」
「誰が見るんだよ、誰が。てか、見せてやる。ほら、くれよ」
「アウィンのスケベ。」
「俺の女にスケベになって何が悪い。喉が渇いた、早く」
「.........もう.........もう.........仕方ないなぁ.........」

 サラは真っ赤になりながら水筒から水を口に含む。
 俺の頬に手を掛けた。ニヤける俺。


「ゴクン。あ、飲んじゃった.........」
「ぶはっ!ははははははは!」
「うー、だってアウィンがヤラシイ顔してるからぁ~!」
「ははは。あー。悪い悪い。余りにサラが可愛いくて。つい、ニヤけた。ふふ。もう一度頼むよ」
「うー。遊んでる?」
「楽しんでる」
「もー!アウィンは意地悪だ。恥ずかしいのにー!」
「甘いだろ?昼間は恋人だから。慣れてくれよ?夜は夫婦だ。口移しよりよっぽど凄い事してるからな。ふふ。そうだな、夫婦なんだから最終的には俺を襲える位になって貰わないとな」
「お、襲う?アウィンを?.........襲う.........。どうやって?」

「そりゃ.........俺の上に乗っかって自分で気持ち良い所に俺の血と肉で出来た固くて太いアレを使って出したり入『バシッ』もがっ!」

 また口を塞がれた。

「キャー!!ヤダー!ヤダー!ヤラシイーーーー!ダメ!」
 キャーキャー騒ぐサラ。


(.........もうちょっと先になるな。顔から湯気出てる。ふふ)














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