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第二章 「天界」と「女神」
31.正直に話せよ?(挿絵有り)
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「主よ。査問隊が参りました」
そう言って現れたのは灰色の髪の男の精霊。執事服を着ている。
『良かろう。入れよ』
「承知致しました」
大扉が開かれる。そこにはピンク色をした髪を持つ美しい女を先頭に5名程の甲冑を着た男達が立っていた。
「風の神ウィンドルザーク様。お初にお目に掛かります、わたくしは審判の神レフリアーノ様の従属である真判のエターリティーと申します。お見知り置きを」
『.........で?』
「この度御身の末裔である神族の婚姻について異議申し立てがございました」
『ふん。無理強いした、と言うか?』
「.........ご存知でございましたか」
『では、話が早い。そこにおる娘に聞くが良い。名はサラだ。当事者である』
急に名指しされたサラはビビリまくり俺の腕にキュウッと掴まって来た。
俺は確かに同意はしていない状態で婚姻宣誓証を書かせた。無理強い.........か。そう捉えられてもおかしく無いよな。
サラの顔を見る。戸惑っている。ふと、サラが顔を上げる。俺はふっと笑い、サラに言った。
「お前が思っている事を正直に話せば良いよ。俺に無理強いされて婚姻したのか聞かれているんだ」
「え! ..........えっと.........」
「貴方が風の神族と婚姻された方ですね?」
「は、はい。しました。サラです。初めまして」
「私は真判の瞳がございます。つまり私に嘘は付けません。さあ、貴方はその神族に無理強いされて婚姻されたのですか?」
「えっと...........無理強い........じゃ無いです。だって.........私.........アウィンのお嫁さんにしてもらえるなんて思ってなくて.........。とっても素敵なプレゼントでした!ふふっ。一生分の運を使ったみたい!思い出すとまだドキドキするの」
サラは照れて頬に手を当てながらもニッコリ笑う。
「..........嘘ではありませんね。つまり貴方は神族に好意が有ったのですか?」
「.................うん。大好きだったよ。ずっと」
「.........そうですか。いえ、良かった。神族の制約に反する事が無くて」
「うん、ありがとう。私ね、幸せです」
「それは素晴らしい。そして嘘が無い。ふふっ。久々に美しいモノが見えた。こちらこそありがとうございます。サラ様。貴方は.........女神ですね?」
「うーん、分からない。でもね、きっと変わらないんじゃ無いかと思うの。何かしたい事がある訳じゃ無いし。女神様って本当は何するの?どんなお仕事?」
「ふふ。其々ですよ。沢山いらっしゃいます。美、豊穣、戦、商売等、様々で加護を与えます」
「なんだ。じゃあ、今更1人増えても意味無いね。ちょっと安心した。私は何だろうな.........」
「解りません。ただ、眩しい魂の輝きが見えるだけ」
「そっか。じゃあ、今言っても仕方ないね。もう良いや。あ、そうだ!お姉さんは《リンミン》って知ってる?私それを取りに来たんだけど勝手に取るとダメなんでしょ?どうしたら良いのかわかる?」
「《リンミン》は獣人神の管理する神花です。まずは獣人神殿へ赴いて下さい。運が良ければ何もせずとも分けて頂けますよ」
「運が悪かったら?」
「.................獣人神は悪戯好きな方ですから.........。ああ、でも、1つアドバイスを。最初から2つ目を選んでください。それが心理です」
「しんり?」
「私はこれで。風の神ウィンドルザーク様、アウィン様、サラ様。お騒がせ致しました。無理強いでは無かったと確認致しましたので、滞りなく婚姻宣誓証を受理させて頂きます。では失礼致します」
「入り口までお見送りするよ?」
そう言うとピンクの髪の女は兵隊を連れて神殿を後にした。
サラは風の精霊を従え入り口まで見送りに行った。
************
ふわりと空間が歪む。エターリティーは先に兵をその中へ入らせた。
女は振り返りしげしげとサラを見て言う。
「.........何も変わらないと言う事はないでしょう。恐らく姿も変わっていくかも知れません。私は未来は見えません。ですが.........貴方の心が変わらない事を我が神に祈りますよ」
そう言って現れたのは灰色の髪の男の精霊。執事服を着ている。
『良かろう。入れよ』
「承知致しました」
大扉が開かれる。そこにはピンク色をした髪を持つ美しい女を先頭に5名程の甲冑を着た男達が立っていた。
「風の神ウィンドルザーク様。お初にお目に掛かります、わたくしは審判の神レフリアーノ様の従属である真判のエターリティーと申します。お見知り置きを」
『.........で?』
「この度御身の末裔である神族の婚姻について異議申し立てがございました」
『ふん。無理強いした、と言うか?』
「.........ご存知でございましたか」
『では、話が早い。そこにおる娘に聞くが良い。名はサラだ。当事者である』
急に名指しされたサラはビビリまくり俺の腕にキュウッと掴まって来た。
俺は確かに同意はしていない状態で婚姻宣誓証を書かせた。無理強い.........か。そう捉えられてもおかしく無いよな。
サラの顔を見る。戸惑っている。ふと、サラが顔を上げる。俺はふっと笑い、サラに言った。
「お前が思っている事を正直に話せば良いよ。俺に無理強いされて婚姻したのか聞かれているんだ」
「え! ..........えっと.........」
「貴方が風の神族と婚姻された方ですね?」
「は、はい。しました。サラです。初めまして」
「私は真判の瞳がございます。つまり私に嘘は付けません。さあ、貴方はその神族に無理強いされて婚姻されたのですか?」
「えっと...........無理強い........じゃ無いです。だって.........私.........アウィンのお嫁さんにしてもらえるなんて思ってなくて.........。とっても素敵なプレゼントでした!ふふっ。一生分の運を使ったみたい!思い出すとまだドキドキするの」
サラは照れて頬に手を当てながらもニッコリ笑う。
「..........嘘ではありませんね。つまり貴方は神族に好意が有ったのですか?」
「.................うん。大好きだったよ。ずっと」
「.........そうですか。いえ、良かった。神族の制約に反する事が無くて」
「うん、ありがとう。私ね、幸せです」
「それは素晴らしい。そして嘘が無い。ふふっ。久々に美しいモノが見えた。こちらこそありがとうございます。サラ様。貴方は.........女神ですね?」
「うーん、分からない。でもね、きっと変わらないんじゃ無いかと思うの。何かしたい事がある訳じゃ無いし。女神様って本当は何するの?どんなお仕事?」
「ふふ。其々ですよ。沢山いらっしゃいます。美、豊穣、戦、商売等、様々で加護を与えます」
「なんだ。じゃあ、今更1人増えても意味無いね。ちょっと安心した。私は何だろうな.........」
「解りません。ただ、眩しい魂の輝きが見えるだけ」
「そっか。じゃあ、今言っても仕方ないね。もう良いや。あ、そうだ!お姉さんは《リンミン》って知ってる?私それを取りに来たんだけど勝手に取るとダメなんでしょ?どうしたら良いのかわかる?」
「《リンミン》は獣人神の管理する神花です。まずは獣人神殿へ赴いて下さい。運が良ければ何もせずとも分けて頂けますよ」
「運が悪かったら?」
「.................獣人神は悪戯好きな方ですから.........。ああ、でも、1つアドバイスを。最初から2つ目を選んでください。それが心理です」
「しんり?」
「私はこれで。風の神ウィンドルザーク様、アウィン様、サラ様。お騒がせ致しました。無理強いでは無かったと確認致しましたので、滞りなく婚姻宣誓証を受理させて頂きます。では失礼致します」
「入り口までお見送りするよ?」
そう言うとピンクの髪の女は兵隊を連れて神殿を後にした。
サラは風の精霊を従え入り口まで見送りに行った。
************
ふわりと空間が歪む。エターリティーは先に兵をその中へ入らせた。
女は振り返りしげしげとサラを見て言う。
「.........何も変わらないと言う事はないでしょう。恐らく姿も変わっていくかも知れません。私は未来は見えません。ですが.........貴方の心が変わらない事を我が神に祈りますよ」
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